科学・政策と社会ニュースクリップ

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憲法違反の博士、コスタリカの科学者育成戦略

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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.889 2020年9月29日号 巻頭言
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【巻頭言】
憲法違反の博士、コスタリカの科学者育成戦略
2020年9月22日~2020年9月29日
カセイケン代表 榎木英介

 ノーベルウィークが近づいてきて、毎年恒例の「引用栄誉賞」も発表されました。

★2020年の「引用栄誉賞」受賞者を発表
https://clarivate.jp/blog/Citation_Laureates_2020

 今年のノーベル賞は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、式典なしとのことです。今年受賞するのは嫌、という人は…いますかね。

ノーベル授賞式、コロナで変更
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO64159370T20C20A9CR8000/

ノーベル財団
https://www.nobelprize.org/

ノーベル賞予想やめました 反響過熱、背景紹介に変更 科学未来館
https://mainichi.jp/articles/20200925/dde/007/040/022000c

 一喜一憂することはしたくありませんが、毎年この時期になると日本の「科学力」の記事が増えます。カセイケン榎木も複数の取材を受けています。一部は日本人ノーベル賞受賞者が出た場合に記事になるとのことです。

★【図解】日本の研究力が落ちた「本当の理由」
https://newspicks.com/news/5254535

★【山極壽一】日本は失敗を大学に押し付けてきた
https://newspicks.com/news/5256625

山極寿一氏「若手の声を届けて」 学術会議会長が退任前に会見
https://www.chunichi.co.jp/article/126190

★〈科技立国 落日の四半世紀〉(1)つまずきは若手軽視から
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO64269380V20C20A9TJM000/

日本の研究力低下、つまずきは若手軽視
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64202910U0A920C2TJM000/

無給博士は憲法違反、日本の研究力低迷 野依良治
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64174660U0A920C2000000/

 憲法違反とはなかなかインパクトあるなと思いました。しかし日経新聞の記事では「戦犯」とされる有馬朗人氏、若手に圧迫的な態度を取ったとされる野依良治氏が語ることに、SNS上では反発も出ていました。

★「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2018 年度実績)」速報版の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45706

ポストドクター等のうち、男性は、10,948 人(70.2%)、女性は、4,642 人(29.8%)であり、平均 年齢は、37.5 歳(男性 37.2 歳、女性 38.1 歳)であった。前回の調査に比べ、女性の割合が 増加し、全体の平均年齢の上昇が認められた。

 これだけ日本の科学の分析記事が出ても、根本的な問題の解決の動きがありません。ポスドクは老いてきています。

 ノーベル賞という季節に合わせるのではなく、通年で地道な努力を行なっていくことが求められています。誰がやりますか?あなたしかいません…。

 汗をかいてコミットする人が今求められています。もちろん、在野の我々も続けていきます。

★Seeking a niche
https://science.sciencemag.org/content/369/6511/1558

 サイエンス誌の非常に興味深い記事。人口500万人のコスタリカ生物多様性に富んでおり、生物学者が次々生まれています。政府がポジションを約束した上で博士号取得のために若者を世界各地に送り出しているとのこと。

 しかし、500万人程度の国では、学位を得た人が国内に職を得ることが難しい場合も多く、意に沿わない職に就いている人も多いとのことです。

 日本は中国やアメリカに並ぶ「大国」であるとの意識を多くの人が持っています。

 確かに人口1億2千万人は決して小国ではありません。

 しかし、米中に並ぶ大国とまでは言い難く、自らの位置づけを変えていく必要があるのではないかと思います。

 大国ではないけれど、コスタリカのような小国ではない。

 英独仏は人口的には日本より小さいですが、研究では存在感があります。中より大よりの国として、米中と比較するのは辞め、中規模国としての戦略を考えた方が良いのかもしれません。

★A tropical research treasure faces difficult times
https://science.sciencemag.org/content/369/6511/1561

 そのコスタリカですが、COVID-19が研究に大きな影響を与えているとのこと。

新型コロナウイルス感染症対策分科会
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/yusikisyakaigi.html#3

第10回資料
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona10.pdf

人の移動に関する分科会からの提言
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/hito_ido_teigen.pdf

新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種について(中間とりまとめ)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona_vaccine_1.pdf

別紙 新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種について(中間とりまとめ)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona_vaccine_2.pdf

新型コロナウイルス感染症対策分科会 偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ (第2回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_2.pdf

菅総理は第43回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/25corona.html

新型コロナウイルス感染症対策本部(第 43 回)
https://www.asahi.com/articles/ASN9H66FLN9HULBJ00X.html

 新型コロナウイルスの動向は、連休を挟んで非常に気になる状態にあり、再び拡大する可能性を孕んでいます。今できる準備を怠らないことが不可欠です。

★Online learning cannot just be for those who can afford its technology
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02709-3

