科学・政策と社会ニュースクリップ

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ロシアのウクライナ侵攻と学術

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         No.960 2022年3月2日号 巻頭言
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【巻頭言】
★ロシアウクライナ侵攻と学術

2022年2月23日〜3月2日
カセイケン代表 榎木英介

 ロシアのウクライナ侵攻という世界史的な出来事が起こり、当然ではありますが、学術の世界にも大きな影響を与えています。

The view from Kyiv: Head of Ukraine’s research agency calls for international help
https://sciencebusiness.net/news/view-kyiv-head-ukraines-research-agency-calls-international-help

After invasion, Ukrainian researchers turn into resistance fighters and refugees
https://www.science.org/content/article/after-invasion-ukrainian-researchers-turn-resistance-fighters-and-refugees

 最も影響を受けているのは、ウクライナの研究者たちで、レジスタンスに加わったり、難民となったりしています。

ウクライナ専門家との共同研究 影響を懸念 福島大学など https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220223/k10013498301000.html

ウクライナ侵攻、日本との共同研究にも影響 優秀な人材失う恐れ - 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20220226/k00/00m/040/001000c

気象データの一部が入電しなくなったウクライナ 43年前のベトナム
https://news.yahoo.co.jp/byline/nyomurayo/20220227-00284019/

Ukraine conflict jeopardizes launch of Europe’s first Mars rover
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00608-3

 侵攻は国際共同研究などにも影響を与えます。

 侵攻したロシアの研究者たちも声を上げています。

ロシア科学者や科学記者が反戦書簡 「ロシアは世界から孤立する」 https://www.asahi.com/articles/ASQ2V76K0Q2VULBJ00F.html

Russian scientists condemn Ukraine invasion as international projects and meetings thrown into doubt
https://physicsworld.com/a/russian-scientists-condemn-ukraine-invasion-as-international-projects-and-meetings-thrown-into-doubt/

 そして、世界中の科学コミュニティ、大学から声明が出ています。

Global research community condemns Russian invasion of Ukraine
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00601-w

「シェルターでおびえる子どもたちの姿を見よ」日本の大学学長がウクライナ侵攻に相次いで声明を出した真意〈dot.〉
https://news.yahoo.co.jp/articles/7e94a9983e07fa31bda82d25ccf154d30c426a2b

学長らのロシア非難声明相次ぐ 「学術機関は意見表明すべきだ」
https://www.asahi.com/articles/ASQ2X65X0Q2XUSPT00D.html

ウクライナ侵攻「許容されぬ」 北大、東大、広大など
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022022801120&g=soc

中国歴史学者ら 戦争停止求める声明を発表
https://news.yahoo.co.jp/articles/fc5c3bbb58b29e06549e7336386ba911259eef38

日本学術会議会長談話「ロシアによるウクライナへの侵攻について」(PDF形式:94KB)
https://www.scj.go.jp/ja/head/pdf/20220228.pdf

(英訳) President's Statement on "Russia's invasion of Ukraine"(PDF形式:71KB)
https://www.scj.go.jp/ja/head/pdf/20220228e.pdf

国際学術会議(ISC)によるウクライナに関するステートメント(英語)
https://council.science/wp-content/uploads/2020/06/Statement-by-the-International-Science-Council_Ukraine_28.02.22.pdf

各国アカデミーや国際学術団体の声明等
https://council.science/statements-from-the-international-scientific-community-on-the-conflict-in-ukraine/

ノーベル賞受賞者160人以上、ウクライナ侵攻を連名で非難…「不当で何も生み出さない」
https://www.yomiuri.co.jp/science/20220302-OYT1T50234/

An open letter from Nobel laureates
https://voxukraine.org/en/an-open-letter-from-nobel-laureates/

 当然だと思います。こうした声など独裁者に届かない、という冷めた目も一部にあります。

軍事的危機と「表現の自由」の価値
https://synodos.jp/opinion/society/27771/

その一方で、今、日本国内では多くの発言者が嘆きを語っている。今、ロシアの軍事行動を非難すること、「戦争を回避しよう」「軍事力に訴える道をなんとかして回避しながら、プーチンを抑える道を模索しよう」、と呼びかける発言をすると、待っていましたとばかりに冷笑や罵声じみた嘲笑が浴びせられる状況だ、というのである。個人ごとに実感はまちまちだが、かなりの数の人が、「今発言をすると空しい思いにかられる」という。「表現の自由」論が日ごろ問題視し、防ごうとしている「萎縮」の状況が生じているのだろうか。

 しかし、声は上げていかなければなりません。

専門知識はないが願望と意志を発言したい、という人々がいるときに、「専門知識が必要となる事柄は専門家と政府に委ねよ」、と言ってその発言価値を低めてしまうことは、まったく筋違いなのである。

今すぐ最善の解決を得られないにしても、自分たちが嫌悪する方角と望む方角を明確にすることで、せめて、数十年後、「こんな許されない珍事が起きた、しかしこんなことはやっぱり許されない出来事だった」、と言える歴史を作っておく責任が、わたしたち同時代人にあるのではないか。

 大学10兆円ファンドの法案が閣議決定されました。

大学10兆円ファンド、23年度に支援先選定 法案閣議決定日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22D350S2A220C2000000/

令和4年2月25日(金)定例閣議案件
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2022/kakugi-2022022501.html

法律案
国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案(決定)

文部科学省内閣府本府・財務省

国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案
https://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/mext_00024.html

 これから国会での審議に移っていきますが、科学コミュニティや一般市民がもつさまざまな疑問に正面から向かい合ってほしいと思います。

国内大学、遠い世界レベル 10兆円ファンド運用にリスク:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA3041O0Q2A130C2000000/

