科学・政策と社会ニュースクリップ

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歴史的転換点か破綻か〜岐路に立つ日本の科学

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★発行部数 2,566部(10月20日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.892 2020年10月20日号 巻頭言
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【巻頭言】
★歴史的転換点か破綻か〜岐路に立つ日本の科学
2020年10月13日~2020年10月20日
カセイケン代表 榎木英介

 日本学術会議の問題があらぬ方向に飛び火しています。先週もお伝えした中国に渡った若手研究者へのバッシングです。

 日本学術会議が中国の機関と提携を結んでいたということから、学術会議が中国の千人計画に協力しているとなり、それが千人計画に参加した若手の研究者が軍事研究に協力しているとなり、バッシングが起こっています。

 中国と日本がある種の緊張関係にあるのは事実です。とはいえ、あまりに飛躍しすぎているわけで、Yahoo!ニュース個人に記事を書きました。

★正しく恐れよ「千人計画」
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20201019-00203031/

 坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとばかりに、無関係な若手研究者を叩くのは何の意味もありません。

★「日本全体が“千人計画”に協力していたようなもの。学術会議を悪者にしても解決しない」海外流出を防ぐため、研究環境の改善が急務
https://blogos.com/article/491087/

 これは私(榎木)も出演していましたが、若手を冷遇し、職がなければ外国に行けとさえ言っていた日本の問題を直視しなければ何の解決もありません。

 グローバル化を叫んでいた人たち、若者の内向き志向を嘆いていた人たちは、全力でバッシングに遭っている若手研究者を擁護しなければなりません。

★ニューズウイーク日本版
特集:科学後退国 ニッポン
https://www.newsweekjapan.jp/magazine/295993.php

 榎木の名前もチラッと出てきます。

★「卓越」研究者でも定職なし 博士離れ加速
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65059250V11C20A0TJM000/

 こちらにも榎木のコメントが掲載されています。

 こうした状況こそ、若手が海を渡ることを背中から押しているわけで、若手を引っ張った中国だけを責めるわけにはいきません。

 学術会議の問題も含め、研究者といいますか、知識人バッシングのようなことが続いています。

 確かに研究者の中には不遜で他人を見下し、国が金を出すのが当然、飢えた人から食べ物を奪って、自分は有益だから生き残る、お前らは死ね、と平然と言い放ちそうな人がウヨウヨいます。

 正直ノブレスオブリージュのノの字もなさそうなこういう人に私は腹立って仕方ないのですが、そういう不快な人を「飼っておく」余裕がなくなったことが、バッシングの背景にあるように思います。

 何度か書いていますが、基礎研究は財政的に余裕のある国しかできませんし、あらゆる分野の基礎研究者が揃っている国はほんの一握りです。

 日本はなんとかそうした国の一つだったわけですが、もう無理と国も国民も判断しつつあるのかもしれません。

 さてどうすればいいか…。

★Tired of science being ignored? Get political
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02854-9

★Candidates from STEM and Medical Fields in the National Elections
https://www.the-scientist.com/news-opinion/candidates-from-stem-and-medical-fields-in-the-national-elections-68038

In New York, chemist Nancy Goroff is battling a Trump loyalist for a seat in Congress
https://www.sciencemag.org/news/2020/10/new-york-chemist-nancy-goroff-battling-trump-loyalist-seat-congress

Scientists and science are on the ballot
https://science.sciencemag.org/content/370/6514/283

★Why Nature supports Joe Biden for US president
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02852-x

What if Biden wins?
https://science.sciencemag.org/content/370/6514/284

★‘Very disappointed.’ Trump’s science adviser has left U.S. researchers wanting more
https://www.sciencemag.org/news/2020/10/very-disappointed-trump-s-science-adviser-has-left-us-researchers-wanting-more

Speed and American elections
https://science.sciencemag.org/content/370/6514/267

 アメリカのトランプ政権の科学軽視は、Nature誌がバイデン支持を表明するほど深刻な状態になっています。

 そして、今回も研究者が大統領選と同時に行われる議会選挙に出馬しています。

 学術会議をめぐる動きの中に、まだ自らが政治家になろうとする研究者は目立っていません。

 思えば全米科学振興協会は、研究者が自らの存在価値をアピールしないと潰されてしまうという危機感から生まれたと聞いています。

 今日本の研究者は、存続の危機という始めての経験に直面しているのかもしれません。

 今回の学術会議への政治介入が、日本の科学コミュニティをどのような方向に向かわせるのか。歴史的転換点になったと後世の科学史家から言われるのか。

 私たちも当事者としての意識を持ちながらしっかりと見ていきたいと思います。

★When Scientists Become Political Dissenters
https://www.scientificamerican.com/article/when-scientists-become-political-dissenters/

