先日の行政刷新会議の仕分けで、科学技術予算が次々と削減されたことに関して、なんとかしなければ、という声が研究者の中から起こってる。
もちろん、多様な意見があって、人文科学、社会科学の研究者からは、ようやく理工系科学研究も、存在意義を必死で説明しないといけないという、人文社会が長らく経験してきた状態になった、という冷ややかな声が聞かれる。科学研究者が市民の厳しい声を聞かず、まだ独りよがりで、自分たちは社会から支持されて当然と思っているとの批判も受けた。
一般の人たちからも厳しい声が聞かれる→こちらなど。
そういう声を受け止める必要がある。研究者はラボをでよ、街に出よう、ということだ。
そして、研究者は、もし科学研究が重要であるというのなら、必死で訴えなければならない。昨日の博士ネットワークミーティングで円城塔氏が言われたように、発信しなければ滅びるのだ。
上から目線ではなく、市民の目線で、科学の重要性を語らなければならない。厳しい声にも耳を傾け、それでも語らなければならない。「自分の研究が素人に分かるはずもない」と言ったところで、研究費のパトロンを税金に求めるなら、やりたくない、できないなどと言ってられない状況だということを理解しないといけない。
もちろんホリエモン氏がいうように、政府を頼らない、という道も真剣に考えないといけないかもしれない。
行動を起こそう、という声があちこちで上がっている。
科学研究費補助金の一部の執行停止に対する反対署名 は募集を再開した。こちらのサイトには、わずか数日で、様々な情報が集まっている。大隅典子先生のサイトも、コメント受付を再開して、意見を募っている。
ただ、行動を起こそうにもう、どうすればよいかわからない戸惑いも感じる。
以下行動の起こし方をまとめてみたい。
- アウトサイド戦略
これは、マスメディアなどを通じて、世論を動かすというもの。
具体的には
- 朝日新聞「私の視点」に投書
- 科学雑誌Nature、Scienceに投書(世界に訴える)
- 知り合いの記者の方に連絡
- デモやストライキなどを起こす
- 本を書く
- ブログを書く
- 有力科学者の賛同を得た声明を発表する(ノーベル賞受賞者などはインパクト高い)。
- シンポジウム、勉強会の開催
- インサイド戦略
これは行政や政治家にアプローチするという方法。
- 署名活動(これはアウトサイド戦略でもある)
- 官僚や国会議員に会う
- 議員を呼んで勉強会開催
- 議員の朝食会などで話す
- 国会議員や政党にメールを出す、手紙を出す、FAXを送る
- 選挙
- 科学者代表の議員を送り込む
こうした手段を組み合わせて、人々に理解を得て、政策を変えていく。
効果的にやるなら、同じテーマで一斉にブログを書くというような戦術もありうる。質の高いプレゼンテーション資料も必要だ。また、人々の心に残るストーリーを述べることも必要だろう。今回、過去何年にわたって科学コミュニケーションの重要性や政策提言団体を訴えたところで聞き入れられなかったことが、仕分けという目に見える形を経たら、一発で理解されたわけだし。
もちろん、それが「私益」ではなく「公益」であるということは強調しないといけない。新たな族議員を作り、癒着した業界を作るのは、これからの時代にはそぐわない。
こうしたことを、個々がやりつつ、ネットワークを作るのも重要だ。反貧困ネットワークは、世論を動かし、政治を動かした。男女共同参画学協会連絡会は、女性研究者比率20%や学振RPD制度など具体的成果を出した(#その学振RPDがどうなるか分からなくなってしまったが)。
まずできることは、メールをだすことだ。
と言われているように、どんどんメールをだそう。民主党の意見募集はこちら。
また、繰り返し述べてきたように、AAAS、憂慮する科学者同盟、The National Postdoctoral Association (NPA) のような団体を作り、継続的な活動をすることも重要だ。
まだまだできることはある。あきらめずやっていこう。
参考図書
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