 中国にいる日本人基礎研究者が脅迫されるという筋違いを生んだのは、アメリカが「チャイナイニシアチブ」を行っているから、というのも一つの理由でしたが、その根拠がなくなりました。

米司法省、中国重点のスパイ対策を取りやめ 「人種差別」批判受け
https://www.sankei.com/article/20220224-S2W6DTJSNJJF3I5AXCCF77KLCM/

 保守的な論調で知られる産経新聞も報じています。

「中国の産業スパイ」重点監視 米司法省が打ち切り:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN240B90U2A220C2000000/

Justice Department drops China spy initiative as past target speaks out
https://www.cbsnews.com/news/gang-chen-mit-professor-china-charges-dropped/

Justice Department ends Trump-era China Initiative following bias concerns
https://www.cnn.com/2022/02/23/politics/justice-department-china/index.html

Department of Justice Ends Controversial China Initiative
https://www.the-scientist.com/news-opinion/department-of-justice-ends-controversial-china-initiative-69740

The controversial China Initiative is ending - researchers are relieved
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00555-z

 こうしたことは、読売新聞をはじめ各紙がしっかり報じてほしいのですが…。

Controversial U.S. China Initiative gets new name, tighter focus on industrial espionage
https://www.science.org/content/article/controversial-u-s-china-initiative-gets-new-name-tighter-focus-industrial-espionage

 ターゲットにすべきは基礎研究ではないということです。

大学生のIDから日本の知財ダダ漏れのヤバい事態
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/25850

 どうも分かっていない論調が多いですね。中国人が日本の大学から与えられたIDを使って論文を読むという行為は当然問題ですが、それはスパイだから問題というわけではありません。

 論文を公表する学術研究と知的財産の違いがなかなか理解されない状態をなんとかしなければ、誤解に基づく誹謗中傷が絶えません。

気候変動に関する政府間パネルIPCC)第6次評価報告書第2作業部会報告書の公表について
https://www.meti.go.jp/press/2021/02/20220228002/20220228002.html
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/b_kankyo/220228.html

気候変動30億人対応できず IPCCが報告書
https://www.sankei.com/article/20220228-APHNMCWAXVPP7NHFA5AXQGWQZM/

(視点)IPCC報告書の意味 選択肢は限られつつある 石井徹
https://www.asahi.com/articles/ASQ2X6W0CQ2WULZU004.html

 IPCCの報告書が公表されました。戦争という気候変動対策への挑戦が行われている最中ですが、重要な報告書です。

IPCC会合でロシア代表、異例の陳謝「攻撃は正当化できない」
https://mainichi.jp/articles/20220228/k00/00m/030/209000c

 ここでもウクライナ問題が影を落としています。

Climate change won’t wait for future innovation - we need action now
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00560-2

 イノベーションを待っていられない、行動しなければ、との論調。

大学などの中退、昨年比3.8%増 「コロナで」は1.4倍に
https://www.asahi.com/articles/ASQ315TP6Q31UTIL02F.html

「今さらサークル入れず」コロナ禍で大学2年生の辛さ際立つ「来年就活、支援を」
https://news.yahoo.co.jp/articles/05f946be0bb131c189822a0da6fa0da61f1ca8f3

 今の大学2年生は非常に苦しい立場に追い込まれています。大学入学後の2年間をコロナ禍の中で過ごさざるを得なくなったわけで、その影響は他の世代を上回ります。

 中退する学生が増えているという厳しい現状に、何ができるかが問われています。

次なるパンデミックを防ぐためにできること。世界の科学者が出した意外な答えとは?
https://www.cinra.net/article/202202-shimizuian_hrstmcl

ビル・ゲイツはなぜ「新たなパンデミックが再び来る!」と警鐘を鳴らすのか?
https://www.esquire.com/jp/news/a39197284/bill-gates-como-evitar-la-proxima-pandemia/

ビル・ゲイツが予言「次のパンデミック」は新型天然痘か!? 世界中で不穏な兆候… 有名医師に聞いた!
https://tocana.jp/2022/02/post_231173_entry.html

Sci-Hub downloads show countries where pirate paper site is most used
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00556-y

 中国からの利用が多いとのこと。

大学の不祥事「書いたら退学?」 日大新聞 学生記者たちの決断
https://www.asahi.com/articles/ASQ2R0BNXQ2PUTIL00C.html

 学生にこんな思いをさせる大学の価値とは一体なんでしょう。

 明確なルール違反ならともかく、「逆らったから」退学など言語道断。

ベストセラー『応仁の乱』呉座勇一さんを名古屋大教授らが提訴 「オープンレターを削除する義務ない」
https://www.bengo4.com/c_18/n_14163/

訴訟提起のご報告
https://sites.google.com/view/againstm/%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B?fbclid=IwAR1lLDkZIOS0PCM03Lo8eOkQmmYuwmTg6rjfhTh9xCqeSiDra0rIxiXfulU

武蔵大准教授の北村紗衣氏、甲南大非常勤講師を提訴 「ツイッター名誉毀損された」
https://www.bengo4.com/c_23/n_14165/

 言論の自由と誹謗中傷。当然誹謗中傷は問題です。

 一方で、オープンレターに対するさまざまな疑問点が提示されています。

女性差別的な文化を脱するために』、いわゆる”オープンレター騒動”について、これからの人文・社会学に私が望むこと
https://note.com/keizokuramoto/n/nffa885cfc6c7

 オープンレターは今回のウクライナ侵攻でも多数出ており、一般的な行為だと思います。ウェブ上を見ると、オープンレターという行為そのものに対する誤解もあるように思います。

 とはいえ、さまざまな意見を誤解や攻撃ととるだけでなく、誹謗中傷と批判を分けて考えることが必要なのかなとも思います。より良い方向での解決を切に望みます。

「プロ」の世界にも男女格差が潜む? 科学者と看護師、根深い固定観念
https://news.yahoo.co.jp/articles/ede9b8e2c25562ddb6e846f8a20100d26e8cf872

