科学・政策と社会ニュースクリップ

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「低学歴国」百家争鳴

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★発行部数 2,517部(5月4日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.969 2022年5月4日号 巻頭言
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【巻頭言】
★「低学歴国」百家争鳴

2022年4月27日〜5月4日
カセイケン代表 榎木英介

 日経新聞が一面で大きく報じた記事が、波紋を広げました。

「低学歴国」ニッポン 革新先導へ博士生かせ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD122W50S2A210C2000000/

日経新聞「ニッポンは『低学歴国』」に異論百出
https://agora-web.jp/archives/2056278-2.html

 いろいろな人がいろいろな「ぼくのかんがえたさいきょうの」博士論を述べています。

 それ自体は良いことだと思いますが、いまだ使えない博士みたいな話が出たりと、がっかりさせられたりもします。

 ともかく、人材の活用は博士号取得者に限らず日本の大きな課題です。私たちのような弱小団体で何ができるか心もとないですが、情報発信は続けていきたいと思います。

‘I’m absolutely not a leak.’ Scientific careers aren’t a ‘pipeline,’ these economists say
https://www.science.org/content/article/i-m-absolutely-not-leak-scientific-careers-aren-t-pipeline-these-economists-say

 研究者のキャリアがパイプラインモデルではなくツリーモデルだと言われて久しいのですが、まだまだツリーモデルで考える人が多そうです。

 今回の「ぼくのかんがえたさいきょうの」博士論も、残念ながらパイプラインモデルで考えている人が多そうです。

科学技術振興調整費 成果報告書
科学技術政策提言 「研究者のノンアカデミック・キャリアパス
https://www.jst.go.jp/shincho/database/pdf/20031470/2004/200314702004rr.pdf

 先週お伝えした大学ファンド続報です。

世界トップレベルの研究成果を 「国際卓越研究大学」法案決定
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220225/k10013500591000.html

10兆円ファンド始動へ 大学を知識社会のエンジンに
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60485040S2A500C2CK8000/

懸念強く、丁寧な説明を
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60485100S2A500C2CK8000/

 衆院本会議を通過して参院に。

大学への不当な政治介入/宮本岳志議員 「チーム甘利」を告発/衆院委で法案可決| 「しんぶん赤旗
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2022-04-28/2022042814_02_0.html

甘利明氏インタヴュー(2019年11月雑誌掲載)における五神真・前東大総長の発言引用について - Before- & Afterimages Blog
http://before-and-afterimages.jp/news2009/2022/04/21/%e7%94%98%e5%88%a9%e6%98%8e%e6%b0%8f%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%b4%e3%83%a5%e3%83%bc%ef%bc%882019%e5%b9%b411%e6%9c%88%e9%9b%91%e8%aa%8c%e6%8e%b2%e8%bc%89%ef%bc%89%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91/

 ここにきて甘利氏の関与の大きさが指摘されるようになっています。そして甘利氏と共に批判を浴びているのが、上村隆大氏です。

「10兆円ファンドで大学の転換を」 上山隆大氏に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD07CGN0X00C22A4000000/

 上記記事内での発言も大学関係者を中心に疑問が投げかけられています。

運営費交付金の比重が下がった方が学問的な自由度も高まる

大学間の人の移動が極めて限られていることが、もっと大きな問題だ。ファンドで選ばれる大学は学部の規模を小さくして大学院の活動に特化し、学部教育をトップ研究大学以外の大学に譲るべきだ

 そんな大学ファンドですがが、申請を検討する大学、しない大学が明らかになってきました。

10兆円基金、4大学が申請へ 27校は検討、国立大調査 | 共同通信
https://nordot.app/893111864611880960

政府、科学技術立国の実現へ設置 10兆円基金、4大学申請へ  国立大調査、27校は「検討中」
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/848059

 もちろん多くの大学が検討中の段階ですが、「毒まんじゅう」でも「まんじゅう」に変わりがないと思う大学はどの程度いるでしょうか。

 こんな中、ZAITENが注目の特集を掲載。

東大・京大からFラン大学までが狂奔する資金獲得
【特集】大学と企業とカネ
http://www.zaiten.co.jp/article/2022/05/post-446.html

