横山 雅俊(NPO 法人市民科学研究室・理事)
CQD01677@nifty.ne.jp
筆者がこの8年ほど関わっている、毎年 11 月の科学コミュニケーションの祭典“
サイエンスアゴラ”。
その原型とされるイベントが、毎年、全米各地を巡回しています。
知る人ぞ知る、世界最大級の NPO 法人にして、著名な科学雑誌“Science”の発行
元でもある、全米科学振興協会(AAAS;American Association for the
Advanccement of Science)。その年次総会が毎年2月に開催されており、今年の会
場はシカゴです。昨今の大寒波で開催がやや危ぶまれてはいるものの、そこには科学
と社会を結ぶ多様な場と仕掛けがふんだんに詰め込まれています。
既に多くの人が語り尽くしている AAAS 年次総会ですが、その内容の幅は日本のサ
イエンスアゴラのそれを凌ぎ、実に多様です。その一端を挙げると、一般向けのお楽
しみ企画、各種の学術分野に関する講演会、テーマ別のセミナー、学生向けの交流企
画、研究者向けのキャリア開発、ベンチャー企業や投資家などビジネス関係者向けの
セッション、等々。5日間の開催期間を通じて、その全てを見尽くすことはまず不可
能でしょう。
詳しくは、年次総会の公式サイト
http://aaas.confex.com/aaas/2014/webprogram/start.html
...にて、その全貌をご覧頂ければと思います。今年のメインテーマは“Meeting
Global Challenges ; Discovery and Innovation”。筆者の言語感覚で和訳すれば「
世界中の挑戦に遭遇する-発見と革新-」。セミナーやシンポジウムの題材を見るだけ
でも、世界規模の学際的な問題への取り組みを大切にすると云う、今回のメインテー
マの具現化と、それに向けた意気込みが伝わってきます。
早いもので9年前にその第1回を迎えたサイエンスアゴラにて、筆者は毎年の出展
者として、また何度かは運営側として関わり続けてきました。その中と周辺で、有志
で繋がっている方々と共に“知を駆動力とする社会をつくる”活動を、筆者は続けて
きました。そのメモを自前のブログに記録してあります。直近の3年間では、以下の
ような感じです。
2011 年版
http://blog.goo.ne.jp/yokodon_001/e/a26f6c1a1a1bdb602a418aec5b50f164
2012 年版
http://blog.goo.ne.jp/yokodon_001/e/adcccce15f2dd835117d0d6ed05019a3
2013 年版
http://blog.goo.ne.jp/yokodon_001/e/9135db5489acfd617202dbdc5a7993ea
現在は東北大学に勤務する長神風二さんが、北海道大学 CoSTEP の JJSC に以下の
ような記事を書いています。
サイエンスにおけるより大きなつながりに向けて
:サイエンスアゴラ 2006 実施総括
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/18939
相互交流と情報交換の場の創生によるサイエンスコミュニケーションの活性化
:サイエンスアゴラ 2006 から 2007,2008 へ
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/36205
第1回のサイエンスアゴラで掲げられた目的は、「社会との交流」、「コミュニテ
ィ間の対話」、「コミュニケータの対話」の3つでした。筆者は、科学コミュニケー
ションという概念装置を、科学にまつわるある分野の専門家と非専門家の対話として
この“3つの目的”の文脈で広く捉え、それゆえにその多様性を認識し説明したいと
考えています。
それだけに、機会があれば、いちど本場の AAAS 年次総会をキチンと見てみたいと
いう思いを、強く抱いてきました。
今回、縁あってその AAAS 年次総会に行けることになりました。
このメールマガジン読者の方々の中には、シカゴの会場でお目にかかる方もいらっ
しゃることでしょう。
また、今回の訪米に際しては、色々な方々の思いを背負って、会場を走り回りたい
とも思っています。
会期は 2/13〜17 の5日間。どんな世界が広がっているのか、しっかり見てきたい
ところです。
見聞した記録は、様々な形で皆さんに還元したいと思います。
とはいえ、資金面で少し苦しいため、援助して下さる方がいらっしゃれば幸いです
。お志ある方は、メールアドレスまでご連絡下さい。
CQD01677@nifty.ne.jp
やがては SSA 等を拠点にコンソーシアムを立ち上げて、有志のどなたかを AAAS
年次総会に派遣する仕組みを作りたいとも考えています。今回の筆者の渡米が、その
端緒になればと思います。