理系女子増えず先入観影響 全国大学アンケート
https://news.yahoo.co.jp/articles/fe7e5750370c47045b5f6ab86145a2db774e756c

理系女子増えず先入観影響 全国大学アンケート
https://www.chunichi.co.jp/article/425856

 無意識の偏見の問題が大きな影を落としています。

専業主婦が大学院に行ったらダメですか?批判された当事者の思い 多様な生き方認める時代の「助走期間」に
https://news.yahoo.co.jp/articles/ef1b3353408ce058788b2074608506ace21bfb9b

 男性では批判されないことが、女性だと批判されてしまう。この非対称性や無意識の偏見を解決することは、どのような立場の人にとっても重要です。

ネットでの不正行為多発時代 「宿題代行」「卒論代行」に手を染める若者も
https://news.yahoo.co.jp/articles/122d67946392be2f28b90775c47b345c320a9f5d

 「能力偽装」問題。大きな課題です。

アフガニスタン すべての公立大学で授業再開 男女は別学に
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220227/k10013503231000.html

 朝六時から講義ということで、教員の方にとってはかなり負担ではありますが、一歩前進です。

「博士号を取得した結果が餓死では無益だ」 博士たちの悲痛な叫び
https://www.sankei.com/article/20220227-SB3R4QWNPVLUPGDBBQ2VYLYDKQ/

 NISTEPの調査がさまざまな記事を生み出しています。やはり調査の力は大きいですね。

Girls who code ‘can change the world’
https://www.scidev.net/global/podcast/girls-who-code-can-change-the-world/

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.960 2022年3月2日号 巻頭言
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人文社会科学系の博士の現状

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         No.959 2022年2月23日号 巻頭言
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【巻頭言】
★人文社会科学系の博士の現状

2022年2月16日〜23日
カセイケン代表 榎木英介

 ウクライナ情勢が流動化しつつあるなか、研究にも影響が出ています。

Ukrainian scientists fear for their lives and future amid Russian threat
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00505-9

ウクライナ専門家との共同研究 影響を懸念 福島大学など
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220223/k10013498301000.html

 研究は当然ではありますが、国際情勢に左右されるわけで、軍事研究を除けば、純粋科学研究が平時のものであることを強く思い起こさせます。

コロナで研究中断、大学も休学… 苦境に写真展開いたわけは
https://www.asahi.com/articles/ASQ2H6WWQQ2CULBJ004.html

 新型コロナでは、フィールドワーク系などの研究が影響を受けています。

 都会から来る研究者に冷ややかな目が向けられることもあり、あらためて、科学研究が市民からの支持、理解がなければ遂行できない行為であることを痛感します。

Boris Johnson announces 'living with covid' plan for England
https://www.newscientist.com/article/2309097-boris-johnson-announces-living-with-covid-plan-for-england/

新型コロナとの共生計画を発表、陽性者の隔離義務撤廃へ
(英国)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/02/e667a68ec7a769de.html

 イギリスが新型コロナをいわゆる「風邪」扱い。

 これを科学無視とするのか、死者を許容した社会の強さとみるのか、分かれるとことではあります。

理数教育、大学横断で成長人材育成 文科省が補助:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA186PK0Y2A210C2000000/

 法学部などの学生もデータサイエンスを学べるようにするとのこと。

学校法人の合併や解散、評議員会の議決が必要に 私学法を改正へ
https://www.asahi.com/articles/ASQ2Q5J90Q2PUSPT00K.html

私大の重要事項、評議員会が承認 文科特別委トップ試案
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE219920R20C22A2000000/

私大「評議員会」格上げ見送り、理事会権限に折衷案 
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE221VP0S2A220C2000000/

私立大ガバナンス改革で有識者会議が論点
http://kancho-t.com/%e6%96%87%e6%95%99%e9%80%9f%e5%a0%b1/%e7%a7%81%e7%ab%8b%e5%a4%a7%e3%82%ac%e3%83%90%e3%83%8a%e3%83%b3%e3%82%b9%e6%94%b9%e9%9d%a9%e3%81%a7%e6%9c%89%e8%ad%98%e8%80%85%e4%bc%9a%e8%ad%b0%e3%81%8c%e8%ab%96%e7%82%b9%ef%bc%88%e7%ac%ac9091/

 手違いでピックアップを消してしまいましたが、私立学校ガバナンスに関して議論が続いています。

大学院部会(第104回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/1422801_00004.html

議題
人文科学・社会科学系における大学院生のキャリアパス等について
大学院におけるリカレント教育の振興について

 以下資料から抜粋。

資料1 人文科学・社会科学系における大学院生のキャリアパス等について (PDF:2.6MB)
https://www.mext.go.jp/content/20220216-mxt_daigakuc03-000020649_4.pdf

人文科学分野における就職者の職業別割合を比較すると、博士卒において優勢な大学教員への就職に比べて、大学以外の教員への就職は修士卒が高い。事務従事者や販売従事者、サービス職業従事者への就職割合は、学部卒から修士卒、博士卒になるに連れて減少。情報処理・通信技術者への就職割合は、学部卒・修士卒に比べて、博士卒になると減少。

社会科学分野における就職者の職業別割合を比較すると、学部卒に比べて院卒の管理的職業従事者への就職割合が大きく増加。販売従事者やサービス従事者、保安職業従事者等への就職割合は院卒になると減少。事務従事者や情報処理・通信技術者への就職割合は、学部卒・修士卒に比べて、博士卒になると大きく減少。

人文科学分野では、博士課程修了者(課程博士)の約9割が標準修業年限を超過している。
社会科学分野では、博士課程修了者(課程博士)の約8割が標準修業年限を超過している。

