科学・政策と社会ニュースクリップ

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菅政権発足、選択と集中と財務省

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★発行部数 2,563部(9月22日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.888 2020年9月22日号 巻頭言
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【巻頭言】
★菅政権発足、選択と集中財務省
2020年9月15日~2020年9月22日
カセイケン代表 榎木英介

 菅政権が発足しました。

安倍内閣は総辞職しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202009/16soujisyoku.html

閣議の概要/副大臣及び大臣政務官の人事について
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202009/18_p.html

菅総理は初大臣政務官会合に出席しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/18seimukan.html

菅総理は初副大臣会議に出席しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/18fukudaijin.html

菅内閣 大臣政務官名簿を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/meibo/seimukan.html

菅内閣 副大臣名簿を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/meibo/fukudaijin.html

菅総理は次官連絡会議に出席しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/18jikankaigi.html

菅内閣 閣僚等名簿を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/meibo/index.html

 科学技術担当大臣は井上信治議員。
http://www.inoue-s.jp

 相変わらず科学技術担当大臣は他と合わせてはワンオブゼムの職ではあります。

内閣総辞職及び新たな政権発足についての会見を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202009/16bura.html

菅内閣が発足しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/16suganaikaku.html

閣議の概要について
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202009/16_p.html

内閣総理大臣談話を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/discourse/20200916danwa.html

基本方針を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2020/0916kihonhousin.html

閣僚等名簿の発表について
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202009/16_m.html

衆参両院にて菅義偉議員が、伊藤博文初代内閣総理大臣から数えて第99代目の内閣総理大臣として指名されました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/16shimei.html

内閣総辞職に当たっての内閣総理大臣の談話を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/discourse/20200916danwa.html

行政改革目安箱(縦割り110番
https://www.taro.org/kaikaku110

 河野行革大臣が自身のサイトに作った目安箱。スピードは評価したいですが、私的サイトに届いた文書の管理がどうなるのか気になります。

 イノベーション重視だった安倍政権の科学技術政策をおそらく踏襲するものと思いますが、菅政権の科学技術政策をしっかりウォッチしていきたいと思います。

★プロジェクトマネージャー決定のお知らせ(ムーンショット目標1、2、3、5、6)
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200918moonshot.html

第2回 ムーンショット型研究開発制度に係る戦略推進会議
https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/senryakusuishin/2nd/2nd.html

ムーンショット型研究開発事業におけるプロジェクトマネージャーの決定について
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1450/index.html

 安倍政権の科学技術政策の目玉であったムーンショット。プロジェクトマネージャーも決まり動き出しました。

 色々思うところはありますが、決まった以上良い成果をあげることを願っています。

★東大が中国勢より下位に…上海の研究者が見た、大学ランキング・日本「一人負け」の原因
中国の参考にできるところは参考に
https://bunshun.jp/articles/-/40293

 上海の復旦大学教授の服部 素之さんの論考。選択と集中により基礎研究の「裾野」が狭くなったことを指摘しています。

以上をまとめると、私の提案としては「各研究室への校費の額を回復させる」「大学院生への経済支援を拡充し、学生さんが安心して大学院進学できる環境を提供する」「共通機器整備制度の拡充により、研究室単位で高額機器を買わなくても研究できる体制を整える」というものだ。

 これらがもし実現すれば、日本の多くの大学における研究の裾野は大きく広がり、日本の大学、特に地方の大学が再び元気を取り戻すことにつながると信じている。

 非常に賛同するところがあります。文科省も博士課程の学生の経済支援を概算要求するようです。政府若手支援を全面に押し出し始めたのは、安倍政権末期のことでした。

文部科学省 博士目指す学生への経済的支援を概算要求へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200919/k10012625851000.html

 若手に重点を置きすぎて、若手でなくなったときに露頭に迷う問題は解決していませんが…。

 多くの人が勘違いしているようですが、問題は財務省です。文科省財務省とひっくるめて捉えるのは間違っていると思います(文科省の政策に全面的に賛成というわけではありませんが)。

財政制度分科会(令和元年11月1日開催)提出資料
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20191101.html

