科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

本年の目標

本日発行のメールマガジンにて、私とともに活動している横山雅俊氏が、これまでの活動とこれからの活動を簡潔に、そして力強くまとめてくれた。

私たちが活動のベースとしていたNPO法人サイエンス・コミュニケーション(サイコムジャパン)は昨年末で創立6周年を迎えた。

横山氏が述べたように、私たちはこれまでサイコムジャパンにてにて、若手研究者のキャリア問題、科学技術政策の在り方、博士に代表される高度知識人材の能力発揮といった問題について考え、さまざまな行動をしてきた。

これら数年来の活動が、昨年の政権交代行政刷新会議事業仕分けという突発事態の中、今まで以上に多くの方々の注目を頂くにいたったのは、偶然と同時に必然でもあったかもしれない。

というのも、私たちは、博士人材の雇用の不安定化、科学技術と社会の在り方の問い直し、科学技術コミュニケーションへの注目といった時代の流れの中で問題意識を持ち、活動してきたからだ。科学技術(政策を含む)への市民参加は、世界的な流れであり、政権交代事業仕分けは、時期の問題はあれ、いずれ遭遇する出来事だったのだろう。


しかし、事態は思っていた以上に急だったのも事実だ。

サイコムジャパンは若手理系人のためのキャリアチェンジプロジェクトなど、現場に密着した課題に強みを発揮しており、科学技術政策といった大枠の課題には弱い面があったからだ。それゆえ、科学技術政策を考える新団体の設立を準備してきたが、行政刷新会議事業仕分けのような、科学技術政策の在り方を問う事態にこの時点で遭遇するのはやや予想外だったのだ。


事業仕分けにおいては、研究者ネットワーク設立準備メーリングリストの立ち上げや、「ノーベル賞受賞者じゃない研究者の緊急討論会」、声明の発表などをサイコムジャパンの枠組みで行ったが、そろそろ付け焼刃では対処が難しくなっている。


そこで、本年(2010年)は、以下のようなことを行いたいと考えている。

 活動の拠点になる、比較的小規模団体を立ち上げる。すでにウェブページを立ち上げて準備を開始した。まず、この団体に、旧サイコムジャパンの一部事業を準次移管する。

 そして、この団体をベースに、集会やミーティングの開催、メーリングリストメールマガジンの発行を行っていく。

 近日中に法人化(NPO法人もしくは一般社団法人)する予定だ。

 ミッションは、「知を活かす社会」「知を大切にする社会」を作ることだ。まだ構想中だが、サイコムジャパンのミッションを継承しつつも、それを発展させたミッションを作りたいと考えている。

  • 研究者ネットワーク設立準備

 SSAでの活動を通じて、科学技術と社会の在り方や科学技術政策を考える団体を立ち上げたい。

 なぜわざわざいったん小規模な団体を作り、その後に研究者ネットワークを作るという二段構えにしたかというと、研究者ネットワークは、全米科学振興協会(AAAS)Euroscienceのようにしっかりとした団体にしなければならないと思うからだ。将来数十年、あるいはそれ以上にわたり持続可能な組織にするためには、じっくりと議論を重ねていく必要があるからだ。

 また、twitterのような新たなウェブ媒体が出現する中で、中間組織が不要な民主主義の形態の可能性もささやかれている。そのような時代の流れも見ていく必要がある。

 一方で何もしないというわけにはいかないので、小回りのきく小団体を先行で立ち上げることにしたのだ。


 サイコムジャパンでの6年間の経験を生かし、今年も活動を続けていきたい。資金面など課題も多いが、一つ一つクリアしながら、着実に前進したい。

 今年も叱咤ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げる。