人文科学・社会科学系の大学教員を目指す者にとって、博士課程の標準修業年限を大きく超過することは、安定した大学教員のポストを獲得することには必ずしも繋がっていない。

 人文社会科学の大学院のキャリアパスの現状がよくわかります。

 人文社会科学では、大学院の年限を超過する人が圧倒的というのは、ここまでとは思っておらず、理学系の出身者としては驚きでもありました.。

職能短大から大学編入可能に 技術者育成、特区が対象:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1631I0W2A210C2000000/

会津大が国内3位 英誌「ヤング大学ランキング」、国際性で高評価
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c1aa10c1fa15702d5dd39c22a62807bbe225af2

Best young universities in the world 2022
https://www.timeshighereducation.com/student/best-universities/best-young-universities-world
https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/young-university-rankings-2022-results-announced

 設立50年以内の大学ランキング。日本ではいまだ「旧帝大」などといった言葉が残り、なかなか「若い」大学が出てきませんが。それでも少しずつ出てきています。

~オープンイノベーション型ライフサイエンス研究のロールモデルづくり~東京大学 藤田誠卓越教授ら新研究拠点「FS CREATION」を「三井リンクラボ柏の葉1」に開設
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000220.000051782&g=prt

ノーベル賞候補・藤田東大卓越教授らが開設するオープンイノベ拠点、産学官の新たな連携モデルになるか
https://newswitch.jp/p/30945

 非常に興味深い施設です。

「公立化」求める姫路独協大学 審議会は「私立大学として存続」の結論/兵庫県
https://news.yahoo.co.jp/articles/8c7979c5ef2555b95d123f0b77a870c0dc84aa51

 私立大学の公立化が拒否された例。

広報日本一の研究所! 若者に科学のワクワクを
https://www.nhk.or.jp/mito-blog/mito-info/460902.html

 一方的な広報は、片思いの相手に一方的に告白するようなもの、というのは、そうだなあと思いました。

「同じ解説できなく」 神戸のプラネタリム投映機が引退、惜しむ声も https://www.asahi.com/articles/ASQ2K7RXTQ24PIHB00B.html

 数回行きました。

【博物館・美術館・科学館への来園意向・要望に関する調査】入場料金より子どもが興味関心を持つかが重要!/いこーよ総研
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000275.000026954&g=prt

中国で「論文工場」横行 当局が取り締まり強化も:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ099RM0Z00C22A2000000/
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80231090X10C22A2TEC000/

早大、ネット授業の複数同時視聴で「約100人不合格」が波紋 商学部「不正受講は事実と認識」
https://news.yahoo.co.jp/articles/feb368c6ec24c853757e59b2a4d27bbab4e0ba57

早大生100人、オンライン不正受講で「不可」 複数授業を同時再生 https://www.asahi.com/articles/ASQ2J5GVRQ2HUTIL055.html

 ウェブ講義時代の問題点ですね。

「神の手」にだまされた研究者、「お前はグルかバカか」迫られた問い…ゆがめられた旧石器時代
https://news.yahoo.co.jp/articles/ecc18a4eb1cb8cb986edfa208106b382d2d02a00

 20年前の毎日新聞のスクープから始まった旧石器捏造事件。様々な教訓がつまっています。

日本人留学生の性被害 加害者は駐在員 見知らぬ土地で何が…
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220217/k10013480501000.html

 駐在員の非礼に言葉を失います。

医学部合格率、初めて男女逆転 21年度、差別是正
https://www.tokyo-np.co.jp/article/160587

 女性が優秀であることは、医学部にいれば分かります。

 背景にある過重労働にメスを入れないといけませんが、なかなか難しいのが現状です。

"アカデミズムのサラブレッド"で新進気鋭の社会学者だったアリス・ゴッフマンは、なぜ「キャンセル」されたのか?【橘玲の日々刻々】
https://diamond.jp/articles/-/296647

 近年話題の「キャンセルカルチャー」。アカデミアでも。

「語学の非常勤講師」は研究者か? 大学教員の「無期転換」、翻弄される有期労働者たち
https://news.yahoo.co.jp/articles/23656bef11ecdf611d5ea0dddc25fffccf82342d

千葉大「10年勤務」の有期職員、無期転換できず…組合は「5年ルールの潜脱」主張
https://news.yahoo.co.jp/articles/0b41214535cf2956bd7d630c7d090eca7921e759

 労働契約法と科学技術・イノベーション基本法のはざまで、労働者性が問われています。

統計不正、再びの衝撃3 「知識も情熱もない」:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80396760T20C22A2EA1000/

 統計軽視の成れの果て。

スター研究者の米科学顧問がパワハラで辞任
https://webronza.asahi.com/science/articles/2022021600005.html

Resignation leads to controversial division of White House science adviser’s job
https://www.science.org/content/article/resignation-leads-controversial-division-white-house-science-adviser-s-job

Two scientists will replace disgraced US science adviser Eric Lander
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00484-x

Eric Lander’s resignation for bullying raises questions for the White House
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00409-8

Empower with evidence
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abo5963

 アメリカの科学顧問の辞任問題。

 日本にもいる、ある種強引なボスタイプの研究者の在り方が問われています。

「すぐに脅かされる」 中国・宝山生んだ日鉄技術者の予言:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC10EMW0Q2A210C2000000/

 中国は様々な分野で日本を凌駕しています。日本とて、西欧各国に学んだわけで、「科学の中心」はどうしても移動してきます。そんななか、現実的な対応策を立てられないのが今の状況なのかなと思います。

産業の高度化、研究者の年4000人輩出目標
https://www.nna.jp/news/show/2300334

 タイ。

博士の価値、年収240万の絶望と「おじさん博士」爆増の光
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00177/

