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No.1149 2025年11月5日(11月10日発行)巻頭言
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【巻頭言】基礎研究は「無駄」ではない 高市首相就任は改革の転機に?
カセイケン代表 榎木英介
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科学と社会の接点を読む(2025年11月第1週版):環境危機、国立大学法人大学改革、AIガバナンス、 | 榎木英介の科学・医療ニュース深掘り
https://kaseiken-enoki.theletter.jp/posts/39b495e0-bd27-11f0-bdf5-db9d724108bf
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世界を変えた7つの基礎科学の発見
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03474-x
From MRI to Ozempic: breakthroughs that show why fundamental research must be protected
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03470-1
基礎科学研究の重要性を訴えるNature記事。
基礎研究は「無駄」ではなく、長期的かつ広範な波及効果をもたらす。
今この瞬間に成果が出なくとも、その種が将来の革新につながる可能性がある。
しかし多くの国・機関で、基礎研究の予算・支援体制が縮小傾向にある。
その結果、未来の技術や医療、産業展開の基盤が弱まるリスクがある。
といったことを訴えています。
日本初の女性首相は自らをフェミニストとは呼ばない——しかし科学界の性差別と戦うために、この国には彼女が必要だ
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03569-5
慈恵医大の志牟田 美佐さんご執筆。
日本が2025年時点で「世界男女格差指数」で148 国中118位と低位である中、首相就任が女性研究者支援・制度改革の契機になる可能性を指摘しています。
地震予知を研究してきた「予知連」、名称変更を検討…会長「予知の看板に縛られると活動に制約」
https://www.yomiuri.co.jp/science/20251027-OYT1T50102/
地震予知を研究してきた 地震予知連絡会(予知連)が、名称変更を検討しています。会長は「"予知"という看板が活動に制約を与えてしまう」と述べ、研究体制と組織のあり方を見直す意向を示しました。
「日本成長戦略本部」初会合 高市首相 17の戦略分野で検討指示 | NHKニュース | 高市内閣、生成AI・人工知能
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014966771000
令和7年11月4日 日本成長戦略本部 | 総理の一日 | 首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/104/actions/202511/04seichyou.html
日本成長戦略本部(第1回)議事次第|内閣官房ホームページ
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/honbu/dai1/gijisidai.html
成長戦略の検討課題
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/honbu/dai1/kentoujikou_set.pdf
4 日、日本成長戦略本部の初会合が高市早苗首相の下で開かれ、運営体制の確認、併設の「日本成長戦略会議」の開催、さらに17の成長戦略分野と横断的な課題群について検討が始まりました。
この枠組みでは、〈AI・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙など〉を含む戦略分野を官民連携で強化し、「危機管理投資」を軸に供給構造を抜本的に強えた「強い経済」の実現を目指すとしています。
theLetterで深掘りできればと思います。
国立大学法人等改革基本方針:文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/1418126_00003.htm
theLetterの有料部分で深掘りしています。
大学における教育内容等の改革状況について(令和5年度)の結果について
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigaku/04052801/1417336_00013.htm
令和5年度における大学の教育改革状況調査では、約77%の大学が「教育の質保証」指針を策定・実施しており、学修管理システム(LMS)を活用した事前・事後学修実施率が約75.6%と上昇。教学マネジメントの整備が進展していることが明らかとなりました。
ノーベル賞受賞者 文科相に基礎研究への支援拡充など要望
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014963561000
ノーベル賞2氏、若手支援を要請 文科相と面会、基礎研究必要性も(共同通信) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/f7a4e7dfd00ec366f2920bd679d13ee816be4095
今年の ノーベル賞 を受賞した 坂口志文 特任教授と 北川進 特別教授が、 文部科学省 の 松本洋平 文科相と面会し、基礎研究支援の拡充や若手研究者を育てる組織づくりの重要性を訴えました。こうした訴えは恒例行事で、果たして実効性があるのか気になるところです。
