科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

ギグエコノミーと研究者 メルマガ856号記事抜粋

2020年2月4日~2020年2月11日

カセイケン代表 榎木英介

 新型コロナウイルスの感染は収束にはまだ遠い状況です。メルマガでの記事ピックアップも、刻一刻と変わる状況を捉えきれないため最小限にしています。

 公的な情報を中心にフォローすると同時に、過小評価、過大評価をしないようにしていただきたいと思います。

コロナウイルスに関する解説及び中国湖北省武漢市等で報告されている新型コロナウイルス関連肺炎に関連する情報
https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc/2482-corona/9305-corona.html

 今週のピックアップです。

★「70歳まで雇用」を奨励する政府と「40~50代リストラ」を加速させる企業【怒れるガバナンス】
https://www.jiji.com/sp/article?k=2020020500763&g=eco

 しつこくこの問題を取り上げます。

 70歳までの雇用という政府方針が40代から50代の正社員のリストラを加速しているという話です。

終わらない氷河期~疲弊する現場で:「40歳で人生閉じてもいい」と思った 非正規図書館司書の苦悩
https://mainichi.jp/articles/20200205/k00/00m/040/094000c

 こちらは非正規雇用を続けている人の話です。

 構造が違えど40代の直面する問題は大きいです。

 韓国では45歳でリストラされた人が、大した技術や資本がいらないチキン店を開業しているといいます。

★The company bringing scientists into the gig economy
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00374-0

 最近何度か取り上げましたが、フリーランス研究者と企業のマッチングサイトKolabtreeの話です。創始者がインタビューに答えています。

 フリーランス化というトレンドと、博士号取得者が多すぎるという問題を解決する手段として、このKolabtreeを作ったとのことです。

 日本でも、博士号取得者の能力をこうした形態で活かす術はあるように思います。

 一般向けにはランサーズ
https://www.lancers.jp

 やクラウドワークス
https://crowdworks.jp

 といったサイトがあります。

クラウドソーシングおすすめ6選!初心者が副業で稼ぐ具体的な方法を紹介!
https://itpropartners.com/blog/12166/

 とは言え、上記インタビューでも質問されていましたが、安い下請けになってしまう、労働法が適用されないといった問題点も指摘されています。

安倍総理は第35回未来投資会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202002/07miraitoushi.html

新たな成長戦略実行計画策定に向けた今後の進め方のたたき台
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai35/index.html

 上記のたたき台でも、問題点が指摘されています。

4.フリーランスなど雇用によらない働き方の環境整備
フリーランスについては、ギグエコノミーの拡大により高齢者の雇用拡大に貢献しており、健康寿命を延ばすとともに、社会保障の支え手を増やす観点からもその適正な拡大が不可欠。
希望する個人がフリーランスを選択できる環境を整えるため、内閣官房において、公正取引委員会厚生労働省中小企業庁など関係省庁の協力の下、政府として一体的に、以下の政策のあり方を検討。
1 独占禁止法(優越的地位の濫用)及び下請代金支払遅延等防止法などに基づくルール整備のあり方
2 発注者の指揮命令を受けて仕事に従事する場合(現行法上も「雇用」に該当するもの)の労働法の具体的適用のあり方

 色々な問題はありつつも、40代以降の博士号取得者の生き方として、フリーランスも真剣に考えていかなければならないと思っています。

 今年の4月から、私もフリーランス的働き方を実践し、それを通じで、こうした生き方の利点欠点などを洗い出していきたいと思います。

★「海外出張、公費でコネクテド・ルーム」問題、より深刻なのは日本の医療研究行政が歪められていることです
https://blog.goo.ne.jp/minacraft/e/2b4801960968c2255e04bb93008727e4

日本の医学研究の本丸・AMED、末松理事長が審議会で衝撃発言、「我々の自律性は完全に消失している」
https://blog.goo.ne.jp/minacraft/e/d9be36a227865c8962cfd151c0516298

★「大坪氏問題」でAMED末松理事長が怒りの暴露(その1)
「大坪氏が次長になられてから、我々のオートノミーは完全に喪失しております」
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400008/020300187/

 にわかに大問題となっています。ワイドショーとしては不倫を取り上げたくなりますが、問題は政策決定過程が密室であるところです。

★科学技術関係予算令和2年度当初予算案令和元年度補正予算について
https://www8.cao.go.jp/cstp/budget/index2.html

科学技術関係予算4兆3787億円 20年度3.3%増
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55233060U0A200C2I00000/

 一見増加しているように見えますが、本来科学技術と関係ないものが科学技術関係予算とされている例もあります。

 見せかけだけの増加は、こんなに予算を使っているのに成果が上がらないという、予算削減の口実にされてしまいます。

ムーンショット目標決定のお知らせ
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200123moonshot.html

 1月23日の総合科学技術・イノベーション会議で決定したものが公表されていますが…。

目標1:2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現
目標2:2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現
目標3:2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現
目標4:2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現
目標5:2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出
目標6:2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現

 とにかく決まった以上、しっかりやれ、というしかありませんが、しっかりやっているかはウォッチします。そのためにも透明性は担保して欲しいものです。

★革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)終了時評価報告書の決定について
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200123impact.html

 大型予算をドーンと投下、を繰り返すだけでなく、振り返りも重要なのは当然です。ImPactの反省はムーンショットに生かされているそうですが…。

★People will not trust unkind science
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00269-0

 科学が人々に信頼される文化とは。

A kinder research culture will build stronger, deeper support for research, as well as higher-quality science.

