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◆◇◆ Science Communication News ◆◇◆
No.1154 2025年12月10日(発行15日) 巻頭言
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【巻頭言】 ケニアの論文代筆産業、経団連提言、科研費増
カセイケン代表 榎木英介
今週は、第7期「科学技術・イノベーション基本計画」の策定に向けた議論が動き、同時にAIのルールづくりも加速した週でした。内閣府の会議体では、研究投資・人材・国際競争力といった長期課題が俎上に載る一方で、AI指針案のパブコメなど、制度設計を急ぐ動きも目立っています。政策が前に進む一方、現場の受け止めや合意形成の“速度差”が可視化されつつあります。
大学・研究機関の側では、授業料値上げや運営費交付金をめぐるせめぎ合い、そして大学病院の経営危機など、研究と教育の土台そのものが揺れていることを示すニュースが続きました。科研費増額の報道は明るい材料ですが、分配の設計次第では、基盤的研究の底上げにつながらない懸念も残ります。
さらに、研究公正・研究評価の領域では、撤回の事例や、評価改革(DORA/CoARA)の動きが重なり、学術コミュニケーションの信頼性と制度の見直しが同時に進んでいます。AIを巡っては、査読へのAI導入、政治的説得、推論モデルの進展など、研究現場の手触りを変える出来事が続いています。
海外では、中国の研究影響力の拡大、欧州の研究セキュリティ制度化、英国の中長期R&D予算計画など、「国家として研究をどう位置づけるか」が鮮明になっています。国内の議論も、世界標準の変化と接続して考える必要がありそうです。
今週もChatGPTの協力を得て、科学技術政策、大学政策、外国ニュース、キャリア、AI、研究公正を中心に、重要ニュースを30本選び、短い解説を付しました。
また、同時発行のtheLetter版もどうぞよろしくお願い致します。
科学と社会の接点を読む〜2025年12月第2週版 AI、大学、研究基盤をめぐる政策判断が同時進行した一週間 | 榎木英介の科学・医療ニュース深掘り https://kaseiken-enoki.theletter.jp/posts/18289950-d961-11f0-b8b9-e563d7a76150
◆今週の主要ニュース(30本)
【1】総合科学技術・イノベーション会議 基本計画専門調査会(第11回)の開催のお知らせ
https://www8.cao.go.jp/cstp/kaisaiannai/2025/20251208kihon.html
19日開催。第7期基本計画に向けた議論が本格化しています。研究投資の重点化と人材政策の整合が焦点になります。
【2】人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針(案)に関する御意見の募集について
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20251205ai.html
日本版AIガバナンスの方向性が示されています。産業振興とリスク管理の両立が課題です。
【3】人工知能戦略専門調査会(第3回)
https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_expert_panel/3kai/3kai.html
戦略の具体化フェーズに入っています。行政・産業・研究の役割分担の設計が注目です。
【4】日本版DOGE始動、政府支出効率化へ26年度予算から反映-意見募集も(Bloomberg)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-12-02/T6L9IOKJH6V400
既報ではありますが、「効率化」の名の下で研究・大学関連予算がどう扱われるか、注意深い検証が必要です。
【5】経団連:「科学技術立国」実現に向けた緊急提言 (2025-12-08)
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/084.html
産業界の危機感と政策要望がまとまっています。研究投資と人材育成の実装が問われます。
【6】授業料値上げ相次ぐ国立大 背景に経営環境の厳しさ(産経新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/08db98b80a75161fe10dff02cdb5cbfb9ddb4f24
国立大学の財政難が学生負担に転嫁されつつあります。教育機会の公平性が争点です。
【7】文科省VS財務省 国立大運営費交付金巡る交渉(産経ニュース)
https://www.sankei.com/article/20251207-6KAFAHARQRLKJJGQ4YQRLVROTY/
「創意工夫」で済むのか、構造改革が必要なのかが問われています。議論の行方に注目です。
【8】科研費増額へ300億円計上:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO93074680Y5A201C2TJK000/
増額自体は朗報ですが、基盤的研究に届く設計になるかが重要です。配分と制度設計が鍵です。
【9】国立大学病院に経営危機 高度な医療は「赤字覚悟」(東京新聞デジタル)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/454259
教育・研究・高度医療を同時に担うモデルが限界に近づいています。支援の“的”が問われます。
【10】東大と京大のリベンジは? 巨額マネーの「国際卓越大」候補を発表へ(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASTD20R18TD2UTIL02MM.html
旗艦大学政策は次の局面です。選定だけでなく、ガバナンスと成果評価が焦点になります。とくに東大は、さまざまな不祥事が大きな影響を与える可能性があります。
本学教員の起訴を受けて | 東京大学 https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0508_00125.html
【11】研究評価改革の推進のための共同声明(CoARA/DORA)
https://current.ndl.go.jp/car/263285
論文数偏重からの転換を後押しします。日本の評価制度も国際潮流と接続が必要です。
【12】Retraction Note: The economic commitment of climate change(Nature)
https://www.nature.com/articles/s41586-025-09726-0
注目論文の撤回は、査読と説明責任の重みを再確認させます。研究不信にも直結し得ます。
【13】Journal retracts weed killer study backed by Monsanto, citing ‘serious ethical concerns’(Science)
https://www.science.org/content/article/journal-retracts-weed-killer-study-backed-monsanto-citing-serious-ethical-concerns