第5回医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65345.html
厚生労働省が公表した「第5回医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会資料」では、医療事故発生時の調査制度の運用見直しや、医療機関・地域における医療安全体制の強化に向けた報告書(案)が提示されています。
ヒアリの発見が過去最多に、定着阻止へ切り札「探知犬」の試験育成開始へ
https://www.yomiuri.co.jp/science/20251104-OYT1T50071/
本年、国内での外来アリ 「ヒアリ」の発見件数が10 月末時点で 9 都府県・36 件に上り、過去最多を記録しました。
定着を防ぐため、環境省は探知能力を持つ「探知犬」の育成を試行として開始し、国内での育成手法確立に向け、事業者募集を始めています。
(ひらく 日本の大学)朽ちる国立大、進まぬ改修 朝日新聞・河合塾共同調査
https://www.asahi.com/articles/DA3S16335997.html
国立大学長の53%「国立大は今後減る」 交付金減や物価高で危機感(朝日新聞) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/84f0d414f449d0ef71ca85e650b2bd242ad3ae3f
朝日新聞の一連の記事。
・(ひらく 日本の大学)「朽ちる国立大、進まぬ改修」:全国75校の国立大学を対象にした河合塾・朝日新聞社の共同調査で、老朽化施設のある大学が87%に上り、改修の遅れが教育・研究活動に影響を与えていることが明らかになりました。
・「国立大学長の53%『国立大は今後減る』」:同調査で、国立大学の学長の53%が2040年ごろには国立大学が減少する可能性を感じており、運営交付金の減少や物価高などを背景に危機感を抱いていることがわかりました。
東北大学「国際卓越」1年、外国人研究者14%超に 処遇も世界と競う - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD22A2W0S5A021C2000000/
東北大学が「国際卓越研究大学」認定から1年、外国人研究者の比率が14%を超え、研究環境の国際化を大きく進展させています。
また、世界水準の待遇やキャリアパス整備にも着手し、グローバル研究拠点としての体制強化を図っています。
土地代で45億稼ぐ科学大もあれば…国立大学「金策」の明暗《楽待新聞》(不動産投資の楽待) - Yahoo!ファイナンス
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/e6d13bc0bf39066e921f61ee0c551e9217b6f92b
記事では、東京工業大学(旧)が所有する田町キャンパスの土地再活用により、「2026年度から75年間、年約45億円の貸付料収入」が見込まれている一方、他の国立大学では施設改修のためにクラウドファンディングに頼る例もあるなど、大学の「金策」の明暗が際立っていると報じています。
「女子大が不要になるのは男女平等が完全に実現した時だ」…"堅持宣言"した京都女子大、学部新設・返済不要の奨学金など改革急ぐ:地域ニュース : 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/local/hashtag-kyoto/20251103-OYO1T50014/
京都女子大学が女性の学びの場の意義を改めて打ち出しつつ、生き残りをかけて新学部の開設や返済不要の奨学金制度導入など、学生獲得へ向けた大胆な改革に動き出したことを報じています。
査読システムをどう立て直すか | Nature ダイジェスト | Nature Portfolio
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v22/n11/%E6%9F%BB%E8%AA%AD%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%82%92%E3%81%A9%E3%81%86%E7%AB%8B%E3%81%A6%E7%9B%B4%E3%81%99%E3%81%8B/132625
岩手大学にクマ 学生が通報、警察が確認 午後からの全講義が休講に
https://www.asahi.com/articles/ASTBX1F41TBXULZU003M.html
クマが大学にも影響を与えています。
科学の家の掃除:科学への信頼を再構築するにはゴーストライティングの害と向き合う必要がある
https://www.science.org/doi/10.1126/science.aec4187
企業利益が関わるゴーストライティングが研究の信頼性を損ない、科学全体の信用低下を招くと論じられています。
筆者は、ゴーストライティング防止のため編集部・学会の厳格な制度改革と、研究者自身の倫理意識の向上が不可欠だと指摘しています。
Inside Moderna's great unraveling: missteps and misfortune
https://www.statnews.com/2025/10/30/moderna-rise-fall-biotech-analysis-from-pandemic-rise-to-mrna-crash/
ワクチン開発で急成長を遂げたモデルナ社が、パンデミック後の新薬開発失速や政府契約の打ち切りなどを背景に、2022年の約193億ドルから2024年には約32億ドルへ売上が激減、時価総額もピーク時の1 850億ドルから約10億ドルにまで落ち込んだと報じています。
「バイオテック・バービー」は、CRISPR技術を用いた遺伝子編集ベビーの実現が現実味を帯びてきたと主張する。科学者たちはこれに同意するのか?
