科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

長期的思考を養う、「iPS備蓄」の論点、氷河期世代のロールモデル募集

2019年11月26日~2019年12月3日

 2019年も最後の月になりました。当メルマガは発行開始から16年。ひたすらニュースクリップを続けていますが、2020年も変わることなく続けていきます。

STAP細胞事件が覆い隠した科学技術立国ニッポンの「ヤバい現実」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68646

 カセイケン代表榎木が初めて現代ビジネスに書いた記事。今までYahoo!ニュース個人で書いてきたことの総まとめのような記事ですが、あまり知られていないようで、フェースブックで4000シェア近くいただきました。

 「研究不正と歪んだ科学」
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 でも書きましたが、一つの研究不正をスキャンダルとして消費するのではなく、振り返った上で教訓を得て次に生かしていくことが必要です。STAP細胞事件に関しては、5年経ってそれができる時期に来ています。

★岐路に立つiPS細胞備蓄事業、政府が支援縮小を検討
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00428/

山中教授インタビュー「iPS備蓄に支援継続を」 予算削減に危機感
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52753530Y9A121C1EA1000/

iPS細胞による医療 具体性欠く国の戦略https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52730070Y9A121C1EA1000/

国産iPSの海外進出、京大が支援へ ガラパゴス化回避
https://www.asahi.com/articles/ASMCW6W77MCWULBJ012.html

 iPS細胞備蓄計画の是非。

 NewsPicksが真相をえぐる連載を掲載しています。有料記事ですが、この連載で有料購読開始した人も多いようです。

【核心】日本のiPSは、何を間違えたのか?
https://newspicks.com/news/4426921/body/

 八代嘉美さんインタビュー。

 単純に「日本終わった」などと考えるのではなく、冷静な議論が必要です。それはSTAP細胞事件と研究不正対策と似ているようにも思います。

廃炉・汚染水対策チーム会合(第5回)
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/osensui_team/2019/20191202_01.html

資料1 中長期ロードマップ改訂案について(PDF形式:1,059KB)
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/osensui_team/2019/pdf/01c.pdf

福島第一、核燃料デブリ取り出し「2号機から」…21年内に開始へ
https://www.yomiuri.co.jp/science/20191202-OYT1T50064/

溶け落ちた核燃料、2号機から取り出しへ 福島第一原発
https://www.asahi.com/articles/ASMCY5WZ9MCYULBJ00L.html

 世代を超えて果てしなく続く廃炉作業。ロードマップが改訂されました。

★COP25

UN Climate Change Conference - December 2019
https://unfccc.int/cop25

 そしてCOP25が開催中です。

★温暖化により「破壊的影響」とUNEP警告 日本は温室効果ガス削減続くも目標には不十分
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/11/20191129_01.html

パリ協定の「気温上昇1.5度」達成には… 年7.6%の温室ガス削減 国連環境計画公表
https://mainichi.jp/articles/20191128/ddm/012/040/090000c

温室効果ガス濃度が観測史上最高に WMOが深刻な温暖化を警告
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/11/20191126_01.html

世界の主要温室効果ガス濃度は観測史上最高を更新 ~「WMO温室効果ガス年報第15号」の公表~
http://www.jma.go.jp/jma/press/1911/25a/GHG_Bulletin_15%20.html

 気候変動関する調査報告書がだされ、

★気候変動すぐ対策を
世界158カ国2400都市で行動
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-12-01/2019120101_03_1.html

「気候変えるな」 150カ国で訴え
https://mainichi.jp/articles/20191130/ddm/012/040/033000c

Hundreds of thousands of students join global climate strikes
https://www.theguardian.com/environment/2019/nov/29/hundreds-of-thousands-of-students-join-global-climate-strikes

「私には、選挙権がないから」 16歳の女子高校生が世界で、街で、声を上げる理由
https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/global-climate-strike-11

 世界中の都市で人々が立ち上がりました。

 福島第一原発廃炉も、環境問題も、世代を超えて長期的に考えていかなければなりません。

 しかし、こうした長期的なことは、数年単位の選挙では救いとれるものではなく、今の世代が次の世代のために不利益を覚悟で行動するということがなかなかできません。

 ではどうすればよいのか。

★未来に責任をもつ“長期的思考”は、どうすれば身に付けられるか
https://wired.jp/membership/2019/12/03/how-to-practice-long-term-thinking/

 最近

The Optimist's Telescope: Thinking Ahead in a Reckless Age
https://amzn.to/2RaHfw5

 を出版したビナ・ヴェンカタラマン氏へのインタビュー。

 難しい問題ですが、考えていかなければなりません。

安倍総理は令和元年第12回経済財政諮問会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201911/27keizaishimon.html

令和元年第12回経済財政諮問会議
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1127/agenda.html

議事

(1) 令和2年度予算編成の基本方針(案)
(2) 就職氷河期世代支援プログラムの実行に向けて
(3) 次世代型行政サービスの推進強化

 就職氷河期世代支援プログラムが議論されています。

安倍総理は第1回就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォームに出席しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201911/26hyogaki.html

第1回 就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォーム
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_hyogaki_shien/suishin_platform/dai1/gijisidai.html

 やはり思ってしまうのが、今回のプログラムの対象になっていない45歳から49歳までの無業者が、他の世代より多い(26万人)という状況をなんとかしなければ、といいうことです。

就職氷河期世代」限定の採用、2カ月で正規雇用16人
https://www.asahi.com/articles/ASMCY46TKMCYULFA01F.html

就職氷河期「自己責任」ではない 耐え難い閉塞感と社会リスク
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20191129/pol/00m/010/010000c

