今回の行政刷新会議の仕分けで、日本にも科学技術政策に対し意見を言う、特定の利益を目指さない、分野横断的な研究者団体が必要だ、という声が高まっている。非営利、非政府な草の根科学組織だ。
たまたま私は、代表をしていたNPO法人サイエンス・コミュニケーションから、科学技術政策に関する活動を独立させて、新しい団体を立ち上げようとしてたので、こうした声にこたえたいと思う。
現在以下のようなことを考えている。
- 若手研究者のネットワーク
私の出身でもある生化学若い研究者の会を中心に、若手研究者の会が集まって、今回の仕分けに対する声明を発表しようとしている。これを発展させて、若手研究者連盟を作りたい。
組織形態のモデルとして考えているのは、反貧困ネットワーク。
以下のような研究者ネットワークが作れないか。
- 事務局機能などを担う組織
ただ、ネットワークはただ集まればできるというものではないので、コアの団体が必要になる。
そのモデルとして考えているのが、全国医師連盟だ。この団体は勤務医主体の団体で、医師の地位向上、待遇改善などに取り組んでいる。
既存の若手の会に入っていない研究者や、心は若手だけど、もう若手研究者じゃない人、サイエンス・コミュニケーターや報道機関の人、そして関心ある市民などに加わってもらいたい。
この団体が、ネットワークの取りまとめ、事務などを行う。ミッションとしては、「若手研究者や市民が持つ知を集約し、言論を広く社会に発信することにより、科学・技術を未来に活かすことを目的とする」というようなものを考える。
これらのミッションのもとに、若手や女性研究者のキャリア向上につながる提言を行ったり、市民の声を研究者に伝えるといった活動を行なう。
繰り返し述べるように、単なる利益団体ではだめだ(もちろん若手研究者には利益団体すらないので、あってもいいと思うけど、社会を説得できない)。反対を叫ぶだけじゃなくて、よりよい社会を提案できなければならない。独りよがりであってはならない。社会の声を聞かなければならない。街に出なければならない。
以上、ネットワークと、コア団体の設立について考えてみた。国連と一つの国を両方作るようなものだが、どちらも必要だろう。
究極的には、全米科学振興協会(AAAS)やEuroscienceを目指したいが、まだその段階に至れるほどの力はない。
まずはどこかが取りまとめ役になって、ウェブ上でもいいので、集まることが必要なのかなと思う。裏方をやる覚悟はあるので、言ってほしい。
SNSやメーリングリストなどで集まろう。すでにあるのなら混ぜてほしいし、私たちが持っているものなら提供したい。ただ、IT関係が得意じゃないので、得意な人がいてほしい。
24日の仕分け会場に、若手研究者が集まろうという動きがある。その時を目指して、共同声明を出そうとしているという。これをネットワークにつなげていこう。
バラバラな動きをまとめることは、主張を社会や政治に伝えやすくなると同時に、反論も含めて、意見を受け止める窓口にもなる。それが社会、市民、政治との対話を促進すると考えている。
雨降って地固まるではないけれど、仕分けにプラス面があるとしたら、研究者の意識が大きく変わったことだろう。今がチャンスだ。