 ただ、財務省を動かすためにどうすれば良いか…。記事を書いても本を書いても、敵扱いしても財務省には届きません。

★科学技術関係予算「GDP比1%達成したが研究力強化には疑問符」
https://sci-news.co.jp/topics/3934/

 IT化なども科学技術予算にしてなんとか1%を達成しましたが、本来の科学技術研究に使える部分で評価しないといけませんが、財務省は研究者一人当たりの予算は諸外国に劣らないのに影響ある論文が出ていない、と大学の「生産性」の低さを批判しています。

 「強い文教政策」でアカデミアに衝撃と怒りを与えた神田眞人氏は国際局長に就任しています。このまま出世されると財務官になるようです。

 結局政治を動かすしかないわけで、様々な手段でアプローチ(ロビイング等)するしかありませんが、アカデミアでロビイングができる人は少ないように思います。

 現在政治を動かすことができる組織を作ろうという動きがアカデミアの中に芽生えつつあります。こうした動きが大きな流れになるか、注目していきたいと思います。

ロビイストに求められる資質とは?食品ロス削減推進法の立法過程におけるNPOのアドボカシー事例から考察
https://news.yahoo.co.jp/byline/akechikaito/20200916-00198141/

 こうした他の分野の動向も謙虚に学んでいく必要があります。

★研究専従換算係数を考慮した日本の大学の研究開発費及び研究者数の詳細分析 [調査資料-297]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45606

 タイミングよくNISTEPから報告書が出ました。

研究専従換算係数を考慮した大学等の研究開発費及び研究者数(FTE 値)は、研究専従換算 係数を考慮しない値(HC 値)とは異なり、2001 年度から 2017 年度にかけて伸びてはいない。

2001 年度から 2017 年度にかけて、研究者数における教員の割合が減少し、大学院博士課程 の在籍者の占める割合が増加している。FTE 値では第 1~第 3 グループまで、大学院博士課程の在籍者の割合が教員より大きくなっている。ただし、大学院博士課程の在籍者の数が増えているのは保健であり、理工農学ではほぼ増えていない。理工農学で増加しているのは、医局員・その他の研究員である。
○ 研究者数の業務区分バランスを理工農学と保健について見ると、大学院博士課程の在籍者の割合は、理工農学では、減少又は横ばいのグループが多いのに対して、保健では、ほとんどのグループで増加している。また、医局員・その他の研究員の割合は、理工農学ではほとんどの大学グループで増加しているが、保健での変化は一律ではない。

新型コロナウイルス感染症対策分科会 大都市の歓楽街における感染拡大防止対策 ワーキンググループ (第1回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/kanrakugai_wg_1.pdf

★Vaccines - lessons from three centuries of protest
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02671-0

★Keep focus on emerging infections, Disease X: analysts
https://www.scidev.net/global/r-d/news/keep-focus-on-emerging-infections-disease-x-analysts.html

新型コロナウイルス感染症等による科学技術の未来像への影響に関するアンケートの実施について
https://www.nistep.go.jp/archives/45632

★「クライメート・イノベーションファイナンス戦略2020」を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2020/09/20200916001/20200916001.html

★北半球はこの夏、史上最も暑かった WMOとNOAAが発表
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/09/20200918_01.html

気象庁ホームページへのウェブ広告掲載停止(気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/press/2009/16b/20200916_koukoku.html?850

★名古屋港におけるヒアリの確認について
https://www.env.go.jp/press/108464.html

土の中での生息確認は県内初…強い毒持つ『ヒアリ』700匹以上を発見 駆除し周辺への広がりを調査へ
https://news.yahoo.co.jp/articles/a9092d4e08ed4f7569d1c1e92f6cf2c4e31c62a4

 関係者の懸命な努力により、なんとか拡大を防いでいますが、非常に厳しい状況が続いています

★「国連生物多様性の10年『グリーンウェイブ2020』」の実施結果について
https://www.env.go.jp/press/108439.html

★<独自>宇宙資源の所有権 超党派で法整備
https://www.sankei.com/life/news/200921/lif2009210025-n1.html

宇宙資源所有権の議員立法 背景に月面の水資源獲得競争
https://www.sankei.com/life/news/200921/lif2009210026-n1.html

 宇宙資源の問題。産経新聞の独自記事です。

2020年 9月18日
提言「行政記録情報の活用に向けて」(PDF形式:519KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-3.pdf

