2020年1月21日~2020年1月28日
カセイケン代表 榎木英介
まずは調査のご紹介です。私たちが行っているものではありませんが、趣旨に賛同しご紹介いたします。
喜びとストレスのきっかけを探る
研究者のメンタルヘルス・グローバル調査
https://cactusglobal.com/mental-health-survey-jp/
Joy and Stress Triggers
A global survey on mental health among researchers
https://www.cactusglobal.com/mental-health-survey/#foundation
若手研究者のキャリアラダーに関する調査研究(基礎属性)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfL2p7T7P8zIuPSzRmehQaIuaVjdg9c9hAKL9QN2l7MYYozkQ/viewform
さてなんといっても現在最も話題になっているのは、新型コロナウイルスです。
★中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎の発生について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について
https://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html
コロナウイルスに関する解説及び中国湖北省武漢市等で報告されている新型コロナウイルス関連肺炎に関連する情報
https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc/2482-corona/9305-corona.html
国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html
新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する関係閣僚会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/index.html
あまりに動きが早いため、記事のピックアップをやめました。中国政府の動きや研究の動きも驚異的です。
中国武漢から流行している新型コロナウイルス(2019-nCoV)による新型肺炎について
新型コロナウイルスに関する簡単な解説とまとめ記事
https://www.minesot.com/2020/01/2019-ncov.html
旧知の病理医、峰 宗太郎さんが作られたページです。動向がまとまっているので、ご参照ください。
★安倍総理は第48回総合科学技術・イノベーション会議を開催しました
http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202001/23kagaku.html
総合科学技術・イノベーション会議(第48回)議事次第
https://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui048/haihu-048.html
議事
1.研究力強化・若手研究者支援総合パッケージについて
2.革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)終了時評価及びムーンショット型研究開発制度の目標設定等について
3.科学技術・イノベーション創出に係る制度改革の方針について
報告
1.量子技術イノベーション戦略について
2.「安全・安心」の実現に向けた科学技術・イノベーションの方向性について
3.革新的環境イノベーション戦略について
1月23日、総合科学技術会議・イノベーション会議が安倍総理出席のもと開催されました。
量子技術イノベーション、ImPACTの評価やムーンショットなど、どれも非常に大きな課題が取り上げられています。
「大胆で挑戦的な研究」政府、後押しする6目標を策定へ
https://www.sankei.com/life/news/200122/lif2001220018-n1.html
中でも若手研究者対策が私が着目した部分です。
「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」 案
https://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui048/siryo1.pdf
以下報道です。
「ポスドク」総合対策を決定 政府、生活費相当額を支援
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54758810T20C20A1PP8000/
「ポスドク」支援へ奨学金拡充・採用増 政府が総合対策
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54653250R20C20A1MM0000/
若手研究者の奨学金拡充
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54653250R20C20A1MM0000/
パッケージ案を見てみましょう。目標として
将来的に我が国の大学本務教員に占める40歳未満の教員が3割以上となることを目指し、40歳未満の大学本務教員を約1割増(2025年度)
運営費交付金と外部資金との「混合給与」により、1世界基準の給与待遇と、2若手ポスト増設・事務部門の環境改善のための財源確保を同時実現。
多様な財源を活用し、将来的に希望する博士後期課程学生が生活費相当額程度を受給できるよう、当面、修士課程からの進学者数の約5割に相当する学生が受給できることを目指す。(早期達成)
産業界による理工系博士号取得者の採用者数を約1,000名(約65%)増加(2025年度)
学内事務等の割合を半減し、研究時間を確保。(2025年度)
大学・研究機関等における研究設備の共用体制を確立 (2025年度)
が掲げられています。
若手研究者対策としては、私たちも含め多くの方々が願っていることがかなり取り入れられている印象ですし、数値目標や達成年度という「言質」も明記されています。
政府自身も博士号取得者を雇用すると述べており、身銭を切る方向です。
博士号取得者の国家公務員や産業界等における国内外の採用、職務、処遇等の状況について、実態やニーズの調査と好事例の収集・横展開を行い、今後の国家公務員における博士号取得者の専門的知識や研究経験を踏まえた待遇改善について検討。(2019年度~)【内閣官房・CSTI・人事院・文・経・ 全省庁】
運営費交付金を若手対策の達成度で加増するという「ニンジン」もぶら下げるようです。
私は基本的にこの方向性に賛同します。後は言葉だけでなく実現されるかという問題です。
ただ、もう皆さんも私が言うことをお分かりと思いますが、40歳未満優遇明記で、就職氷河期世代の40代が梯子を外されてしまったことが明確になりました。
この世代、自分たちが若手の時は団塊世代の雇用優先やリーマンショックなどで見捨てられ、団塊の世代が去った今、今度は若手優先策で切り捨てられたわけです。
この1年、この話題ばかり考え続けていますが、同世代(私は現在48歳)の方々の生きる術を見つけていかなければなりません。
★フリーランス進まぬ保護 「ほぼ専属」4割、議論に遅れ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54898250X20C20A1EE8000/
★日本にスタートアップを育てる環境はあるの?