「稼げる大学」法案は政財界による大学支配

【特集】大学10兆円ファンドを主導する「学者政商」の正体
http://www.zaiten.co.jp/article/2022/05/10-3.html

企業人、役人、マスコミ人が〝大学教授〟に
【特集】客員・特任教授「実務家教員」のカラク
http://www.zaiten.co.jp/article/2022/05/post-448.html

 IDE現代の高等教育も注目の特集を掲載しています。

IDE現代の高等教育 NO.640 2022年5月号(5月1日発行) 「大学と科学技術政策」
https://ide-web.net/newpublication/blog.cgi?n=14&category=001

 経済安全保障推進法案の審議の行方と共に、日本の科学技術政策が転換点に立っていることは間違いないでしょう。

尾身氏「政府が納得しない」 夜の緊急招集、憤る専門家「話が違う」
https://www.asahi.com/articles/ASQ4W6GQVQ4VUTFL038.html

専門家たちで答えを絞れなくなった以上、政治の責任で選んでもらうしかないと尾身さんも考えている

だが

政府側は尾身氏に対し、選択肢の中から「正解」を示すよう事前に伝えてきた

説明足りぬ専門家、「不都合な意見」無視する政府 あるべき姿は
https://www.asahi.com/articles/ASQ523QV6Q4ZUTFL00D.html

 専門家と政治の関係の問題点が示されています。

原因不明の子どもの急性肝炎、新たに2人…海外で急増・12か国で169人報告
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20220428-OYT1T50232/

小児の原因不明の急性肝炎について(令和4年4月28日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25509.html

 非常に気になる状況。

IAEAは2月に行われた東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の安全性に関するレビューについて報告書を公表しました
https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220429002/20220429002.html

順調な大学院生活から一転、芸能の道へ “科学を楽しく届ける”俳優兼サイエンスコミュニケーターの挑戦 | 国内 | ABEMA TIMES
https://times.abema.tv/articles/-/10022353

 佐伯恵太さん。今注目のサイエンスコミュニケーターです。

NYU Defends Against Backlash Over Potential Hire
https://www.the-scientist.com/news-opinion/nyu-defends-against-backlash-over-potential-hire-69961

NYU administrators defend David Sabatini, challenge sexual harassment findings https://www.science.org/content/article/nyu-administrators-defend-david-sabatini-challenge-sexual-harassment-findings

 セクハラ(性不正)で解雇歴のある研究者がニューヨーク大学医学校に採用されそうになっている件が大きな批判を浴びていましたが、結局話は無かったことに。

Biologist accused of sexual harassment quits NYU job quest
https://www.science.org/content/article/biologist-accused-sexual-harassment-quits-nyu-job-quest

ロシア、国際宇宙ステーション運営から撤退表明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB303450Q2A430C2000000/

ロシア語「今こそ学ぶ意義」…学会が異例の声明
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20220502-OYO1T50009/amp/

 戦争が長期化し、ニュース自体は減ってきましたが、サイエンスに与える負の影響は深刻です。

尾身幸次さん死去 元財務相、群馬1区(上毛新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4c6f8e1b3d465be7530782a67b7d8a6338d8067e

 科学技術基本法の制定やOISTの設立、そして10月のSTSフォーラム(尾身さんのSTSと呼ばれていました)。稀有な「科学族」議員でした。ご冥福をお祈りいたします。

本土留学 政府に進路決められ…打ち砕かれた若者の夢
https://news.yahoo.co.jp/articles/f7346e3bab83d7992996e321d54cb4b7afad93a7

 本土復帰50年。研究者の運命も翻弄されました。

霞が関の外から政策を変える「起業家」たちの正体
https://news.yahoo.co.jp/articles/1ed664171b75265b911a3383fddb2bbce0a3c44b

 最近話題の「政策起業家」。今の時代政治家になるよりも政治家を動かし世の中を変えた方がいいのかもしれません。

在野の専門家は、政策実施の最前線での課題に精通しており、様々な政策アイデアを有している。国民への働きかけをする際も、国より自由度は高い。

弁護士・エンジニア・民間企業・社会起業家・研究者など、さまざまな業態に身置きながら社会課題・政策課題に携わる選択肢が増え、政策はフルタイムの公務員や職業ロビイストだけのものではなくなってきた。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.969 2022年5月4日号 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
【制作・編集】サイエンス・サポート・エージェンシー合同会社
【E-Mail】 office@kaseiken.org
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