資料が公表されたことを見落としていたのだが、文部科学省の予算監視・効率化チームの第2回会合の資料の中に、熟議の議論も含めた成果があった。
研究費・プロジェクト系教育経費の 効果的予算措置に関する中間報告 (案)
鈴木副大臣をリーダーとする「予算監視・効率化チーム」の特命事項として、研究費・プロジェクト系教育経費の効果的予算措置について集中的に検討を行う「特命チーム」を設置し、検討を開始。平成22年6月に若手研究者と鈴木副大臣との意見交換会を実施するとともに、同日より「熟議カケアイ」を活用することで、現場の研究者の意見を約1ヶ月間収集。これまで文部科学省が実施してきたアンケート等の成果と併せつつ、研究費・プロジェクト系教育経費の今後の検討における論点と 方向性について議論を進めてきた。
熟議カケアイでの議論はこちら
現場の研究者と行政官などがひざを突き合わせ、またネット上で議論し、作り上げていったものだ。
私は現役研究者じゃないので、現場の意見がどの程度反映されているのか、ぜひご意見を伺いたい。
もちろんこれで十分というわけではないだろう。足りない部分はいっぱいあるだろう。
それは、これから現場の研究者が声をあげて、行政に伝えていこう。
twitter上の議論で少し気になったことがある。
とちょっと文句というか、他力本願な意見が聞かれたことだ。
意見があるのはとても結構だし、批判は重要だ。
そういう意見を取り入れるために熟議があった。熟議を知らなかったというのは、まあ、仕方ない面はある。熟議は今は締め切っちゃったし。
けれど、あれをしてくれなかった、これをしてくれなかった、あれもない、これもないと文句をいうのではなく、ああしましょう、こうしましょう、と前向きに提案したほうがいいように思う。
どうも行政のやることは信じられない、悪いことだ、という不信感が見え隠れする。
たまたま、茂木健一郎氏がブログで研究費問題を取り上げていた。
貴重な公金を、有益に使うべきだという趣旨はわかる。しかし、その方法が間違っている。霞ヶ関の人たちは、真に効率的な研究費の使い方は何かを真剣に考えて、即実行してほしい。意味のない書類はできるだけ減らすべきだし、使途も大幅に自由にすべきである。なにしろ、科学技術は日本にとって将来を築く礎。この国難ともいうべき状況において、意味のないペーパーワークに研究者たちの労力を費やさせる愚を悟ってほしい。
最後に、日本の研究者は、我慢しすぎだと思う。科研費などがいかに使い勝手が悪いか、理を尽くして声を上げるべきではないか。既存のルールに、盲従している時代ではない。プリンシプルに照らして現行のルールに問題があれば、それを修正すれば良い。そうでなければ、本当に国が沈む。
茂木さんは、この報告書のことも、熟議のことも、神経科学者SNSの提言も知らないようだ。ちょっと残念だが、茂木さんの言う「理を尽くして声を上げ」、行動する研究者が少しずつだが増えてきて、政府も門戸を開くようになった。
政策をお上にお任せする時代が終わりを告げようとしている。
だが、まだまだだ。
政策はお上にお願いして作るもの、という意識から、研究者も当事者として政策立案や監視に関わる。
そんな時代の第一歩として、この報告の意義はあると思う。
これからは、立場を超えた人たちが、科学技術政策に関する熟議に加わり、行動してほしい。