★ジョブ型、通年採用で何が変わるか
2019年4月16日~2019年4月22日
日本の雇用にとって大きな決定です。
★採用と大学教育の未来に関する産学協議会
中間とりまとめと共同提言
http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/037.html
Society 5.0時代の雇用システムや採用のあり方
-ジョブ型を含む複線的なシステムへの移行-
新卒一括採用(メンバーシップ型採用)に加え、ジョブ型雇用を念頭においた採用も含め、 複線的で多様な採用形態に、秩序をもって移行すべき。
学生の学修経験時間(*)の確保を前提に、学生の主体的な選択や学修意欲の向上に資する就職・採用方法と、質の高い大学教育を企業と大学の共通理解によって実現していく。
企業は、ダイバーシティを意識して、外国人留学生や日本人海外留学経験者を積極的に採 用する方向。また、ジョブ型採用の割合が増大し、グローバルな企業活動が拡大する中で、 大学院生を積極的に採用する方向。
学修成果の評価:より高い専門性を重視する傾向となれば、卒業・学位取得に至る全体の成果を重視すべき。卒業要件の厳格化を徹底すべき。学修時間のみでなく、留学等、多様な体験活
以下報道です(日経新聞より)。
就活の脱「横並び」合意 経団連・大学、通年採用拡大
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44016780R20C19A4MM0000/
「勉強する学生が欲しい」経団連、通年採用の本音
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43933180Z10C19A4EE8000/
新卒の通年採用、企業に歓迎の声「多様な人材確保できる」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43935710Z10C19A4EAF000/
通年採用拡大、新卒一括のみに限界 就活ルール改革
https://www.asahi.com/articles/ASM4Q4QJ7M4QULFA01K.html
通年採用「実施・検討」が8割 多様な人材確保に期待
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44062770S9A420C1MM8000/
経団連、通年採用へ移行 柔軟な枠組みで大学と合意
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43901930Y9A410C1MM8000/
先週も書きましたが、40歳人文社会科学系博士が就職できない、ロスジェネ、就職氷河期世代が生まれたのは、新卒一括採用と年功序列、終身雇用がセットになった
メンバーシップ型採用が原因の一つです。
40代研究者の死に涙した心優しい人たちへ
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20190418-00122843/
だから、40代は採用するどころか、コストカットのために首切りということになってしまいます。
★早期退職しない限り面接が続き…「45歳以上クビ切り」横行中
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190422-00010000-flash-peo
もちろん、戦後の高度成長期にメンバーシップ型採用が果たした役割は否定できません。私の亡き父親もあるメーカーに50代まで勤めていて、そのおかけで私たち家族は安定を得られ、それこそ保養所のようなところに行ったりと、レジャーまで面倒みられていたわけです。
ただ、その代わりに深夜まで仕事をするなど滅私奉公的な働き方が要求され、60代で亡くなりました…。
ご職業は?と聞かれて○○社に勤めていますと答えたりとか、何ができますか
聞かれて「部長が出来ます」と答えたりという笑い話?は、メンバーシップ型がどういうことかを如実に示しています。
しかし、景気後退期では、新卒でメンバーになれなかった場合、ずっとメンバーになれず非正規雇用ということが起きましたし、大学院生やポスドクのような存在は規格外とされ、ポスドク問題が諸外国より深刻化することになります。
研究の世界はまさにジョブ型で、たとえば化学の教員募集に言語学の人は応募できません。
医師も同じで、眼科医募集のところに皮膚科医が応募しても採用されないわけです。
ポスドク問題は、ジョブ型のアカデミアとメンバーシップ型の企業との間の雇用の仕組みの違いによって深刻化したと言えます。
高度成長期ならメンバーの間で仕事を割り振ればやっていけましたが、長く不況が続き、また世の中が目まぐるしく変化するようになりました。
企業内のメンバーでは対応仕切れない状況が増えてきましたが、外から新しいメンバーをなかなか雇えず、変化に対応仕切れなくなったというのが、今回の経団連の決定に繋がったのでしょう。
私はこの決定を歓迎します。
もちろん、細部を見れば問題も多々あるでしょう。45歳の人文社会科学系の非常勤講師の人達がすぐに救われるなどとは思えず、さらなる取り組みが必要でしょう。
しかし、研究歴のあるような人たちにとっては、自分の専門領域をやや広く見つめ直せば機会が広がります。
多様な人材が多彩な活躍の場を見つけられるように、この件についてはウォッチを続けていきたいと思います。
★AI兵器、どう規制するか 国際枠組み内で漸進的に
岩本誠吾 京都産業大学副学長
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO43894170Y9A410C1KE8000/
AI兵器、人間の英知試す なし崩し配備の懸念
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43815170W9A410C1EA1000/
★宇宙戦争の危険 アジアで現実味 ブラーマ・チェラニー氏
