科学・政策と社会ニュースクリップ

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COP26終わる、能力不足で研究室追放の罪

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★発行部数 2,515部(11月17日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.946 2021年11月17日号 巻頭言
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【巻頭言】
★COP26終わる、能力不足で研究室追放の罪

2021年11月10日〜11月17日
カセイケン代表 榎木英介

 COP26が終わりました。

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)、京都議定書第16回締約国会合(CMP16)及びパリ協定第3回締約国会合(CMA3)の結果について
https://www.env.go.jp/press/110207.html

COP26
https://ukcop26.org

GLASGOW CLIMATE CHANGE CONFERENCE - OCTOBER-NOVEMBER 2021
https://unfccc.int/conference/glasgow-climate-change-conference-october-november-2021

COP26: Together for our planet
https://www.un.org/en/climatechange/cop26

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)、京都議定書第16回締約国会合(CMP16)パリ協定第3回締約国会合(CMA3)について【10/31~11/12 イギリス・グラスゴー
http://www.env.go.jp/earth/26cop2616cmp16cma10311112.html

「1.5度抑制」と石炭火力の「段階的削減」で合意 COP26が文書を採択し閉幕
https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20211116_n01/

COP26合意文書要旨:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77587140V11C21A1EP0000/

 前半は日本の衆院選と重なり、社会的関心や選挙の争点にもなりにくかった気候変動ですが、本来は極めて重要な課題です。

 シュプリンガー・ネイチャー社も、特設サイトを開設し、連日熱心に報道していました。

特設サイト COP26 microsite: Climate Research in Action:
https://sustainablebusiness.springernature.com/ClimateResearchInAction/

 結局のところ、妥協の産物である合意は、問題を解決していないわけです。しかし歩みを止めてはいけません。

COP26 didn’t solve everything - but researchers must stay engaged
https://www.nature.com/articles/d41586-021-03433-2

Q&A: Young people know how to work together
https://www.scidev.net/global/role-models/qa-young-people-know-how-to-work-together/

Scientist Rebellion: researchers join protesters at COP26
https://www.nature.com/articles/d41586-021-03430-5

 気候変動や若い世代への投資など、今すぐには成果が見えない将来の課題をどう解決していくかは、非常に大きな課題です。衆院選を見れば、人々の課題は気候変動より今直面している課題の解決を優先することになるわけで、「票にならない」という現実があります。

 こうした民主主義の「バグ」を埋めるのが、NPONGO等の中間組織だと思います。

 気候変動におけるNPONGOの存在感は大きなものがありました。

 気候変動に限らず、研究者が直面する問題でも、もっとNPOが力を持たなければならないと強く思います。

Cash incentives, ethics, and COVID-19 vaccination
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abm6400

 新型コロナウイルスワクチンの日本の摂取率は諸外国をついに追い抜かしました。そして第6波への警戒がありつつも、束の間の「ダンス」期を謳歌しています。

 明らかにワクチンの効果はあったわけですが、副反応のないワクチンはないわけで、バランスをどう取るか、ワクチンは絶対安全でも絶対悪でもない冷静な判断が求められます。簡単ではありませんが…。

海底活火山のモニタリングの議論を深めよう 大規模噴火につながる前に
https://webronza.asahi.com/science/articles/2021111100001.html

 海底火山の噴火による軽石被害が大きな注目を集めていますが、今後起こり得る自体に備えていくことが重要です。

科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術・イノベーション会議有識者議員との会合(令和3年度) > 議事次第 令和3年11月11日
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20211111.html

議題

1.総合知を戦略的に推進する方策(総合知戦略)の検討について

第2次岸田内閣が発足しました
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202111/10kishidanaikaku2.html

基本方針を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2021/1110kihonhoushin.html

 選挙が終わり、第2次岸田内閣発足。本格始動した政治をしっかりとウォッチしていきます。

経済安保法案、特許公開制限など4本柱 対中国念頭に:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA041BT0U1A101C2000000/