★「教学マネジメント指針」(令和2年1月22日 大学分科会)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1411360_00001.html

★「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律施行規則」改正案及び「特定胚の取扱いに関する指針」改正案に関するパブリックコメント意見公募手続)の実施について
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00103.html

JST、researchmapを大型アップグレード
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=11810

★多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会の報告書を公表します
https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200210002/20200210002.html

処理水放出で報告書公表 小委、海や大気「現実的」
https://www.sankei.com/life/news/200210/lif2002100030-n1.html

★東大院教授、学生に交際迫り停職 2年以上にわたり、本人は否定
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020020601002159.html

東大教授が院生にセクハラ…交際拒否されると研究予定を急に変更、無理やり体も触る
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200206-OYT1T50219/

★Colombian university fires prominent biologist accused of sexual harassment
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/colombian-university-fires-prominent-biologist-accused-sexual-harassment

 東大は停職のみ。コロンビアの大学は解雇。

★Avalanche’ of spider-paper retractions shakes behavioural-ecology community
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00287-y

 この問題は先週号でご紹介した

不正なデータは世界を駆ける
https://kensuke-nakata.hatenablog.com/entry/20200203/1580655600

 にも詳しく書かれています。

★がん患者、今後20年で6割増も 中低所得国で顕著とWHO
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020020401001673.html

Cancer burden could balloon in poorest countries
https://www.scidev.net/global/health/news/cancer-burden-could-balloon-in-poorest-countries.html

★世界規模の国際ネットワークによる最大のがん種横断的全ゲノム解読
日本人症例での解析を進めることで日本人に最適な臨床開発への発展を期待
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2020/0206/index.html

★「大学病院で診療に従事する教員等以外の医師・歯科医師に対する処遇に関する調査」の公表について
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1418468.htm

 無給医問題。滅私奉公はもう過去のものにしたいと思います。

★ヒト胚ゲノム編集について広範な研究者・市民の参加による討議の場を要望する
http://bit.ly/2SbBr5u

 ゲノム編集について、島薗進氏らが要望を出しています。

 トランプ大統領の一般教書演説が2月4日にありましたが、ペロシ下院議長が原稿を破り捨てるなど波乱もありました。

テーマは「偉大なアメリカの再起」トランプ大統領一般教書演説
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200205/k10012273321000.html

State of the Union
https://www.whitehouse.gov/sotu/

 次は予算です。

★President’s Budget
https://www.whitehouse.gov/omb/budget/

Trump’s 2021 budget drowns science agencies in red ink, again
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/trump-s-2021-budget-drowns-science-agencies-red-ink-again

National Institutes of Health would see 7% cut in 2021 under White House plan
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/national-institutes-health-would-see-7-cut-2021-under-white-house-plan

NASA soars and others plummet in Trump’s budget proposal
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00348-2

 科学機関にとっては厳しい状況のようです。

★U.S. attorneys warn of upcoming ‘spike’ in prosecutions related to China ties
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/us-attorneys-warn-upcoming-spike-prosecutions-related-china-ties

Harvard chemistry chief’s arrest over China links shocks researchers
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00291-2

U.S. prosecutor leading China probe explains effort that led to charges against Harvard chemist
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/us-prosecutor-leading-china-probe-explains-effort-led-charges-against-harvard-chemist

Ex-Emory scientist with ties to China charged with fraud
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/ex-emory-scientist-ties-china-charged-fraud

Florida state legislator fears overreaction in probe of foreign research ties
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/florida-state-legislator-fears-overreaction-probe-foreign-research-ties

 ハーバード大学の研究者の逮捕は大きく取り上げられましたが、全米で外国との関連が取り沙汰されている研究者に厳しい状況が続いています

★Colombia’s first ever science minister faces calls to resign over fungi-based cancer treatment
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/colombia-s-first-ever-science-minister-faces-calls-resign-over-fungi-based-cancer

Colombian science minister’s cancer claims spark controversy
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00235-w

 コロンビアの最初の科学大臣が、カビの抽出液ががんを治すという主張をしていることに大きな批判が。

★Tech tools to make research more open and inclusive
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00216-z

★ジャーナリストか研究者か?――二足の草鞋を履く日々
https://www.editage.jp/insights/journalist-or-academic-im-leading-a-double-life

 ジャーナリスト研究者もいるようです。

梯子を外された博士、マスタープラン、疲弊するPI

2020年1月28日~2020年2月4日

カセイケン代表 榎木英介

 melma!がメルマガ発行をやめてしまいましたので、購読者が四百人ほど一気に減りました。まぐまぐに一本化しました。

 今後note等別の手段も考えたいと思います。

 新型コロナウイルスに関しては、刻一刻と変わる状況なので、メルマガでの記事のピックアップは最小限に留めています。

 公的な最新情報を入手し、冷静に対応してください。

★中国に留学中の日本人学生の皆さんへ
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1405561_00001.htm

新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/index.html

 フェイクニュースも広がっています。

新型コロナウイルス特設サイト
https://fij.info/coronavirus-feature

 上記サイトではファクトチェックが行われていますが、大手メディアでも問題ある報道がなされています。

新型コロナウイルスと季節性インフルエンザ〜比べて良いのか
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20200131-00161228/

 これは私がYahoo!ニュース個人に書いた記事です。感染症の専門医でない私の出番はないと思いますが、リスクが未確定な新型コロナウイルスと季節性インフルエンザを比較してあれこれいう記事が増えてきた印象なので、リスク・コミュニケーションの観点からそれは問題であると指摘しました。

 クライシス状態にある現在、原発事故も含めた過去のクライシス経験が生きるか、試されていると言えます。

 以下はCDCのクライシス・コミュニケーションマニュアル。

Emergency Preparedness and Response
Section Navigation
CERC Manual
https://emergency.cdc.gov/cerc/manual/index.asp

 一部の国会議員が、感染症法の指定により日本に中国人の患者がやってきて無償で治療を受けるのではないかとツイートしていました。

 これは中国と日本の医療、科学技術の差を誤認した考えだと思います。

 もはや日本は科学技術や医療含め、中国に水を開けられ始めているのは周知の事実です。日本が医療や科学の先進国であるというイメージを持つ人はまだまだ多いですが、日本の現状を等身大で認識する必要があるように思います。