 私の関心は、研究歴のあるこの世代の人たちの支援で、常々何かできないかと考えてきました。

 一ついま動き出したのが、ある出版社さんとともに、主に理工系ですが、博士号取得後に様々な多様な職を得ていらっしゃる方々のインタビューを掲載するというものです。

 ベンチャー企業立ち上げました、作家になりました、という成功例だけではなく、とにもかくにもなんとかやっていますという、いわばストラグル、サバイブしている例を積極的に取り上げようと思っています。

 いわゆるロールモデルの提示です。

 ロールモデルになってもよいという理工系博士号取得者の方がいらっしゃいましたら、enoki@kaseiken.org までご一報頂けますと幸いです。

量子計算機「実用20年後」 政府、技術開発で工程表
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019112701001903.html

量子計算機を「20年後実用化」 政府有識者会議
https://mainichi.jp/articles/20191128/ddm/012/040/093000c

★第2回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/20191202/agenda.html

1.当面の重点事項について
2.規制改革ホットラインの運営について

デジタル活用前面に 規制改革推進会議、重点テーマ提示
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52849610S9A201C1PP8000/

★健康成人を対象とした治験における死亡例発生事案に係る調査結果の公表について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08131.html

「治験薬と被験者 A で生じた有害事象との因果関係は否定できない」とのことです。

東京港青海ふ頭におけるヒアリの確認について
https://www.env.go.jp/press/107505.html

ヒアリ500匹超、また東京港で 小泉環境相「定着の証拠は確認されず」
https://mainichi.jp/articles/20191129/k00/00m/040/078000c

 ヒアリがまた発見されました。

★強毒ヒアリ定着を食い止めろ 港湾で駆除作戦
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52814200Z21C19A1SHB000/

 定着を阻止するため、関係者の皆さんには頑張って頂かなければなりません。そのためにも我々も関心を失わないようにしていきましょう。

★ヘリウム不足に研究者悲鳴 価格が倍増、実験中止も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52785190Z21C19A1TJM000/

 何度か記事になっていますが、深刻な絵鏡が出ています。

★Chinese ministry investigates duplications in papers by university president
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03599-w

Top Chinese scientist faces questions about publications
https://science.sciencemag.org/content/366/6469/1060

★Academics should not need to live in fear for the pursuit of their science
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03626-w

 先週ご紹介した、学者が殺害などの迫害を受けているという事例。

 日本でも学問の自由が脅かされる事態がこないようにしなければなりません。

Quintet of study retractions rocks criminology community
https://www.sciencemag.org/news/2019/11/quintet-study-retractions-rocks-criminology-community

★Archaeology society votes to let board ban sexual harassers from meetings
https://www.sciencemag.org/news/2019/12/archaeology-society-votes-let-board-ban-sexual-harassers-meetings

★Universities move to stop passing the harasser
https://science.sciencemag.org/content/366/6469/1057

 日本ではハラスメント規制法が成立しましたが、研究現場におけるハラスメント対策が十分か、よく考えてみる必要があります。

★‘It Was Unmistakably A Directed Attack’: 4 Ebola Workers Killed In Congo
https://www.npr.org/2019/11/28/783582331/it-was-unmistakably-a-directed-attack-4-ebola-workers-killed-in-congo

Ebola responders killed as violence flares
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03667-1

 コンゴ民主共和国で、エボラ出血熱に関わる人々が殺害されるという悲しい事件が相次いでいます。非常に厳しい状況です。

★Vaccines
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03635-9

 Natureの特集はワクチン。

★Don’t demonize parents who are hesitant to vaccinate - discuss their worries instead
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03641-x

 反ワクチン運動が激化するなか、どうすればよいのか…示唆に富む記事です。

★世界で初めてヒト胚に遺伝子編集を行った中国の科学者が行方不明に、赤ちゃんの所在も不明
https://gigazine.net/news/20191127-china-scientist-missing/

1 year later, mystery surrounds China’s gene-edited babies
https://apnews.com/86e4e98f7db64d0a9448e621a298ca58

1 year later, here's what we know about the mystery surrounding China’s gene-edited babies
https://journaltimes.com/news/national/year-later-here-s-what-we-know-about-the-mystery/collection_c94c24e0-7a94-5fc7-944f-0a46dffc961c.html

Opinion: Don’t Ban the Use of CRISPR in Embryos
http://bit.ly/37VcAc7

 あの大事件から1年。謎が深まっていますが…。

★科学政策の意思決定の指針となる「研究の研究」プロジェクト
https://www.editage.jp/insights/new-research-on-research-project-to-guide-decision-makers-on-research-and-science-policy

Research on Research Institute(RoRI)について。

★In unpublished paper, former White House climate adviser calls methane ‘irrelevant’ to climate
https://www.sciencemag.org/news/2019/11/unpublished-paper-former-white-house-climate-adviser-calls-methane-irrelevant-climate

★Joint statement on EPA proposed rule and public availability of data (2019)
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03664-4

★Major journal editors blast EPA’s ‘secret science’ rule, again
https://www.sciencemag.org/news/2019/11/major-journal-editors-blast-epa-s-secret-science-rule-again

 EPAをめぐる情勢が議論を読んでいます。

★U.K. parties stake out science stances in ‘Brexit election’
https://science.sciencemag.org/content/366/6469/1058

 選挙が迫ってきています。

★PhD students in China report misery and hope
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03631-z

 中国の大学院生の実態。

★Power of connection: why the Russia-Europe gas trade is strangely untouched by politics
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03694-y

★「研究者と家族の抱える問題」実態調査
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfObAPrSBuwG-EvBt267BMp31FTE5ZCrtMCyd4UHxoQDT1RGQ/viewform

 転々と職場をかえていく研究者と家族の問題は大きな問題です。実態を知ることは重要です。