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No.902 2020年12月29日号 巻頭言
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【巻頭言】
★2020年を振り返る
2020年12月22日~2020年12月29日
カセイケン代表 榎木英介
2020年最後のメルマガです。
創刊から17年。900号を超えることができました。これも読者の皆さまがいらっしゃるからです。
記事の感想のメールなどもいただいていますが、全てにお答えできていません。申し訳ありません。けれど全てに目を通しています。この場を借りて御礼申し上げます。
厳しいご指摘もありますが、貴重なご意見として受け止めています。
2020年はいうまでもなく、新型コロナウイルスを抜きに語ることができません。社会のあらゆる部分が影響を受けました。
中でも科学と社会、科学と政治のあり方が問われることとなりました。
今週のニュースから、今年を振り返ってみたいと思います。
菅総理は全世界からの外国人新規入国一時停止等について会見を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2020/1228kaiken.html
菅総理は新型コロナウイルス感染症に関する記者会見を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2020/1225kaiken.html
新型コロナウイルス感染症対策分科会(第19回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/corona19.pdf
現在直面する3つの課題
新型コロナウイルス感染症対策分科会 令和2年12月23日
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/cyokumen_3tsunokadai.pdf
専門家の知見を政治にどう届けるのかが大きな問題となりました。
今年の前半では、専門家たちが全面に立ち、あたかも政策を主導しているかのような状態となり、殺害予告さえ受けるような事態となりました。
後半では、専門界の意見を政府が受け止めず、感染拡大となりました。
新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種について(案)
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060201223&Mode=0
パブリックコメントを受付中です。
話を戻しますと、科学と政治の問題は日本学術会議に及びましたが、新型コロナウイルスをめぐる専門家と政治の関係と共通の課題があることを知らしめたようにも思います。
第25期日本学術会議会長 梶田隆章 挨拶
http://wwwc.cao.go.jp/lib_011/head/message/kajita-1/kajita-1.html
日本学術会議
第25期 幹事会 記者会見資料
令和2年12月24日(木)16:30~17:00
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/pdf25/siryo306-kaikenshiryo.pdf
学術会議在り方、検討継続 井上科技相と梶田氏が合意
https://www.chunichi.co.jp/article/175727
学術会議在り方判断、年内見送り 組織形態の検討条件に協議継続
https://www.chunichi.co.jp/article/174830
学術会議の独立、来春以降に判断 議論足りず、先送りに
https://www.asahi.com/articles/ASNDS5R5MNDSULBJ00D.html
学術会議改革案 科技相「来年4月までに」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE249RP0U0A221C2000000/
科学 2020年1月号
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/KaMo202101.html
特集
学術会議任命問題と助言の本質
知事からのメッセージ 令和2年12月28日
新型コロナウイルス感染症対策(その47) ‐データの示す急所‐
https://www.pref.wakayama.lg.jp/chiji/message/20201228.html
今和歌山県の仁坂知事への評価が高まっています。上記の資料が示すように、科学的知見を適切に取り入れて、リーダーシップを発揮し感染対策に当たっています。
仁坂知事は極めて優れた人だと思います。
ただ、俗人的に優れた人に頼るのだけではない、科学的助言の仕組み作りが必要だと思います。
政府は考える政策に都合の良い助言だけが欲しくて、それに合致しない知見はいらない、間違っていると考えているようです。
そして、自分たちに都合が悪い意見には制裁さえ加える素振りを見せています。
任命拒否巡る国立大学長アンケ、6割超が回答せず 国の「顔色」うかがい沈黙
https://mainichi.jp/articles/20201223/k00/00m/040/297000c
この素振りで、現場は縮こまりました。
こうした事態にどう対処すれば良いのでしょうか。
独立した中間的な団体、すなわちNPOが必要だと思います。
私たちカセイケンもその一つです。
私自身も既存の組織などから距離を置くため、フリーランス病理医となりました。もちろんこの世で生活している以上、完全な独立などあり得ないのではありますが。
新型コロナで揺らぐ「科学立国ニッポン」の土台
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20201227-00010000-wedge-soci
先日放送されたNHKスペシャルのまとめ記事。故有馬朗人氏が死の数日前に出演していました。若手研究者の置かれた状況にスポットライトが当たっていました。
パンデミック 激動の世界 (6)「“科学立国” 再生への道」
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/J9MZXNWK6X/
博士課程の学生に最大290万円…厳しい経済状況に置かれる若手研究者の支援、どうあるべき?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20201223-00010020-abema-soci
学校基本調査-令和2年度 結果の概要-
