科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

AAAS 年会に行ってきました(その1)

横山 雅俊(NPO 法人市民科学研究室・理事)
    CQD01677@nifty.ne.jp

 先般のメールマガジンサイコムニュース '14 年 1/27 付号)
http://d.hatena.ne.jp/scicom/20140127/p1
で述べた通り、さる 2/13〜17 にわたって米国シカゴで開催された全米科学振興協会(AAAS;American Association for the Advancement of Science)の年次総会に行って来ました。
http://meetings.aaas.org/

 先述の通り、日本の科学コミュニケーションの、その最大の表舞台とも言える「サイエンスアゴラ」の原型とされるイベント、それが AAAS の年会と云って良いでしょう。今回を含めて4回にわたり、筆者が見聞した限りでの、年会の模様をお送りします。
 会期中の模様は、随時 Facebook の筆者のアカウントにレポートを挙げてきました。その内容を再利用しつつ、なるべく時系列に添ってご紹介したいと思います。

 第1回の今回は、シカゴまでの道中と、シカゴの街の雰囲気に少し触れてから、会場全体を案内し、その雰囲気をご紹介します。

 昔日…といっても、高々 15〜20年弱くらい前、北海道内や九州内、上野発東北方面行などの夜行列車の華やかなりし頃、その夜行列車群の中には長距離の座席夜行列車も存在しました。その一つが、僕の乗り鉄趣味人現役時代だった頃によくお世話になった急行八甲田。
 実に、東北本線経由で上野−青森間を走るという列車で、北海道ワイド周遊券や東北ワイド周遊券などの利用者にとっては重宝するものでした。全席座席で、立ち客すらいて、自由席は奪い合いになるほど。
 そんな座席者に上野から青森まで通しで乗っていれば、身体はどうなるかなんて想像に難くないところ。そんなわけで、腰や背中が張って発狂したくなるほどということで、一部関係者の間でついたあだ名が「発狂田」…。

 シカゴまでの道中はエコノミークラス。その時の座席の快適さと狭さとで、ついそんな昔話が脳裏に...。
 飛行機から降りる直前は、やはりちょっとだけ腰痛に苛まれました。

 米国入国時に到着したオヘア国際空港は、米国第2位のハブ空港で、ターミナルビルが4つ。面積にして東京ドームの約 12 倍。
 そこからシカゴ市交通局(CTA)の地下鉄ブルーラインに小1時間程度乗ると、シカゴの中心市街地に着きます。シカゴは鉄道の街で、アメリカを代表する鉄道外車の1つアムトラックの大きなターミナル駅(シカゴユニオン駅)があります。空港から市街地に向かう道中の車窓からは、鉄道の廃線跡と思しき築堤のような構造物が何度か見えました。
 投宿先はシカゴの市街地のうち「ループエリア」と呼ばれる地域にあり、そのループの語は CTA の路線の一つ「ループ線」に由来しています。それだけに、街の歴史に鉄道がなじんでいることを感じさせます。CTA の路線はシカゴの街を縦横に結んでおり、これだけでかなりの程度移動できます。
 使われている車両は日本の営団丸の内線、同銀座線、大阪市御堂筋線などと同じ第3軌条式で、両開き2つドアの 16 m 程度のこじんまりしたものですが、それでも8両編成くらいの長い編成を組んでいます。ただ、その下膨れのステンレス車体を見ていると、どうしても昔日の東急目蒲線(で使われた 7200 系)を連想してしまいます。

 デーブ・スペクターが、かの米国プロ野球(→、敢えてこう書きます)のシカゴ・カブスを評して「アメリカの阪神」と言ったのも言い得て妙という感じで、シカゴの街の摩天楼とそれらに挟まれた道路、街の中心を流れる川(シカゴ川)の様子を見ると、確かに大阪に見えてきます。虚心坦懐に見ても、街の感じは、そこはかとなく大阪や名古屋にちょっと似ていて、ループエリアからすこしはみ出した下町に目を向けると、街行く人の雰囲気と併せて、何となく青砥(東京都足立区)のようにも感じられます。少なくとも、日本における東京のような国の中心という感じは受けません。
それでも、人口減の傾向があるという話はありつつも、ビジネス街や街中の多くの大学はそれなりに活況を呈していて、中心街はエネルギーに満ちています。
 そこをすこし外れると、例えば空港からループエリアに至る CTA ブルーラインの車窓などは、昔日の栄華の跡のような風情を醸しています。

 さて、肝心の年会。2/13〜2/17 の5日間にわたり開催されました。
 会場は、現在の投宿先からさほど遠くない、Hyatt Ragency(以下、ハイアット)と Fairmont Chicago(以下、フェアモント)のホテル2つ。それと、報道関係者向け会場のある Swissotel(→これで正しい綴りです;「スイスホテル」に空耳するが、日本語表記も実は「スイスホテル」)。合わせて3ヶ所でした。
 振り分けとしては、基調講演と一部の企画がフェアモント会場で、サイエンスアゴラの原型のごく一部を含むファミリーサイエンスデイとシンポジウム、セミナーなどの多くはハイアット会場で、それぞれ実施されています。

 会期初日に会場到着後、まず、宿から第3会場の Swissotel に向かい、そこの報道受付に直行。若干のヘマをしつつも無事に受付を通過。
 まずは press conferrence(報道関係者向けの会合)に参戦。実行委員長さん等の講演などを聞きつつ、質疑もありつつの、実態は朝食会でした。
 その後、無料サービスのコーヒーをがぶ飲みしつつ、報道陣専用エリアでしばし各種機器のセットアップや、市民科学研究室と第5回東京国際科学フェスティバルのチラシを報道エリアの広報コーナーに設置するなど。
 しばしして落ち着いてから、3つある会場の全体を探検。
 スイスホテルからまずは第1会場のハイアットに向かい、地下3F(パープル)〜地上2F(ブルー)までひとめぐり。ブルーエリアには障害者向けの活動拠点が設けられ、その同じ部屋で障害者問題の会合もあるのだとか。パープルエリアでは、ブース出展の鋭意準備中で、そのブース会場の入口すぐ正面に、日本チームのブースが鎮座しておりました。ブースゾーンの奥がポスター会場、及びファミリーサイエンスデイの区域で、既に設営開始。地下2階(ゴールド)や地下1階(グリーン)では、一部のイベントが既に昼間から始まっており、活発なやり取りがなされておりました。
 第2会場のフェアモントまでは、実は地下道で繋がっていますが、初回の探検ではいったん外に出てから、その第2会場まで移動。そこの地下2階にある大宴会場が、同日夜(現地時間 18:00〜)の年次総会公式開会記念式典の会場でした。

 次回第2回とその次の第3回では、会期中に行われた各種のセッションや公演、イベント群など、実際の年会の内容をお伝えします。