科学・政策と社会ニュースクリップ

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研究者の37%は職場でハラスメントを受けている、米選挙

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★発行部数 2,567部(11月10日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.895 2020年11月10日号 巻頭言
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【巻頭言】
★研究者の37%は職場でハラスメントを受けている、米選挙
2020年11月3日~2020年11月10日
カセイケン代表 榎木英介

 重要な調査結果が発表されました。

★カクタスのメンタルヘルス調査レポート2020
https://www.cactusglobal.com/mental-health-survey-jp/

 世界各国の調査です。一部のみご紹介します。

「31%超が週に 50 時間以上 働いていると答え、13%が 60 時間以上働いている と答えました。」

「アジア地域の回答者は、もっとも長く働いていることが示されました。これは東アジアの人に顕著で、 43%が週に 50 時間以上働いていると回答しました。」

「回答者の 65% が、「論文の出版、研究資金の確保、プロジェクトの完了について、きわめて大きなプレッシャーがか かっている」と答えました」

「37% が、「職場で何らかの差別的行為/ハラスメント/いじめを受けている、または受けたことがある」と 回答しました。」

 こうしたことはいろいろな場で言われてきたことではありますが、数字が出てくるのは非常に重要です。

 特にハラスメントの割合の高さには驚かされます。この事態は深刻に受け止め、対策をとる必要があります。

 アメリカ大統領選挙ではバイデン氏が当選確実となりました。

 トランプ大統領はこの結果を認めておらず、予断を許しませんが、覆ることはないと思われます。

 これはアメリカの科学界が望んだ結果でもあります。

★Scientists relieved as Joe Biden wins tight US presidential election
https://www.nature.com/articles/d41586-020-03158-8

Scientists aghast as hopes for landslide Biden election victory vanish
https://www.nature.com/articles/d41586-020-03120-8

Memo for President Biden: Five steps to getting more from science
https://www.nature.com/articles/d41586-020-03148-w

 WHOとの関係、パリ協定への復帰、そして新型コロナウイルス対策と、政策は転換される見込みです。

バイデン氏当確 21年1月、パリ協定復帰へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65975470Y0A101C2FF8000/

The US has left the Paris climate deal - what’s next?
https://www.nature.com/articles/d41586-020-03066-x

Four ways Trump has meddled in pandemic science - and why it matters
https://www.nature.com/articles/d41586-020-03035-4

Trump’s latest order spreads fear among government scientists
https://www.nature.com/articles/d41586-020-03063-0

バイデン氏、コロナ行動計画を就任同時に マスク着用要請
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66024750Q0A111C2000000/

 副大統領候補のハリス氏の演説にも注目が集まりました。

カマラ・ハリス氏、女の子たちに力強いメッセージ。「私は最初の女性副大統領かもしれませんが、最後ではありません」
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5fa74c16c5b6f21920dc7d92

 同時に行われた議会選挙ですが、当選したSTEM系、医療系の候補も出ています。

★U.S. elections bring wins and losses for research community
https://www.sciencemag.org/news/2020/11/us-elections-bring-wins-and-losses-research-community

Candidates from STEM and Medical Fields in the National Elections
https://www.the-scientist.com/news-opinion/candidates-from-stem-and-medical-fields-in-the-national-elections-68038

 双子の宇宙飛行士マークケリー氏は当選。

Mark Kelly Becomes 4th Astronaut Elected to Congress
https://www.scientificamerican.com/article/mark-kelly-becomes-4th-astronaut-elected-to-congress/

 続投の声があったNASA長官は辞任の意向です。

トランプが任命したNASA長官に「バイデン勝利でも続投を」の声
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20201104-00037933-forbes-n_ame

NASA長官「バイデン政権に適切でない」として辞任の意向。長官は大統領に近い人材をと持論
https://japanese.engadget.com/nasa-chief-bridenstine-step-aside-090525808.html

 こうしたアメリカの動向が日本にどのような影響を与えるのでしょうか。

 気候変動への対応は菅総理の方向性と一致します。一方、バイデン政権が科学研究振興を強力に打ち出した場合、日本との格差はさらに広がる可能性もあります。

 新型コロナウイルスの対策では、ノーガードに近かったトランプ政権に「開国」を要求されて感染拡大、という事態は避けられるとは思いますが、それ以前に、日本国内の感染拡大に対応しなければなりません。

