科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

予算案、国立大学教授の年俸制、次世代加速器、IWC脱退

2018年12月18日~2018年12月25日
カセイケン代表 榎木英介

 今年最後のメルマガです。個人的なことですが、現在病理医としての仕事のため、カンボジアプノンペンに来ており、現地でこの文章を書いています。

 北緯11度。クリスマスですが、外気温は32度。雪など降りません。

 wi-fi環境は充実していて、メルマガも作れます。カンボジアの話はこのメルマガの主題ではありませんが、別のところでまたお話しできればと思います。

 公務の間に作っていますので、若干いつもよりは少なめに。

平成31年度予算政府案
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2019/seifuan31/index.html

来年度予算案、101兆4564億円 大台超え決定
増税対策2兆円 税収最高でも借金頼み
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39202650Q8A221C1MM0000/

文部科学省
★平成30年度予算
http://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h30/1394803.htm

2019年度予算
http://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h31/1408722.htm

 予算案が成立しました。100兆円を始めて超えたこの予算。科学技術関連は以下のようになっています。

文教・科学技術予算(PDF:766KB)
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2019/seifuan31/11.pdf

概要(PDF:347KB)
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2019/seifuan31/12.pdf

≪予算の「使い方」の見直し≫
○ 文教・科学技術分野の真の課題は、予算の「量」ではなく、予算の「使い方」
○ 「単純な配分」から「質の向上に実効性のある配分」へ予算の使い方を見直し

 国立大学法人の運営費交付金は、一部成果に応じた配分を行います。

原則前年同額で固定して配分してきた仕組みから、
評価に基づく配分を 1,000 億円に拡大(うち、700 億円は成果に係る共通指標(※)によ る相対評価に基づく配分、300 億円は既存の重点支援評価に基づく配分)
※ 成果に係る共通指標:若手研究者比率、
運交金等コスト当たりトップ 10%論文数、
教員一人当たり外部資金獲得実績 等

 科研費は若手優先に。既報ですが、2,286 億円から2,372 億円 へ、+3.8%増。

評価に基づき配分される科研費について、大型研究種目から若手研究者向け研究種目 へのシフトや一部種目における若手研究者の積極的採択など、若手研究者への重点化を 進めつつ、充実

 このほか、ポスト「京」の開発として今年の56 億円から99 億円 と、+76.0%)増額。この他、 30 年度 2 次補正予算で 209 億円を計上したとのこと。

★平成30年度補正予算(第2号)
平成 30年12月21日
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2018/hosei301221.html

★総合科学技術・イノベーション会議(第41回)議事次第
https://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui041/haihu-041.html

議事

1.大学改革について
2.AIについて
3.ムーンショット型研究開発制度の基本的考え方について(案)

安倍総理は第41回総合科学技術・イノベーション会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201812/20kagaku.html

国立大教授の年俸制を推進 政府イノベーション会議
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39194240Q8A221C1PP8000/

首相「国立大への交付金、1割は成果に応じ配分」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39173030Q8A221C1EAF000/

AIの専門家を年100人育成 政府、来年夏までに国家戦略策定へ
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2018/12/20181221_01.html

科学技術 AI開発に重点
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39265870R21C18A2M10900/

 総合科学技術・イノベーション会議では、大学改革やAI、話題のムーンショットについて。ムーンショットについては資料をみてみましょう。

ムーンショット型研究開発制度の基本的考え方について(案)
https://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui041/siryo3.pdf

未来社会を展望し、困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される 社会課題等を対象として、人々を魅了する野心的な目標(以下「ムーンショット目標」という。)及び構想を掲げ、最先端研究をリードするトップ研究者等の指揮の下、世界中から研究者の英知を結集し、目標の実現を目 指すこと

また、基礎研究段階にある様々な知見やアイデアが驚異的なスピードで産業・社会に応用され、今日、様々な分野において破壊的なイノベーションが生み出されつつある状況に鑑み、我が国の基礎研究力を最大限に引き出す挑戦的研究開発を積極的に推進し、失敗も許容しながら革新的な研究成果を発掘・育成に導くこと

その際のマネージメントの方法についても、進化する世界の研究開発動向を常に意識しながら、関係する研究開発全体を俯瞰して体制や内容を柔軟に見直すことができる形に刷新するとともに、最先端の研究支援システムを構築すること。また、将来の事業化を見据え、オープン・クローズ戦略の徹底を図ること