工学・理学・社会・人文…日本で「博士号」取得後に待ち受ける“リアルな格差”
https://news.yahoo.co.jp/articles/72d2dcf5a847afdc6416c74537f1185bb6f37f57
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/92550

 各国が高度人材育成に力を注ぐ中、日本では厳しい状態が続きます。

親ガチャの根源に、大卒か否かの「分断」 なくすのは無理だからこそ https://www.asahi.com/articles/ASQ2J7DZPQ23UPQJ01R.html

大学無償化2000億円未執行 20年度利用者、想定の半分
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA190NP0Z11C21A2000000/

 大学無償化によって得をするのが、家庭に経済力がある者であるという現実。格差がより拡大されています。

 研究者育成も含め、高等教育人材の育成とその資金的な問題を、格差の問題とあわせどう考えていくべきか…。悩んでしまいます。

博士課程院生への支援 学術への尊敬あるか=長谷川眞理子総合研究大学院大学
https://mainichi.jp/articles/20220220/ddm/002/070/097000c

 学術の尊敬のためには、学術側も社会に対して敬意を示すべきですが、いまは敵対関係になっているような気もします。

 先にあげた格差の問題もあわせて考えていく必要があります。

テック業界の労働者たちが
団結で「力」を持ち始めた
https://www.technologyreview.jp/s/268439/why-the-balance-of-power-in-tech-is-shifting-toward-workers/

 一人ではつぶされるというのは、私が経験したことでもあります。

日本の女性学長なぜ少ない 津田塾大学の高橋学長に聞く
「見えない男女意識」が影響
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD017QU0R00C22A2000000/

 無意識の偏見問題。

東京大総長選 透明性、公平性のための闘い
https://mainichi.jp/articles/20220219/ddm/005/070/009000c

名誉教授を活用せよ 大阪大名誉教授・加地伸行
https://www.sankei.com/article/20220220-JMFWJ6RMP5L3LNAV3XGKN564DY/

 名誉教授であろうとだれであろうと、活躍する社会でありたいですが、押しつけはいけません。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.959 2022年2月23日号 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
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修士で消えた学生の研究、「鎖国」ジャパンと「国益」

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         No.958 2022年2月16日号 巻頭言
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【巻頭言】
修士で消えた学生の研究、「鎖国」ジャパンと「国益

2022年2月9日〜16日
カセイケン代表 榎木英介

 最初にある研究不正の事例から。

学生がほとんどまとめたデータを了解得ず使用、東北大院准教授の論文「盗用」と認定
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220208-OYT1T50130/

研究活動上の不正行為に関する調査結果の公表について
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2022/02/news20220203.html

 これは先週号で既報な事例なのですが、ネット上などで議論になりました。

 近年問題になっている修士卒の学生の研究を盗用してしまう事例。

 博士課程卒ならば研究者になることも多く、無断でデータを論文化してしまうことはかなり難しいですが、修士だと「やりたい放題」なのではないかという指摘です。

 AMEDの事例集にも掲載されています。

事例から学ぶ公正な研究活動 ~気づき、学びのためのケースブック ~ 普及版
https://www.amed.go.jp/kenkyu_kousei/kiyouzai_houkoku.html

 これが問題であるという認識は広まっているのかなと思っていましたが、どうもそうではないようで…。

 元学生に連絡が取れない場合どうするのか、といった声が出ているのです。

 卒業や入学の際にデータの帰属について合意を得ておくべき、という指摘も出ていますが、この辺り、パワーハラスメントにもつながる可能性があり、しっかりと議論しておく必要があるように思います。

 新型コロナウイルスの問題ですが、ここのところは、留学生が入国できない問題が各メディアで取り上げられるようになりました。

「残酷日本」鎖国に失望 長引く入国制限、各国で抗議:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM029ER0S2A200C2000000/

「国民の皆様へ」 国大協が異例の談話 「鎖国」めぐり大学に危機感
https://www.asahi.com/articles/ASQ2G71S8Q2GUTIL034.html

「国民の皆様へ 未来ある留学生の受け入れについて(お願い)(会長談話)」の公表について
https://www.janu.jp/news/9635/

憧れのニッポン、もう待てない 留学・就職を足止めされ「失恋した」 https://www.asahi.com/articles/ASQ2C5589Q2CUHBI019.html

 影響も拡大しており、カリフォルニア大学が留学生派遣を中止しました。

日本への留学生派遣中止、加州大 来春まで、入国見通せず
https://news.yahoo.co.jp/articles/f09b0871d5076f0a199505fcc337af24ba94e60e

 自民党内部からも声が上がっていますが、「国益」的には当然マイナスとなるでしょう。

政府の厳しい水際対策で国際競争力低下 学問・ビジネス「鎖国」に危機感…間違いなく〝日本離れ〟の要因に
https://www.zakzak.co.jp/article/20220212-VE4ORJQN2VJ2HC7WLGB5EZDQDY/

留学生受け入れ再開を政府に要請 自民文科部会決議:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80135510U2A210C2PD0000/

留学生の入国拡大、政府が容認へ 「開国」はなお遠く:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA14BZH0U2A210C2000000/

 国内にオミクロン株が蔓延しており、外国からの入国制限の意義が問われています。

 しかし、背景にはこの「鎖国政策」を支持する国民がおり、その声を無視できないというドメスティックな事情もあります。

 入国時の検査、手続きを適正なものにして、感染対策と入国の両立が図られることを早急に望みます。時間がかかればかかるほど「国益」への影響は大きいでしょう。

科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術・イノベーション会議有識者議員との会合(令和3年度) > 議事次第 令和4年2月10日
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20220210.html

.「総合知」の基本的考え方及び戦略的に推進する方策<中間とりまとめ>(案)が出ています。

準備研究所は「時期尚早」 ILC計画で報告書―文科省有識者会議
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022021400838&g=soc