2020年 9月18日
提言「我が国における移植医療と再生医療の発展と普及」(PDF形式:743KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t298-2.pdf

2020年 9月18日
提言「災害レジリエンスの強化による持続可能な国際社会実現のための学術からの提言-知の統合を実践するためのオンライン・システムの構築とファシリテータの育成-」(PDF形式:608KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t298-1.pdf

2020年 9月15日
提言「感染症対策と社会変革に向けたICT基盤強化とデジタル変革の推進」(PDF形式:905KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t298-3.pdf

2020年 9月15日
報告「都市域土壌の現状と課題」(PDF形式:771KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-h200915.pdf

 日本学術会議の報告、提言ラッシュは続いています。

★【with/post コロナ社会に生きる】
科学と社会の対話で、ありたい未来をつくる
≪小林傳司さんインタビュー≫
https://sciencewindow.jst.go.jp/articles/2020/0917.html

最近20年間でOAジャーナル176誌がインターネットから姿を消し、現存する900誌も消失する可能性が高い(記事紹介)
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=12271

オンライン学術誌、20年で176誌がネットから消失 新研究
https://www.cnn.co.jp/tech/35159683.html

 先週既報。

★Opinion: Zoology’s Racism Problem
https://www.the-scientist.com/reading-frames/opinion-zoologys-racism-problem-67865

★The US National Academy of Sciences can now kick out harassers. So why hasn’t it?
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02640-7

★ヒト受精卵のゲノム編集、問題を示唆する研究相次ぐ
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020090500007.html

★Global citizen deliberation on genome editing
https://science.sciencemag.org/content/369/6510/1435

★Nature Index’s top five science cities, by the numbers
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02576-y

Science cities seek new connections
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02579-9

Beijing, the seat of science capital
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02577-x

The top cities for research in the Nature Index
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02575-z

★Scientific American Endorses Joe Biden
https://www.scientificamerican.com/article/scientific-american-endorses-joe-biden/

Trump lied about science
https://science.sciencemag.org/content/369/6510/1409

 バイデン支持を明確にしたサイエンティフィックアメリカン誌。トランプ氏を嘘つきと批判するサイエンス誌。

★米研究、危うい中国排除 中国は「独立」へ着々
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64090150Z10C20A9MM8000/

Racial Profiling Concerns Amid Crackdown on Scholars’ China Ties
https://www.the-scientist.com/news-opinion/racial-profiling-concerns-amid-crackdown-on-scholars-china-ties-67944

Former Los Alamos physicist gets probation for failing to disclose China ties
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/former-los-alamos-physicist-gets-probation-failing-disclose-china-ties

 中国排除の「テクノナショナリズム」は科学界にとっては非常にウケが悪いのですが…。

★Climate change denialist given top role at major U.S. science agency
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/climate-change-denialist-given-top-role-major-us-science-agency

 気候変動否定論者がトップに。こうしたことも科学界を苛立たせています。

[FT]「Qアノン」は米の内なる敵
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63969150X10C20A9TCR000/

 しかし、こうした陰謀論が広がっており、分断は進んでいるようです。トランプ再選となった場合、アメリカの科学政策には困難が続きそうです。

 トランプ支持者を切り捨て見下すだけでは、この状況は変わりません。

★Turkish scientists and physicians face criminal investigations after criticizing COVID-19 policies
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/turkish-scientists-and-physicians-face-criminal-investigations-after-criticizing-covid

 トルコも科学者にとって厳しい状況です。

シンガポール早慶卒のビザ厳格化 邦人駐在員3割減も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63888630V10C20A9FFE000/

 早慶だけでなく、阪大含めた60大学のランクが下げられました。もちろんこれは学位取得者は別と思いますが、世界大学ランキングを反映しているようです。

★知ってる?中国で誕生している新職業(1)-知識共有型ブロガー
http://j.people.com.cn/n3/2020/0917/c94475-9761404.html

 サイエンスコミュニケーターですね。人口が多いので、暮らしていけるということでしょう。

★ALDOCK、ディープテック人材とスタートアップを結ぶ副業・転職プラットフォーム『Infomics Career』をβローンチ
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000002.000065881&g=prt

 最近高度人材のマッチングに関する取り組み、事業がちらほら見られるようになってきました。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.888 2020年9月22日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
【編集者】Science Communication News編集部
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