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO43963430Z10C19A4TCR000/
AI兵器が現実味を帯びてきて、宇宙での衛星破壊実験などから、宇宙戦争もSFではなくなりつつあります。科学技術の軍事応用がなし崩し的に進んでいくのか、こうした状況に科学コミュニティがどう対処するのか、考え続けていく必要があります。
★安倍総理は第43回総合科学技術・イノベーション会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201904/18kagaku.html
総合科学技術・イノベーション会議(第43回)議事次第
https://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui043/haihu-043.html
議事
1.AI戦略(人材育成関連)について
2.次期科学技術基本計画について
久々に開催された総合科学技術・イノベーション会議。やはりAIが議題になっています。
2025年までに全学生(50万人/年規模)が「数理・データサイエンス・AI」の 基礎を習得可能となる大学教育へ改革
AI×専門分野のダブルメジャーの促進等によるAIを応用する基礎力の習得
以下報道。
AI人材育成、25年までに整備 大学入試や教育を改革
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019041701002283.html
AI重視の大学に交付金
政府が方針
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43901960Y9A410C1PP8000/
先週もピックアップしましたが、実現可能性を危惧する声も出ています。
また、法曹人材やポスドクなどの行き場のない人材を増やすことのないようにしないといけません。
★安倍総理は第39回国家戦略特別区域諮問会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201904/17senryaku_tokku.html
第39回 国家戦略特別区域諮問会議 配布資料
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai39/shiryou.html
スーパーシティが議論されていますが…。
首相要請で規制を緩和 スーパーシティ法案を了承
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43851350X10C19A4PP8000/
スーパーシティ骨抜き 規制特例を閣僚が判断
https://mainichi.jp/articles/20190417/k00/00m/010/250000c
★中央教育審議会(第123回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/1415607.htm
議題
学校における働き方改革の取組状況について
新しい時代の初等中等教育の在り方について(諮問)
新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(中間まとめ)について
教育制度、多面的見直し 文科相が中教審諮問
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43839930X10C19A4CR8000/
ここでもSociety5.0がキーワードに。
初等教育では「教科担任制の導入や先端技術の活用など多様な指導形態・方法を踏まえた, 年間授業時数や標準的な授業時間等の在り方を含む教育課程の在り方」、高校では「STEAM 教育の推進」が諮問されました。
また、
学校以外で勤務してきた経歴や専門的な知識・技能を有する者など,多様な背景を持つ人材によって教職員組織を構成できるようにするための免許制度 や教員の養成・採用・研修・勤務環境の在り方
も諮問されており、博士号を取得したような人材にも道が広がる可能性があります。
★Society 5.0の実現に向けた「戦略」と「創発」への転換
~政府研究開発投資に関する提言~
http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/034.html
経団連。「課題や短期目標を設定せず、多様性と融合によって 破壊的イノベーションの創出を目指す創発的研究」について触れています。
★花山宇宙文化財団設立についての記者発表のご案内
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/topics/190417/190417_annai.pdf
一般財団法人花山宇宙文化財団
http://kwasan.kyoto
「アマ天文家の聖地」存続へ…現役最古の望遠鏡
https://www.yomiuri.co.jp/science/20190418-OYT1T50105/
存続危機の京都・花山天文台、継続決まる 民間1億円の支援
https://www.sankei.com/life/news/190417/lif1904170035-n1.html
京大花山天文台、運営継続 支援の財団設立
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43853600X10C19A4AC8000/
存続は良かったと思います。こうした施設の運営のあり方は厳しさを増しており、ノウハウを蓄積し、他の施設にも参考になるデータをご提供いただけたらと思います。
★UNESCO、オープンアクセス学術ジャーナルプラットフォームの世界的アライアンス「Gloall」を発足
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=11233
