科学・政策と社会ニュースクリップ

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憲法違反の博士、コスタリカの科学者育成戦略

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★発行部数 2,565部(9月29日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.889 2020年9月29日号 巻頭言
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【巻頭言】
憲法違反の博士、コスタリカの科学者育成戦略
2020年9月22日~2020年9月29日
カセイケン代表 榎木英介

 ノーベルウィークが近づいてきて、毎年恒例の「引用栄誉賞」も発表されました。

★2020年の「引用栄誉賞」受賞者を発表
https://clarivate.jp/blog/Citation_Laureates_2020

 今年のノーベル賞は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、式典なしとのことです。今年受賞するのは嫌、という人は…いますかね。

ノーベル授賞式、コロナで変更
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO64159370T20C20A9CR8000/

ノーベル財団
https://www.nobelprize.org/

ノーベル賞予想やめました 反響過熱、背景紹介に変更 科学未来館
https://mainichi.jp/articles/20200925/dde/007/040/022000c

 一喜一憂することはしたくありませんが、毎年この時期になると日本の「科学力」の記事が増えます。カセイケン榎木も複数の取材を受けています。一部は日本人ノーベル賞受賞者が出た場合に記事になるとのことです。

★【図解】日本の研究力が落ちた「本当の理由」
https://newspicks.com/news/5254535

★【山極壽一】日本は失敗を大学に押し付けてきた
https://newspicks.com/news/5256625

山極寿一氏「若手の声を届けて」 学術会議会長が退任前に会見
https://www.chunichi.co.jp/article/126190

★〈科技立国 落日の四半世紀〉(1)つまずきは若手軽視から
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO64269380V20C20A9TJM000/

日本の研究力低下、つまずきは若手軽視
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64202910U0A920C2TJM000/

無給博士は憲法違反、日本の研究力低迷 野依良治
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64174660U0A920C2000000/

 憲法違反とはなかなかインパクトあるなと思いました。しかし日経新聞の記事では「戦犯」とされる有馬朗人氏、若手に圧迫的な態度を取ったとされる野依良治氏が語ることに、SNS上では反発も出ていました。

★「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2018 年度実績)」速報版の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45706

ポストドクター等のうち、男性は、10,948 人(70.2%)、女性は、4,642 人(29.8%)であり、平均 年齢は、37.5 歳(男性 37.2 歳、女性 38.1 歳)であった。前回の調査に比べ、女性の割合が 増加し、全体の平均年齢の上昇が認められた。

 これだけ日本の科学の分析記事が出ても、根本的な問題の解決の動きがありません。ポスドクは老いてきています。

 ノーベル賞という季節に合わせるのではなく、通年で地道な努力を行なっていくことが求められています。誰がやりますか?あなたしかいません…。

 汗をかいてコミットする人が今求められています。もちろん、在野の我々も続けていきます。

★Seeking a niche
https://science.sciencemag.org/content/369/6511/1558

 サイエンス誌の非常に興味深い記事。人口500万人のコスタリカ生物多様性に富んでおり、生物学者が次々生まれています。政府がポジションを約束した上で博士号取得のために若者を世界各地に送り出しているとのこと。

 しかし、500万人程度の国では、学位を得た人が国内に職を得ることが難しい場合も多く、意に沿わない職に就いている人も多いとのことです。

 日本は中国やアメリカに並ぶ「大国」であるとの意識を多くの人が持っています。

 確かに人口1億2千万人は決して小国ではありません。

 しかし、米中に並ぶ大国とまでは言い難く、自らの位置づけを変えていく必要があるのではないかと思います。

 大国ではないけれど、コスタリカのような小国ではない。

 英独仏は人口的には日本より小さいですが、研究では存在感があります。中より大よりの国として、米中と比較するのは辞め、中規模国としての戦略を考えた方が良いのかもしれません。

★A tropical research treasure faces difficult times
https://science.sciencemag.org/content/369/6511/1561

 そのコスタリカですが、COVID-19が研究に大きな影響を与えているとのこと。

新型コロナウイルス感染症対策分科会
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/yusikisyakaigi.html#3

第10回資料
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona10.pdf

人の移動に関する分科会からの提言
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/hito_ido_teigen.pdf

新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種について(中間とりまとめ)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona_vaccine_1.pdf

別紙 新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種について(中間とりまとめ)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona_vaccine_2.pdf

新型コロナウイルス感染症対策分科会 偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ (第2回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_2.pdf

菅総理は第43回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/25corona.html

新型コロナウイルス感染症対策本部(第 43 回)
https://www.asahi.com/articles/ASN9H66FLN9HULBJ00X.html

 新型コロナウイルスの動向は、連休を挟んで非常に気になる状態にあり、再び拡大する可能性を孕んでいます。今できる準備を怠らないことが不可欠です。

★Online learning cannot just be for those who can afford its technology
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02709-3

 Nature巻頭言。

 オンライン化に対応できない子供たちなどへの対策はいますぐ行うべき喫緊の課題です。

群馬県における豚熱の確認及び「農林水産省豚熱・アフリカ豚熱防疫対策本部」の開催について
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/200926.html

群馬の養豚場で豚熱確認 5390頭殺処分へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64294820W0A920C2000000/

