2020年4月21日~2020年4月28日
カセイケン代表 榎木英介
COVID-19ですが、次第にその全貌が見えつつあります。
★A rampage through the body
https://science.sciencemag.org/content/368/6489/356
血管炎が病態のキーになるのではないかということも言われ始めています。
新型コロナは血栓症だけではない。全身の血管が炎症を起こすことが問題。
https://togetter.com/li/1498501
とはいえ、わからないことがまだまだ多いのが現状です。
★新型コロナウイルス感染症に関する当院の状況について
http://www.hosp.keio.ac.jp/oshirase/important/detail/40171/
★『一般の患者6%陽性』、高い市中感染率をデータが示唆 厚労省が抗体、抗原検査で流行状況把握へ
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/04/20200424_01.html
無症状の人の相当の割合の人が既に感染しているのではないかという示唆もあります。
ニューヨークでの抗体検査の結果は、慎重に解釈しなければなりませんが、大きな驚きを持って受け止められました。
ニューヨーク州で14.9%に抗体、検査拡大後の結果-クオモ知事
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-27/Q9GHGLDWLU6E01
米ニューヨーク州 約14%に抗体確認と発表 新型コロナ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200424/k10012403011000.html
First antibody surveys draw fire for quality, bias
https://science.sciencemag.org/content/368/6489/350
Antibody surveys suggesting vast undercount of coronavirus infections may be unreliable
https://www.sciencemag.org/news/2020/04/antibody-surveys-suggesting-vast-undercount-coronavirus-infections-may-be-unreliable
The researchers taking a gamble with antibody tests for coronavirus
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01163-5
WHO、抗体あっても再感染する可能性を指摘 警戒呼び掛け 新型コロナ
https://mainichi.jp/articles/20200428/k00/00m/040/003000c
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した人々は免疫を獲得できているのだろうか
https://togetter.com/li/1497660
今怖いのが、これだけ蔓延しているとなると、誰が患者か分からないということで、医療現場に容易に侵入します。
★「紛れ込み感染」か 大分医療センター院長、院内感染で見解 新型コロナ
https://mainichi.jp/articles/20200428/k00/00m/040/053000c
院内感染、元をたどると無症状の入院患者 迫る医療崩壊
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200427-00000082-asahi-sctch
新型コロナウイルス感染症の院内感染はなぜ起こるのか
https://news.yahoo.co.jp/byline/sakamotofumie/20200427-00175453/
そして、解剖も大きな問題です。
★死後にコロナ感染がわかることも…いま解剖現場に忍び寄る恐怖と危険
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200427-00072093-gendaibiz-soci
遺体のPCR検査 独自に実施も 大学の法医学教室 新型コロナ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200427/k10012406781000.html
解剖の抑制が死因不明、犯罪の見逃しになる可能性もあります。
日本でも緊急事態宣言が続く中、どのような出口戦略をすべきか悩ましい状況になっています。
★Did Japan miss its chance to keep the coronavirus in check?
https://www.sciencemag.org/news/2020/04/did-japan-miss-its-chance-keep-coronavirus-check
日本の状況をどう捉えるかは評価が分かれるところではあります。
★新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(第 11 回)
日時:令和2年4月 22 日(水)
https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/senmonka_sidai_r020422.pdf
新型コロナウイルス感染症対策本部(第 30 回)
https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/sidai_r020422.pdf
こうした現状の中、専門家の行うコミュニケーションに賛否両論が出ています。
北大の西浦教授が「8割おじさん」(サイエンスの記事では“80% uncle”…まんまやん!)と称して、盛んにTwitterを更新。メディアにも登場しています。
果たして専門家自らが、人々へ行動変容を訴えることが良いことなのか…。
★新型コロナ(COVID-19)危機に対する脆弱性分布と格差への示唆
Heterogeneous Vulnerability to the COVID-19 Crisis and Implications for Inequality in Japan
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/20040020.html
分析の結果、COVID-19危機は低所得者層により大きな打撃を与え、労働市場における格差拡大につながる可能性の高いことが鮮明となった。
家にいることが難しい職業の犠牲の上に在宅勤務等があります。それを承知の上ではあると思いますが、専門家がステイホーム、行動変容を訴えているわけです。
繰り返し述べていますが、専門家の知を受けて決断するのが政治であり、専門家が政治をしているわけではありません。やるのは矢口蘭堂だ(シン・ゴジラ)と思うわけです。
とはいえ、例えば西浦教授は、自らの計算である程度の厳しい将来が来ることを人よりは早く知り、政府に伝えるだけでいいのか、口をつぐんで良いのか、と悩んだのかもしれません。
ここには科学者の社会的責任という問題が生じます。災害が来るかもしれない、ということと、避難を指示するということの間には政治的決断が必要で、政治はなかなか動いてくれない、ならば自らが「逃げろ!」と叫びながら街を駆け回る…。
そう、映画に出てきそうなシチュエーションです。
今私たちが見ているものは、そうした状況なのか…。それは分かりませんが、西浦教授が「災後」に戦犯として処分される未来が見え隠れしてしまいます。
そこにリスクコミュニケーションの専門家や実践家が関与する役割があるのか…。
★これからリスクコミュニケーションを始めようと思っている科学コミュニケーターの皆さんへ(佐野和美・帝京大学)
https://note.com/covid19scicomm/n/n3112da67dbf1
