科学・政策と社会ニュースクリップ

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自民党総裁選、各候補の高等教育、科学技術政策は?

 前回書いたとおり、自民党が総裁選のアンケートを一切答えない方針を出しました。

 そこで、各候補の高等教育、科学技術政策(基礎研究中心)を、各候補が出している政策集からピックアップしてみます。

各候補の政策

高市早苗候補
  • 学術研究機関等による数多くの優れた研究成果が活用されていないケースが散見され、残念に思っています。有効にビジネス展開できる仕組みを整えます。
  • 「社会人が働きながら学ぶ持続教育」「実学重視のルートの多様化」(高専・専門高校の拡充と実学志向の大学への編入、最先端の設備を使った大学教育等)に加え、引き続き「研究者の処遇改善と活躍の場の確保」に注力します。
小林鷹之候補
  • 世界で活躍できる人材育成のため、完全国費留学制度の創設等による留学の後押し、近現代史の正しい理解醸成を行います。
  • 人間としての「志」「芯」をつくる教育(リベラルアーツ)を充実します。
  • 科学の発展基盤となる基礎研究の再興など、高等教育を抜本的に強化します。
小泉進次郎候補
  • スタートアップ支援強化、イノベーションを加速するための大学等の見直し、教育制度の抜本改革。こうした構造改革に取り組みます。
上川陽子候補
  • 半導体、AI(人工知能)、バイオ、ヘルスケア、航空宇宙、次世代原発、ブルーエコノミーといった新産業・ 領域の成長に向け、「令和版産業構造ビジョン」を策定し、科学技術イノベーションと社会実装を飛躍させます。
  • 政治と産官学での女性の意思決定参画を後押しします
  • 大学院などを対象にした奨学金を拡充します。女性の理科系大学進学率を高めていきます
加藤勝信候補
  • 給付型奨学金を含めた高等教育支援の拡充
河野太郎候補
  • 大学卒業後一定の年収になってから返済を始める「出世払い」の学費支援を拡充する
  • 国際的な教育水準に準拠したカリキュラムや、先進的なカリキュラムを備えた学校を一条校として認め、教育の複線化を図る
  • 先進的な海外の高等教育機関を積極的に誘致する
  • 個別補助金など短期的な資金を、安定的に研究を続けられる大学運営費交付金に振り替える
  • 博士課程、ポスドクの人材への給付制度を創設する
石破茂候補
  • 国立大学・高専の授業料無償化
  • 給付型奨学金の拡充やリ・スキリング支援の強化など教育の無償化を進めます。
  • 留学生支援と日本人の留学支援のいずれも拡充し、人づくりの国際交流を図ります。
林芳正候補

記載はないようです(個別の政策への言及はあり)。

比較

 まちまちな政策から、各候補の政策をまとめてみます。

  1. 奨学金への言及:上川、加藤、石破
  2. 高等教育の学費無償化への言及:石破
  3. 基礎研究への言及:小林、河野(運営費交付金
  4. 研究者の処遇への言及:高市、河野
  5. 大学改革への言及:小林、小泉

感想

 各候補の政策で、我々が関心の深い課題についての記載をピックアップしてみました。

 基礎研究、奨学金、大学の学費、研究者に対する言及がある候補がいるのはありがたいですが、やはり比較できないのは残念です。記載がないのが必ずしも政策がないことを意味しないので。アンケートやってみたかった…。

 党員ではない一般国民は、総裁選を眺めることしかできません。政策比較の本番は選挙です。選挙がいつになるかは分かりませんが、選挙のアンケートの準備も進めていきたいと思います。