科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

就職氷河期世代支援、熱帯のトランプ

★熱帯の「トランプ」、就職氷河期世代支援
2019年7月30日~2019年8月6日

 本日は広島の原爆投下から74年目の日です。犠牲者にご冥福をお祈りしたいと思います。

 まずは就職氷河期世代への支援から。内閣官房に支援室ができました。

★「就職氷河期世代」の就労を支援 政府、支援室を設置
https://www.asahi.com/articles/ASM7035Z8M70ULFA006.html

氷河期世代 支援へ新組織
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO48019330R30C19A7PP8000/

就職氷河期世代支援プログラム
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_hyogaki_shien/index.html

 私たちカセイケンでは、先の選挙でこの世代の研究者支援について質問していますが、政権を担っている与党は、こうした対策以外の対策を考えていると答えました。
https://www.kaseiken.org/election2019-3/

自由民主党
現在、具体策を検討しています。残念ながら、現段階で具体策を記入できないのですが、可能な限り根本的な解決に結びつくように尽力します。

公明党
 引き続き、若手研究者のポスト拡充やポスドクへの経済支援の充実、ライフイベントの両立を図るための支援などを推進していきます。

 政府の対策に期待しますが、それだけでは不十分です。私たちのような民間組織も情報提供のほか、できることを模索していきたいと思います。

科学技術に関する調査プロジェクト2019シンポジウム―「「科学技術立国」を支えるこれからの研究者育成」―
https://www.ndl.go.jp/jp/event/events/2019kagiprosymposium.html

 国立国会図書館のシンポジウムにカセイケン代表の榎木が登壇します。この場で具体先を議論できればと思っています。

★総合政策特別委員会(第28回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/07/1418836.htm

 中間とりまとめについて議論中。

★-The Beyond Disciplines Collection- 異分野融合を促し、研究力向上を支える土壌を育む/CRDS-FY2019-RR-02
https://www.jst.go.jp/crds/report/report04/CRDS-FY2019-RR-02.html

エボラ出血熱の感染があり得る患者の発生について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06025.html

エボラ出血熱への感染があり得るとされた患者の検査結果(陰性)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000077708_00001.html

安倍総理エボラ出血熱の感染があり得る患者の発生についての指示を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/discourse/20190803_siji.html

エボラ出血熱対策に関する関係閣僚会議について
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201908/5_a.html

 日本国内でのエボラ出血熱発症には至らなかったわけですが、いつ日本にも来るかわかりません。

コンゴでエボラ感染拡大 発生1年で死者1800人超
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48194260U9A800C1FF8000/

 警戒を怠ってはいけません。

★治験における健常被験者死亡の報告について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05971.html

 健康な若い人が亡くなりました。治験との関係があるのかしっかりと調べていただきたいと思います。

★Time's up, CO2
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/411.full

 気候変動のリスクを理解している人でさえ、関心はヘルスケアや職や経済の次だという状況をどうするか…。気候変動がヘルスケアや職や経済とリンクしていることを理解してもらえばよいと主張しています。

IPCC opens meeting to consider Special Report on Climate Change and Land
https://www.ipcc.ch/2019/08/02/ipcc-opens-meeting-to-consider-special-report-on-climate-change-and-land/

食料生産、温暖化の影響議論 IPCC総会開幕
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48139340S9A800C1CR8000/

 IPCC総会が開かれましたが、トランプ政権は相変わらずです。

★US government websites cull references to climate change
https://physicsworld.com/a/us-government-websites-cull-references-to-climate-change/

 法で対抗する動きも出ています。

★Boulder Climate Scientist Sues Trump Administration Over Matter of ‘Scientific Integrity’
https://www.cpr.org/2019/07/29/boulder-climate-scientist-sues-trump-administration-over-matter-of-scientific-integrity/

★匿名化データが増大しているが、こうしたデータからの個人の特定は容易になってきており、研究への参加同意を含め、研究倫理に関する指針を時代に合わせて見直す必要がある。
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02322-z

★Unethical work must be filtered out or flagged
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02378-x

★就活生の「辞退予測」情報、説明なく提供 リクナビ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48076190R00C19A8MM8000/

リクナビが就活生の「内定辞退予測」を企業に提供、ネットで物議 運営元は「合否判定には未使用」と説明
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1908/02/news086.html

リクナビ、「内定辞退率」サービス廃止=同意得ずにデータ分析・販売
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019080501039&g=eco

原因をリクルートキャリアに直撃:
リクナビの「同意なしに学生の個人情報提供」はなぜ起きた? 裏には企業との業務提携関係

就活、問われるデータ管理 「辞退予測」に学生困惑
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48112770S9A800C1000000/