 トルコ、ロシア、パレスチナ…。政治の敵とみなされた科学者たち。

シュプリンガー・ネイチャーとドイツMPDLが、Nature を対象に含む転換契約に初めて合意
https://www.natureasia.com/ja-jp/info/press-releases/detail/8814

 ご案内いただきました。重要な契約です。

今回のMPDLとの転換契約は、4年間にわたるものであり、参加機関に所属する著者は、Nature およびNature関連リサーチ誌への掲載を認められた研究論文を、費用の負担なしに直ちにオープンアクセス(OA)で出版することが可能になります。また、参加機関は、既存ならびに今後創刊されるNature関連レビュー誌およびNature関連誌を含むNature のポートフォリオを全て閲覧することができます。

 今後こうした大規模な提携が加速していくように思います。

★Researchers face hurdles to evaluate, synthesize COVID-19 evidence at top speed
https://www.sciencemag.org/news/2020/10/researchers-face-hurdles-evaluate-synthesize-covid-19-evidence-top-speed

★現在の感染状況に対する分科会から政府への提言 令和2年10月15日(木)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/seifu_teigen_11.pdf

新型コロナ “増加要因と減少要因がきっ抗” 政府の分科会
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201015/k10012665681000.html

新型コロナウイルス感染症対策分科会(第11回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/corona11.pdf

★偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ
令和2年10月16日
第3回資料(議事次第)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_3.pdf

【資料1】(日本病院協会・相模原中央病院)偏見・差別とプライバシーに関するWG資料
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_3_1.pdf

【資料2】(日本看護協会)医療現場における差別・偏見の実態、課題と対応策等日本看護協会
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_3_2.pdf

【資料3】(全国老人福祉施設協議会新型コロナウイルス感染症に伴う偏見・差別への対応について
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_3_3.pdf

【資料4】日本弁護士連合会資料
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_3_4.pdf

【資料5】(立正大淞南高校)メガクラスター発生時の偏見・差別対策とプライバシー保護の取り組みについて
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_3_5.pdf

【資料6】(三重県)偏見・差別の実態と取組等に関する調査
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_3_6.pdf

【資料7】(法務省法務省の人権擁護機関における人権相談等の取組について
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_3_7.pdf

【資料8-1】(文部科学省新型コロナウイルス関連の差別についてて
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_3_8.pdf

【資料8-2】(文部科学省)201016差別・偏見啓発動画
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_3_9.pdf

 差別の問題は非常に重要な課題です。

新型コロナウイルス感染症対策分科会 大都市の歓楽街における感染拡大防止対策 ワーキンググループ (第3回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/kanrakugai_wg_3.pdf

★新技術の活用による新たな日常の構築に向けて
https://www8.cao.go.jp/cstp/201009shingijutu.html

令和2年度「国立大学イノベーション創出環境強化事業」の選定結果について
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20201019daigaku.html

★「第6期基本計画に盛る政策目的 各種指標に分解して進捗管理」CSTIが方針
https://sci-news.co.jp/topics/3981/

★科学技術・学術審議会(第64回)配布資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu0/shiryo/mext_00003.html

議題

次期科学技術・イノベーション基本計画について
最近の科学技術・学術の動向について
各分科会等の報告について
その他

★「科学技術・イノベーション基本計画」策定に向けて
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/099.html

 第6期科学技術・イノベーション基本計画に関する議論が進んでいます。

★来年度概算要求 科学技術関連は約4兆6458億円
https://sci-news.co.jp/topics/3967/

菅総理は第1回成長戦略会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/16seicho.html

政府 新たに「成長戦略会議」設置 元金融アナリストら8人任命
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201016/k10012666151000.html

新設の成長戦略会議、年末に中間取りまとめ-政府
https://www.cbnews.jp/news/entry/20201019142849

「日本のインターネットの父」慶大の村井純教授が内閣官房参与に デジタル政策分野を担当
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2010/13/news142.html

★第2回輝く女性研究者賞(ジュン アシダ賞)受賞者の決定と表彰式開催について
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1458/index.html

★ニュース「第2回『輝く女性研究者賞』に理研・坂井氏と東工大・星野氏」
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/10/20201015_01.html

★改訂 Society 5.0の実現に向けた規制・制度改革に関する提言
-2020年度経団連規制改革要望-
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/091.html

★主要政党の政策評価 2020
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/097.html

★21年卒での就職活動に難しさを感じた大学院生は56.4% =アカリク調べ=
https://ict-enews.net/2020/10/15acaric/

★悪循環から好循環へ若者の研究者離れを防ぐ
https://www.news24.jp/articles/2020/10/14/07741217.html

★今こそ「大学非常勤講師」の過酷な待遇の議論を
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020101600003.html

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.892 2020年10月20日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
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