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53469880X11C19A2000000/
その一つは起業やフリーランス化だと思いますが、手放しで喜べることではありません。
フリーランス化で弱い立場に追い込まれる人もおり、また、起業も失敗確率の方が高いわけです。
★「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト(JHeC)2020」グランプリが決定しました!
https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200127001/20200127001.html
病児保育支援にグランプリ 経産省コンテスト
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54788970U0A120C2000000/
こういうスタートアップがどんどん育てばいいなと思いますが、ことは簡単ではありません。
なかなか難しいですが、一つの策は、成長を目指さない「しょぼい起業」なのかなと思います。
“しょぼい起業家”が説く、20代が生きづらさを払拭する術「キャバクラ化したオンラインサロンには入るな」「可愛がられる子分になれ」
https://type.jp/st/feature/4614
しょぼい起業とは、1990年生まれという若い起業家、えらいてんちょう氏が書いた本で、少し前に話題になりました。
20代の若い人のやっていることを、色々なものを抱えてしまった40代の私達ができるのかということは考えてしまいますが、ヒントは色々あります。
もちろん40代からの起業は簡単なことではないとは思います。
失敗から気づいた、40代フリーランス起業で成功する方法
https://40taishoku.com/40-entre/entre-success-points/
他にも生きる術はあると思います。そういった事例を紹介したり、情報を提供できればなと思ったりしていますし、私自身がチャレンジしてみたいと思ったりしています。
進展がありましたら発表いたします。
★博士、ビジネス感覚を
理系大学院の意義 名古屋大学教授の天野浩氏に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54652230R20C20A1TCN000/
理系博士にビジネス感覚を 天野浩名古屋大教授
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54637840R20C20A1TCN000/
今回の研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ(案)にも、「産業界や大学との対話を通じた社会のニーズに応える大学院教育の構築」や「地方自治体や大学における起業家教育及び起業家候補への事業化支援等の抜本的強化(スタートアップ人材の育成)」といったことが取り入れられています。
大学は企業の下請けじゃない、という声はその通りだと思います。一方で、社会のニーズを見つめて自らの能力を生かせる領域を探すことも必要です。
とにかく生きていかなければならないわけで、武士は食わねど高楊枝というわけにはいかない現実の中でどうしていくのか、ということが求められています。
ただ、博士号取得者には様々な能力があり、たとえ幾つになっても、社会の様々な場で活躍できるポテンシャルがあると信じています。
そのポテンシャルを開花させるお手伝いをしたいというのが、今の私の心境、ミッションです。
★3 charts that show how attitudes to climate science vary around the world
https://www.weforum.org/agenda/2020/01/climate-science-global-warming-most-sceptics-country/
気候科学「非常に」「かなり」信頼、日本は25% 30カ国平均は57%
https://mainichi.jp/articles/20200123/k00/00m/040/235000c
世界経済フォーラム。日本の気候科学への信頼度の低さが気になります。科学と社会の関係の問題があるように思います。
★世界経済フォーラム
年次総会2020
21—24 1 2020
https://jp.weforum.org/events/world-economic-forum-annual-meeting-2020
CO2削減、成果要求 ダボス会議でグレタさん
https://mainichi.jp/articles/20200122/ddm/007/020/072000c
ダボス会議で見えた2つの分断と希望
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54860290V20C20A1EA2000/
その世界経済フォーラムですが、ダボス会議を開催していました。気候変動は主要議題に。
★南海トラフ沿いで発生する大地震の確率論的津波評価
https://www.jishin.go.jp/evaluation/tsunami_evaluation/#nankai_t
南海トラフ地震、各地の津波確率を公表 地震調査委
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54789170U0A120C2I00000/
南海トラフ地震の津波確率 71市区町村で「非常に高い」 国が初公表
https://www.sankei.com/life/news/200124/lif2001240024-n1.html
南海トラフ地震で3m以上の津波、71市区町村で確率26%以上
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200124-OYT1T50233/
津波、最低限の備え促す
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54839250U0A120C2EA1000/
先々週、阪神淡路大震災25年を迎え、防災に関する記事や放送などもありました。
3月11日には東日本大震災から9年の日を迎えます。
市民の防災意識を向上させるにはどうすれば良いか、考えていかなければなりません。
★「商標拳~ビジネスを守る奥義~」動画及び特設サイト
https://www.jpo.go.jp/introduction/soshiki/design_keiei/shohyoken/index.html
