科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

【15】科学・技術
科学、技術の調和のとれた振興と、大学・研究機関の充実・発展をはかります

 科学、技術は、その多面的な発展をうながす見地から、研究の自由を保障し、長期的視野からのつりあいのとれた振興をはかってこそ、社会の進歩に貢献できます。とりわけ、基礎研究は、ただちに経済的価値を生まなくとも、科学、技術の全体が発展する土台であり、国の十分な支援が必要です。

 ところが、自民・公明政権による科学技術政策は、大企業が求める技術開発につながる分野に重点投資し、それ以外の分野、とりわけ基礎科学への支援を弱めてきました。そのため、少なくない分野で学問の継承さえ危ぶまれる事態がうまれています。大学や公的研究機関では、独立行政法人化によって、財政ひっ迫から基盤的な研究費が底をつき、大学間格差もいっそう拡大しています。多くの研究者が、研究費獲得のための業績競争にかりたてられ、自由な、腰をすえた研究にとりくむことが困難になっています。

 安倍内閣の「イノベーション戦略」は、研究現場の深刻な現状を打開するどころか、こうした方向をいっそう強めるものです。大企業の競争力を強めるための新技術にむすびつく研究に競争的資金(評価によって配分する研究費)を倍増するなど、経済効率一辺倒の「大学改革」をはかろうとしています。とりわけ、国立大学の教職員数に応じて配分されている運営費交付金を、競争的資金に変える検討がされていることは重大です。これが具体化されれば、文科省財務省の試算でも6割近い国立大学で運営費交付金が半分以下に減額されるなど、多くの大学で教育研究の基盤が崩れてしまい、財政力の弱い中小の国立大学は消滅しかねません。新しい産業拠点をつくるために大学の大規模な再編統合がくわだてられていることとあわせ、国民にとって重大な問題です。

 日本共産党は、安倍内閣の経済効率優先の科学技術政策を転換し、科学、技術の多面的な発展をうながすための振興と、大学・研究機関の充実・発展のために力をつくします。

1、基礎研究を重視し、科学、技術の調和のとれた発展をはかる総合的な振興計画を確立します
 人文・社会科学の役割を重視するとともに、欧米に比べても弱い国の基礎研究支援を抜本的に強めます。研究の自由と、安定した雇用を保障する制度を確立するなど、研究者の地位を向上させ、権利を保障します。

 技術開発への国の支援は、「公開、自主、民主」の原則にたっておこなうとともに、大企業優遇ではなく、平和と福祉、安全、環境保全、地域振興など、ひろく国民の利益のためになされるべきです。憲法の平和原則に反する科学、技術の軍事利用に反対します。

 科学技術基本計画を政府がトップダウンで策定するやり方をあらため、日本学術会議をはじめひろく学術団体の意見を尊重して、科学、技術の調和のとれた発展をはかる総合的な振興計画を確立します。

5、産学連携の健全な発展をうながします
 産業と学術が連携し、協力しあうことは、互いの発展にとって有益なことです。同時に、大企業の利潤追求に大学が追随するような連携では、大学本来の役割が弱められ、研究成果の秘匿や企業との癒着がうまれるなど、学術の発展にふさわしくない弊害を招きます。

 産学連携の健全な発展を、以下の方向でうながします。

 (1)国からの一方的な産学連携のおしつけでなく、大学の自主性を尊重し、基礎研究や教育など大学の本来の役割が犠牲にされないようにする。(2)企業との共同研究の際、学会などでの研究成果の公開が保障され、だれでもひろく使えるようにする。(3)企業から受け入れた資金は、大学の責任で管理、配分することを原則とし、研究者と企業との金銭上の癒着をつくらない。(4)産学連携を推進する国の事業(共同研究への補助など)は、地域や地場産業の振興にも力を入れ、中小企業の技術力向上への支援を拡充する。