★就活中のセクハラ被害相次ぐ 企業・大学、対策急ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43993100Q9A420C1CC0000/
学生たちが被害にあっているなか、大学も動き出しています。
★Universities Crack Down on Love in the Lab
https://www.the-scientist.com/news-opinion/universities-crack-down-on-love-in-the-lab-65766
プリンストン大学。教員と学生の恋愛は、権力の差があり、自由恋愛にはなりません。
★#MeToo controversy erupts at archaeology meeting
https://science.sciencemag.org/content/364/6437/219
Archaeological society tries to stem continuing controversy over #MeToo scandal
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/archaeological-society-tries-stem-continuing-controversy-over-metoo-scandal
Archaeologists Ask Society for Harassment Policy Change
https://www.the-scientist.com/news-opinion/archaeologists-ask-society-for-harassment-policy-change-65745
セクハラで所属大学に来ることを禁止された研究者が学会の年次大会に参加した
大きな問題になっています。
★我が国の医薬品製造業の研究活動
- 科学技術週間(4月15日~4月21日)にちなんで- (科学技術研究調査の結果から)
http://www.stat.go.jp/data/kagaku/kekka/topics/topics118.html
科学技術週間にちなんで毎年発表される統計。
★長崎大、喫煙者不採用へ 「学生らの健康守る」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43964980Z10C19A4ACYZ00/
完全禁煙に踏み切れぬ大学の苦悩 近隣の目と法の抜け道
https://www.asahi.com/articles/ASM4N5KG3M43ULBJ00C.html
長崎大の決定は大きな話題になっています。
★Exclusive: Major U.S. cancer center ousts ‘Asian’ researchers after NIH flags their foreign ties
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/exclusive-major-us-cancer-center-ousts-asian-researchers-after-nih-flags-their-foreign
MDアンダーソン。五人中三人は中国人とのこと。
★Brexit: EU conservation suffers too
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01204-8
★英国の合意なきEU離脱に備えて、教育・研究で準備しておくこと
https://crds.jst.go.jp/dw/20190418/2019041818900/
ひとまず延期されているBrexit。EUサイドにももちろん影響があります。
★平成31年度東京大学学部入学式 祝辞
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html
上野千鶴子先生の東大入学式祝辞にアジテートされて
https://nosumi.exblog.jp/27552330/
上野千鶴子先生の東大入学式祝辞にアジテートされて:その2
https://nosumi.exblog.jp/27561559/
上野千鶴子氏の「報われない社会」スピーチで東大は変われるか?
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2019/04/post-1078.php
上野千鶴子名誉教授の東大でのスピーチは賛否両論を呼びました。
批判の多くは「内容には賛同するが、祝辞で言うべきではない」というものでしたが、これは批判を黙らせる「トーンポリシング(話し方を取り締まる)」ではないかという指摘があります。
トーンポリシングについては以下。
「冷静に」なんてなりません!
https://note.mu/erinadinfinitum/n/nbe3646e6835b
★育児は科学界でのキャリアにどのような影響を及ぼすか
https://www.editage.jp/insights/a-new-study-highlights-the-impact-of-parenthood-on-a-career-in-science
いまだ子供を持つのはやめろなどということをいう研究者もいますが、子供がいても研究できる環境を作りましょう!
★NatureおよびNature関連誌で約3年前から行っている、査読者名公表の試みを通して、多くの科学者が査読者の貢献をもっと認めるべきだと考えていることが分かった。
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01162-1
査読の貢献をもっと認めるべきという声があがっています。日本でも。
査読歴も研究者評価の対象に
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03308_02