科学・政策と社会ニュースクリップ

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対話を諦めない

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★発行部数 2,514部(12月30日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.953 2021年1月5日号 巻頭言
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【巻頭言】
★対話を諦めない

2021年12月31日〜2022年1月5日
カセイケン代表 榎木英介

 2022年になりました。

 今年も変わらずメディア、政策ウォッチを続けていきます。

 毎年言っているような気がしますが、国会での論戦などももう少し追うことができればと思っています。

 とくに、日本維新の会が、衆院の科学技術・イノベーション推進特別委の廃止や改変を提案してきたということもあり、国会の議論のあり方が問われています。

〈独自〉維新が科学技術特別委の廃止など提案へ 統廃合主導
https://www.sankei.com/article/20211109-YLU54MNOZRPJTHXV2LA7XCEROM/

維新・井上氏、衆院特別委員長を辞任
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021122100504&g=pol

 私たち一般市民としても、こうした貴重な意見交換の場を、関心を高めて見ていく必要があるのではないかと思っています。

 今年もどうぞよろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 令和4年 年頭所感
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2022/0101nentou.html

 冒頭には当然と言いますか、オミクロン株の急激な感染拡大に揺れる新型コロナ対策が述べられています。

 科学技術はイノベーションと並んで「成長のエンジン」として言及されています。

 政府の科学技術に対する姿勢を明確に述べたものだと思います。そこに人類への貢献などの言葉はないわけです。

 基礎科学への投資は、国の成長あって初めて言えること、ということかもしれませんが、日本は先進国から脱落しつつある、ということでもあります。もちろん、成長、すなわち経済に貢献する科学技術なのは当然ではありますが、科学と技術が一緒になった「科学技術」という言葉自体が、成長のための、技術のための科学ということを意味しているようにも思います。

 「選択と集中」の是非が常に議論となりますが、あらゆる人が職業研究者になれるわけではないので、要は「選択と集中」の程度の問題が課題になっていると思います。

 脱「選択と集中」が、選択された研究者間の分前の争いにならないようにしなければと思います。

 こんな時には、私たちカセイケンのような、アカデミアから見れば全くの外部でもなく、かつ内部でもない、ある種「怪しい」、中間的、マージナルな存在の意義もあると思っています。

コロナ、消えぬ病床逼迫リスク 現場任せの医療に限界
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA294RI0Z21C21A2000000/

そこが聞きたい
絶滅危惧の感染症疫学 京都大教授・西浦博氏
https://mainichi.jp/articles/20220104/ddm/005/070/008000c

再び感染者が増え始めた初期段階の今こそ、速やかに科学性・効率性ある対策を
https://webronza.asahi.com/science/articles/2021123100002.html

 新型コロナウイルス対策をめぐる政策に色々な問題があるのは事実です。

 問題は、それぞれが抱えるさまざまな問題を、どうやって現実的に解決するのかの道筋が見えないことです。

 医療体制が指数関数的に増えるウイルスになかなか対応できない、感染症専門人材の育成がうまくいかない…。どれも長い間に起こったさまざまなことが積み重なり現在があるので、すぐには動きません。

 問題がなかなか解決されないことに苛立ち、誰かを悪者にしたくなる気持ちはよく分かります。国家間に戦争が起こるのも、相手を破壊することで積み重なった問題を解決したいという欲求から始まるのだと思います。

 個人で言えば、誹謗中傷や、ときにテロ行為などにつながるわけです。

 だから、どんなにイライラしても、不満に思っても、言葉も含めた暴力に訴えてはいけないということです。

 難しい問題も対話で解決するという意志を曲げてはいけないと思います。

 妥協、駆け引き、取引など、主張を通すための長い道のりは、時にうんざりもします。

 しかし、諦めてはいけないと思います。

 私たちも、大したことができるわけではありませんが、先に挙げた国会の論戦も含め、言葉で交わされる対話をしっかりと見つめ、批判も交えつつ盛り上げていきたいと思います。

いのちを学ぶ(3)エイズパニック 感染者への偏見コロナでも
https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/inochimanabu/202201/0014960623.shtml

 今私が拠点を置く神戸は、最初にエイズ患者がみつかった街です。13年前の新型インフルエンザも神戸が市中感染例の最初でした。

 過去から学ぶことの重要性を感じます。

東京医科歯科大の語学授業、東京外国語大に一部委託へ オンラインで
https://www.asahi.com/articles/ASQ1455MBPDHUTIL04V.html

 ウェブ上でも大きな話題になっています。

 教養教育の軽視、人件費を浮かすため、その他色々な意見が出ています。

2021年ネカト世界ランキング
https://haklak.com/page_ranking_2021.html

研究活動上の特定不正行為ならびに「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」不適合に関する大臣報告について
https://www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/topics/detail.php?id=496

阪大の論文、指針の「重大な不適合」を報告
https://medical.jiji.com/news/49509

 研究公正に対する取り組みも、2022年の大きな課題です。

 行為を行った人を断罪するだけでは問題は解決しないのですが、なかなか「自分ごと」にならない現状があります。ここも諦めてはいけません。

日大教員有志が学長に提案書 営利主義からの脱却、スポーツ偏重主義の見直しなど求める
https://www.tokyo-np.co.jp/article/152108

Molecular biologists: let’s reconnect with nature
https://www.nature.com/articles/d41586-021-03818-3

国際宇宙基地、30年まで運用へ 米政府、延長を約束
https://www.tokyo-np.co.jp/article/152043

Afghan scholars find a warm welcome in Rwanda
https://www.science.org/content/article/afghan-scholars-find-warm-welcome-rwanda

 マンネリと言われそうですが、地道に活動していきます。今年もよろしくお願いいたします。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.953 2021年1月5日号 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
【制作・編集】サイエンス・サポート・エージェンシー合同会社
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