★名古屋港におけるヒアリの確認について(令和2年9月17日の続報)
https://www.env.go.jp/press/108496.html

ヒアリの「女王」、名古屋港に多数 拡散の恐れ
https://mainichi.jp/articles/20200926/ddm/041/040/115000c

名古屋港でヒアリの女王が数十匹 既に別の場所で繁殖か
https://mainichi.jp/articles/20200925/k00/00m/040/186000c

 豚熱の拡大、ヒアリ定着の危機…。いずれも新型コロナウイルスの影に隠れたニュースになりがちですが、大きな問題です。関心を失わないようにしないといけません。

★次期科学技術・イノベーション基本計画の共創に向けた全国キャラバン
https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/caravan2020.html

 複数箇所でキャラバンを行い、意見聴取するとのことです。

★外国の資金協力、科研費にも開示義務 経済安保で厳格化
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64345400Y0A920C2PP8000/

文部科学省内閣府などは当初、資金源の開示を義務付ける対象から科研費を外していた。政府系4機関と対応が異なり、政府・与党内から「同じ税金を使う科研費を除外するのは理屈が立たない」との意見も出た。

 気になる動きです。アメリカの動向にも影響を受けています。

★AI人材獲得・人材育成及び研究環境整備に関するアンケート調査 御協力のお願い
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200928aijinzai.html

 10月16日まで。

★規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)について
https://form.cao.go.jp/kokumin_koe/opinion-0009.html

 オフィシャルサイトでの意見募集です。

★諸外国の教育動向2019年度版
https://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/gaikoku/detail/mext_00936.htm

 重要資料発売。

★大学院部会(第98回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/1422801_00003.htm

議題

大学院設置基準の一部を改正する省令について(報告)
「ジョブ型研究インターンシップ」について
大学院の国際化について
大学院レベルの履修証明プログラムについて
「科学技術ワクワク挑戦チーム博士進学ワーキンググループの活動報告および省内若手有志からの問題提起」について
その他

大学院部会(第98回) 議事録
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/1422799_00003.htm

 なかなか興味深い議論が展開されています。ジョブ型研究インターインシップは一つの突破口になりうるのかなと思ったりもします。

★「STI Horizon(エスティーアイ ホライズン)」誌2020秋号公開(9月25日)について
https://www.nistep.go.jp/archives/45681

★コロナ禍受けムーンショットの新目標チームを公募 JST、未来担う若手に期待
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/09/20200928_01.html

★2020年 9月28日
提言「学術情報流通の大変革時代に向けた学術情報環境の再構築と国際競争力強化」(PDF形式:2,200KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-6.pdf

 非常に重要な提言です。以下が提言の見出しです。

学術誌購読費用と APC の急増に対応する国家的な一括契約運営組織の創設
トップジャーナル刊行を核とする学術情報発信の機能強化と国際競争力向上
理学工学分野のオープンデータ/オープンサイエンスの発展を支える組織の創設
学協会の学術情報発信の機能強化に向けた共同刊行組織の創設

 学術会議はハゲタカジャーナルと表現していますが、捕食ジャーナルについても触れられていて、ホワイトリストの作成が挙げられています。

 問題は組織を作るとして、誰がやるのか、財源は何か、という具体的な部分です。

2020年 9月25日
提言「我が国の子どもの成育環境の改善にむけて-成育空間の課題と提言2020-」(PDF形式:5,075KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-5.pdf

2020年 9月25日
報告「情報教育課程の設計指針-初等教育から高等教育まで」(PDF形式:2,408KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-h200925.pdf

2020年 9月23日
提言「性的マイノリティの権利保障をめざして(II)―トランスジェンダーの尊厳を保障するための法整備に向けてー」(PDF形式:1,308KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-4.pdf

Twitter followers’ details reveal the power of a paper
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02711-9

★被曝データ不正利用で研究者批判〜伊達市議会で中間報告
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2520

★Health-care inequality could deepen with precision oncology
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02678-7

★私たちはどんな「遺伝子改変社会」を望むのか
遺伝性ヒトゲノム編集に、英米の学術団体が警告
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020092400002.html

★What Trump’s Supreme Court pick could mean for science
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02747-x

★Science and the US presidential election: what do you think?
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02710-w

★嘘連発のトランプ大統領に、科学者が次々蜂起
政治的発言を封印してきた老舗科学誌までバイデン支持表明
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62185

★Trump White House recruited climate science critics to work at NOAA
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/trump-white-house-recruited-climate-science-critics-work-noaa

The visa woes that shattered scientists’ American dreams
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02746-y

 大統領選が近づいてきました。政治的な動きが目まぐるしいなか、アメリカの科学界はバイデン支持で固まりつつあるようです。

★Diversity in science: next steps for research group leaders
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02681-y

★科学 2020年10月号
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/

特集
新型コロナウイルス感染症
コミュニケーション

緊急事態宣言から分科会「6指標」提示までのタイムライン (作成:尾内隆之・調麻佐志)
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/eKagaku_202010_timeline.pdf

リニア中央新幹線南海トラフ巨大地震活断層地震で損壊する……石橋克彦
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/eKagaku_202010_Ishibashi.pdf

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.889 2020年9月29日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
【編集者】Science Communication News編集部
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