新型コロナウイルス感染症対策分科会(第14回) (持ち回り開催)
日時:令和2年11月9日(月)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/corona14.pdf

緊急提言
最近の感染状況を踏まえた、
より一層の対策強化について 令和2年11月9日(月)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/seifu_teigen_14.pdf

「急速な感染拡大に至る可能性」 政府分科会が緊急提言
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20201109-00000060-asahi-sctch

 大阪や北海道など、「第3波」とも言われる感染拡大期に突入しつつあり、冬を前に深刻な状況です。

 しかし、経済を止めない方針の中、個々人の対応以外に有効な手段が取れず、厳しい状況は続くと思われます。

★米ファイザー、ワクチンの効果9割超に
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66016210Z01C20A1EA1000/

ワクチン開発、実用大詰め ファイザー先陣「9割で効果」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66025470Q0A111C2I00000/

 にわかに話題のファイザーの薬ですが、これが「免罪符」となり、行動が緩んでしまうことの危険性を感じます。

★試される科学 新型コロナ克服で期待と疑念が交錯も
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO65454430W0A021C2000000/

新型コロナウイルスの解明に苦戦する科学者たちの姿を目の当たりにすることで、科学のプロセスについて、社会全体の理解が深まるかもしれないからだ。

司令塔なき日本の感染症対策 日本の論点2021
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65746100S0A101C2I00000/

工学系研究者が集う日本工学アカデミーは立法府と組み、若手の科学者と国会議員とが互いに理解を深める機会と場をつくろうとしている。英国にならった試みで両者の距離を縮め、「言葉」を共有する。仕掛け人の永野博顧問は「日本は科学と政治の接点があまりにもない。英国ではBSE騒動を契機に両者が交わる努力が始まった。日本でも実現したい」と話す。

 災転じて福となす、ではないですが、回答のない問いに答える科学と政治の関係が、パンデミックでより深化することを願いますが…。

★伊吹氏「学問の自由は印籠か」 学術会議側をけん制
https://www.chunichi.co.jp/article/149576

「軍事研究否定なら、行政機関から外れるべき」 自民・下村博文氏、学術会議巡り
https://mainichi.jp/articles/20201110/k00/00m/010/023000c

 日本学術会議を巡っては、非常に露骨な本音が自民党議員から漏れ聞こえるようになりました。

文藝春秋 2020年12月号
https://bunshun.jp/articles/-/41416

権力論―日本学術会議問題の本質 佐藤 優
◎政治家のSNSが酷すぎる
中国「千人計画」デマに踊る国会議員たち 石戸 諭

 文藝春秋佐藤優氏が述べているように、おそらくはそれほど意図的ではなかった任命拒否が、この期に乗じて一歩踏み込んだ対応をしようとする勢力に利用されているように見えます。

★日本の「人口あたり論文数」が先進国で最下位に 研究者が中国に向かう背景とは
https://news.yahoo.co.jp/articles/a12887fab151a6409d30f3f2c1e8a61eb44d8cd1

 学術会議の問題の余波で叩かれた中国に行った研究者達。週刊新潮はそのバッシングに乗りつつも日本の研究者が置かれた問題を取り上げ、文藝春秋では、石戸諭さんが正確な記事を書いてくれました。

 日本学術会議の任命拒否問題、千人会議問題。いずれも本当に国益を損ねているのは何なのか、しっかり認識した上で、決着することを願います。

鳥インフルエンザ関係閣僚会議について
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202011/5_a.html

菅総理鳥インフルエンザ事案について指示を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/discourse/20201105_siji.html

 鳥インフルエンザ問題も大きな問題です。

★「月」に届くか先端研究 実用化の焦り、司令塔に課題
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65859370V01C20A1000000/

 トップダウン型の大型研究費の問題が指摘されています。

行政事業レビュー 秋のレビュー(秋の年次公開検証)
https://www.gyoukaku.go.jp/review/aki/index.html

河野行革相、国立大の事務処理効率化に着手 「かなり処理」
https://news.yahoo.co.jp/articles/91d979a4926d1557d406ac089e710577f077b8bc

 行革のシーズンです。

★歳出改革部会(令和2年10月26日開催)資料一覧
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20201026.html