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1419591_00003.htm
若手研究者支援に関しては進展がありました。先週お伝えしたように、大臣が声明を出し、かつ予算も組まれました。
就職氷河期世代支援に関する行動計画2020について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15694.html
一方で取り残された氷河期世代は厳しい状況のままです。
日本企業で出世する人たち、じつは「超低学歴」ばかりになっていた…!【2020年ベスト記事】
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78870
日本の場合、特に文系だと修士号や博士号を取得していると、逆に出世できなくなるケースすらある。ムラ社会だと修士号や博士号を持っていると「異端」に位置づけられて、「本流」から外されてしまうわけです。
実際に某メガバンクで、土日に頑張って論文を書いて博士号を取得して、そのことを人事部に報告した直後から昇進が止まったという話を聞いたことがあります(笑)。
変化の時代に対応するために思考力を評価して、エリートを選抜しようとすると、それに見合った学力を付けなければいけない。これが、年功序列の仕組みと矛盾するわけです。
こうした社会の状況がある中、なかなか博士号取得者の居場所が見つからない状態が続きました。
優遇された若手が若手でなくなったときに、氷河期世代と同じようにならないか危惧されます。
第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~(令和2年12月25日閣議決定) | 内閣府男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/5th/index.html
第4分野 科学技術・学術における男女共同参画の推進
https://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/5th/pdf/2-04.pdf
現在、研究職・技術職に占める女性の割合は増加傾向にあるものの、日本は16.6% と諸外国と比較して低水準にとどまっている。研究者の前段階となる大学・大学院生 における専攻分野別の女性比率を比較すると、理工系学部が低い。研究職・技術職は、 職業人としての専門性を身に付けキャリアアップにつながる職種であり、女性の更な る参画拡大が望まれる。そのためには、分野ごと、地域ごとの課題を精査し、実効性の ある対策実施を促進する必要がある。
私もインポスター症候群だった 女性研究者が道を切り開くまで
https://globe.asahi.com/article/14050099
追い込まれる女性研究者 家事・育児の両立重く
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67707060V21C20A2TJM000/
「医者になる」女性の夢砕いた入試差別 再調査の結果…
https://www.asahi.com/articles/ASNDT72SJNDHUUPI001.html
医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る調査について
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senbatsu/1409128.htm
国公私立大学医学部医学科の入学者選抜における男女別合格率について
https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_daigakuc02-100001375_1.pdf
【大学受験】医学部の男女別合格率、文科省が公表
https://resemom.jp/article/2020/12/28/59710.html
【独自】医学部の男女別合格率、毎年公表へ…文科省
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20201225-OYT1T50287/
女性研究者や女性医師の問題も大きな課題として来年に積み残されました。
国立大学法人の戦略的な経営実現に向けて~社会変革を駆動する真の経営体へ~ 最終とりまとめ(令和2年12月25日)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/105/mext_00001.html
学部解体の断行も、地方国立大学は破壊的改革へ
https://newswitch.jp/p/25215
大学も変革を要求されています。
令和2年度科学研究費助成事業の配分について
https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1422129_00001.htm
科研費に関するご意見・ご要望への対応について
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/06_jsps_info/g_201224/index.html
科研費に対する多様な意見。
デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004.html
過去50年間で最大の「科学的不正」とは?
https://www.gizmodo.jp/2020/12/worst-scientific-irregularities.html
Horizon 2020 by the numbers: how e60 billion was divided up among Europe’s scientists
https://www.nature.com/articles/d41586-020-03598-2
今年でHorizon2020も終わりました。2021年からHorizen Europeが始まり、イギリスが離脱します。
以上、今年最後のメルマガをお送りしました。
来年も今年と変わらず地道にウォッチ活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
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“Science Communication News”
[SciCom News] No.902 2020年12月29日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
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