★終わらない氷河期~疲弊する現場で:空いたポストは若手に…「はしごをはずされた」 50歳大学非常勤講師の絶望
https://mainichi.jp/articles/20200201/k00/00m/040/145000c

 毎日新聞の記事。取材を受けてくれる人を探しているという情報は私のところにも回っていました。

 これで日本が人文社会科学系も含めた学術の先進国であると言えるのでしょうか。「はしごをはずされた」というのはまさに実感するところです。

★「民間企業の研究活動に関する調査2019」(速報)の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/43747

 恒例の調査ですが、「博士課程修了者及びポスドクを採用した企業割合は横ばいに推移」とのこと。

 ポスドクを採用した企業は調査対象の1.7%です。

★「博士課程修了者の採用増やせ」 ノーベル賞大隅良典氏
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020012901002028.html

★若手研究者支援 博士の力を産学で生かしたい
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200129-OYT1T50299/

★低学歴化進むニッポン、博士軽視が競争力を崩壊させる
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00061/

 若手に関しては様々な指摘があり、今後好転していく見込みがあります。

 その影で40歳以上はもうアカデミアでの活躍の道はかなり厳しいと言わざるを得ません。

 一方、大手企業はすでに早期退職を40代に勧告するような状況です。

 こうした中で人生はまだ50年前後続くわけです。

 どうするべきか。

 その一つとして私は仲間と一般社団法人カセイケンを立ち上げました。この問題に取り組むと同時に、ロールモデルになれないかと思ったからです。

 とはいえ、我々の団体は副業の粋を出ることができていません。

 そこで、近々スモールカンパニーを立ち上げようと考えています。

 社会の中で生きる、フリーランスの時代だと訴えても、医師の副業の範囲では説得力がありません。

 そこで、医師としての仕事はバックボーンにせざるを得ない面はありますが、一人社長の営利企業を作って、この問題にカセイケンとは別角度から取組むと同時に、スモールカンパニーが博士号取得者の生きる道になるかを試してみたいと思います。

 そういえばドラえもんが来る前ののび太くんは、会社を立ち上げていました。よく考えればそれはすごいことだなあと思います。

 結局会社が火事になって借金が残って、100年後も返せないのでドラえもんが送り込まれたわけですが…。

 いずれにせよ、非営利であるカセイケンを中心に、新しく立ち上げる会社も合わせ、40歳以降の博士号取得者の活躍の場を見つけていく活動を続けていきます。

★助けを求める叫び声
https://go.nature.com/2uZUIhi

 英語の記事が掲載された時に既にご紹介していますが、大学院生のメンタルヘルス問題です。

約36%が自らの博士課程研究に関連した不安や抑うつについて助けを求めたことがあると明らかになった

研究風土の全面刷新がなければ、次世代の研究者はいなくなってしまうだろう。

 博士課程進学者の減少の理由は、先行きの不透明さや経済問題だけではないということです。研究風土の改善も重要課題です。

★疲弊する指導者と遠慮する若手研究者
https://www.natureasia.com/ja-jp/partnership/author_service_survey2019

 日本の調査。競争的資金獲得に忙殺される指導者に遠慮する若手という構図がアンケートで明らかに。

今回のアンケートでは、若手に対する論文執筆指導時間をメンターに尋ねているが、その回答の平均は、1年間に13.59人指導するが、1人当たり10.59時間にすぎない。若手からみれば、メンターに頼るばかりでなく、自分自身の手で論文の完成度を上げていく必要があるわけだ。

 かつて私は、若手指導の方法を放牧とブロイラーという2パターンに分けましたが、放牧されている若手が多いような結果です。

★日本神経科学学会 科学コミュニケーション・ガイドライン
http://bit.ly/31xVuyl

 非常に重要なガイドライン

★多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第17回)‐配布資料
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/017_haifu.html

原発汚染処理水の処分、最終案で2案…「政府が責任もって決定を」
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200131-OYT1T50117/

海洋放出が「より確実に実施可能」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55049120Q0A130C2MM0000/

福島第1処理水、海洋放出「優位」 反発強く動けぬ政府
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55084250R30C20A1I00000/

 処理水海洋放出問題。政府の方針と地元の思い、どのように意思決定がなされていくのでしょうか。

★2月4日「風しんの日」に、「風しん対策啓発イベント」を開催します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09162.html

 本日です。

★提言「第24期学術の大型研究計画に関するマスタープラン(マスタープラン2020)」
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-24-t286-1.html

次世代加速器「重点」逃す 学術会議の研究計画
https://mainichi.jp/articles/20200131/ddm/012/040/069000c

次世代加速器 学術会議が重点計画選定見送り 誘致遠のく
https://www.sankei.com/life/news/200130/lif2001300057-n1.html

次世代大型加速器巡り意見聴く 学術会議、誘致目指す研究者から
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020013001002004.html

 日本学術会議のマスタープランが出ました。焦点は次世代加速器

★次世代加速器 未来見据えて政治決断を
https://www.sankei.com/column/news/200204/clm2002040002-n1.html

 推進したほうが良いという意見も多く、政府がどう決断するかが注目されます。

科学技術基本法改正に関する日本学術会議幹事会声明
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-kanji-4.pdf

 科学技術基本法に人文社会科学も含まれるようになることへの日本学術会議幹事会の意見。

★助成先の決定に抽選を取り入れ始めた助成機関
https://go.nature.com/2Sk8C5E

 これは英語の記事のときに既にご紹介しています。

★史上空前の論文捏造事件のどんでん返し
捏造は許されないが、論文は物理学の発展を先取りしていた?
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020012400007.html

 「どんでん返し」という表現が良くないと多方面から指摘があります。

 かつての「スペクター事件」におけるキナーゼカスケード説もそうですが、仮説を立てることと実証することは別で、仮説がのちに正しいと解ったとしても、研究不正が消えるわけではありません。

