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平成23年度概算要求でる

メルマガ発行直後に公表されたので、メルマガで紹介することはできなかったが、文部科学省から概算要求が公表された。

平成23年度予算 概算要求

早速みてみる。

まずは平成23年度文部科学省 概算要求・要望のポイント (PDF:385KB) から。

平成22年度予算額が5兆5,926億円、平成23年度要求・要望額が5兆8,348億円。2,422億円、4.3%の増。

要求額を6,206億円減らし、要望枠で8,628億円増やしている。

財務省がどの程度認めるのだろう。

さて、話題の大学予算だが、こうなった。

国立大学法人運営費交付金1兆1,909億円(324億円増)
・我が国の人材養成・学術研究の中核である各国立大学法人等が安定的・継続的に教育研究活動を実施できるよう、授業料免除枠の拡大、附属病院に対する支援の充実などを通じ、大学運営に必要な基盤的経費である国立大学法人運営費交付金を拡充
◇授業料免除枠の拡大免除率:6.3%→8.4%(博士課程:12.5%) 58億円増
免除者数:約3.7万人→約4.8万人
※今後3年間で授業料免除率を過去最大の水準(12.5%(博士課程は25%))まで段階的に引上げ
◇特別なニーズを抱える学生の受入れ支援強化26億円増
◇新成長戦略の実現に資する新たな教育研究プロジェクトの推進100億円(新規)
◇メディカル・イノベーションを担う国立大学附属病院の教育研究の充実強化100億円(新規)
◇サポート体制の強化による教育研究設備の有効活用の促進165億円増など

 学長たちの陳情が効いたのか、増額となっている。

 奨学金は、給費制とまではいかないものの、増額となるようだ。

大学等奨学金事業の充実1,440億円(131億円増)
※事業費1兆1,003億円(948億円増)
・無利子奨学金の貸与基準を満たしながら貸与を受けられていない者の解消など抜本的に拡充
◇貸与人員118万人→131万人(12.4万人増)
無利子34.9万人→38.6万人(3.7万人増)※前年度増員数の約8倍
有利子83.4万人→92.1万人(8.7万人増)
◇残存適格者の解消(学部等:2.3万人増、大学院:0.3万人増)
◇学力基準の緩和(成績上位1/3から2/5へ〈5ヵ年計画:1年目は0.65万人増〉)
◇大学院生の業績優秀者免除制度の拡大(0.9万人規摸(3割)→1.2万人規摸(4割))

「リーディング大学院」もできるらしい。

博士課程教育リーディングプログラム52億円(新規)
・国内外の優秀な教員と学生を結集し、産業界等との連携の下で、国際標準の博士課程教育を実施する「リーディング大学院」の形成を支援し、成長分野などで世界を牽引する
リーダーを養成(20件)

その他若手研究者がらみでは、以下の新規事業が目を引く。

テニュアトラック普及・定着事業27億円(新規)
・新たなキャリアパスとして、テニュアトラック制(公正に選抜された若手研究者が安
定的な職を得る前に自立的研究環境で経験を積む仕組み)を位置付ける大学等を支援
○頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣事業20億円(新規)
・未開拓の課題に挑戦する若手研究者の組織的・戦略的な海外派遣を支援
○特別奨励研究員事業5億円(新規)
・特に優れた若手研究者に対し、自由度の高い奨励金を給付
○リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備5億円(新規)
・研究マネジメント人材(リサーチ・アドミニストレーター)の養成と定着を支援し、研究者の負担を軽減

科研費は100億円増。

科学研究費補助金2,100億円(100億円増)
・研究者の自由な発想に基づく研究(学術研究)を支援。特に若手研究者のチャレンジ機会を拡充すると共に、基金化など研究費の複数年度執行を可能とする仕組みの導入を検討

政策科学にも力を入れるらしい。

科学技術イノベーション政策における政策のための科学の推進10億円(新規)
・「客観的根拠に基づく政策形成」の実現に向け、科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」のための体制・基盤の整備や、研究の推進及び人材の育成を実施

以上、あくまで気になった部分だけだが、ポイントからいくつかピックアップした。

より詳しい資料は、平成23年度文部科学省 概算要求等の発表資料一覧(平成22年8月)にあるので、またみてみたい。