 Nature巻頭言。

 オンライン化に対応できない子供たちなどへの対策はいますぐ行うべき喫緊の課題です。

群馬県における豚熱の確認及び「農林水産省豚熱・アフリカ豚熱防疫対策本部」の開催について
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/200926.html

群馬の養豚場で豚熱確認 5390頭殺処分へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64294820W0A920C2000000/

★名古屋港におけるヒアリの確認について(令和2年9月17日の続報)
https://www.env.go.jp/press/108496.html

ヒアリの「女王」、名古屋港に多数 拡散の恐れ
https://mainichi.jp/articles/20200926/ddm/041/040/115000c

名古屋港でヒアリの女王が数十匹 既に別の場所で繁殖か
https://mainichi.jp/articles/20200925/k00/00m/040/186000c

 豚熱の拡大、ヒアリ定着の危機…。いずれも新型コロナウイルスの影に隠れたニュースになりがちですが、大きな問題です。関心を失わないようにしないといけません。

★次期科学技術・イノベーション基本計画の共創に向けた全国キャラバン
https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/caravan2020.html

 複数箇所でキャラバンを行い、意見聴取するとのことです。

★外国の資金協力、科研費にも開示義務 経済安保で厳格化
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64345400Y0A920C2PP8000/

文部科学省内閣府などは当初、資金源の開示を義務付ける対象から科研費を外していた。政府系4機関と対応が異なり、政府・与党内から「同じ税金を使う科研費を除外するのは理屈が立たない」との意見も出た。

 気になる動きです。アメリカの動向にも影響を受けています。

★AI人材獲得・人材育成及び研究環境整備に関するアンケート調査 御協力のお願い
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200928aijinzai.html

 10月16日まで。

★規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)について
https://form.cao.go.jp/kokumin_koe/opinion-0009.html

 オフィシャルサイトでの意見募集です。

★諸外国の教育動向2019年度版
https://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/gaikoku/detail/mext_00936.htm

 重要資料発売。

★大学院部会(第98回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/1422801_00003.htm

議題

大学院設置基準の一部を改正する省令について(報告)
「ジョブ型研究インターンシップ」について
大学院の国際化について
大学院レベルの履修証明プログラムについて
「科学技術ワクワク挑戦チーム博士進学ワーキンググループの活動報告および省内若手有志からの問題提起」について
その他

大学院部会(第98回) 議事録
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/1422799_00003.htm

 なかなか興味深い議論が展開されています。ジョブ型研究インターインシップは一つの突破口になりうるのかなと思ったりもします。

★「STI Horizon(エスティーアイ ホライズン)」誌2020秋号公開(9月25日)について
https://www.nistep.go.jp/archives/45681

★コロナ禍受けムーンショットの新目標チームを公募 JST、未来担う若手に期待
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/09/20200928_01.html

★2020年 9月28日
提言「学術情報流通の大変革時代に向けた学術情報環境の再構築と国際競争力強化」(PDF形式:2,200KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-6.pdf

 非常に重要な提言です。以下が提言の見出しです。

学術誌購読費用と APC の急増に対応する国家的な一括契約運営組織の創設
トップジャーナル刊行を核とする学術情報発信の機能強化と国際競争力向上
理学工学分野のオープンデータ/オープンサイエンスの発展を支える組織の創設
学協会の学術情報発信の機能強化に向けた共同刊行組織の創設

 学術会議はハゲタカジャーナルと表現していますが、捕食ジャーナルについても触れられていて、ホワイトリストの作成が挙げられています。

 問題は組織を作るとして、誰がやるのか、財源は何か、という具体的な部分です。

2020年 9月25日
提言「我が国の子どもの成育環境の改善にむけて-成育空間の課題と提言2020-」(PDF形式:5,075KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-5.pdf

2020年 9月25日
報告「情報教育課程の設計指針-初等教育から高等教育まで」(PDF形式:2,408KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-h200925.pdf

2020年 9月23日
提言「性的マイノリティの権利保障をめざして(II)―トランスジェンダーの尊厳を保障するための法整備に向けてー」(PDF形式:1,308KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-4.pdf

Twitter followers’ details reveal the power of a paper
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02711-9

★被曝データ不正利用で研究者批判〜伊達市議会で中間報告
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2520

★Health-care inequality could deepen with precision oncology
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02678-7

★私たちはどんな「遺伝子改変社会」を望むのか
遺伝性ヒトゲノム編集に、英米の学術団体が警告
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020092400002.html

★What Trump’s Supreme Court pick could mean for science
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02747-x

★Science and the US presidential election: what do you think?
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02710-w

★嘘連発のトランプ大統領に、科学者が次々蜂起
政治的発言を封印してきた老舗科学誌までバイデン支持表明
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62185

★Trump White House recruited climate science critics to work at NOAA
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/trump-white-house-recruited-climate-science-critics-work-noaa

The visa woes that shattered scientists’ American dreams
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02746-y