 もちろん、実証されない説を唱えることは重要ですが、当てずっぽうでも当たったら栄誉があるというのでは、言ったもんがちになってしまいます。

旭川医大、相次ぐ不正報酬受給を謝罪
https://mainichi.jp/articles/20200129/ddm/012/100/117000c

旭川医大学長、不正報酬で陳謝 自らの給与一部返納も
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020012801001878.html

外部病院に不当報酬要求のメール 懲戒解雇の旭川医大元教授
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020012801002397.html

 問題多発の旭川医大

★Nature ダイジェスト 2020年2月号
投稿前スクリーニングで不正を防ぐ
https://go.nature.com/2UmLYMB

★Genentech was not the first biotech company
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00187-1

 歴史を知ることは重要です。

★Faulty Antibodies Undermine Widespread Research
https://www.the-scientist.com/news-opinion/faulty-antibodies-undermine-widespread-research-67039

 抗体が認識しているものが想定されていたものではなかった…。これは近年指摘されていることで、生命科学において無駄で再現性の取れない実験が多くなされていることに批判が集まっています。

★United States charges prominent Harvard chemist with failing to disclose China ties
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/us-charges-prominent-harvard-chemist-failing-disclose-china-ties

Prominent Harvard Chemist Arrested For Concealing Ties to China
https://www.the-scientist.com/news-opinion/prominent-harvard-chemist-arrested-for-concealing-ties-to-china-67037

ハーバード大の著名化学者逮捕 中国との関係虚偽申告か
https://www.asahi.com/articles/ASN1Y1QYMN1YUHBI002.html

中国「千人計画」参加隠した米ハーバード大教授を起訴…世界トップ研究者を好待遇招聘
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200129-OYT1T50130/

 外国に関係する研究者を排除しているアメリカで、著名教授が中国の「千人計画」に参加していたことを隠していたことで逮捕。

★「中国の千人計画は脅威」 米国議会の報告書が警告
https://go.nature.com/2OnjTky

 千人計画はアメリカに相当警戒されているようです。

★Iranian Students Denied Entry to US
https://www.the-scientist.com/news-opinion/iranian-students-denied-entry-to-us-67023

 緊張高まる米イラン関係。

Brexit is happening: what does it mean for science?
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00215-0

UK and EU: Cherish what you have achieved and stay close
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00226-x

After Brexit, U.K. scientists face a long road to mend ties with Europe
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/after-brexit-uk-scientists-face-long-road-mend-ties-europe

UK to Recruit Top Scientists in New Visa Program
https://www.the-scientist.com/news-opinion/uk-to-recruit-top-scientists-in-new-visa-program-67018

英国に世界のトップの科学者を呼び寄せるための人数制限のない早期発行ビザ制度の開始
https://crds.jst.go.jp/dw/20200131/2020013122367/

 ついにBrexitしました。欧州議会での皮肉たっぷりのファラージ氏の振る舞いを見ていると、ユーモアというものの意味を考えさせられますが、研究にとっては大打撃。

これぞ英国流の煽り? EU離脱演説に「モンティ・パイソンを超えた」
http://bit.ly/392CBG4

「ここまで高純度なブリカス仕草が見れるとは」EU離脱が承認された議会でのイギリスがすごくイギリス
https://togetter.com/li/1462457

★Catalexit: funds for science could suffer
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00188-0

 スペインではカタルーニャ地方の分離独立問題。Catalexitと呼ばれています。

★NIH’s new cluster hiring program aims to help schools attract diverse faculty
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/nih-s-new-cluster-hiring-program-aims-help-schools-attract-diverse-faculty

 多様な人材を獲得するために新しいプログラム「 Faculty Institutional Recruitment for Sustainable Transformation (FIRST)」を採用。

★Three bad reasons to do a postdoc
https://www.sciencemag.org/careers/2020/02/three-bad-reasons-do-postdoc

★Before applying for your dream science job, Google thyself
https://www.sciencemag.org/careers/2020/01/applying-your-dream-science-job-google-thyself

 日本では「ググれ」ですね。

研究者を目指す若者だけでなく、一般の読者にも読んで欲しい一冊―榎木 英介『研究不正と歪んだ科学 STAP細胞事件を超えて』村上 陽一郎による書評
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200204-00004152-allreview-life

 私達の本の書評が全部読めます。

新型コロナウイルス、ポスドク総合対策

2020年1月21日~2020年1月28日

カセイケン代表 榎木英介

 まずは調査のご紹介です。私たちが行っているものではありませんが、趣旨に賛同しご紹介いたします。

喜びとストレスのきっかけを探る
研究者のメンタルヘルス・グローバル調査
https://cactusglobal.com/mental-health-survey-jp/

Joy and Stress Triggers
A global survey on mental health among researchers
https://www.cactusglobal.com/mental-health-survey/#foundation

若手研究者のキャリアラダーに関する調査研究(基礎属性)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfL2p7T7P8zIuPSzRmehQaIuaVjdg9c9hAKL9QN2l7MYYozkQ/viewform

 さてなんといっても現在最も話題になっているのは、新型コロナウイルスです。

中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎の発生について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について
https://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html

コロナウイルスに関する解説及び中国湖北省武漢市等で報告されている新型コロナウイルス関連肺炎に関連する情報
https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc/2482-corona/9305-corona.html

国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html

新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する関係閣僚会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/index.html

 あまりに動きが早いため、記事のピックアップをやめました。中国政府の動きや研究の動きも驚異的です。

中国武漢から流行している新型コロナウイルス(2019-nCoV)による新型肺炎について
新型コロナウイルスに関する簡単な解説とまとめ記事
https://www.minesot.com/2020/01/2019-ncov.html

 旧知の病理医、峰 宗太郎さんが作られたページです。動向がまとまっているので、ご参照ください。

安倍総理は第48回総合科学技術・イノベーション会議を開催しました
http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202001/23kagaku.html

総合科学技術・イノベーション会議(第48回)議事次第
https://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui048/haihu-048.html

議事

1.研究力強化・若手研究者支援総合パッケージについて
2.革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)終了時評価及びムーンショット型研究開発制度の目標設定等について
3.科学技術・イノベーション創出に係る制度改革の方針について

