科学・政策と社会ニュースクリップ

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研究問題の「共事者」

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★発行部数 2,572部(8月4日現在)
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     ◆◇◆  Science Communication News ◆◇◆
         No.881 2020年8月4日号 巻頭言
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【巻頭言】
★研究問題の「共事者」
2020年7月28日~2020年8月4日
カセイケン代表 榎木英介

 私たちカセイケンでは、科学と社会を取り巻く諸問題に対し、様々な角度から取り組んでいます。

 より良い研究環境のあり方を考える活動。研究者のキャリア問題。科学技術政策ウォッチ。選挙の際の公開質問状。

 こうした活動を行なっている私たちの多くは、現役の職業研究者ではありません。

 大学院を出ており、研究歴がありますが、大学や公的研究機関、いわゆるアカデミアを主たる活躍の場としていない人が多いのです。

 もちろん私含め、大学の非常勤講師である者もいますが、少なくとも常勤研究者ではありません。

 こんな私たちに、果たして研究者の問題など語る「資格」はあるのか…。

 常々問われる問題です。大して論文も書いていないのに。「一流」でもないのに。外野はすっこんでろ…。

 でも、博士課程の大学院生だった時、「当事者」として声を上げることは大変でした。発言することで不利益になってしまうため、声を潜めなければならないことも多々ありました。

 そう考えると、当事者でもないけれど、かつて当事者を経験している、多少なりとも関係を持った第三者というのが我々の位置づけになるのかなと思います。

 最近「共事者」という言葉を知りました。

当事者から共事者へ(1) 障害と共事|小松理虔
https://genron-alpha.com/gb041_01/

「当事者」以外、苦しみを語ってはいけないのか?福島の地域活動家は問いかける
https://www.huffingtonpost.jp/entry/yosomono-event_jp_5d4d0ae4e4b0066eb70f6e0e

 著書「新復興論」(ゲンロン叢書)で「第18回大佛次郎論壇賞」を受賞した小松理虔(りけん)さんが作った言葉です。

当事者ではない。当事者を直接的に支援しているわけでもない。研究者でもなければジャーナリストでもなく政治家でもない。プロフェッショナルでも専門知識を有しているわけでもない。けれど、当事者性はゼロではなく、社会の一員としてその物事を共にし、ゆるふわっと当事者を包み込んでいる。そんな人たち。あるいは、専門性も当事者性もないけれど、その課題と事を共にしてしまっている。そのようなゆるい関わり方。それが現段階でぼくがイメージしている「共事者/共事」だ。

 この言葉を知って、研究者でもない人間が研究者をめぐる問題を語る我々も「共事者」だし、発言していいのだ、と勇気づけられる気がしました。

 外野はすっこんでろ、という声は常に浴びています。

 けれど、「共事者」としてお節介ながら、研究者をめぐる問題に関わっていきます。

 研究は社会の中にあるものであり、誰しも「共事者」ですから。

★疫病と人間
新型コロナは「自然災害」ではない リスクと責任を理解しない日本 神里達博千葉大教授
https://mainichi.jp/articles/20200802/k00/00m/040/010000c

★“スティグマ”が助長する感染拡大——コロナ差別が許されない理由
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020072300004.html

★受験生の減少、退学・休学の増加…コロナ禍、大学を直撃
https://www.asahi.com/articles/ASN7X7FJJN7PULZU013.html

「新入生の見守り必要に」 大学に危機感、留学にも影
https://www.asahi.com/articles/ASN7X7J61N7QULZU00F.html

 社会が開かれる中、大学だけが閉じ続けている現状。私は来年大学受験をする高校生の娘がいるので、「当事者」に近いのですが、この世代だけに負担を負わせてはいけないと思います。

SNS現代社会(下)専門家も発信力鍛えよ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62140160R30C20A7KE8000/

 横山広美さん(東大)の論考。

★University redundancies, furloughs and pay cuts might loom amid the pandemic, survey finds
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02265-w

安倍総理は第42回未来投資会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202007/30miraitoushi.html

未来投資会議(第42回) 配布資料
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai42/index.html

