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No.1152 2025年11月26日(発行30日) 巻頭言
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【巻頭言】 AI基本計画パブコメの短さ、柏崎刈羽再稼働、東大不祥事
カセイケン代表 榎木英介
今週も科学技術政策をめぐって、重要な動きがいくつも重なりました。
第一に、「人工知能基本計画」の骨子案が公表され、パブリックコメントが実施されました。AIを、研究開発から雇用、教育、安全保障まで貫く「基盤」としてどう位置づけるかが問われる重要な計画です。
しかし、このパブコメは11月27日にすでに締め切られました。実質2週間足らずのスケジュールで、計画の重さを考えると、率直に言って期間が短すぎると感じています。丁寧な議論と意見集約がどこまでできたのか、今後の説明が必要だと思います。
一方、エネルギー政策では、柏崎刈羽原発の再稼働容認方針が大きな転換点となりました。安全性への不信を完全に払拭しきれない中での判断であり、「国策民営」の限界や、事故後も続いてきたガバナンス問題が改めて問われています。
原子力をどう位置づけるかは、気候政策・エネルギー安全保障・地域社会の行方を同時に左右する、重い選択です。
さらに、東大病院医師の逮捕や、国立国会図書館での大規模な個人情報漏えい、研究不正を扱う会議の抄録にAI生成が紛れ込んだというニュースもありました。これらは個別事件であると同時に、「信頼を基盤とするはずの知のインフラ」が、政治的圧力や不祥事、技術変化によって揺らいでいることの象徴でもあります。
研究者キャリアの面では、博士課程進学をためらわせる経済的不安のデータ、公的支援やクロスアポイントメントによる新たなキャリアモデル、海外への頭脳流出と各国による人材争奪戦など、光と影が同時に見えてきました。AIが研究者の仕事を部分的に置き換えはじめるなかで、「どのような研究者像を社会として支えるのか」という根本的な問いも突きつけられています。
以下、今週の動きの中から、科学政策、研究不正、研究者キャリア、AI政策に焦点を当てて30本をピックアップしました。
なお、theLetterにもメルマガピックアップ記事を書いています。一部記事が重なっていますが、こちらもぜひよろしくお願いします。
科学と社会の接点を読む(2025年11月第4週版):原発再稼働、AI基本計画、研究公正とキャリア https://kaseiken-enoki.theletter.jp/posts/5c35bb90-cdaf-11f0-a173-f1a0ab32206e
◆主要ニュース(30本)ChatGPT 5.1のサポートで解説をつけました。
【1】人工知能基本計画骨子等に関する御意見の募集(※11月27日で終了)
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20251121ai.html
政府のAI政策の“憲法”となる基本計画の骨子案に対するパブコメです。すでに27日で締め切られましたが、実質2週間足らずという期間設定は、計画の重さに比べてあまりにも短かった印象があります。
【2】AI基本計画骨子に関するパブコメ(e-Gov)
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095251080&Mode=0
具体的な意見提出の窓口でした。多くの意見がどの程度反映されるのか、今後の最終案と説明に注目したいところです。
【3】政府、日本版DOGEの設置発表 政策効果の低い事業見直しへ
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014985381000
「政策効果の低い事業」を洗い出す新たな枠組みが示されました。科学技術・高等教育関連予算がどのように評価されるのか、今後の運用が大きな関心事です。
【4】自民党、理系専門人材育成へ新交付金創設を提言
https://news.web.nhk.or.jp/newsweb/na/na-k10014983431000
理系人材不足を背景に、理数系教育・研究への重点投資を求める動きです。一方で、文理バランスや地方との格差拡大への懸念も出ています。
【5】文科省「科学の再興」に関する有識者会議が提言案
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/042/mext_00002.html
基礎科学の再興を掲げた提言案が示されました。短期的成果主義からの転換や、人材育成・研究環境整備の重要性が指摘されています。
【6】国立大への資金投入めぐり、文科省と財務省が対立
https://mainichi.jp/articles/20251121/k00/00m/040/142000c
運営費交付金を巡る議論が続いています。「メリハリ」か「基盤強化」かという対立軸は、今後の大学政策の方向性を象徴しています。
【7】JST大学ファンド、2025年度上期の運用収益が大幅増
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00766510
上期収益が6941億円と大きく伸長しました。短期的な収益だけでなく、大学への配分のあり方とガバナンスが引き続き注目されます。
【8】柏崎刈羽原発の再稼働を新潟県知事が容認へ
https://www.asahi.com/articles/ASTCM1TMQTCMOXIE05YM.html
長年止まっていた柏崎刈羽原発が再稼働に向けて一歩前進しました。住民の不安や東電のガバナンス問題が解決しないままの容認であり、国と事業者の説明責任はより重くなっています。
【9】経団連、柏崎刈羽再稼働容認判断を歓迎するコメント
https://www.keidanren.or.jp/speech/comment/2025/1121.html
産業界からは電力安定供給や脱炭素の観点から歓迎の声が上がっていますが、安全性や信頼回復への具体策が伴うかどうかが問われます。
【10】原発・国策民営の限界と「無限責任」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC20B7E0Q5A121C2000000/
東電の原発事故対応と再稼働が、国策民営モデルの矛盾を浮き彫りにしていると指摘する論考です。原子力政策のガバナンス再設計が必要になりつつあります。
【11】東通原発の性能試験記録で不正
https://news.yahoo.co.jp/articles/c80a1976e14443bf76f417697ca10ec1f752d88f
実施していない試験記録を流用していた事案が判明しました。安全文化とチェック体制の弱さが改めて問題視されています。
【12】東京電力、柏崎刈羽原発で秘密文書を不適切管理
https://www.asahi.com/articles/ASTCM3FP1TCMUTFL02CM.html
秘密文書が職員により長期間コピー・持ち出しされていたことが発覚しました。再稼働の前提となる「信頼」の土台が揺らいでいます。
【13】東大病院医師の逮捕、大学が相次いで声明
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0508_00122.html