報告

1.量子技術イノベーション戦略について
2.「安全・安心」の実現に向けた科学技術・イノベーションの方向性について
3.革新的環境イノベーション戦略について

 1月23日、総合科学技術会議イノベーション会議が安倍総理出席のもと開催されました。

 量子技術イノベーション、ImPACTの評価やムーンショットなど、どれも非常に大きな課題が取り上げられています。

「大胆で挑戦的な研究」政府、後押しする6目標を策定へ
https://www.sankei.com/life/news/200122/lif2001220018-n1.html

 中でも若手研究者対策が私が着目した部分です。

「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」 案
https://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui048/siryo1.pdf

 以下報道です。

ポスドク」総合対策を決定 政府、生活費相当額を支援
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54758810T20C20A1PP8000/

ポスドク」支援へ奨学金拡充・採用増 政府が総合対策
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54653250R20C20A1MM0000/

若手研究者の奨学金拡充
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54653250R20C20A1MM0000/

 パッケージ案を見てみましょう。目標として

将来的に我が国の大学本務教員に占める40歳未満の教員が3割以上となることを目指し、40歳未満の大学本務教員を約1割増(2025年度)
運営費交付金と外部資金との「混合給与」により、1世界基準の給与待遇と、2若手ポスト増設・事務部門の環境改善のための財源確保を同時実現。
多様な財源を活用し、将来的に希望する博士後期課程学生が生活費相当額程度を受給できるよう、当面、修士課程からの進学者数の約5割に相当する学生が受給できることを目指す。(早期達成)
産業界による理工系博士号取得者の採用者数を約1,000名(約65%)増加(2025年度)
学内事務等の割合を半減し、研究時間を確保。(2025年度)
大学・研究機関等における研究設備の共用体制を確立 (2025年度)

 が掲げられています。

 若手研究者対策としては、私たちも含め多くの方々が願っていることがかなり取り入れられている印象ですし、数値目標や達成年度という「言質」も明記されています。

 政府自身も博士号取得者を雇用すると述べており、身銭を切る方向です。

博士号取得者の国家公務員や産業界等における国内外の採用、職務、処遇等の状況について、実態やニーズの調査と好事例の収集・横展開を行い、今後の国家公務員における博士号取得者の専門的知識や研究経験を踏まえた待遇改善について検討。(2019年度~)【内閣官房・CSTI・人事院・文・経・ 全省庁】

 運営費交付金を若手対策の達成度で加増するという「ニンジン」もぶら下げるようです。

 私は基本的にこの方向性に賛同します。後は言葉だけでなく実現されるかという問題です。

 ただ、もう皆さんも私が言うことをお分かりと思いますが、40歳未満優遇明記で、就職氷河期世代の40代が梯子を外されてしまったことが明確になりました。

 この世代、自分たちが若手の時は団塊世代の雇用優先やリーマンショックなどで見捨てられ、団塊の世代が去った今、今度は若手優先策で切り捨てられたわけです。

 この1年、この話題ばかり考え続けていますが、同世代(私は現在48歳)の方々の生きる術を見つけていかなければなりません。

フリーランス進まぬ保護 「ほぼ専属」4割、議論に遅れ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54898250X20C20A1EE8000/

★日本にスタートアップを育てる環境はあるの?
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53469880X11C19A2000000/

 その一つは起業やフリーランス化だと思いますが、手放しで喜べることではありません。

 フリーランス化で弱い立場に追い込まれる人もおり、また、起業も失敗確率の方が高いわけです。

★「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト(JHeC)2020」グランプリが決定しました!
https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200127001/20200127001.html

病児保育支援にグランプリ 経産省コンテスト
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54788970U0A120C2000000/

 こういうスタートアップがどんどん育てばいいなと思いますが、ことは簡単ではありません。

 なかなか難しいですが、一つの策は、成長を目指さない「しょぼい起業」なのかなと思います。

“しょぼい起業家”が説く、20代が生きづらさを払拭する術「キャバクラ化したオンラインサロンには入るな」「可愛がられる子分になれ」
https://type.jp/st/feature/4614

 しょぼい起業とは、1990年生まれという若い起業家、えらいてんちょう氏が書いた本で、少し前に話題になりました。

 20代の若い人のやっていることを、色々なものを抱えてしまった40代の私達ができるのかということは考えてしまいますが、ヒントは色々あります。

 もちろん40代からの起業は簡単なことではないとは思います。

失敗から気づいた、40代フリーランス起業で成功する方法
https://40taishoku.com/40-entre/entre-success-points/

 他にも生きる術はあると思います。そういった事例を紹介したり、情報を提供できればなと思ったりしていますし、私自身がチャレンジしてみたいと思ったりしています。

 進展がありましたら発表いたします。

★博士、ビジネス感覚を
理系大学院の意義 名古屋大学教授の天野浩氏に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54652230R20C20A1TCN000/

理系博士にビジネス感覚を 天野浩名古屋大教授
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54637840R20C20A1TCN000/

 今回の研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ(案)にも、「産業界や大学との対話を通じた社会のニーズに応える大学院教育の構築」や「地方自治体や大学における起業家教育及び起業家候補への事業化支援等の抜本的強化(スタートアップ人材の育成)」といったことが取り入れられています。

 大学は企業の下請けじゃない、という声はその通りだと思います。一方で、社会のニーズを見つめて自らの能力を生かせる領域を探すことも必要です。

 とにかく生きていかなければならないわけで、武士は食わねど高楊枝というわけにはいかない現実の中でどうしていくのか、ということが求められています。

 ただ、博士号取得者には様々な能力があり、たとえ幾つになっても、社会の様々な場で活躍できるポテンシャルがあると信じています。

 そのポテンシャルを開花させるお手伝いをしたいというのが、今の私の心境、ミッションです。

★3 charts that show how attitudes to climate science vary around the world
https://www.weforum.org/agenda/2020/01/climate-science-global-warming-most-sceptics-country/