 大統領選が近づいてきました。政治的な動きが目まぐるしいなか、アメリカの科学界はバイデン支持で固まりつつあるようです。

★Diversity in science: next steps for research group leaders
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02681-y

★科学 2020年10月号
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/

特集
新型コロナウイルス感染症
コミュニケーション

緊急事態宣言から分科会「6指標」提示までのタイムライン (作成:尾内隆之・調麻佐志)
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/eKagaku_202010_timeline.pdf

リニア中央新幹線南海トラフ巨大地震活断層地震で損壊する……石橋克彦
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/eKagaku_202010_Ishibashi.pdf

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.889 2020年9月29日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
【編集者】Science Communication News編集部
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菅政権発足、選択と集中と財務省

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★発行部数 2,563部(9月22日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.888 2020年9月22日号 巻頭言
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【巻頭言】
★菅政権発足、選択と集中財務省
2020年9月15日~2020年9月22日
カセイケン代表 榎木英介

 菅政権が発足しました。

安倍内閣は総辞職しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202009/16soujisyoku.html

閣議の概要/副大臣及び大臣政務官の人事について
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202009/18_p.html

菅総理は初大臣政務官会合に出席しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/18seimukan.html

菅総理は初副大臣会議に出席しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/18fukudaijin.html

菅内閣 大臣政務官名簿を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/meibo/seimukan.html

菅内閣 副大臣名簿を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/meibo/fukudaijin.html

菅総理は次官連絡会議に出席しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/18jikankaigi.html

菅内閣 閣僚等名簿を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/meibo/index.html

 科学技術担当大臣は井上信治議員。
http://www.inoue-s.jp

 相変わらず科学技術担当大臣は他と合わせてはワンオブゼムの職ではあります。

内閣総辞職及び新たな政権発足についての会見を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202009/16bura.html

菅内閣が発足しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/16suganaikaku.html

閣議の概要について
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202009/16_p.html

内閣総理大臣談話を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/discourse/20200916danwa.html

基本方針を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2020/0916kihonhousin.html

閣僚等名簿の発表について
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202009/16_m.html

衆参両院にて菅義偉議員が、伊藤博文初代内閣総理大臣から数えて第99代目の内閣総理大臣として指名されました
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/16shimei.html

内閣総辞職に当たっての内閣総理大臣の談話を掲載しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/discourse/20200916danwa.html

行政改革目安箱(縦割り110番
https://www.taro.org/kaikaku110

 河野行革大臣が自身のサイトに作った目安箱。スピードは評価したいですが、私的サイトに届いた文書の管理がどうなるのか気になります。

 イノベーション重視だった安倍政権の科学技術政策をおそらく踏襲するものと思いますが、菅政権の科学技術政策をしっかりウォッチしていきたいと思います。

★プロジェクトマネージャー決定のお知らせ(ムーンショット目標1、2、3、5、6)
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200918moonshot.html

第2回 ムーンショット型研究開発制度に係る戦略推進会議
https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/senryakusuishin/2nd/2nd.html

ムーンショット型研究開発事業におけるプロジェクトマネージャーの決定について
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1450/index.html

 安倍政権の科学技術政策の目玉であったムーンショット。プロジェクトマネージャーも決まり動き出しました。

 色々思うところはありますが、決まった以上良い成果をあげることを願っています。

★東大が中国勢より下位に…上海の研究者が見た、大学ランキング・日本「一人負け」の原因
中国の参考にできるところは参考に
https://bunshun.jp/articles/-/40293

 上海の復旦大学教授の服部 素之さんの論考。選択と集中により基礎研究の「裾野」が狭くなったことを指摘しています。

以上をまとめると、私の提案としては「各研究室への校費の額を回復させる」「大学院生への経済支援を拡充し、学生さんが安心して大学院進学できる環境を提供する」「共通機器整備制度の拡充により、研究室単位で高額機器を買わなくても研究できる体制を整える」というものだ。

 これらがもし実現すれば、日本の多くの大学における研究の裾野は大きく広がり、日本の大学、特に地方の大学が再び元気を取り戻すことにつながると信じている。

 非常に賛同するところがあります。文科省も博士課程の学生の経済支援を概算要求するようです。政府若手支援を全面に押し出し始めたのは、安倍政権末期のことでした。

文部科学省 博士目指す学生への経済的支援を概算要求へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200919/k10012625851000.html

 若手に重点を置きすぎて、若手でなくなったときに露頭に迷う問題は解決していませんが…。

 多くの人が勘違いしているようですが、問題は財務省です。文科省財務省とひっくるめて捉えるのは間違っていると思います(文科省の政策に全面的に賛成というわけではありませんが)。

財政制度分科会(令和元年11月1日開催)提出資料
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20191101.html