 などを旨とし、総合科学技術・イノベーション会議が司令塔となり、JSTNEDOが業務を行うそうです。

 ImPACTの問題点を改善するそうですが…。せめてImPACTの二の舞にならないように、人々にとって真に役立つ研究成果を出して欲しいと切に願います。

★日本、IWC脱退へ
政府方針、商業捕鯨の再開めざす
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39220570Q8A221C1MM8000/

IWC脱退、代償大きく
国際非難は必至、捕鯨増も見通せず
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39204040Q8A221C1EA1000/

 これはビッグニュース。いつもは異なった意見を出す朝日新聞産経新聞が、社説でこれを批判しています。

IWC脱退へ 翻意して粘り強く説得を
https://www.sankei.com/column/news/181221/clm1812210002-n1.html

IWCと日本 脱退は短慮に過ぎる
https://www.asahi.com/articles/DA3S13824230.html

★回答「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する所見」
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-k273.pdf

次世代加速器「支持せず」
国内誘致巡り学術会議
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39165620Z11C18A2CR8000/

Plans for world’s next major particle collider dealt big blow
https://www.nature.com/articles/d41586-018-07833-9

加速器計画に慎重な意見「政府は前向きな意思を」
岩手知事ら
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39155460Z11C18A2L01000/

 日本学術会議文科省への回答。慎重な姿勢となりました。これを受け、政府はどんな対応を取るでしょうか。多くの研究分野が影響を受ける可能性があるわけで、目を離してはなりません。

近未来における加速器ベースの高エネルギー素粒子実験の望ましい進め方として、 エネルギー・フロンティアを追究するハドロンコライダー(現状では LHC 及びその将来計 画)と、これと相補的な役割を担うハイ・ルミノシティのレプトンコライダーを世界のど こかに実現することが考えられている。一方では、人類が持つ有限のリソースに鑑みれば、 高エネルギー物理学に限らず、実験施設の巨大化を前提とする研究スタイルは、いずれは 持続性の限界に達するものと考えられる。ビッグサイエンスの将来の在り方は、学術界全 体で考えなければならない課題である。

★「国立大学の一法人複数大学制度等について(案)」に関する意見募集の実施について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/12/1412074.htm

 岐阜大と名古屋大の経営統合が進んでいますが、意見募集となりました。

 岐阜大ではひとつの学部の廃止に強い反対論が出ています。

岐阜大、96年新設学部「廃止」の大いなる波紋
地域科学部→経営学部、教員や学生は猛反発
https://toyokeizai.net/articles/-/255807

 統合との関連性が取りざたされていますが…。

★“空飛ぶクルマ”の実現に向けたロードマップを取りまとめました
http://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181220007/20181220007.html

★「スタートアップ×知財戦略」のためのポータルサイト“IP KNOWLEDGE BASE for Startup”を開設しました
http://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181219004/20181219004.html

★研究機関における公的研究費の管理・監査について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/kanrikansa/index.html

厚労省

★「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」の報告書を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02924.html

★依存症の理解を深めるための普及啓発事業を実施します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02986.html

★Plan S: The Ambitious Initiative to End the Reign of Paywalls
https://www.the-scientist.com/news-opinion/plan-s-the-ambitious-initiative-to-end-the-reign-of-paywalls-65231

★Plan Sガイダンスの詳細をよく見よ。彼らは譲歩などしていない(記事紹介)
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=10980

 相変わらずもめています。

★US science agencies hit by government shutdown
https://www.nature.com/articles/d41586-018-07836-6

U.S. shutdown begins: ‘It’s disheartening... discouraging... deflating’
https://www.sciencemag.org/news/2018/12/us-shutdown-begins-it-s-disheartening-discouraging-deflating

U.S. scientists brace, again, for a government shutdown
https://www.sciencemag.org/news/2018/12/us-scientists-brace-again-government-shutdown

What a partial US-government shutdown would mean for science
https://www.nature.com/articles/d41586-018-07825-9

 米国政府がシャットダウン。プノンペンのホテルでCNNを見ていましたが、シャットダウンまでのカウントダウンとシャットダウンからの時間を表示していました。

★Max Planck Society Ends Elsevier Subscription
https://www.the-scientist.com/news-opinion/max-planck-society-ends-elsevier-subscription-65258

 エルゼビア問題。

★Women can benefit from female-led networks
https://www.nature.com/articles/d41586-018-07878-w

★Make it easier for me to deliver childcare at conferences
https://www.nature.com/articles/d41586-018-07783-2

 Natureのキャリアサイトが、学会に子供を連れて行くことを特集しています。これ以外にも記事があります。