気候科学「非常に」「かなり」信頼、日本は25% 30カ国平均は57%
https://mainichi.jp/articles/20200123/k00/00m/040/235000c

 世界経済フォーラム。日本の気候科学への信頼度の低さが気になります。科学と社会の関係の問題があるように思います。

世界経済フォーラム
年次総会2020
21—24 1 2020
https://jp.weforum.org/events/world-economic-forum-annual-meeting-2020

CO2削減、成果要求 ダボス会議でグレタさん
https://mainichi.jp/articles/20200122/ddm/007/020/072000c

ダボス会議で見えた2つの分断と希望
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54860290V20C20A1EA2000/

 その世界経済フォーラムですが、ダボス会議を開催していました。気候変動は主要議題に。

南海トラフ沿いで発生する大地震の確率論的津波評価
https://www.jishin.go.jp/evaluation/tsunami_evaluation/#nankai_t

南海トラフ地震、各地の津波確率を公表 地震調査委
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54789170U0A120C2I00000/

南海トラフ地震津波確率 71市区町村で「非常に高い」 国が初公表
https://www.sankei.com/life/news/200124/lif2001240024-n1.html

南海トラフ地震で3m以上の津波、71市区町村で確率26%以上
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200124-OYT1T50233/

津波、最低限の備え促す
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54839250U0A120C2EA1000/

 先々週、阪神淡路大震災25年を迎え、防災に関する記事や放送などもありました。

 3月11日には東日本大震災から9年の日を迎えます。

 市民の防災意識を向上させるにはどうすれば良いか、考えていかなければなりません。

★「商標拳~ビジネスを守る奥義~」動画及び特設サイト
https://www.jpo.go.jp/introduction/soshiki/design_keiei/shohyoken/index.html

 特許庁、攻めてるなあと話題に。

★小中学校にパソコン1人1台 特需を喜べないメーカー
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53779280V21C19A2000000/

本の学校教育、デジタル社会への対応に失敗
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54788730U0A120C2CK8000/

 子供たちにデジタルスキルを身に付けてもらうことはもう必須なわけですが、対応できな日本社会に「イラッと」きますね。

★PLOS ONE、研究計画から研究レポートの出版までをサポートする“Registered Reports”を導入すると発表
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=11760

 研究倫理についても計画段階からサポートされます。

★Software searches out reproducibility issues in scientific papers
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00104-6

 再現性問題。

★検証:中立性脅かす製薬マネー 医薬品講演の教授「めちゃくちゃ効いた」 専門家「患者の信頼失墜」
https://mainichi.jp/articles/20200127/ddm/002/040/132000c

副業に励む医学部教授ら 国公立の15人に製薬マネー1000万円超 18年度
https://mainichi.jp/articles/20200126/k00/00m/040/123000c

高額な製薬マネーは「正当な対価」? 中立性に懸念広がる 甘い兼業ルール
https://mainichi.jp/articles/20200126/k00/00m/040/131000c

15教授ら1000万円超受領 製薬会社から講師謝金 国公立大
https://mainichi.jp/articles/20200127/ddm/001/040/128000c

 毎日新聞の調査。利益相反問題は、副業なんか許せば良いではないか、という問題とは違います。

一般財団法人エネルギー総合工学研究所による補助金等の不正受給に対する措置を講じました
https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200124005/20200124005.html

補助金不正で2億6千万円返還へ エネルギー総合工学研究所
https://www.47news.jp/news/4451820.html

不正補助金、2.6億円返還へ エネルギー総合工学研
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020012401279&g=eco

★Doomsday Clock is reset to 100 seconds until midnight, closest ever
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/doomsday-clock-reset-100-seconds-until-midnight-closest-ever

「終末時計」残り100秒 過去最短、地球最後まで
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020012301001520.html

地球最後までの時刻はあと「100秒」 核、温暖化の脅威で過去最短を更新
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/01/20200127_01.html

 地球の危機がどうもまだ人々に実感されていなようにも感じます。

★Science Positions Increasingly Abandoned Under Trump
https://www.the-scientist.com/news-opinion/science-positions-increasingly-abandoned-under-trump-67008

 トランプ政権。ポストに人不在のまま放置。

★Moffitt Cancer Center details links of fired scientists to Chinese talent programs
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/moffitt-cancer-center-details-links-fired-scientists-chinese-talent-programs

★UK chief scientific adviser on swift research visas post-Brexit
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00185-3

 Brexit目前。研究業界も対応に追われています。

★Inclusivity for all: How to make your research group accessible
https://www.sciencemag.org/features/2020/01/inclusivity-all-how-make-your-research-group-accessible

★日本人初、高校卒業後すぐにMITメディアラボの研究者となった片野晃輔(22)に聞く、「自分のやりたいことの見つけ方」
http://neutmagazine.com/emi-kusano-super-teens-7

 異能の若手の活躍が目立つようになってきました。

★大学教授から研究を奪う、皮肉な「支援」
https://forbesjapan.com/articles/detail/31871/1/1/1

 忙しすぎる大学教授。

★「エア御用学者」のささやかな目標
https://webronza.asahi.com/national/articles/2020012000005.html

 原発事故直後の御用学者論争は、様々な論点を炙り出しました。

 私の知人の中にも、意見の対立で完全に仲違いしてしまった人たちがいます。

 科学技術に関する諸問題も意見が分かれる部分がありますが、私自身としては、できるかぎり様々な意見を持った人たちと対話を続けることができたらと思っています。

入試差別からみえてくるもの

2020年1月14日~2020年1月21日

 御心配をおかけいたしましたが、インフルエンザからはようやく快復いたしました。

今週の本棚
村上陽一郎・評 『研究不正と歪んだ科学』=榎木英介・編著
https://mainichi.jp/articles/20200119/ddm/015/070/007000c