寄付金を巡る収賄容疑で東大教員が逮捕され、大学側は信頼回復に向けた対応を迫られています。卓越大学認定を目前に控えたタイミングでもあり、大学ガバナンスのあり方に議論が広がっています。
【14】研究公正会議、AI生成抄録が紛れ込む
https://retractionwatch.com/2025/11/18/research-integrity-conference-hit-with-ai-generated-abstracts/
研究公正を扱う会議でAI生成抄録が見抜けなかったことは、査読・評価プロセスの脆弱性を象徴しています。AI時代の研究不正対策の難しさを示す事例です。
【15】国立国会図書館、4万件超の個人情報流出の可能性
https://news.yahoo.co.jp/articles/0708111671d60baf9b822c6fc54499bde6c8f697
新システム再委託先への不正アクセスが原因とされています。公的機関の情報セキュリティと再委託のガバナンスが問われています。
【16】ゲノム医療施策に関する基本計画を公表
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65957.html
がんなどを中心としたゲノム医療推進のロードマップが示されました。個人情報保護や倫理的課題とのバランスが引き続き重要です。
【17】研究者倫理とジェンダー:女性研究者の撤回論文が少ない理由
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03796-w
女性が撤回に至りにくい構造的要因が示唆されており、研究評価・キャリアパスのジェンダーギャップという新たな論点を投げかけています。
【18】研究者会議への参加減少、「反ポリコレ」政策が影響か(米国)
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03869-w
政治的環境の変化が学術コミュニティの活動に影響を与え始めています。研究の自由と多様性をどう守るかが国際的な課題です。
【19】博士課程に進学しない理由:経済的不安と就職への懸念
https://univ-journal.jp/992795/
「経済的見通しが立たない」「修了後の就職が心配」といった理由が多数を占めた調査結果です。博士人材政策の根本的な見直しが必要です。
【20】大学在籍のまま製薬企業研究員に クロスアポイントメントの事例
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA134210T11C25A1000000/
企業と大学の両方に籍を置き研究を行う新しいキャリアモデルです。研究者側の自由度と、利益相反・知財管理のバランス設計が鍵になります。
【21】PhD学生の国際移動:2025年の実像
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03722-0
博士課程学生が海外に出る理由・出ない理由を分析した記事です。家族、ビザ、雇用不安など、研究環境以外の要因の重要性が浮き彫りになっています。
【22】AIが若者の雇用に与える影響をスタンフォード大が分析
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/767d27e3e98bcd8601d0d7644ccab19647a01177
AIが特に若年層のホワイトカラー職に影響しつつあることが示されました。教育とキャリア支援の再設計が急務です。
【23】OpenAIが警告する「AIのリスク」と職への影響
https://news.yahoo.co.jp/articles/4db1bd5c361cb55b215f88e5c49fd59b6f7459a8
生成AIがもたらす生産性向上と同時に、雇用・情報信頼性・安全保障リスクが指摘されています。技術推進と規制の両輪が必要です。
【24】生成AI画像の著作権侵害で国内初の摘発
https://www.yomiuri.co.jp/national/20251120-OYT1T50104/
生成AIが関わる著作権事件として初の書類送検事例です。クリエイティブ分野におけるAI利活用ルールの整備が急がれます。
【25】AIで雇用喪失と言われるなか、「教育・対話」を磨く職場へ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO92743220R21C25A1TCT000/
AI時代に人間側に求められるスキルとして、対話力や教育力が強調されています。単純な「AIか人か」ではない職場設計が必要です。
【26】IEA、AI需要で電力40%増のシナリオを提示
https://www.technologyreview.jp/s/372772/three-things-to-know-about-the-future-of-electricity/
AIやデータセンターの急増がエネルギーシステムに大きな負荷を与える可能性が示されました。AI政策はエネルギー・気候政策と不可分になりつつあります。
【27】Google、AI需要増で環境目標達成が困難に
https://www.technologyreview.jp/s/372354/google-is-still-aiming-for-its-moonshot-2030-energy-goals/
再エネ100%を掲げる企業でさえ、AIによる電力需要増で目標達成が難しくなっています。AIの“環境コスト”が国際的な議題です。
【28】AIと民主主義の相性の悪さを指摘する論考
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03718-w
AIが政治・世論形成に与える影響を分析し、「民主主義との緊張関係」が論じられています。日本でも今後避けて通れないテーマです。
【29】研究者会議抄録に“DEI禁止条項” 政治介入の懸念
https://www.science.org/content/article/censorship-conference-requires-abstracts-comply-trump-anti-dei-order
特定の価値観を排除する規定が、学会抄録に持ち込まれたケースです。研究の自由と政治的規制の境界が問われています。
【30】ノーベル賞受賞者・大隅良典氏が語る地方大学の危機
https://www.sbbit.jp/article/cont1/174109
地方大学で「基礎科学」という言葉がタブー視される状況を憂えるインタビューです。科学立国を掲げるなら、足元の基盤整備が欠かせません。
今回の記事もChatGPT 5.1のアシストで作成しました。
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“Science Communication News”
[SciCom News] No.1152 2025年11月26日(発行30日) 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
【制作・編集】サイエンス・サポート・エージェンシー合同会社
【E-Mail】 info@kaseiken.org
【Web Site】 https://www.kaseiken.org/
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