先週、政策に対する意見募集が複数始まった。
まず、第4期科学技術基本計画案である「科学技術基本政策策定の基本方針(案)」に関するご意見募集だ。
2011年から15年までの5カ年の間の科学技術政策の方向性を決める重要な案だ。
もちろん、第3期以前の基本計画も意見募集があり、私たちも意見を送ったことがある。
NPO法人サイエンス・コミュニケーション有志、【「科学技術に関する基本政策について」に対する答申へ意見を出す
サイコムジャパン、科学技術政策に対するコメント発表発行日: 2004/10/15
それと何が違うのか。
募集要領(PDF:310KB)で、津村啓介内閣府政務官は、以下のように述べている。
こうやって、議論のプロセスを公開し、国民参加型の政策づくりを徹底して実践することは、霞ヶ関では大変異例なことです。結論ありきではありません。一見中途半端な方針案を敢えてお示しして、みなさんのご意見を伺おうとするのは、国の将来を左右する重要な科学・技術であるからこそ、国民のみなさん、科学者、そして私たち政治家が、開かれたコミュニケーションの中で一緒に政策の基本方針をつくり上げていきたいという強い思いからです。
ご批判も下さい。建設的なアイデアもお寄せ下さい。みなさまの率直な意見をお聞かせいただきたいと思います。
そして、新たな時代に相応しいより良い科学・技術をみなさんと一緒につくり上げていきましょう。
これは、政策決定の「オープン化(可視化)」と「フラット化(誰でも意見が言える」の第一歩として歓迎したい。
サイエンスポータルのオピニオンで述べたように(オープンでフラットな科学・技術政策を)、特定の集団や個人の意見だけに政策が左右されるのは問題だと考えている。特定の利益のための政策になり、公益が損なわれるからだ。
よく誤解されるのだが、これは若手優遇ではない。
若手(これも議論のある言葉だが、とりあえず、研究歴の少ない者としておく)は今まで政策を含め、さまざまなことに意見を政策に言うことができなかった。名前を出して発言することさえままならず、理解のあるシニア研究者がいれば意見は取り上げられるが、意見を握りつぶされ、それどころか地位を追われる可能性すらあった。
これでは、若手をめぐる問題が政策課題に上ってくることはまれだし、あったとしてもシニア研究者のフィルターを通してしか上がってこない。
若手だけが意見を反映されれば、それは若手とシニアの立場が逆転してしまうだけだ。
そうではなく、若手も、シニアも、誰でも意見が言えるということが重要なのだ。
そして言っただけではなく、それを政策が反映することが重要だ。
合意を得る努力が重要だが、ある種の利害対立もあるだろう。それを「公益」「未来」の視点で政策としてまとめ上げるのが政治の役割だ。
そして、どうしてそのような決定がなされたのかは、外から見えなければならない。
現在少しずつではあるが、政策のオープン化とフラット化が進んでいるように思う。twitterのようなツールも、これに拍車をかけているように思う。
現在ほかにも大きな意見募集が行われている。
「国立大学法人化後の現状と課題について(中間まとめ(案))」について
こちらは熟議カケアイで意見を募集中だ。
また、私も出席することになった「研究費を効果的に使用するための予算制度の在り方に関する「熟議」の実施及び若手研究者による意見交換会」は、Ustream中継が予定され、その後熟議カケアイ内で議論が始まる。
こうした動きはまだまだ始まったばかりだ。民主党政権が終わったらこの動きも終わり、では意味がない。
だから、皆さん一人ひとりが、積極的に政策に意見を言っていただきたい。政権がどうなろうと、この流れが止まらないことを示してほしい。
意見を言うのは正直言ってしんどいかもしれない。
けれど、誰かに政策決定を任せ、文句だけ言っても何も変わらない。
私たち自身の行動が試されているのだ。