 毎日新聞の読書面で、私たちが書いた本が大きく取り上げられました。評者は村上陽一郎さんです。

 ご評価いただき、著者一同喜んでいます。

 もちろん、本で書いた日本の研究環境の問題が解決することが目標であり、本が売れることは二の次ではありますが、多くの皆様が手に取ってくださり、公正な研究環境に一歩でも近づくことができたらと願っています。

「研究不正と歪んだ科学 STAP細胞事件を超えて」
日本評論社 税込 2,530円
https://nippyo.co.jp/shop/book/8178.html
https://amzn.to/2NEWFVR

 さて、今週のニュースです。

★本学医学部入学試験に関する「第三者委員会」の調査報告書について
http://www.marianna-u.ac.jp/univ/news/20200117_01.html

医学部入試「差別あった」 聖マリアンナ医大の第三者
https://www.asahi.com/sp/articles/ASN1K7478N1KUTIL01D.html

聖マリアンナ医大、女性と浪人生への差別「可能性あった」と認める 調査結果の内容とは?
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e23a223c5b674e44b9939a4

2浪の女性 140点も差別されていた
https://1kando.com/155445

180点満点で―80点スタートってありですか?【医学部入試 差別的採点問題】
https://togetter.com/li/1457566

聖マリアンナ医科大入試「性別や現・浪で差別的扱い」第三者委が調査報告書
https://mainichi.jp/articles/20200117/k00/00m/040/249000c

 聖マリアンナ大学の第三者委員会が、入試において差別があったか否かを調査し、報告書にまとめました。
https://drive.google.com/file/d/1s5t-RCZ3e-piWFVDp6F3ok-cmY8MGasc/view?usp=drivesdk

 ところが、上記リンクを見れば分かりますが、調査報告書は大学の公式サイトには置かれておらず、大学は不正を否定するという異常な事態に陥っています。

 あまりに酷い。

 年齢や性別など、どうすることもできない属性をなんの断りもなく差別し、しかも開き直るとは、人権感覚の欠如も甚だしいと言わざるを得ません。

 何故かくもこの国は、年齢や性別差別を露骨に行い、しかも反省することもなく開き直るのでしょう。

 就職氷河期世代の問題にしても、たまたま生まれた年が悪かっただけで、ずっと負のスパイラルから抜け出せない世代が出てしまうのも、年齢を評価基準とする差別的な採用制度のせいです。

深刻な高学歴ワーキングプア
国策に翻弄される博士たちの憂鬱
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/22716

★「厚生労働省本省就職氷河期世代採用選考」の申込状況を公表します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08899.html

 もちろん、新卒一括採用は人口増による経済成長がある時期には一部で合理的採用だったのでしょう。

 しかし、今の時代に年齢制限による差別を行うと公言するかのような新卒一括採用をやり続けることは、世界に人権感覚がないことを公言しているかのようなものです。

★To fairly evaluate scientists’ CVs, universities should welcome personal disclosures
https://www.sciencemag.org/careers/2020/01/fairly-evaluate-scientists-cvs-universities-should-welcome-personal-disclosures

How to write a clear, compelling CV
https://www.sciencemag.org/careers/2020/01/how-write-clear-compelling-cv

 日本ではよいCVの書き方などあまり重視されません。当然です。人を見ずに属性を見るわけですから。

★大澤昇平特任准教授に対する懲戒処分について
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/news/2020011511159

Regarding Disciplinary Dismissal of Project Associate Professor Shohei Osawa
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/news/2020011511176

懲戒処分の公表について
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z1304_00124.html

「中国人は採用しない」と投稿、東大特任准教授を懲戒解雇
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200115-OYT1T50170/

差別的投稿「許されない」 東大、特任准教授を懲戒解雇
https://www.asahi.com/articles/ASN1H43F5N1HUTIL013.html

 年齢、性別に続いて、人種や国籍による差別を公言する教員もあらわれました。

 しかし…。

★地方配属飛躍の機会に 若手に裁量、深い人の輪
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54371090U0A110C2TCN000/

 これはメンバーシップ型の問題ですね。こういう転勤前提の話はもはや古いと言わざるを得ません。

★日本の若者が気付けない自らの「貧困」。海外に出ない、その裏事情
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e1ea82ac5b63211760b21c0

 この記事がバズってましたが、何を言っているのだろうと思いました。貧困に陥り住む家や食べ物に困っている人は、外国など出なくても、自らの体験としてよくわかっているはずです。

 メディアも結局、大手の視点からしか物を見ていないと言わざるを得ません。

 医師なんかは典型的ですが、医師なんかろくな職業じゃないよ、給料も1500万円くらいで頭打ちで、民間企業のサラリーマンのほうがいいよね、なんていう人がいます。

 周りが同じようなバックグラウンドを持った人ばかりだと問題に気がつけないのです。


 もちろん、完全な平等など、見果てぬ夢みたいなものだと思います。現実社会は甘くなく、苛烈な現実が横たわります。

★Stress, anxiety, harassment: huge survey reveals pressures of scientists’ working lives
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00101-9

Scientists Report Stress, Bullying, and Harassment in New Survey
http://bit.ly/2tF2YTx

 諸外国のほうがもっと差別は大きい。日本なんて甘いものだ。仕方ない。現実を考えるとこうするしかない…。

 そういう人もいるでしょう。

 しかし、今は見果てぬ夢だとしても夢を追い求めることをやめたらおしまいです。

 何ら対策を立てず、変わろうとしないことは許されません。

 たとえ一歩でも、理想を追い求め、発言し、動き続けなければ、世の中は変わりません。諦めるのは罪です。

NSF rolls out huge makeover of science statistics
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/nsf-rolls-out-huge-makeover-science-statistics

China is closing gap with United States on research spending
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00084-7

China Catches Up with the US in Science and Tech
https://www.the-scientist.com/news-opinion/china-catches-up-with-the-us-in-science-and-tech-66977

研究開発費、数年内に中国がトップに?日本の伸び率は最低
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200117-OYT1T50093/