特許庁、攻めてるなあと話題に。
★小中学校にパソコン1人1台 特需を喜べないメーカー
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53779280V21C19A2000000/
日本の学校教育、デジタル社会への対応に失敗
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54788730U0A120C2CK8000/
子供たちにデジタルスキルを身に付けてもらうことはもう必須なわけですが、対応できな日本社会に「イラッと」きますね。
★PLOS ONE、研究計画から研究レポートの出版までをサポートする“Registered Reports”を導入すると発表
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=11760
研究倫理についても計画段階からサポートされます。
★Software searches out reproducibility issues in scientific papers
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00104-6
再現性問題。
★検証:中立性脅かす製薬マネー 医薬品講演の教授「めちゃくちゃ効いた」 専門家「患者の信頼失墜」
https://mainichi.jp/articles/20200127/ddm/002/040/132000c
副業に励む医学部教授ら 国公立の15人に製薬マネー1000万円超 18年度
https://mainichi.jp/articles/20200126/k00/00m/040/123000c
高額な製薬マネーは「正当な対価」? 中立性に懸念広がる 甘い兼業ルール
https://mainichi.jp/articles/20200126/k00/00m/040/131000c
15教授ら1000万円超受領 製薬会社から講師謝金 国公立大
https://mainichi.jp/articles/20200127/ddm/001/040/128000c
毎日新聞の調査。利益相反問題は、副業なんか許せば良いではないか、という問題とは違います。
★一般財団法人エネルギー総合工学研究所による補助金等の不正受給に対する措置を講じました
https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200124005/20200124005.html
補助金不正で2億6千万円返還へ エネルギー総合工学研究所
https://www.47news.jp/news/4451820.html
不正補助金、2.6億円返還へ エネルギー総合工学研
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020012401279&g=eco
★Doomsday Clock is reset to 100 seconds until midnight, closest ever
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/doomsday-clock-reset-100-seconds-until-midnight-closest-ever
「終末時計」残り100秒 過去最短、地球最後まで
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020012301001520.html
地球最後までの時刻はあと「100秒」 核、温暖化の脅威で過去最短を更新
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/01/20200127_01.html
地球の危機がどうもまだ人々に実感されていなようにも感じます。
★Science Positions Increasingly Abandoned Under Trump
https://www.the-scientist.com/news-opinion/science-positions-increasingly-abandoned-under-trump-67008
トランプ政権。ポストに人不在のまま放置。
★Moffitt Cancer Center details links of fired scientists to Chinese talent programs
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/moffitt-cancer-center-details-links-fired-scientists-chinese-talent-programs
★UK chief scientific adviser on swift research visas post-Brexit
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00185-3
Brexit目前。研究業界も対応に追われています。
★Inclusivity for all: How to make your research group accessible
https://www.sciencemag.org/features/2020/01/inclusivity-all-how-make-your-research-group-accessible
★日本人初、高校卒業後すぐにMITメディアラボの研究者となった片野晃輔(22)に聞く、「自分のやりたいことの見つけ方」
http://neutmagazine.com/emi-kusano-super-teens-7
異能の若手の活躍が目立つようになってきました。
★大学教授から研究を奪う、皮肉な「支援」
https://forbesjapan.com/articles/detail/31871/1/1/1
忙しすぎる大学教授。
★「エア御用学者」のささやかな目標
https://webronza.asahi.com/national/articles/2020012000005.html
原発事故直後の御用学者論争は、様々な論点を炙り出しました。
私の知人の中にも、意見の対立で完全に仲違いしてしまった人たちがいます。
科学技術に関する諸問題も意見が分かれる部分がありますが、私自身としては、できるかぎり様々な意見を持った人たちと対話を続けることができたらと思っています。