【独自】半導体を確保・政府審査で中国製品排除も…経済安保法案の概要判明
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20211113-OYT1T50277/

<独自>大阪府警に経済安保チーム 年内にも、全国初
https://news.yahoo.co.jp/articles/3192d6276e02e07b36d6ff95289c00d357f471eb

 経済安保に関して様々な動きが。比較的冷静な対応になってきているようにも思いますが、「ブレーキ」をかけ過ぎれば研究が阻害されるので、バランスをうまく保って欲しいと思います。

財政制度分科会(令和3年11月15日開催)資料一覧
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20211105zaiseia.html

 今回は防衛費が取り上げられていました。財務省は科学技術だけでなく防衛費にも厳しいメスを入れます。

教員免許の更新制、22年度末に廃止 中教審部会が了承
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE157830V11C21A1000000/

世界と伍する研究大学の実現に向けた制度改正等のための検討会議(第3回) 配布資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shinkou/065/siryo/000017833_00004.html

芝浦工大、工学部の学科廃止へ 脱・縦割りで時代に対応 :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD08BJ90Y1A101C2000000/

広島大学での「学びのワーケーション」の参加者募集中!
東広島市産学官連携の可能性を探るプロジェクトを開始します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000033889.html

 大学の様々な動き。

オプジーボ訴訟、本庶氏と小野薬品の和解成立…解決金・寄付などに計280億円
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211112-OYT1T50203/

企業と研究者、見つけた妥協点 オプジーボ訴訟和解
https://www.sankei.com/article/20211112-RLB2DJWZ4JIZFBB5676GJ6PJ5U/

 どうなるのかと固唾を飲んで見ていましたが、決着。アカデミアと企業のコミュニケーションの難しさを感じます。

学術フォーラム「我が国の学術政策と研究力に関する学術フォーラム― 我が国の研究力の現状とその要因を探る―」
https://www.scj.go.jp/ja/event/2021/315-s-1211.html

 12月11日土曜オンライン開催。

今、日本の学術情報インフラが危ない
https://note.com/sendaitribune/n/nd6677c13f6fa

偽の論文を査読ジャーナルに掲載する悪質行為により、Elsevier社などが論文を撤回(記事紹介)
https://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=13125

7-83 研究の進め方と論文出版の大改革
https://haklak.com/page_2021_vazire.html

 心理学研究の問題点を述べています。最近心理学における再現性問題が話題になっていますが、一読すべき論考です。

大学院研究生らに「私の所で研究するには能力足りない」 ハラスメントで神戸大准教授処分
https://news.yahoo.co.jp/articles/ce552c5118cf1f9619c309fbaa7b7090c0df64d8

教員の懲戒処分について
https://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/info/2021_11_16_01.html

 ウェブ上では能力のない学生に引導を渡すのが何が悪い、という意見が出ていますが、受け入れた学生を研究させないわけで、これはハラスメントです。これを容認する余地はありません。

 無能な人間は追い出して当然というアカデミアの体質を直視すべきだと思います。

 教員一人の一存で学生がどうにでもなる体制にメスを入れていくべきです。能力が足りないというのなら、複数の教員や大学がキャリアをどうするか考えていくべきで、研究室「追放」などすべきではありません。

 私自身、今までの人生で2度、指導教員の一存で研究室を「追放」された経験があります。確かに私は「無能」だったのかもしれませんが、突然の「追放」は人生を大きく変えました。

 学生と共に納得いく進路選択をできるように、丁寧な指導や権利の保護が求められます。無能な人間はどうでもいい、は絶対に許せません。

耳に痛い、真鍋さんの苦言 これで科学技術立国なのか 山極寿一さん
https://www.asahi.com/articles/ASPCB563ZPC4UPQJ00N.html

 記事中に研究以外を「雑用」と述べる部分があるのですが、それが研究者以外を見下すことにつながりはしないかと思ってしまい、残念です。

「霊長研の解体計画、撤回を」 元所長ら有志会見
https://www.sankei.com/article/20211116-YUFNFOX5JRM4TJ7CY3S2XWYPD4/