★秋季入学に関する検討について
https://www.mext.go.jp/a_menu/shukinyugaku/index.html

就職氷河期世代の国家公務員の中途採用について
https://www.mext.go.jp/b_menu/saiyou/1349849.htm

 私は定義によればこの世代にも入りますので、当事者性も有しています。

★「フードテック研究会」の中間とりまとめの公表等について
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo01/200731.html

★地域科学技術指標2019[調査資料-294]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/44942

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特別研究員の採用期間を中断及び延長した場合の科学研究費補助金(特別研究員奨励費)の取扱いについて
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/06_jsps_info/g_200729_2/index.html

★令和2年度国立大学法人運営費交付金の重点支援の評価結果について
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/1417263_00001.htm

 北海道大学は「博士課程キャリア支援の状況(企業への就職者数)」が指標とされています。

福島県伊達市 被ばくデータ論文撤回
https://news.yahoo.co.jp/articles/15a3f2e9bd9e2bb21b07542053f5cfafff57fe4d

同意なく被ばくデータ使用の論文2本を撤回 早野東大名誉教授ら執筆
https://www.tokyo-np.co.jp/article/46110

伊達被ばく論文 英学術誌が撤回
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20200731/6050011196.html

東日本大震災
福島第1原発事故 住民被ばく論文撤回
https://mainichi.jp/articles/20200731/ddm/012/040/109000c

宮崎早野論文撤回。撤回したのは不正行為を隠すため?(2020.7.30作成)
https://togetter.com/li/1567350

 大きな研究不正問題。

★科学研究における不正行為はどうすればなくなるのか?
https://gigazine.net/news/20200728-get-serious-research-misconduct/

 告発者の保護、独立した研究不正対応機関の必要性などが述べられています。

★「論文は知識の最終産物ではない」大手科学誌幹部が斬る
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00110/073000038/

 論文はスナップショットであると。その通りだと思います。

Twitter account of embattled #MeTooSTEM founder suspended
https://www.sciencemag.org/news/2020/08/twitter-account-embattled-metoostem-founder-suspended

★132 Research Institutes and Associations Urge the EU to Reconsider Stance on Genome Editing
https://seedworld.com/132-research-institutes-and-associations-urge-the-eu-to-reconsider-stance-on-genome-editing/

★AIブーム終焉の意味するところ
https://note.com/kanair/n/n889bcb153a7e

香港大学、「雨傘運動」主導者を解雇 中国政府は称賛
https://news.line.me/issue/oa-afpbb/pv87l6kba01z

香港大、雨傘運動提唱した副教授を解雇 中国の統制強化
https://www.asahi.com/articles/ASN7X7KKPN7XUHMC012.html

★How African scientists can give back to their home continent
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02267-8

★Intrusive personal questions don’t belong in job interviews
https://www.sciencemag.org/careers/2020/07/intrusive-personal-questions-don-t-belong-job-interviews

★‘It’s like we’re going back 30 years’: how the coronavirus is gutting diversity in science
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02288-3

★「議会への科学助言に関して共同して導き出された国際研究アジェンダ」日本語版を公開
https://scirex.grips.ac.jp/news/archive/200728_2454.html

論文
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11516813_po_083405.pdf?contentNo=1

★「ノーベル賞受賞はたった5つの分野に集中」米研究者が"偏り"を指摘
https://www.tv-tokyo.co.jp/news/original/2020/07/30/012721.html

★ありのままを伝えよ。
https://note.com/socpsy/n/nfdeb4538fb12

※この記事は,Nature Human Behaviour 誌が2020年1月21日に公開したEditorial(巻頭言) Tell it like it is を日本の社会心理学者3名が共同して翻訳したものです.

★科学者コミュニティーのあり方を探る
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020071700007.html

 日本版AAASの取り組みなどについて触れられています。

★初田哲男×大隅良典×隠岐さや香
オンライン座談会
Presented by iTHEMS & academist
「役に立たない」科学が役に立つ
https://www.usefulness.academist-cf.com/

8月22日。

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“Science Communication News”
[SciCom News] No.881 2020年8月4日号 巻頭言
【発行者】一般社団法人科学・政策と社会研究室(担当 榎木英介)
【編集者】Science Communication News編集部
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