科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

新団体サイエンス・サポート・アソシエーションの設立

行政刷新会議事業仕分け」から2ヶ月。研究者の間には安堵感が漂っているように思う。

様々な立場の研究者、市民が、科学技術政策に対して意見を言った。一部抗議や誤解のようなものも混じっていたが、それでもそれぞれが自分の意見を堂々と述べた。

これを見て、私は、科学コミュニティも変わるのではないかという期待を抱いた。政府の方向だけ見てモノを言えば事足りた時代は終わり、研究者自身が自発的に政治や社会と向き合う第一歩となるのではないかと思った。

しかし、平成22年度の予算が思った以上に縮減の影響を受けずにすみ、また成長戦略にて科学技術にGDPの4%を投じるという野心的な目標が掲げられたのがわかると、「あの騒ぎはなんだったのだろう」という声が研究者の間からあがった。

たしかに、結果だけみれば、「大山鳴動して鼠一匹」ではある。しかし、そこに、声を上げた人たちがいたことを忘れてはいけない。

「喉元過ぎれば熱さ忘れる」となってしまっては、この数カ月は意味がない。

ここで、再び「象牙の塔」に戻り、社会に背を向け、政府の庇護に頼ることは、もはやできない。科学技術の市民参加の動きは止まらないのだ。

事業仕分け以来の経験を、今後の科学・技術と社会のあり方を考える行動につなげていかなければならない。


私達NPO法人サイエンス・コミュニケーションサイコムジャパン)は、昨年9月に開かれた総会で、事業を分割し、科学・技術政策や社会のあり方を考える新団体を設立することを決めた。

団体設立の議論を進めてきたが、そこに事業仕分けという突発事態が発生した。その中で、全米科学振興協会(AAAS)やBritish Science Association、Euroscienceのような、ボトムアップ(草の根)の研究者、市民の組織を作るべきだと考え、「研究者ネットワーク準備の会」を立ち上げた。

現在、研究者ネットワーク(仮)設立に向けて準備を進めている。
http://sci-support.org/?page_id=20

ただ、本格的な組織を作るには、ある程度時間がかかる。しっかりとしたビジョン、ミッション、戦略を立て、準備をすすめていかなければならない。かと言って、議論だけしていればいいというものではない。情勢は動いているからだ。特に、科学コミュニティに安堵感が漂っている今こそ、継続的な活動を行う組織を作ることが必要だ。

そこで私達は、まずサイコムジャパンの事業の一部をもとに、小規模団体を立ち上げることにした。

それが「サイエンス・サポート・アソシエーション」(SSA)だ。
http://sci-support.org/

現在ウェブサイトを立ち上げ、サイコムジャパンの事業であるメーリングリストSNSを移管しつつある。

このメールマガジンも、9月の総会での取り決めの通り、サイエンス・サポート・アソシエーションが運営主体となるメールマガジンに移行する。

メールのタイトルや名称の一部が若干変更になるが、基本的運営方針は変わらないので、ご安心いただきたい。今月を移行期間とし、2月には名称変更するので、メールの振り分け設定等を行っている方はご注意いただきたい。

SSAは近日中に法人化する予定だ。

SSAを窓口として、研究者ネットワーク(仮)の設立準備を行っていきたい。

SSAが目指すのは、科学・技術を中心とした、人間の生み出す知を大切にし、知が人々の生命や安全、文化のために活かされる社会だ。また、社会に活かされる「知」が生み出される研究環境の実現を目指したい。

この小さな団体でどこまでできるか。挑戦ではあるが、可能な限りのことをしていきたい。そしてなにより、持続可能な団体にしていきたい。

欧米の社会の強みは、巨大なNPOとともに中規模、小規模の団体が多数存在することだ。それが、科学・技術と社会の関係に深みと広がりを与えている。日本でも、科学・技術と社会を考える団体がもっとあっていい。

SSAの活動をみて、自分たちでもできるかもしれない、と思ってもらえたら嬉しい。

私はサイコムジャパンの理事も兼ねるので、サイコムジャパンとSSAは密接な関係を保ちつつ、ともに「知を駆動力とする社会」の実現に向けて活動していきたい。