科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

ムーンショット明らかに、芸人と研究者

2019年7月23日~2019年7月30日

 ムーンショット研究が少しずつ明らかになってきました。

★人工冬眠など「野心的研究」25事業挑む 政府が支援
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47897080Z20C19A7MM0000/

 記事によれば、
「50年までにロボットや生体組織によるサイボーグ化技術を開発する」
「労働力不足に対処するため、農林水産業の現場や工事現場を完全に自動化・無人化する」
「50年までに生産活動から生じる排気や廃棄物をすべて資源に変えて利用できるようにする」
「50年までに地球上からゴミをなくす」
ノーベル賞級の科学的な発見を自動的に手掛けるAIロボットシステムの開発」
「人工冬眠」

 といったものになるようです。

 とにかくやるとなったら成果を出してほしいと思います。

日本、規模で見劣り
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO47904640Z20C19A7MM0000/

 意見が分かれるのは、選択と集中が不十分だから成果がでないのか、選択と集中をするから成果が出ないのかです。この判断を間違うと悲惨なことになります。

 ムーンショット型の巨大投資(アースショット)があまりうまくいっていないという意見はアメリカにもあるわけで、DARPAが成功したからアメリカにならえという単純なものではないはずです。

 制度設計含め、相当に作り込まないと、どっちつかずの中途半端になり、お金だけ浪費したということになりかねません。そして、そうなったとしても責任を取る人はいないわけです。

★国立大予算の成果反映拡大、財務省が要求 調整難航も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47776300V20C19A7EE8000/

国立大の予算、成果重視に
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO47776300V20C19A7EE8000/

 運営費交付金にメリハリを、ということですが、こうした政策の根拠や評価、責任の所在など、気になることは多々あります。

★寄付のお礼は研究参加 「大学版ふるさと納税」広がる
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47686740T20C19A7TCN000/

大学研究費 先細り続く
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO47682050T20C19A7TCN000/

講談社クラウドファンディング立命館大と提携 研究者を支援
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1907/25/news120.html

ブルーバックスアウトリーチ特設サイト
https://outreach.bluebacks.jp/partners/ritsumei

 「ふるさと納税」、「クラウドファンディング」など、研究者たちが工夫を始めています。それは非常に重要ですが…。

★本庶氏、小野薬品を提訴へ 「オプジーボ」特許料、配分増求め
https://mainichi.jp/articles/20190727/k00/00m/040/015000c

 ついに提訴。どうなるでしょうか。

★冊子『プロに依頼する科学イラストのススメ』を制作しました
https://ashbi.kyoto-u.ac.jp/blog/info/post-816/

★「文系か理系か」早すぎる選択…受験科目に専念するため、大半が高1で決定
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190726-00010000-yom-soci

★公的研究費等の不正使用について
https://www.rikkyo.ac.jp/news/2019/07/mknpps000000ynuz.html

立教大教授、国の研究費を不正使用 9万円は私的流用
https://www.asahi.com/articles/ASM7T4240M7TULBJ002.html

立教大教授が研究費不正 90万円、懲戒処分へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47812760W9A720C1CC0000/

立大教授、研究費91万円不正「学部生の旅費など捻出」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190725-OYT1T50304/

★教職員に対する懲戒処分について(2019年7月23日)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/events_news/office/soumu/jinji/news/2019/190723_1.html

熊本地震に関する論文で不正
京大教授に停職1年懲戒処分
https://s.kyoto-np.jp/top/article/20190723000113

論文不正の京大教授を停職1年 熊本地震で改ざんや盗用
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019072301002426.html

 研究費不正流用と研究不正の処分のニュースが入ってきました。根絶は非常に難しいなあと思います。

京アニ放火というテロの損害の大きさ
「知的ノウハウ」と「日本のイメージ向上チャンネル」 2つの大きな損失
https://webronza.asahi.com/science/articles/2019072200007.html

 京アニ放火事件は衝撃的でしたが、この記事によると、1991年に発生したアイオワ大学襲撃事件
https://dailyiowan.com/2017/11/01/covering-a-tragedy-the-uis-1991-shooting/

では、五人の研究者が射殺されたことにより、研究の蓄積や伝統が完全に失われてしまったということです。

 テニュアが継続されなかった研究者が審査委員を殺害したケースなどもありましたが、人を殺すということは、当然ではありますが未来を奪うということです。

 アニメと研究は違う部分のほうが大きい遠いますが、共通項は知の蓄積ということです。知への攻撃は許すことができません。

★Medical journal editors expect authors to disclose conflicts of interest-but don’t disclose their own
https://www.sciencemag.org/news/2019/07/medical-journal-editors-expect-authors-disclose-conflicts-interest-don-t-disclose-their

 ジャーナルのエディターの利益相反問題。もっと考えられるべきことです。

★Genetics Articles Retracted at Higher Rate than Other Disciplines
https://www.the-scientist.com/news-opinion/genetics-articles-retracted-at-higher-rate-than-other-disciplines-66206