国際リニアコライダー(ILC)計画の諸課題に関する議論のまとめ
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shinkou/064/toushin/220214.htm

量子人材育成・確保の推進方策について
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/089/houkoku/1413617_00001.htm

産学官連携ジャーナル 2月号
https://www.jst.go.jp/tt/journal/

[特集]インタビュー
大学で誰もがチャレンジできる組織・体制作りを
スタートアップ人材、女性研究者の抱える問題から見える大学の課題

 いとうまい子さんのインタビューが掲載されています。

インタビュー
私が大学、修士・博士課程で学び直した理由
https://www.jst.go.jp/tt/journal/journal_contents/2022/02/2202-03_article.html

 中高年のリカレント教育などとしても大学院の重要性が増しているように思います。

「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会第5次中間とりまとめ」を取りまとめました
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209692_00002.html

さようなら「はなこさん」 花粉観測の事業廃止、民間が環境省に助け舟
https://news.yahoo.co.jp/articles/66f31fedfcf03791a7fe4842ca780bbcc625b073

 気象予算の厳しさを感じますが、民間企業との協働も重要です。

全国初の恐竜学部、福井県立大学に2025年春開設 恐竜博物館隣にキャンパス
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d720fdca5f1f6c672924bafd6ffde4dfc8bc090

竜王国の県立大に国内初の「恐竜学部」…博物館の隣に27億円余りで新キャンパス
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20220210-OYT1T50197/

25年4月、恐竜学部始めます 福井県立大、全国初 
https://www.chunichi.co.jp/article/416442

 これは中高生などにインパクト大かもしれません。

 キャリアパスが問題になりますが、多彩な方向に進出することが見込まれています。

【コラム】ソーシャルメディアは科学と「根本的に対立」している可能性がある
https://jp.techcrunch.com/2022/02/11/2022-02-10-researchers-warn-that-social-media-may-be-fundamentally-at-odds-with-science/

The chronic growing pains of communicating science online
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abo0668

Social media: Good or evil?
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abo2409

Science and social media
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abo4606

 私もここしばらく、休眠させていたTwitterを復活させていますが、ときに炎上もあり、なかなか難しさを感じています。

 2009年にTwitterを始めたときに抱いた、多くの人たちとコミュニケーションをすることでより良いものが生まれる、という期待はすっかり失せるような事例ばかり目撃します。

Turning off my phone improved my science
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00453-4

 SNS含め、スマホ依存は研究にとって障害かもしれませんね。

教師の専攻分野は生徒の理科の学力に影響を与えるか? 生徒・教師固定効果を用いた分野間比較分析
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/22e004.html

裏付けた被害総額「1億円以上か」近大医学部元教授の経費詐取事件…一連の捜査が終結
https://www.mbs.jp/news/sp/kansainews/20220210/GE00042423.shtml

近大元教授 別の種類の解剖でも詐欺の疑いで追送検
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20220210/2000057635.html

司法解剖の検査費で約5000万円詐取 元講師初公判 検察「共犯とされる巽被告の”指示”だった」
https://news.yahoo.co.jp/articles/300f6cd0e562fd84504b62339794bcd211370b1c

 私のかつての職場で起きた事例。非常に残念ですが、構造の問題としても考えていかないと、繰り返される、隠蔽される懸念があります。

論文の盗用で元准教授を停職処分 承諾を得ないで共著者に 鳥取
https://news.yahoo.co.jp/articles/59876abb3ea6d49985bfc134a7a969bc5b75adad

元教員の懲戒処分相当について
https://www.tottori-u.ac.jp/item/19242.htm

 こちらはギフトオーサーシップの事例。不適切なオーサーシップは冒頭で挙げた修士論文の登用事例などもあり、正しく認識しておく必要があります。

Global survey finds scientists have more credibility than spiritual leaders
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00359-1

 そうなると科学者の責任、その自覚という問題も出てきますね。

マリー・キュリーだけじゃない 活躍した女性研究者カレンダー作成
https://www.asahi.com/articles/ASQ2G5FLXQ2GPLBJ001.html

2022 Calendar featuring Women Who Made Nuclear Astrophysics
http://www.chetec.eu/press-outreach/copy_of_calendar

こちらからダウンロードできるようです。
https://www.cns.s.u-tokyo.ac.jp/ukakuren/indexnew.html

Time to celebrate science’s ‘hidden’ contributors
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00454-3

 研究は研究者だけでできるものではない、という当たり前ではあるけど、口にしてこなかったことを声に出すことは重要です。

How we found our way through our fertility issues in academia
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00399-7

Beyond academia: debunking the industry-academia barrier myth
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00291-4

Scientists, avoid workplaces that don’t value you
https://www.science.org/content/article/scientists-avoid-workplaces-don-t-value-you

 評価される場所に行け。

面白さも正確さも諦めない──アカデミック・ジャーナリズムの可能性
https://www.newsweekjapan.jp/asteion/2022/02/post-53.php

【変わる大学】〈東北大〉「AO入学者の学業成績がいい理由」 滝澤博胤副学長に聞く
https://news.yahoo.co.jp/articles/d56b101fbabe55cb1350cd30e48acd969457efac

ビックデータ解析基盤(e-CSTI)を活用し「選択と集中」について考える
宮本 岩男
https://www.jstage.jst.go.jp/article/butsuri/77/2/77_103/_article/-char/ja/
https://doi.org/10.11316/butsuri.77.2_103

 物理学会誌。

東大が19世紀の大学では、日本でIT革命が起こるはずはない
https://news.yahoo.co.jp/articles/6fbbd6e3511a4ec06fc84163ed80c8f895a0d79b