今ネット上では、専門家会議の発信する情報を肯定的に解釈し、解説して拡散するボランティア的な「ネット論客」が出てきています。そのうちのいくつかはフォローしたりもしており、決して専門家でもない市井の人たちの能力の高さを感じます。
一方で、批判も重要です。
問題は批判も肯定も、言葉が乱暴な人たちが一部にいることです。
言葉の乱暴さを問うのは、トーンポリシングなのかもしれなく、決して否定するべきではありませんが、トーンポリシングは抑圧された人たちを押さえ込むことであり、元々抑圧されていない大学教員などが乱暴な言葉を使うのが良いのか、考えてしまっています。
クライシスですから、言い方がどうのと言っている場合ではないのかもしれませんが。
★憧れの留学生活、コロナで一変 留年か就活か…悩む学生
https://www.asahi.com/sp/articles/ASN4Q3DF6N4JUUPI005.html
★コロナ禍で明暗「留学終了」高校生の過酷な現状
電話もつながらず放り出されるケースも
https://toyokeizai.net/articles/-/346752
学生や生徒が直面する状況に心が痛みます。特に、現在高校3年生である2002年度生まれの方々(私の娘も含まれるのですが)は、入試に翻弄され、新型コロナでも影響され、辛い学年となっているように思います。
★「#学費返還運動」に苦慮する大学~就実・明治学院は神対応も
https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20200423-00174838/
★<新型コロナ>学費減額運動 100大学に拡大 「生活苦しい…授業受けられない学生いる」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202004/CK2020042702000124.html
アルバイトもできない厳しい状況に直面する学生たち。大学も対応を始めています。
★早稲田大5億円、立教大10億円…学生への緊急支援
https://resemom.jp/article/2020/04/27/56016.html
★早稲田大学が学生に10万円 新型コロナで緊急支援金
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000182671.html
★明治学院大、在学生全員に5万円…明治大・上智大などもネット環境支援へ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200423-00000006-resemom-life
★困窮学生らへ4億円支援 東北大、給付型奨学金など新設
https://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/202004/20200424_73005.html
しかしながら、財政力の高い大学が独自に支援を行うことが良いのかも考えます。
上位の大学の学生が比較的裕福な家庭出身の人が多いという問題もあります。
★オンライン授業へ動く主要国立大、教育格差は生まれるか
https://newswitch.jp/p/22015
★医学部がオンライン授業をYouTubeLiveで配信するも皮膚科領域のグロテスクな画像で規約違反となり授業が強制終了される事態に
https://togetter.com/li/1498657
★オンライン授業の利点とコロナ後の大学のあり方
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020042200003.html
オンライン授業がだいぶ広がってきていますが、医学の画像をグロテスク画像と認識されてしまうのは困ったものです。通信環境など格差の問題もあります。
★新型コロナ・緊急事態:PCR検査、病院苦悩
https://mainichi.jp/articles/20200426/ddm/041/040/045000c
★新型コロナ・緊急事態:都・健康安全研究センター PCR現場、綱渡り 機器増でも追いつかず/作業連続で2時間限界
https://mainichi.jp/articles/20200423/ddm/041/040/069000c
PCRをやっている施設の負担が過剰になっているのはかねてからお伝えしていますが、民間の検査センターや大学等の活用はどうなのか、全体像が知りたいとことです。
★Untapped potential: More US labs could be providing tests for coronavirus
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01154-6
もちろん、大学で検査を行うことには壁があります。
★手術減の医療機関へ損失補填を-全国医学部長病院長会議が新型コロナ対応で声明
https://www.cbnews.jp/news/entry/20200421172222
病院は今経済的な危機に直面しています。患者を見る病院は負担が多い割に収入減、そうでない病院も収入減。そのあたりのことはYahooニュース個人に書きました
「前線」でも「後方」でも〜新型コロナが引き起こす経営破綻という名の医療崩壊
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20200426-00175315/
防護服の不足は厳しいものがあります。
★「手術できなくなる。早くマスク、ガウンを」医療現場の人々がTwitterで訴えたこと
https://www.buzzfeed.com/jp/sumirekotomita/corona-twitter-message-from-hospitals
医療用個人防護具の代替品
性能評価と作り方
https://covid-19-act.jp/ppe/
代替品を作ることはできますが、問題は量産化です。
防護服の供給を首相は表明していますが、とにかく早く現場に届いて欲しいです。
★日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会
http://www.bousai.go.jp/jishin/nihonkaiko_chishima/model/index.html
概要報告(令和2年4月21日公表)
「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデルの検討について(概要報告)」の公表及び「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループ」設置について
http://www.bousai.go.jp/pdf/chidori_WG.pdf
防災対策実行会議(第15回)
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/jikkoukaigi/15/index.html
岩手など津波30メートル弱想定 日本・千島海溝地震
内閣府有識者委
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58292970R20C20A4CE0000/
日本海溝・千島海溝でのM9級地震想定、北日本に最大30m津波…内閣府の有識者検討会
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200421-OYT1T50159/
★感染症拠点、3割超浸水も 大規模洪水発生で
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58528560X20C20A4CE0000/
今災害が起きたらどうなるか。考えておかなければなりません。
★新型コロナ 雑踏、長い行列 店名公表、大阪のパチンコ店
https://mainichi.jp/articles/20200426/ddm/041/040/046000c
アナウンス効果があったということですが、依存症の問題として考えないといけません。
★Polio, measles outbreaks ‘inevitable’, say vaccine experts