企業資金と研究倫理の管理が問われています。利益相反の透明性が不可欠です。
【14】This science sleuth revealed a retraction crisis at Indian universities(Nature)
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03839-2
撤回の「見える化」を担う個人の役割が描かれます。監視と改革の実務がテーマです。
【15】AI開発めぐり 政府 個人情報保護法の改正案の概要まとめる(NHK)
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014995611000
個人データとAI開発の緊張関係が強まっています。規制設計の落としどころが焦点です。
【16】AI reviewers are here - we are not ready(Nature)
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03909-5
査読へのAI利用が現実化しています。透明性・責任主体・再現性のルールが追いついていません。
【17】AI chatbots can sway voters with remarkable ease - is it time to worry?(Nature)
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03975-9
政治的説得とAIの関係が新局面です。選挙や世論形成への影響評価が急務です。
【18】DeepSeek’s self-correcting AI model aces tough maths proofs(Nature)
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03959-9
推論型AIの進展が研究の作法を変えます。評価の枠組み自体の更新が求められます。
【19】How to get science back into policymaking(Nature)
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03978-6
科学的助言の制度設計を問い直す論考です。専門性と民主的正当性の両立がテーマです。
【20】China’s scientific clout is growing as US influence wanes: the data show how(Nature)
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03956-y
論文データが示す研究勢力図の変化です。投資・人材・国際連携の再編が進みます。
【21】2029年度までのDSIT研究開発予算計画の概要(英国、CRDS)
https://crds.jst.go.jp/dw/20251204/2025120443901/
中長期の予算見通しを示す点が特徴です。研究投資の“予見可能性”は制度の強みになります。
【22】欧州委、研究セキュリティをERA法で明記へ(CRDS)
https://crds.jst.go.jp/dw/20251203/2025120343928/
研究と安全保障の接点が制度化されています。国際共同研究の条件が変わり得ます。
【23】大学技術職員、20年で15%減 教員増優先、待遇改善遅れ(共同通信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/c1c9efcf3a5f2cfc544672ce2435dcf09292f193
研究基盤を支える技術職の空洞化です。待遇とキャリア設計が研究力に直結します。
【24】「博士課程=人生終了」という残酷な現実(東洋経済オンライン)
https://toyokeizai.net/articles/-/920371
いくらなんでも人生終了は言い過ぎですが、博士人材の供給と雇用のミスマッチが深刻なのは事実。制度の抜本的見直しが避けられません。
【25】Don’t overlook the value of co-supervision in PhD training(Nature)
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03998-2
複数指導体制の価値を再評価しています。閉鎖的な研究室文化の改善にもつながります。
【26】Five important financial moves for PhD students(Nature)
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03979-5
博士課程の生活防衛は研究継続の前提です。個人任せにしない制度設計も必要になります。
【27】Nature’s 10: Ten people who shaped science in 2025(Nature)
https://www.nature.com/immersive/d41586-025-03848-1/index.html
科学を動かした「人」に焦点を当てます。研究と社会の接点の読み解きにも役立ちます。
【28】Home-field advantage: how local research leads to new discoveries(Nature)
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03980-y
ローカル課題が新発見につながるという視点です。地域研究の価値を再確認できます。
【29】西洋人の大学の単位を支えているのは、ケニアの「影の学者」たちだ(クーリエ・ジャポン)
https://courrier.jp/news/archives/424294/
グローバル学術労働の不均衡が描かれます。教育と研究の倫理にも直結する論点です。
このテーマでは別の記事で取り上げられたときにnoteに記事を書きました。
ケニアの「論文代筆産業」が突きつけるもの|榎木英介(フリーランス病理医・科学ジャーナリスト賞受賞者) https://note.com/enodon/n/n5a056272743a
【30】OCLC、目録作成時に分類・件名を提案する人工知能(AI)ツールを導入
https://current.ndl.go.jp/car/263280
図書館・知識基盤にもAIが入りつつあります。学術情報流通の変化として重要です。
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“Science Communication News”
[SciCom News] 2025年12月10日(発行15日) 巻頭言
【発行】一般社団法人科学・政策と社会研究室
【制作・編集】サイエンス・サポート・エージェンシー合同会社
【E-Mail】 info@kaseiken.org
【Web Site】 https://www.kaseiken.org/
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