 農業と農学部を強引に結びつけて議論している論考。学部や学科の編成に柔軟性がないという指摘は分かりますが、農学部イコール農業というのも19世紀の考えのように思います。

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[SciCom News] No.958 2022年2月16日号 巻頭言
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歴史的「転換契約」、助教の研究費判決

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★発行部数 2,507部(2月2日現在)
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         No.957 2022年2月9日号 巻頭言
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【巻頭言】
★歴史的「転換契約」、助教の研究費判決

2022年2月2日〜9日
カセイケン代表 榎木英介

 新型コロナオミクロン株の感染拡大はピークに達してるという話もありますが、私が勤務する複数の病院でも院内クラスターが発生するなど、とても安心できる状態ではありません。

South African scientists copy Moderna’s COVID vaccine
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00293-2

 私は12月末に3回目のワクチン接種を受けましたが、ワクチンを自国民に優先させるという政策は、国の間の格差を生み出します。他国を押し退けてワクチン確保を要望する国民というのは、ある種のワクチン帝国主義を支持しているということでもあり、難しい問題です。

東北大学東京工業大学総合研究大学院大学東京理科大学とWiley、日本発の研究成果のオープンアクセス化の促進に関する覚書に署名
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2022/02/press20220208-01-Axess.html

大学図書館による「#転換契約」:そのとき、歴史は動いた
https://note.com/sendaitribune/n/n063413146b07

 4つの機関とWileyが転換契約を結びました。上記の大隅典子東北大教授のnoteにその経緯が詳しく掲載されています。

これまでは電子ジャーナルの「購読 Read」のみの契約であったものを、「オープンアクセス(OA)論文投稿 Publish」と組み合わせた契約に「転換」することによって、OA化を推進することに繋がり、このことによって、出版された論文がより「引用」されやすくなって、ひいては引用数拡大に繋がることを目指している。

 転換契約含めジャーナル問題については、このメルマガでも諸外国の動向はピックアップしてきましたが、日本では初ということで注目されます。

「教授に研究費を無断で使われた」 助教の訴え認め、大学に賠償命じる 鹿児島地裁
https://news.yahoo.co.jp/articles/3f3f942a422fcd2f53f7b45983060b3798757214

判決では、男性が日本学術振興会から補助された研究費について、「対象研究の経費のみに充てることができる」と指摘。所属先の教授主導で講座共通の試薬購入などに使ったのは「男性の自由を侵害する違法行為で、研究に支障が生じるなど精神的苦痛が認められる」とした。

 これは大きな判決だと思います。

 かつて大学教員は教授以外は教授を補佐することが仕事とされていましたが、学校教育法の改正で、それぞれの職位が独立の地位であるようになって久しい状態です。助教授が准教授になったり、助手が助教になりました。

 いわゆる講座制は法的には過去のものとなりました。

 しかし現在でも、教授がそれ以下の地位の研究者の研究費を巻き上げてしまうことがあったということで、それはいかん、というのが今回の判決です。

 今回の判決のようなことがどれくらい行われているかはわかりませんが、影響はあるのではないかと思います。 

総合科学技術・イノベーション会議
教育・人材育成ワーキンググループ(第6回)
https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/kyouikujinzai/6kai/6kai.html

議題

中間まとめに対するアンケート結果について
Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ(素案)について

 先日意見募集をしていた政策パッケージ。素案が出ています。

子供の特性を重視した学びの「時間」と「空間」の多様化
探究・STEAM教育を社会全体で支えるエコシステムの確立
文理分断からの脱却・理数系の学びに関するジェンダーギャップの解消

 の3つの政策が示されています。

 私が関心のあるキャリア問題と関連する部分としては

理数分野の博士号取得者や企業の理数分野の研究者なども含め理数リテラシーの 高い教師による理数指導の充実につながるよう、より柔軟な特別免許状の活用の促進などの教員免許制度改革を進めるとともに、 理数の専科指導体制の充実を図っていく。

教科本来の深い学びや実社会につながる 学びや探究活動を展開するため、理数分野の博士号取得者や企業の理数分野の 研究者などの専門的な知見のある人が学 校教育に参画でしやすくなるよう、教員免許制度を改革。

 といったことが述べられています。また、ハラスメントにも言及しており、

ハラスメントの徹底防止 透明性の高い大学運営の確立
教授・准教授等の上位職への女性研究者の登用の推進やハラスメント防止のための 取組が各大学で進められるよう必要な情報提供等を行うなど、ハラスメントの防止対策 の徹底を促進し、透明性の高い大学運営を確立。

 と記載されています。

 また、ジェンダーギャップの解消として

ライフイベントと両立できる研究環境の整備と理工系人材としての女性活躍促進
ライフイベントが発生しても研究活動を継続できるサポート体制の充実や円滑な復帰支援等、女性が安心して研究者への道を選択しキャリア形成が実現できる研究環境の醸成を推進。

女性が理系を選択しない要因の大規模調査の実施及びそれに基づく施策の実施
女性が理系を選択しない各要因が、それぞれの段階で具体にどう作用したのかを調査・分析し、文理の選択や志向が傾いた要因やタイミングを明らかにし、更なる効果的な各施策の立案や改善に活用するための調査を実施。 その結果を踏まえた理系選択促進施策を実施。

 といった方向性も示されています。

 おおむね妥当だと思われ、いかに実現していくかが問われてくと思います。

岸田総理は第2回経済安全保障推進会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202202/04keizaianpo.html

経済安全保障推進会議(第2回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo/dai2/gijisidai.html

 岸田内閣の肝入りの経済安全保障。方針が見えてきました。

 しかし経産省関係者の天下り先拡大等、問題点も指摘されており、また文春砲も出ています。

新たな天下りの予兆? 経済安保担当役員を調べた
https://mainichi.jp/articles/20220205/k00/00m/020/094000c