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03554-y
ゲノム編集の倫理問題。
米国で「ブルーカラービリオネア」現象 AI発展で潤う肉体労働者:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN15CNW0V11C25A0000000/
これに関してはnote記事を書きました。
「ブルーカラービリオネア」時代の高等教育|榎木英介(フリーランス病理医・科学ジャーナリスト賞受賞者) https://note.com/enodon/n/n6b06236b36f3
科学誌への投稿論文が急増、「多作な新人著者」がAI利用の可能性
https://www.science.org/content/article/letters-scientific-journals-surge-prolific-debutante-authors-likely-use-ai
近年、未経験の著者による投稿レターが急増しており、その裏にはChatGPTなど生成AIを利用して大量投稿する動きがあると指摘されています。
この現象は、学術誌への信頼・品質に関する新たな懸念を浮上させており、編集部にはAI利用の開示と投稿内容の精査を求める声が高まっています。
理系分野における中国人大学院生の流入は、米国人学生にとって大きな恩恵となった
https://www.science.org/content/article/flood-chinese-graduate-students-stem-was-boon-u-s-students
米国の大学院STEM分野では、中国政府の高等教育拡大策を契機に多数の中国人大学院生が流入し、米国学生の受け入れ規模拡大や教育機会の活性化に寄与していたことが新分析で明らかになりました。
韓国・国立大学医学部の新入生、60%が「浪人生」…現役生多数派はソウル大と江原大のみ(KOREA WAVE) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/58f46e2338b83cf91bacadb3abccab1244a1aba0
医学部ブラックホール。
アフリカはいつ医学分野のノーベル賞を受賞するのだろうか? https://www.nature.com/articles/d41586-025-03616-1
アフリカ大陸で医学・生理学のノーベル賞受賞者が未だ出ていない現実を受け、「研究機関の資金不足、トップジャーナルへのアクセス制限、メンター体制の欠如」などの構造的障壁を指摘しています。
記事は、アフリカの研究が世界的な成果を生み出しているにもかかわらず、その功績が十分に認められていないと述べ、受賞者輩出のために多面的な制度改革と国際的支援の必要性を訴えています。
メガバンクが理系登用 博士や経営人材に厚み、デジタルで事業再構築 - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0301O0T00C25A9000000/
メガバンクが理系や博士人材の登用を本格化。AIやデジタル技術を軸に事業再構築を進め、専門知識を持つ人材の採用・待遇改善で経営層の厚みを増そうとしています。
AIの世界では博士課程の教育を刷新する必要がある
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03572-w
博士課程の訓練はAI時代に再構築が迫られています。AIによるデータ解析・執筆支援が進む中、博士教育は「AIを最大活用する力」と「研究者としての独創性」の両立を目指す必要があると主張しています。
サイエンス誌の「ダンスで博士号を」コンテストが再び開催—AIを駆使した新たな試みで
https://www.science.org/content/article/science-s-dance-your-ph-d-contest-open-again-2025
恒例のDance Your Ph.D.コンテストが開催。研究をダンスで表現する動画作品の募集を開始しました。加えて今回は、AI生成ダンスに向けた特別賞も設けられるとのこと。新たな試みです。
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"Science Communication News"
[SciCom News] No.1149 2025年11月5日(11月10日発行)巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
【制作・編集】サイエンス・サポート・エージェンシー合同会社
【E-Mail】 info@kaseiken.org
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