https://www.scidev.net/global/coronavirus/news/polio-measles-outbreaks-inevitable-say-vaccine-experts.html
これは重大な問題で、ワクチンの摂取率の低下により、他の感染症のアウトブレイクがあるかもしれないと危惧されています。
★Whose coronavirus strategy worked best? Scientists hunt most effective policies
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01248-1
現段階では、ニュージーランドや台湾などがよくやっている国ということですが、現時点で判断するのは早いかもしれません。
★Reopening puts Germany’s much-praised coronavirus response at risk
https://www.sciencemag.org/news/2020/04/reopening-puts-germany-s-much-praised-coronavirus-response-risk
ドイツ。うまくいっているとされる国でも、出口をどうするか悩んでいます。
★‘Closing borders is ridiculous’: the epidemiologist behind Sweden’s controversial coronavirus strategy
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01098-x
Sunny Stockholm eyes herd immunity, but was Sweden's relaxed coronavirus strategy worth it?
https://www.abc.net.au/news/2020-04-24/swedens-capital-nears-herd-immunity-relaxed-coronavirus-strategy/12177514
独自戦略をとるスウェーデン。果たしてうまくいくのか…。
★新型コロナウイルス感染症対策 「次亜塩素酸水に関する情報」
https://note.com/amacrinecell/n/nd4292868635d
★(寄稿)人文知を軽んじた失政 新型コロナ 藤原辰史
https://www.asahi.com/articles/DA3S14456624.html
★日本もハーバード大のコロナ対策案を大至急検討すべきだで
https://bit.ly/35iJcvy
★Statement from Tasuku Honjo on COVID-19
https://www.kyoto-u.ac.jp/en/about/events_news/department/koto-kenkyu-in/news/2020/200427_1.html
本庶教授が人工ウイルス説を肯定したというフェイクニュースが駆け巡りました。
★Opinion: Redefining Productivity in the Age of COVID-19
https://www.the-scientist.com/news-opinion/opinion-redefining-productivity-in-the-age-of-covid-19-67428
★Furloughs and Pay Cuts Announced for U of Arizona Employees
https://www.the-scientist.com/news-opinion/furloughs-and-pay-cuts-announced-for-u-of-arizona-employees-67444
★Coronavirus found in Paris sewage points to early warning system
https://www.sciencemag.org/news/2020/04/coronavirus-found-paris-sewage-points-early-warning-system
★Pseudoscience and COVID-19 - we’ve had enough already
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01266-z
★‘Loving the minimal FOMO’: First major physics conference to go virtual sees record attendance
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01239-2
★Open science takes on the coronavirus pandemic
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01246-3
★Without food, there can be no exit from the pandemic
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01181-3
★How COVID-19 lockdowns could lead to a kinder research culture
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01144-8
★安倍総理は令和2年第6回経済財政諮問会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202004/27keizaishimon.html
令和2年第6回経済財政諮問会議
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2020/0427/agenda.html
議事
(1) 緊急提言
(2) 未来への変革に向けて
★超大型望遠鏡、揺れる計画 日本、今年度の建設費計上断念 ハワイのTMT
https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S14452282.html
★科学技術要覧 令和元年版
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/006/006b/1413901_00003.htm
重要資料。
★20代~30代の産学官の若手による提言を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200422001/20200422001.html
研究のあり方:真理探究志向の研究→社会変化までの研究へ
など。
★環境省事業へのSDGsの組込みパイロット・プログラム(環境×SDGs一体推進パイロット・プログラム)の開始について
https://www.env.go.jp/press/107984.html
★How to tell whether you’re the victim of a bad peer review
https://www.sciencemag.org/careers/2020/04/how-tell-whether-you-re-victim-bad-peer-review
★アカデミアを離れてみたら
ポスドク街道11年の果てで進退窮ま……らなかった話
https://tanemaki.iwanami.co.jp/posts/3316
★古代生物を神秘的なガラスアートで表現 作者はウミヘビ研究者からガラス作家へ異色の転身
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200423-00010007-kaiyou-ent
多彩なキャリアを歩む人たち。ポストコロナの博士の生き方も考えなければならない課題です。