 ただ、財務省を動かすためにどうすれば良いか…。記事を書いても本を書いても、敵扱いしても財務省には届きません。

★科学技術関係予算「GDP比1%達成したが研究力強化には疑問符」
https://sci-news.co.jp/topics/3934/

 IT化なども科学技術予算にしてなんとか1%を達成しましたが、本来の科学技術研究に使える部分で評価しないといけませんが、財務省は研究者一人当たりの予算は諸外国に劣らないのに影響ある論文が出ていない、と大学の「生産性」の低さを批判しています。

 「強い文教政策」でアカデミアに衝撃と怒りを与えた神田眞人氏は国際局長に就任しています。このまま出世されると財務官になるようです。

 結局政治を動かすしかないわけで、様々な手段でアプローチ(ロビイング等)するしかありませんが、アカデミアでロビイングができる人は少ないように思います。

 現在政治を動かすことができる組織を作ろうという動きがアカデミアの中に芽生えつつあります。こうした動きが大きな流れになるか、注目していきたいと思います。

ロビイストに求められる資質とは?食品ロス削減推進法の立法過程におけるNPOのアドボカシー事例から考察
https://news.yahoo.co.jp/byline/akechikaito/20200916-00198141/

 こうした他の分野の動向も謙虚に学んでいく必要があります。

★研究専従換算係数を考慮した日本の大学の研究開発費及び研究者数の詳細分析 [調査資料-297]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45606

 タイミングよくNISTEPから報告書が出ました。

研究専従換算係数を考慮した大学等の研究開発費及び研究者数(FTE 値)は、研究専従換算 係数を考慮しない値(HC 値)とは異なり、2001 年度から 2017 年度にかけて伸びてはいない。

2001 年度から 2017 年度にかけて、研究者数における教員の割合が減少し、大学院博士課程 の在籍者の占める割合が増加している。FTE 値では第 1~第 3 グループまで、大学院博士課程の在籍者の割合が教員より大きくなっている。ただし、大学院博士課程の在籍者の数が増えているのは保健であり、理工農学ではほぼ増えていない。理工農学で増加しているのは、医局員・その他の研究員である。
○ 研究者数の業務区分バランスを理工農学と保健について見ると、大学院博士課程の在籍者の割合は、理工農学では、減少又は横ばいのグループが多いのに対して、保健では、ほとんどのグループで増加している。また、医局員・その他の研究員の割合は、理工農学ではほとんどの大学グループで増加しているが、保健での変化は一律ではない。

新型コロナウイルス感染症対策分科会 大都市の歓楽街における感染拡大防止対策 ワーキンググループ (第1回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/kanrakugai_wg_1.pdf

★Vaccines - lessons from three centuries of protest
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02671-0

★Keep focus on emerging infections, Disease X: analysts
https://www.scidev.net/global/r-d/news/keep-focus-on-emerging-infections-disease-x-analysts.html

新型コロナウイルス感染症等による科学技術の未来像への影響に関するアンケートの実施について
https://www.nistep.go.jp/archives/45632

★「クライメート・イノベーションファイナンス戦略2020」を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2020/09/20200916001/20200916001.html

★北半球はこの夏、史上最も暑かった WMOとNOAAが発表
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/09/20200918_01.html

気象庁ホームページへのウェブ広告掲載停止(気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/press/2009/16b/20200916_koukoku.html?850

★名古屋港におけるヒアリの確認について
https://www.env.go.jp/press/108464.html

土の中での生息確認は県内初…強い毒持つ『ヒアリ』700匹以上を発見 駆除し周辺への広がりを調査へ
https://news.yahoo.co.jp/articles/a9092d4e08ed4f7569d1c1e92f6cf2c4e31c62a4

 関係者の懸命な努力により、なんとか拡大を防いでいますが、非常に厳しい状況が続いています

★「国連生物多様性の10年『グリーンウェイブ2020』」の実施結果について
https://www.env.go.jp/press/108439.html

★<独自>宇宙資源の所有権 超党派で法整備
https://www.sankei.com/life/news/200921/lif2009210025-n1.html

宇宙資源所有権の議員立法 背景に月面の水資源獲得競争
https://www.sankei.com/life/news/200921/lif2009210026-n1.html

 宇宙資源の問題。産経新聞の独自記事です。

2020年 9月18日
提言「行政記録情報の活用に向けて」(PDF形式:519KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-3.pdf

2020年 9月18日
提言「我が国における移植医療と再生医療の発展と普及」(PDF形式:743KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t298-2.pdf

2020年 9月18日
提言「災害レジリエンスの強化による持続可能な国際社会実現のための学術からの提言-知の統合を実践するためのオンライン・システムの構築とファシリテータの育成-」(PDF形式:608KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t298-1.pdf

2020年 9月15日
提言「感染症対策と社会変革に向けたICT基盤強化とデジタル変革の推進」(PDF形式:905KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t298-3.pdf

2020年 9月15日
報告「都市域土壌の現状と課題」(PDF形式:771KB)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-h200915.pdf