 これは研究とは違う問題ですが、集めたデータをどう利用するかと言う倫理的に大きな問題です。

★scienceの特集
CRISPR in China

China's CRISPR revolution
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/420

Fields of dreams
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/422

The CRISPR animal kingdom
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/426

Inside the circle of trust
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/430

The long shadow of a CRISPR scandal
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/436

★‘No one is immune’: Alaska’s scientists despair over plan to shrink state universities
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02344-7

連邦政府機関における懸賞コンペティションおよび市民科学活動の実施状況:2017~2018年度報告
https://crds.jst.go.jp/dw/20190801/2019080120579/

 アメリカでは2017年にできたクラウドソーシング・市民科学法があり、その下で市民科学が行われているとのこと。

★China’s scientists alarmed, bewildered by growing anti-Chinese sentiment in the United States
https://www.sciencemag.org/news/2019/07/china-s-scientists-alarmed-bewildered-growing-anti-chinese-sentiment-united-states

U.S. suspicions rankle Chinese scientists
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/415

 アメリカにいる中国系研究者の苦境。

★若い博士号取得者向けのイノベーションコンペティション 「i-PhD」を開始
https://crds.jst.go.jp/dw/20190731/2019073120689/

 フランス。

★‘Tropical Trump’ sparks unprecedented crisis for Brazilian science
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02353-6

Brazilian institute head fired after clashing with nation’s president over deforestation data
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/brazilian-institute-head-fired-after-clashing-nation-s-president-over-deforestation

Brazilian president attacks deforestation data
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/419

 「熱帯のトランプ」と呼ばれるブラジルのボルソナーロ大統領が科学に対して強権的で、「トランプ的」に熱帯雨林の減少率のデータを攻撃しています。こうしたトランプ型の政治家が増えてきているように思います…。

★あいちトリエンナーレ 「表現の不自由展・その後」中止について
https://news.yahoo.co.jp/byline/itokazuko/20190804-00137002/

あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」をめぐって起きたこと――事実関係と論点の整理
https://news.yahoo.co.jp/byline/akedotakahiro/20190805-00137053/

あいちトリエンナーレとコスプレサミットが示すコントラスト|「表現の不自由展」最終日を見る
https://news.yahoo.co.jp/byline/kazuhirotaira/20190805-00137065/

 この問題や京都アニメーションの事件は、知的生産物である表現を暴力で破壊しようとする試みであり、同じく知的生産である研究に関わる者は容認できないはずです。

 意見を言い批判することはいくらでもいいんです。怒り、おかしいと言ってもいい。ネットに書こうがSNSに書こうがYahoo!ニュースのコメント欄に書こうが構いません。

 しかし、ガソリンをまくといったことは絶対に許されないし、脅すことも許されません。攻撃されるのは攻撃される方にも問題があるということを言って暴力を肯定することは、考え方の違いがあれど許容できないでしょう。

 そこらあたりが分かっていない人が多くいるのが怖いです。目的が良ければテロや暴力は許されるのか…。そうだ、というなら、日本は近代国家の看板を下ろすべきです。これは右左という問題ではありません。

 ヘイトスピーチは論外ですが、右寄りの表現が暴力や脅迫にさらされることも許されることではありません。

 もう一つ、河村名古屋市長の発言にも大きな問題を感じました。

www.bengo4.com

 近年「反日的」な研究に科研費を出すのはおかしいという声が出てきたりしていますが、河村発言が問題ないというのなら、いずれ権力にそぐわない研究や、国家に不都合な結果が出る研究は国の予算が出なくなり、問題ありとされた大学などが取り潰されるようになるかもしれません。

 百歩譲って、公金の支出が国家の意向に沿うものでなければならないとしても、脅し暴力はいけないというメッセージを強く出すべきでしょう。

 今回、暴力や脅しが実に効果的に自らの考えと異なる創作物を潰すことができることが世間に示されました。今後研究者や大学は、今以上に「電凸」や脅迫を受け、研究を断念せざるを得ないといったケースが出てくるのではないか…。これが杞憂でないことを願いますが…。

★2020年卒 大学院生(修士・博士)・ポストドクターの就職活動の状況について 調査結果を発表致しました
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000013.000017667&g=prt

2020年卒 大学院生・ポストドクターの就職活動の状況について
https://acaric.co.jp/files/report1908.pdf

博士・ポスドクインターンシップ参加率は5割にとどまる―アカリク
https://itjinzai-lab.jp/article/detail/1810

 アカリクの調査。