経済安保で経産省vs財務省?上級国民の椅子取りゲームは「百害あって一利なし」
https://diamond.jp/articles/-/295813

 とにかく省益でなく国益を優先させてほしいと思うのですが…。

Malaria-preventing bed nets save children’s lives-with impacts that can last for decades
https://www.science.org/content/article/malaria-preventing-bed-nets-save-children-s-lives-impacts-last-decades

 蚊帳の効果は大きいとのこと。

海外噴火での潮位変化 今後も「津波警報」枠組み使い情報発信
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220208/k10013474341000.html

大学の研究施設・設備等の維持・管理費が研究活動に及ぼす影響の考察: 長期のインプット・アウトプットマクロデータを用いた日本の大学の論文生産の分析[DISCUSSION PAPER No. 180]の補遺の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/50417

(記者解説)ハラスメントと大学 閉鎖的な構造、対策は進まず 科学医療部・藤波優
https://www.asahi.com/articles/DA3S15196624.html

 「個人商店」の集合体である大学。難しい問題です。

Vice chancellor in Pakistan sues researcher whose work he plagiarized - and says he was the victim
https://retractionwatch.com/2022/02/02/vice-chancellor-in-pakistan-sues-researcher-whose-work-he-plagiarized-and-says-he-was-the-victim/

バイデン米大統領の科学顧問が辞任、部下へのいじめ発覚後に謝罪
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-02-08/R6YTPMDWRGG301

What’s next for Biden’s research agenda after science adviser’s fall from grace?
https://www.science.org/content/article/what-s-next-biden-s-research-agenda-after-lander-s-fall-grace

Eric Lander Allegedly Bullied, Disrespected Staff
https://www.the-scientist.com/news-opinion/eric-lander-allegedly-bullied-disrespected-staff-69682

Can scientists repair their relationship with Native people as they probe the past?
https://www.science.org/content/article/can-scientists-repair-their-relationship-native-people-they-probe-past

Updated: White House science adviser Eric Lander resigns after bullying investigation
https://www.science.org/content/article/white-house-science-adviser-eric-lander-under-fire-bullying

 バイデン政権に激震(というほどではないか?)。科学顧問がハラスメント。影響は?

House passes sweeping U.S. innovation bill, teeing up talks with Senate
https://www.science.org/content/article/house-passes-sweeping-u-s-innovation-bill-teeing-talks-senate

Huge boost for US science funding inches closer to reality
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00349-3

 科学予算は増額されるようですが。

Biden’s ‘reignited’ Cancer Moonshot would develop blood tests to detect cancer and vaccines to prevent it
https://www.science.org/content/article/biden-s-reignited-cancer-moonshot-would-develop-blood-tests-detect-cancer-and-vaccines

UK ‘DARPA’ should let the sunshine in
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00226-z

UK’s high-risk research funder poaches DARPA deputy chief
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00308-y

 米のキャンサームーンショットDARPAみたいな英国の組織。

 日本もこういう上からドカンとやるのに憧れているようですが、制度設計は…。

Brexit one year on: patience ‘wearing thin’ among UK scientists
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00318-w

中国で大学院修士課程の志願者数が過去最高の457万人 就職で有利に
https://news.yahoo.co.jp/articles/bf4d11d09851c495049fee9f1dcac609e08f708a

 学位が評価される国。一方日本では…。

日本の大学院卒初任給は306万円、米国の5分の1以下にした教育の機能不全
https://diamond.jp/articles/-/295055

Australia needs an Office for Research Integrity to catch up with the rest of the world
https://theconversation.com/australia-needs-an-office-for-research-integrity-to-catch-up-with-the-rest-of-the-world-176019

 日本も必要だと思うのですが…。

アフガンで公立大再開、女子学生も復学 国連は評価
https://news.yahoo.co.jp/articles/4d5585158f78f3ec55af0e8d782344aaf93c0310

 アフガニスタンの状況。少しでも好転して欲しいです。

企業が社員に博士号を取らせるわけ
https://comemo.nikkei.com/n/nd3c88a167557

 メンバーを強化する日本。博士号取得者を採用する訳ではないところに、キャリア問題としての難しさを感じます。

人的資本投資の増大、促進も ジョブ型雇用と学び直し
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD271ZK0X20C22A1000000/

 もはや学位の価値は永続しないので、生涯学び続ける「ハイパーメリトクラシー」社会がやってきつつあります。

「大学に行きたくても、奨学金の情報がない」「就職先でうまくいかず、一人暮らしで孤立」児童養護施設“18歳の壁”撤廃へ…進学・就職した子どもたちが頼れる環境づくりも必要だ
https://news.yahoo.co.jp/articles/467a04327a08cd58c822e78e993d35b37f1fc3b4

 置かれた環境で広がる格差。

「女子枠」は励ましと歓迎のメッセージ 名古屋大学工学部がめざす新しい姿
https://news.yahoo.co.jp/articles/e8ac916c086cd44aefe4eb72101d74e88409b43b

Beyond academia: Planning the perfect exit strategy for a scientific career move
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00198-0

The superhero skills needed to juggle science and motherhood
https://www.nature.com/articles/d41586-022-00302-4

女性が一人もいない学科から大学院に進学した友人…授業中の発言がまるで思春期
https://news.livedoor.com/article/detail/21607166/

 これは笑い事ではありません。非常に不健全なことだと思います。

2023年度前期 連続テレビ小説『らんまん』 主演は神木隆之介さん!
https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/1000/460323.html

植物学者牧野富太郎がモデルとのこと。期待です。

来年朝ドラ、神木隆之介さん主演 牧野富太郎モデルの「らんまん」
https://www.chunichi.co.jp/article/411069

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.957 2022年2月9日号 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
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