 日本学術会議の報告、提言ラッシュは続いています。

★【with/post コロナ社会に生きる】
科学と社会の対話で、ありたい未来をつくる
≪小林傳司さんインタビュー≫
https://sciencewindow.jst.go.jp/articles/2020/0917.html

最近20年間でOAジャーナル176誌がインターネットから姿を消し、現存する900誌も消失する可能性が高い(記事紹介)
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=12271

オンライン学術誌、20年で176誌がネットから消失 新研究
https://www.cnn.co.jp/tech/35159683.html

 先週既報。

★Opinion: Zoology’s Racism Problem
https://www.the-scientist.com/reading-frames/opinion-zoologys-racism-problem-67865

★The US National Academy of Sciences can now kick out harassers. So why hasn’t it?
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02640-7

★ヒト受精卵のゲノム編集、問題を示唆する研究相次ぐ
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020090500007.html

★Global citizen deliberation on genome editing
https://science.sciencemag.org/content/369/6510/1435

★Nature Index’s top five science cities, by the numbers
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02576-y

Science cities seek new connections
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02579-9

Beijing, the seat of science capital
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02577-x

The top cities for research in the Nature Index
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02575-z

★Scientific American Endorses Joe Biden
https://www.scientificamerican.com/article/scientific-american-endorses-joe-biden/

Trump lied about science
https://science.sciencemag.org/content/369/6510/1409

 バイデン支持を明確にしたサイエンティフィックアメリカン誌。トランプ氏を嘘つきと批判するサイエンス誌。

★米研究、危うい中国排除 中国は「独立」へ着々
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64090150Z10C20A9MM8000/

Racial Profiling Concerns Amid Crackdown on Scholars’ China Ties
https://www.the-scientist.com/news-opinion/racial-profiling-concerns-amid-crackdown-on-scholars-china-ties-67944

Former Los Alamos physicist gets probation for failing to disclose China ties
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/former-los-alamos-physicist-gets-probation-failing-disclose-china-ties

 中国排除の「テクノナショナリズム」は科学界にとっては非常にウケが悪いのですが…。

★Climate change denialist given top role at major U.S. science agency
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/climate-change-denialist-given-top-role-major-us-science-agency

 気候変動否定論者がトップに。こうしたことも科学界を苛立たせています。

[FT]「Qアノン」は米の内なる敵
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63969150X10C20A9TCR000/

 しかし、こうした陰謀論が広がっており、分断は進んでいるようです。トランプ再選となった場合、アメリカの科学政策には困難が続きそうです。

 トランプ支持者を切り捨て見下すだけでは、この状況は変わりません。

★Turkish scientists and physicians face criminal investigations after criticizing COVID-19 policies
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/turkish-scientists-and-physicians-face-criminal-investigations-after-criticizing-covid

 トルコも科学者にとって厳しい状況です。

シンガポール早慶卒のビザ厳格化 邦人駐在員3割減も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63888630V10C20A9FFE000/

 早慶だけでなく、阪大含めた60大学のランクが下げられました。もちろんこれは学位取得者は別と思いますが、世界大学ランキングを反映しているようです。

★知ってる?中国で誕生している新職業(1)-知識共有型ブロガー
http://j.people.com.cn/n3/2020/0917/c94475-9761404.html

 サイエンスコミュニケーターですね。人口が多いので、暮らしていけるということでしょう。

★ALDOCK、ディープテック人材とスタートアップを結ぶ副業・転職プラットフォーム『Infomics Career』をβローンチ
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000002.000065881&g=prt

 最近高度人材のマッチングに関する取り組み、事業がちらほら見られるようになってきました。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.888 2020年9月22日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
【編集者】Science Communication News編集部
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安倍政権振り返り、消えるジャーナル

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★発行部数 2,565部(9月15日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.887 2020年9月15日号 巻頭言
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【巻頭言】
★安倍政権振り返り、消えるジャーナル
2020年9月8日~2020年9月15日
カセイケン代表 榎木英介

 菅政権が誕生します。

党大会に代わる両院議員総会 新総裁に菅義偉内閣官房長官を選出
https://www.jimin.jp/news/information/200576.html

 今回私達カセイケンでは、総裁選候補者3名と立憲民主党に名前が決まった合流新党の代表に対し公開質問状をお送りしました。

2020年党首選 政策アンケート 結果
https://www.kaseiken.org/2020-09-10/

 合流新党の枝野候補からご回答いただきましたが、その他の候補者からはご回答いただけませんでした。

 少々残念ではありますが、これからも政党や候補者に対して、しつこく?科学技術政策を聞いていきたいと思います。

 安倍政権7年8ヶ月の振り返り記事が増えてきました。

★Japan after Abe: research needs a fresh start
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02540-w

研究力低下、止まらず 安倍政権の科技政策を振り返る
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63568000Y0A900C2000000/