As data probe concludes, spider biologist placed on leave, has Ph.D. thesis ‘withdrawn’
https://www.science.org/content/article/data-probe-concludes-spider-biologist-placed-leave-has-ph-d-thesis-withdrawn

Caltech confronted its racist past. Here’s what happened
https://www.nature.com/articles/d41586-021-03052-x

岸田首相 人材育成に「3年間で4000億円」表明
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6409614

Highly Cited Researchers
https://recognition.webofscience.com/awards/highly-cited/2021/

自然科学・社会科学分野における世界最高峰の研究者を 選出した高被引用論文著者リスト2021年版発表
中国が高被引用論文著者のシェアを4年間で約2倍に拡大
https://clarivate.com/ja/news/highly-cited-researchers-2021-202111/

自然科学・社会科学分野における世界最高峰の研究者を 選出した高被引用論文著者リスト2021年版発表
https://www.afpbb.com/articles/-/3376198

 国別で見ると日本の研究者の少なさが目立ちます。「選択と集中」の効果は…。

When Finnish researchers took on the Twitter trolls
https://www.nature.com/articles/d41586-021-03407-4

株式会社 岩手日報社と包括的な連携協定を締結
https://www.nao.ac.jp/news/topics/2021/20211112-mizusawa.html

研究者と記者の「二刀流」公募 国立天文台岩手日報社
https://www.tokyo-np.co.jp/article/142270

研究、記者の二刀流公募 国立天文台と本紙 連携協定
https://www.iwate-np.co.jp/article/2021/11/12/105330

 非常に注目すべき動き。

23卒理系学生の6割「キャリアのロールモデルが身近にいない」 ~87%が「研究や専攻に関係ない分野」の社会人に話を聞きたい ~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000285.000034075.html

 就活生に限らず、ロールモデルの紹介は重要です。

89歳で博士号を取得。20年かかって夢を叶え「人生で最も喜ばしい」
https://news.yahoo.co.jp/articles/46b730e6406d3099facdbd986fa287a82087369f

 素晴らしいですが、経済的余裕がないとなかなかできることではありません。

 あらゆる人が在野で研究ができるような社会を目指したいですね。

起業家が拓く理系就職の道 研究軸にITで企業と仲介
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC021840S1A101C2000000/

 様々な企業がマッチング等を行なっています。良い方向に向かっていると思います。

「大学進学の壁」あまりにも高い里子たちの苦悩
日本には「学ぶ権利」を剥奪された子どもがいる
https://toyokeizai.net/articles/-/465474

 生まれで進路が制限される現実。もちろんゼロにはできませんが、選択の幅を広げるべきです。

理系女性人材、どう育てる
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77413000Z01C21A1M11200/

Sleeplessness and anxiety: PhD supervisors on toll of COVID pandemic
https://www.nature.com/articles/d41586-021-03374-w

I sank into severe depression during the pandemic. Here’s how I emerged
https://www.science.org/content/article/i-sank-severe-depression-during-pandemic-here-s-how-i-emerged

COVID is disrupting scientific careers around the world
https://www.nature.com/articles/d41586-021-03049-6

Scientists count the career costs of COVID
https://www.nature.com/articles/d41586-021-03040-1

 新型コロナウイルス感染拡大が研究者の心やキャリアに大きな影響を与えています。

日本の産業政策「成功しなかった」 アルバータ大ビーソン教授
https://news.yahoo.co.jp/articles/204267128eebee171fd24bade3d34d5049f04d0d

 「選択と集中」等もそうですが、政策の評価はなかなか難しいものがあります。

国公立大の「私物化」深刻に 京都大大学院教育学研究科教授 駒込武さん
https://mainichi.jp/articles/20211114/ddm/014/040/002000c

学生・研究者に朗報! 「Microsoft Edge」のコレクションに出典・参考文献の挿入支援機能
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/1366233.html

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.946 2021年11月17日号 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
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