 NSFの調査。中国が米国に肉薄。日本は…。

★Chinese academics who work abroad are slower to win major honour
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03772-1

中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎の発生について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎について(第5報)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08998.html

中華人民共和国湖北省武漢市における原因不明肺炎の発生について(第4報)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08873.html

新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08906.html

 刻一刻と変化するので、厚労省のページのみリンク。

★【識者の眼】「新型コロナウイルス(2019-nCoV)案件、今後の注目点〜北京におけるSARSの対応経験から」勝田吉彰
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=13876

 感染拡大が懸念されます。

★科学技術「ムーンショット型研究開発」目標の6項目まとまる
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200116/k10012247651000.html

 ImPACTとどう違うのかなあと思ったりしましたが…。

★革新的研究開発推進プログラム(ImPACT) 終了時評価報告書(案)
令和元年1月9日
ImPACT 終了時評価ドラフト作成ワーキンググループ
https://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/kakushintekikenkyu/36kai/siryo2.pdf

 そのImPACT。

科学技術基本法 初改正へ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54523730X10C20A1TJM000/

★科技計画 問われる実効性
5期は目標達成困難、6期検討開始 「政府投資不足」の指摘も
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54523710X10C20A1TJM000/

科学技術政策目標 「達成」危うし 予算不足も指摘
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54456740W0A110C2TJM000/

 第6期が近づいてきて記事も多くなってきました。

★Prominent animal-cloning researcher sentenced to 12 years in prison
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00051-2

Cloning Scientist Sentenced to 12 Years in Prison
https://www.the-scientist.com/news-opinion/cloning-scientist-sentenced-to-12-years-in-prison-66966

 中国。研究費の不正に非常に厳しい姿勢。

安倍総理は第201回国会における施政方針演説を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0120shiseihoushin.html

 量子技術、宇宙、Society5.0について触れられています。

産総研がゼロエミッション国際共同研究センターを設立します
https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200117001/20200117001.html

安倍総理は吉野彰(あきら)ゼロエミッション国際共同研究センター長による表敬を受けました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202001/17nobel.html

ノーベル賞 吉野さん、環境技術開発拠点研究センター長に
https://mainichi.jp/articles/20200118/ddm/005/010/044000c

 産総研にゼロエミッション国際共同センター。センター長は吉野彰さん。

★企業研究者の原動力は 吉野彰×田中耕一×池上彰3氏
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54347930U0A110C2I00000/

 その吉野さんは田中さんらと企業研究者について対談。

★令和2年度文部科学省 予算(案)の発表資料一覧(1月)
https://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h31/1412639_00001.htm

★平成30年度 大学等における産学連携等実施状況について
https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/1413730_00005.htm

★政府、民間技術を安保に転用
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54579280Z10C20A1NN1000/

安保関連のハイテク機器、国産品開発の促進制度を創設 政府が新法案提出へ
https://mainichi.jp/articles/20200120/k00/00m/020/291000c

★ひとりでがんばる知財担当者のためのお助けサイトを開設しました
https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200114002/202001014002.html

★「令和2年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」に関するご意見の募集について
https://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p20200115-01.html

★「知的財産推進計画2020」の策定に向けた意見募集について(PDF形式:223KB)(募集期間:令和2年1月17日(金)~2月17日(月))(R2.1.17)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/pdf/suishin2020_iken_boshu.pdf

★提言「専攻医募集シーリングによる研究力低下に関する緊急提言」
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t284-1.pdf

提言のポイント
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-24-t284-1-abstract.html

 日本学術会議。専門医制度が日本の医学研究に悪影響を与えると懸念。

★不幸な本を生まないために。図書館が望む、より良い寄贈本の在り方。
https://corporate.valuebooks.jp/endpaper/report-2/rikutaka1230/

 私たちも震災のときに、本を贈れないかと模索しました。贈ればよいというものではありません。

★財政難に苦しむ野辺山宇宙電波観測所のこれから
所員は120人から13人へ、それでも45m望遠鏡での研究継続に奮闘
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020011400006.html

 高校生のときに見学しました。厳しい状況ですが、よい方向に向かいますように。

★論文海賊版サイトSci-Hubは学術コミュニティの「究極の破壊者」だという主張
https://gigazine.net/news/20200119-sci-hub-ultimate-disruptor/

★Opinion: Exorcising Ghostwriting from Peer Review
http://bit.ly/2Rc6JIT

★Imagine a world without hunger, then make it happen with systems thinking
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00086-5

★Time for the Human Screenome Project
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00032-5

★Global problems need social science
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00064-x

★Kurdistan: instability wrecks research and education
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00057-w

 国を持たない民族、クルド人

★Senate bill would boost spending on Trump administration’s research priorities
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/senate-bill-would-boost-spending-trump-administration-s-research-priorities

★How the fight over a Hawaii mega-telescope could change astronomy
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00076-7

How the Fight over a Hawaii Mega-Telescope Could Change Astronomy
https://www.scientificamerican.com/article/how-the-fight-over-a-hawaii-mega-telescope-could-change-astronomy/

★Protect India’s universities
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00085-6

★採用直結のインターン 理系大学院生に推奨へ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54478900W0A110C2PP8000/

採用つながるインターン、理系大学院生で推奨へ 政府方針
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO54478900W0A110C2PP8000

 インターンシップは決して悪くないと思いますが、学業との両立について懸念がでています。

★理系は今こそ社長を目指せ 論理と数字が業績を伸ばす
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO54196570Z00C20A1000000/

三菱UFJ、社長兼CEOに亀沢氏 メガ銀で初の理系出身
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54417800V10C20A1MM8000/

 理系の経営者よもっと出でよ。

★Being a caregiver while caring about a PhD
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00049-w

★地層「千葉セクション」のIUGS(国際地質科学連合)における審査結果について
https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20200117.html

地質時代名に初の日本由来の「チバニアン」 国際学会が決定
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/01/20200120_01.html