科学はアベノカガクのままでよいか
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020090900007.html

 Nature誌はなかなかにて厳しく、科学技術投資は民間が8割を占めること、再生医療の拙速な臨床応用を含めた「テクノナショナリズム」、軍事応用、ジェンダー問題等を問題視しています。

 菅政権はこれを踏襲するのか、対する新党立憲民主党は、しっかりとした科学技術政策の対案を提示できるのか。

 国会での実りある論戦を期待します。そしてカセイケンでは、今後もしつこく、他の党も含めた科学技術政策への姿勢を見続けていきたいと思います。

 課題である国会ウォッチはしっかりと取り組まねば、と思っています。

★【特集】納得できない!大学に通えないのに「学費満額」に疑問 声をあげる大学生たち
https://news.yahoo.co.jp/articles/51e5db5b7685ec84cc7c5b491254af26df5c8d3d

コロナ禍、変わる入試 立教・法政…推薦依頼増やす例も
https://www.asahi.com/articles/ASN9G3RT1N97UTIL034.html

3密回避、106大学が入試方法変更 朝日・河合塾調査
https://www.asahi.com/articles/ASN996FCSN98ULZU030.html

コロナ感染なら追試や「振り替え」、大学入試で配慮
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63696810Q0A910C2CR8000/

コロナ禍 臨床実習など減少 医学生 積めぬ現場体験 
https://www.chunichi.co.jp/article/1175

「これでやっと大学生」 広がる対面授業、1年生に配慮
https://www.asahi.com/articles/ASN9D6G3TN9DTIPE00B.html

コロナ禍の留学生へ支援強化を 植松賢治氏
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63574940Y0A900C2SHE000/

 入試含め、大学生の問題は深刻になってきました。SNS上では、学費返還を要求する学生に対し大学教員が反論する場面も見られます。

 アメリカでの大学巨大クラスターの発生を見ると、複雑な思いを抱きますが、大学の機能は人と会うことであるという認識が強くなったことは、大きなことだと思います。

新型コロナウイルス感染症対策分科会(第9回)
日時:令和2年9月11日(金) 17時30分~19時30分
場所:合同庁舎8号館1階 講堂 議事次第
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona9.pdf

イベント開催制限緩和についての分科会から政府への提言
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/event_suggestion.pdf

GO TOトラベル事業及び県を越えての人の動きについての分科会から政府への提言
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/gototravel_suggestion.pdf

 新型コロナウイルスの新規感染者は減りきっておらず、厳しい状況に変わりはありません。菅政権の対応はどのようなものになるのか…。

新型コロナウイルス感染症対策分科会 偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ (第1回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_1.pdf

新型コロナウイルス感染症に関連して-不当な差別や偏見をなくしましょう-(法務省
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken02_00022.html

 新型コロナウイルス感染者に対する差別はひどいものがあり、心が痛みます。最優先課題です。

★「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップの策定-ロードマップ2020-(案)」に関する意見募集の実施について
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/1388053_00003.htm

学術研究大型プロジェクト「ロードマップ」案公表-文科省、「感染症研究拠点」の課題なども記載
https://www.cbnews.jp/news/entry/20200910181516

 明日(9月16日)まで意見募集です。

学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップの策定

  • ロードマップ2020 -


https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000206246

国際次世代加速器 文科省の基本構想審査申請取り下げ 早期誘致実現厳しく
https://mainichi.jp/articles/20200908/k00/00m/040/171000c

大型加速器ILC、実現遠のく 基本構想の申請取り下げ
http://www.asahi.com/articles/ASN9964JLN99ULBJ005.html

 ILCに関しては日本学術会議のマスタープランに乗らず、3月に申請が取り下げられていたとのこと。

ムーンショット型研究開発事業新たな目標検討のためのビジョン公募について~日本を変える、世界を変える、あなたが変える!~
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1448/index.html

ムーンショット目標のアイデアを持ち、そのアイデアを具体化・精緻化するための調査研 究を行う、目標検討チームを公募」とのこと。

★第106回先進医療技術審査部会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13477.html

申請医療機関からの報告 (大阪大学医学部附属病院) [参考論文における研究不正行為について]
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000669829.pdf

資料7-2 根拠論文に関する報告書(大阪大学医学部附属病院)[PDF形式:827KB]
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000669830.pdf

資料7-3 再発防止策等に関する報告書(大阪大学医学部附属病院)[PDF形式:1.3MB]
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000669831.pdf

 国立循環器病院研究センターと大阪大学の研究不正。

予後更新によって、Log-lank 検定の p 値は異なるものの、有意差をもってハンプ投与群で無再発生存率が良好な成績であることが示され、PNAS Figure 1Aとの齟齬はないものと考えられました。一方で、PNASのデータとし ては使用されていませんが、今回予後を更新して解析した全生存率、癌特異的生存率に関しては両群に差はないという結果でした。