 ちょっと古いニュースになってしまいましたが、

★科学技術指標2020HTML版の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45996

★知識結合に基づく新規性評価に関する研究[DISCUSSION PAPER No.190]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45979

COVID-19 / SARS-CoV-2 関連のプレプリントを用いた研究動向の試行的分析[DISCUSSION PAPER No. 186]の補遺の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45965

★「同意ない性交、犯罪に」
学術会議、刑法改正へ提言
https://this.kiji.is/698437565082092641

2020年 9月29日
提言「「同意の有無」を中核に置く刑法改正に向けて―性暴力に対する国際人権基準の反映―」(PDF形式:1,418KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t298-5.pdf

 9月公表の提言が記事に。

★Young scientists in Malaysia have made integrity training fun and relevant
https://www.nature.com/articles/d41586-020-03082-x

★Opinion: Using Pokémon to Detect Scientific Misinformation
https://www.the-scientist.com/critic-at-large/opinion-using-pokmon-to-detect-scientific-misinformation-68098

★三重大大学院元准教授 ドア23枚たたき壊す 「職場に不満」 器物損壊容疑で逮捕
https://mainichi.jp/articles/20201105/k00/00m/040/281000c

三重大元准教授を器物損壊の疑いで逮捕 研究棟のドア23枚を壊す
https://www.chunichi.co.jp/article/149631

 尾崎豊の歌か、という声が出ました。

★京大、研究費9億円を返還 霊長類研の不正経理問題で
https://www.sankei.com/west/news/201109/wst2011090018-n1.html

会計検査院 研究所等におけるチンパンジー用大型ケージ等の整備に係る不適正経理
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary01/pdf/fy01_tokutyou_16.pdf

チンパンジー用大型ケージ等の整備に当たり、霊長研教員が取引業者に架空の取引を指示するなどして虚偽の内容の契約関係書類を作成させ、架空の取引に係る購入代金を京都大学に支払わせたり、会計規程等の趣旨等に反して契約を意図的に分割したりするなど会計経理が不適正

https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary01/pdf/fy01_futo_920.pdf

不当事項
独立行政法人日本学術振興会
科学研究費補助金経理が不当(PDF形式:46KB)
最先端研究開発戦略的強化費補助金(最先端研究基盤事業)の経理が不当(PDF形式:53KB)
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary01/futo14.html

 京大霊長類研の研究費不正使用問題。会計検査院から詳しい報告が出ました。

 研究費不正使用に関しては、研究不正と違って明確な規定違反になりますから、正当化できません。使いにくい研究費がどうの、という背景はいろいろ言われますが、それはそれ、これはこれです。

★Biogen’s Alzheimer’s drug candidate takes a beating from FDA advisers
https://www.sciencemag.org/news/2020/11/biogen-s-alzheimer-s-drug-candidate-takes-beating-fda-advisers

★Redesign open science for Asia, Africa and Latin America
https://www.nature.com/articles/d41586-020-03052-3

★Four ways to fight science-funding cuts across Europe
https://www.nature.com/articles/d41586-020-03121-7

★とにかく普通じゃない『研究者の結婚生活』
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020110200004.html

 研究者同士の結婚問題は、流動性が高い職業なだけにいろいろな問題を生みます。

 一部の大学で配偶者に配慮した人事が行われていますが、広がることを願います。

★How to wear your baby to work
https://www.nature.com/articles/d41586-020-03142-2

 研究者と子育て問題。子供を抱っこ・おんぶして研究した経験。

★When a financial crisis tanked my research, I found help from unexpected coll
https://www.sciencemag.org/careers/2020/11/when-financial-crisis-tanked-my-research-i-found-help-unexpected-colleagues

★【SciREXワーキングペーパー】大学評価と運営費交付金配分の一体的改革の在り方
https://scirex.grips.ac.jp/resources/archive/201030_2524.html

理研は職員・研究者の使い捨てをやめてください! 大量雇止めを回避するために、雇用上限の撤廃を求めます。
https://bit.ly/35i6u66

不採用通知で作ったスカートをはいて論文審査に見事合格
https://news.yahoo.co.jp/articles/70090fd49a68d3271293ddd5e9bc069db2b9f2b6

★レンタル博士されてみた話
https://note.com/ushimanbou/n/nada543cebc90

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.895 2020年11月10日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
【編集者】Science Communication News編集部
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