 遺伝学が撤回論文多いとのこと。

★Science under fire: Ebola researchers fight to test drugs and vaccines in a war zone
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02258-4

 緊急事態宣言が出たエボラ出血熱。内戦が治療やウイルスの拡大に大きな影を落としています。

★動物体内で人の臓器づくりを了承 文科省、iPS使い国内初の研究
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190724-00000081-kyodonews-soci

iPS使いネズミの体内でヒトの臓器 東大の計画を了承
http://www.asahi.com/articles/ASM7M6GGFM7MULBJ014.html

Japan approves first human-animal embryo experiments
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02275-3

★Faeces to fertiliser: innovations to solve the world’s toilets crisis
https://www.scidev.net/global/innovation/feature/faeces-to-fertiliser-innovations-to-solve-the-world-s-toilets-crisis.html

 発展途上国のトイレ問題はかねがね話題にしてきましたが、イノベーションが必要とされている課題です。

★U.S. universities battle a security storm in Congress
https://www.sciencemag.org/news/2019/07/us-universities-battle-security-storm-congress

★最大級の望遠鏡「TMT」、ハワイ島で建設再開へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47863020W9A720C1TJM000/

Opponents of the Thirty Meter Telescope fight the process, not science
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02304-1

 建設再開されましたが、反対する人が千人集まったそうで、逮捕者も出ています。

 Natureの署名記事(著者はハワイのネイティブの方)。プロセスに問題があり、科学の名のもとに強引に建設してよいのかと述べています。

★A vaunted program for boosting the diversity of U.S. academic scientists is starting to spread
https://www.sciencemag.org/news/2019/07/vaunted-program-boosting-diversity-us-academic-scientists-starting-spread

★A vaunted program for boosting the diversity of U.S. academic scientists is starting to spread
https://www.sciencemag.org/news/2019/07/vaunted-program-boosting-diversity-us-academic-scientists-starting-spread

★India debates a nationwide tenure system
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02296-y

★Science and the rise of nationalism in India
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02243-x

★芸能界はもう、のんの様なケースを出しちゃいけない。マネジメント社長が語った真意
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190727-00010000-bfj-ent

吉本問題にみるサラリーマンの未来
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47860590W9A720C1I00000/

 ジャニーズ事務所吉本興業、そして女優のんさんの問題が大きく取りざたされています。弱い立場のタレントや芸人が、事務所に逆らえず、逆らったら制裁を加えられるという問題です。

 この構造は研究者や「無給医」問題が明らかになった医師にも言えるのではないかと思います。学位や専門医、就職先などを握られており、逆らったら干されるという構造は、タレント、芸人と似ています。

 雇い主と労働者が直接対峙すると、必ず労働者が負けます。そこで労働組合法があるわけです。芸能人のケースでも労働組合を作ったらよいという声が出てきています。

 研究者も芸人も、好きなことやっている、成果出なきゃ(売れなきゃ)意味ない、嫌ならやめればよい、と言われます。いろいろ問題点を述べると、「成果出ていない、売れてない奴が何を言う」と反論されてしまいます。

 もちろん、研究者も芸人、タレントも厳しい競争を戦っています。しかし、だからと言って雇い主の脱法行為に黙って従っていいわけはありません。

 パワハラのケースで組合が動いて問題を解決したという事例や、労働契約法の雇い止めをやめさせた労働組合があります。アメリカには大学院生の労働組合があります(トランプ政権は廃止しようとしているようですが)。

 さまざまなひどいパワハラアカハラ事例を聞くたびに、個人ではとても対処できないという思いが強くなってきました。労働組合が万能とまでは言えませんが、もっと考えるべきことだと思います。

団塊ジュニア、2040年の憂鬱 貧困高齢化リスク
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47835780W9A720C1TCR000/

団塊ジュニアの「節約」攻略 高島屋、本物志向に照準
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47626950S9A720C1TJ1000/

「バブル期に入社した世代と、人手不足で早い時期から処遇改善が進む若手に挟まれ、「重要なポストに就く機会が少なくなっている」

 この世代にはいまだ安定した職を得られていない研究者が多くいます。

 なんとかこの世代を一人でも救いたい…

★進む「学会離れ」 “ものづくり”からサービスへ 時代の変化に対応できず
https://mainichi.jp/articles/20190726/k00/00m/040/209000c

追跡:進む学会離れ 財政難、運営厳しく
https://mainichi.jp/articles/20190727/ddm/012/040/074000c

 学会が多すぎるという問題もありますが…

★How to organize a conference that’s open to everyone
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02253-9

★東京都規模壊滅の恐れ 小惑星、地球にニアミス 前日まで接近わからず
https://mainichi.jp/articles/20190729/k00/00m/040/289000c

 本当に恐ろしいことです。人類には常に消滅のリスクがあるわけで…月並みな言い方ですが、殺し合っている場合ではありません。