★Dozens of scientific journals have vanished from the internet, and no one preserved them
https://www.sciencemag.org/news/2020/09/dozens-scientific-journals-have-vanished-internet-and-no-one-preserved-them

More than 100 scientific journals have disappeared from the Internet
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02610-z

 インターネット時代の落とし穴です。電子データをどう後世に残していくか考えなければなりません。

★Postdocs in crisis: science cannot risk losing the next generation
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02541-9

Pandemic darkens postdocs’ work and career hopes
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02548-2

 パンデミックにおいて厳しい状況に追い込まれているポスドクの現場が明らかになってきました。

★【研究キャリアの生かし方 特別編】副業・フリーランスとしての技術リサーチャーという働き方 - リンカーズ株式会社 オープンイノベーション研究所
https://academist-cf.com/journal/?p=14398

 技術リサーチャーという仕事。興味深いです。

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[SciCom News] No.887 2020年9月15日号 巻頭言
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THE大学ランキング、エビデンスに基づいた科学技術政策

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★発行部数 2,564部(9月8日現在)
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         No.886 2020年9月8日号 巻頭言
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【巻頭言】
★THE大学ランキング、エビデンスに基づいた科学技術政策
2020年9月1日~2020年9月8日
カセイケン代表 榎木英介

 9月6日から7日にかけて日本に接近した台風10号は、接近時に若干弱まったものの、死者、行方不明者を出すなど被害をもたらしました。被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。

 新型コロナウイルス感染を避けるために、密な状態にならないようにしたため、定員が埋まってしまった避難所も出たようです。

 まだ台風シーズンのど真ん中です。今回の反省点を早急に次に生かしていかなければなりません。

 さて、自民党総裁選、立憲民主党、国民民主党の合併新党の代表選が行われています。

自民党総裁選特設サイト
https://www.jimin.jp/election/sousai20/

新党代表・党名選挙
https://www.dpfp.or.jp/leadership-election/2020
https://cdp-japan.jp/leadership-election-2020

 科学技術政策について、各党の候補者がどのような考えを持っているのか。

 私たちカセイケンでは、各候補者の事務所にアンケートを送付しました。

 回答がありましたらご紹介させていただきます。しばらくお待ちください。

エビデンスシステム(e-CSTI)を通じたEBPM等の推進及び公開サイトの立ち上げについて
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200901_e-csti.html

 非常に重要なサイトが公開されました。

内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)では、大学等の研究機関における「研究」、「教育」、「資金獲得」に関するエビデンスを収集し、インプットとアウトプットの関係性を「見える化」するための各種分析機能を開発し、関係省庁や国立大学・研究開発法人等の関係機関に対して分析機能・データを共有するプラットフォームとしてe-CSTI(Evidence data platform constructed by Council for Science, Technology and Innovation)を構築いたしました。

 これを利用して作られた以下の資料は、専門分野へのニーズを可視化しており、博士号取得者のキャリア問題を考える上でも大きな資料となりうるものです。

産業界の業務および事業展開・成長に重要な専門知識分野
https://e-csti.go.jp/page/p4b2/

 これをさらに分析すると

産業界技術系の人材ニーズを最終学歴別(学士、修士、博士等)に見える化したところ、学士については情報、機械、電気分野における人材ニーズが高くなっている一方、博士については幅広い分野に人材ニーズが広がっていることが示され、また博士の中でも20代の若手については、産業界における処遇向上の動きが出現し始めています。このような、産業界人材ニーズの変化や若手博士人材に対する評価向上の動きを受け、産業界ニーズを踏まえた高度専門人材の育成・輩出の在り方の改善方策の検討が可能となります。

とのこと

 こうしたデータの活用は、科学技術政策を考える上でも重要と思われます。

★我ら天文系IT技術者、DX追い風に 活躍する博士
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63363600S0A900C2000000/

研究開発人材の強化によりさらなる成長へ。資生堂が博士・ポスドク人材の採用のため「OfferBox Ph.D.」を利用開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000041771.html

 これも上の分析を裏付けます。

★異業種3社に就職した博士号取得者の意識調査 「大学にはポストも魅力も不足? より良い研究環境求め一般企業へ」
https://sci-news.co.jp/topics/3875/

博士入社社員を対象とした アンケート集計結果
日本電信電話株式会社(NTT)、富士通株式会社、株式会社三菱ケミカルホールディングス
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20200806/siryo3.pdf

 分野にもよるわけですが、博士への需要の拡大は望ましいことです

 しかし、氷河期世代博士の問題はまた別でしょう。

★THE世界大学ランキング2021―東大は36位維持、京大は11ランク上げて54位
https://japanuniversityrankings.jp/topics/00172/index.html

世界大学ランキング 東大は36位 中国 清華大学がアジアトップ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200907/k10012604511000.html

 恒例の大学ランキング。日本だと東大や京大など一部大学の動向に注目が集まりがちで、ランクアップを続けている京大は話題のようです。

 ただ、論点は多々あり、日本の他の大学の動向や諸外国の動向、そもそものランキングの妥当性含めいろいろな角度で見ていく必要があると思います。

 新型コロナウイルスです。

新型コロナウイルス感染症対策分科会(第8回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona8.pdf

「Go To Eat キャンペーン事業」についての考え方
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/go_to_eat.pdf

 漸減傾向にあるような感じですが、警戒を緩めてはいけません。

★コロナ前より「健康」半数が実感 外出自粛中に生活習慣を改善
https://www.chunichi.co.jp/article/114052

明治安田生命「健康」に関するアンケート調査を実施!
〜ステイホーム・コロナ禍を機に健康に対する意識と行動が変化!〜
https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2020/pdf/20200902_01.pdf

 新型コロナウイルスの健康に与える影響はなかなか解釈が難しく、医療機関への受診控えが、一体どのような影響を与えるのか、まだまだ読めません。

 上述のように生活習慣が改善されることによる効果の影響が、新型コロナウイルスそのものの影響をどのように相殺したのか、という論点はあるでしょう。

 医師誘発需要のような無駄な医療が削がれたのではないかという声もあります。

 まだ渦中であり、評価を決める段階ではありませんが、だからと言って、「新型コロナはただの風邪」などと言って軽視すべきではないのは当然です。

★U of Illinois Returns to School with 20,000 Saliva Tests Per Day
https://www.the-scientist.com/news-opinion/u-of-illinois-returns-to-school-with-20-000-saliva-tests-per-day-67890

Updated: COVID-19 Outbreaks Occur as Students Return to Campus
https://www.the-scientist.com/news-opinion/covid-19-outbreaks-occur-as-students-return-to-campus-67830

Reopening schools during COVID-19
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1146

Back to School
https://www.the-scientist.com/editorial/back-to-school-67885

 大学をオープンすると感染者が増えてしまうという厳しい状況。学生たちには非常に厳しい状況が続きます。

★As the pandemic erodes grad student mental health, academics sound the alarm
https://www.sciencemag.org/careers/2020/09/pandemic-erodes-grad-student-mental-health-academics-sound-alarm

 パンデミック下の学生のメンタルヘルスの問題も深刻です。

★Science and Policy Collide During the Pandemic
https://www.the-scientist.com/careers/science-and-policy-collide-during-the-pandemic-67882

 新型コロナウイルス下における政治と科学者の関係は、決して日本だけの問題ではありません。まだまだ続く政治と科学者の関係。どうすれば良いでしょうか。記事は以下のポイントを示します。

1. Do your homework.
2. Get to the point, but don’t oversimplify.
3. Keep in mind that policymakers’ expertise differs from that of scientists.
4. Be persistent.
5. Remember that not all policymakers are politicians, and vice versa.

★「豚熱」終息せず 日本は“清浄国”の認定取り消される
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200904/k10012599301000.html

 こちらも大きな問題。

★官民協働による新たな地域科学技術施策に関する調査
https://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/chiiki/mext_00002.html

★質保証システム部会(第3回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/049/siryo/1422495_00002.html

我が国の高等教育の質保証システムの在り方について

★第11回科学技術予測調査におけるバックキャストとフォーキャストの比較分析[DISCUSSION PAPER No.188]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/45522

★第36回(令和2年)国際生物学賞の受賞者決定
篠崎 一雄 博士
理化学研究所環境資源科学研究センター特別顧問)
https://www.jsps.go.jp/j-biol/36_awardee.html

モーリシャス沿岸における油流出事故に対する環境省専門家派遣決定
https://www.env.go.jp/press/108393.html

★Don’t be a prig in peer review
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02512-0

★"Tide of Lies"のその後:臨床研究の不正の影響は大きい
https://sites.google.com/site/integrity0lifesciences/comments/aftrermath

 非常に重要な論考です。基礎研究と異なり臨床研究での不正の影響は大きいわけですが、日本の研究機関の反応の鈍さが気になります。

★Henrietta Lacks: science must right a historical wrong
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02494-z

HeLa細胞のHenrietta Lacks氏生誕100年。遺族や本人に無断で細胞が使われたという大きな課題を残しています

★Special Issue
Democracy in the Balance

 サイエンスの特集。

In flux and under threat
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1174

Racial authoritarianism in U.S. democracy
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1176

Human-centered redistricting automation in the age of AI
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1179

Campaigns influence election outcomes less than you think
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1181

Diversity and prosocial behavior
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1183

Can democracy work for the poor?
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1188

Democracy’s backsliding in the international environment
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1192

False equivalencies: Online activism from left to right
https://science.sciencemag.org/content/369/6508/1197

★Foreign funding ‘controlling’ African research
https://www.scidev.net/global/funding/africa-science-focus/foreign-funding-controlling-african-research-1x.html

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