2019年10月1日~2019年10月8日
そのニュースを聞いたとき、思わず絶句してしまいました。
白楽ブログの被盗用事件
https://haklak.com/page_Kawai_Plagiarism.html
もう20年来のお付き合いがある白楽ロックビル氏(お茶の水女子大名誉教授)。近年は研究不正の事例の収集をされており、「富国公正」を訴えられています。
白楽氏のサイト「研究者倫理」は私にとってなくてはならないサイトになっています。
この白楽氏のサイトの研究不正事例が盗用されたという驚くべきニュースが入ってきたのです。
詳細はYahoo!ニュース個人に記事にしました。
★「研究不正の研究」で研究不正の衝撃
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20191004-00145276/
この盗用が意図的に行われたか否かは分かりません。不注意だったのかもしれません。けれど、盗用の定義にあてはまります。
他人に倫理を説く人間が倫理的でなかったとしたら…。聴衆は話をまともに聞いてくれないでしょう。今回のケースはあくまで「 研究不正の発生原因」の研究なので、必ずしも研究倫理教育に対するものではありませんが、研究グループのなかには研究倫理教育に携わる人もいます。
この件を記事にすることは、正直言ってとても迷いました。
研究グループのなかにお会いしたことがある人もいます。日本において公正な研究を推進していこうという、ある種の仲間です。 記事を書くことで、仲間を売ることにならないか…。せっかく芽生 え始めた研究公正への動きを妨害することにならないか…。
しかし、今まで様々な研究不正の事例の記事を書いてきた私が、この件を故意に無視してしまえば、仲間をかばっているのか、ということになりかねません。こうした忖度するような行為は倫理的とは 言えず、逆に研究公正の動きにブレーキをかけてしまうのではないか…。
悩んだ挙句記事を書いた次第です。
研究倫理を説く人間が倫理的に問題がないのか…。これは私自身にも問われることです。
人はしがらみがあるから、どうしても利益相反が出てきてしまいます。完全に利害から離れた人はいません。
私自身が聖人君子だとは思いません。キャリアに迷いじたばたもがいてきた人間です。言動にぶれもあるでしょう。
しかし、完璧な人間にはなれないけれど、できる限り筋を通し、忖度しないように心がけたいと思っています。だから大学を自ら辞め て、大学から距離を置きました。
結局信頼は行動を通じてしか得ることができません。
★Press release: The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2019
https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2019/press-release/
ノーベルウィークが始まっています。生理学医学賞は、もと朝日新聞記者の浅井文和さんが見事に的中させました。
大胆予想:医学生理学賞は「低酸素応答」の3人
https://webronza.asahi.com/science/articles/2019092700009.html
毎年書いていますが、この賞に右往左往することがよいことなのか 、迷いはあります。知人のなかには、 はっきりとノーベル賞なぞなくしてしまえ、という人もいます。
負の側面は、問題解決を先送りするカンフル剤ということでしょう 。
私としては、したたかにこの機会を利用して、研究者の環境などの 問題に関心を高めたいとは思っています。
★日本の若い研究者たちの“ブラックすぎる”職場環境 ~あるノーベル賞学者の憤り~
https://www3.nhk.or.jp/news/special/nobelprize2019/article/article_06.html
★就職や収入で将来不安 「エリート」の博士課程も今は…
https://www.asahi.com/articles/ASM9K5QSCM9KULBJ00L.html
★研究現場は今:第1部 博士/6 研究と収入、両立で葛藤 文系、常勤ポストでも見通せぬ未来 /京都
https://mainichi.jp/articles/20191001/ddl/k26/040/409000c
このように、近年はこの時期に研究者のキャリア問題に焦点を置い た記事が出るようになりました。 野依さんについては厳しい批判もあります。
"「お前の将来は俺の電話一本」という名ゼリフで有名なブラックラ ボの主で、その人望のなさからノーベル賞受賞後にもかかわらず名 大学長選に敗れ、その雪辱を理研の理事長として果たそうとしてナ ントカ細胞という詐欺に引っかかった挙句死人まで出す騒ぎに発展 させた御仁が何を言ってるのやら"
https://twitter.com/TJO_datasci/status/1180411468300222464
言動の一貫性というのは、このようについて回るわけです。
それはともかく、こうした注目を具体的動きにつなげていかなければいけません。
★青学大、院生40人を「助手」雇用の狙い
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191004-00010001-newswitch-bus_all
★青山学院大、院生40人を助手に雇用 文系の研究者育成
https://www.nikkan.co.jp/spaces/view/0049698
注目の取り組みです。もちろん、助手になったのちに社会に活躍の場がなければ、「ポストポスドク問題」 と同じ問題が発生してしまいます。
★大隅良典記念奨学金に「ファーストジェネレーション枠」を創設
https://www.titech.ac.jp/news/2019/045346.html
ノーベル賞受賞者のなかには、具体的な行動をする人もいますし、 こうした動きに期待せざるを得ません。なんでもかんでもノーベル 賞受賞者頼みではいけませんが…。
★What do we know about Ph.D. scientists’ career paths?
https://www.sciencemag.org/careers/2019/09/what-do-we-know-about-phd-scientists-career-paths
これはアメリカの調査。日本ではNISTEPが博士号取得者のコホート調査をやっていますが、こうした調査は重要です。
★安倍総理はSTSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)第16回年次総会に出席しスピーチを行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/1006sts.html
★安倍首相の「STSフォーラム」あいさつ全文
https://www.sankei.com/smp/life/news/191006/lif1910060024-s1.html
毎年恒例尾身さんのSTS。
https://www.stsforum.org/
★安倍総理は第200回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/1004shoshinhyomei.html
★Society5.0時代に対応した教員養成を先導するフラッグシップ大学の在り方について(中間まとめ)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/082/sonota/1421812.htm
★総合政策特別委員会(第30回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/09/1421005.htm
資料1 中間取りまとめ(案) (PDF:554KB)
http://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/09/__icsFiles/afieldfile/2019/09/27/1421005_01.pdf
資料2 中間取りまとめ(案)概要 (PDF:384KB)
http://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/09/__icsFiles/afieldfile/2019/09/27/1421005_02.pdf
★原子力規制委員長「憤り」、金品受領問題で関電批判
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50492250S9A001C1000000/
この問題は深い闇がありそうです…。
★日本企業における価値創造マネジメントに関する行動指針を策定しました
https://www.meti.go.jp/press/2019/10/20191004003/20191004003.html
★世界各国との間で知財分野の国際協力を強化しました
https://www.meti.go.jp/press/2019/10/20191007002/20191007002.html
★過労死等防止対策白書
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138529.html
★ノーベル平和賞も? グレタさんは故郷スウェーデンでどう思われているか
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67625
グレタさん(とファーストネームで呼んでいいのかという問題もありますが)が引き起こした賛否はすさまじいものがあり、誰か大人に操られている説をまことしやかに唱える人がいます。
明らかにトーンポリシングしている人も多かったです。
https://www.sbbit.jp/article/cont1/35398
しかし、だれがバックにいようといまいと、主張は一貫性があり、 説得力があります。
★世界で一番恥ずかしかった進次郎氏、でも日本の風潮は…
https://www.asahi.com/articles/ASMB25JHTMB2UPQJ01M.html
一方の進次郎大臣。批判にさらされました。ただ、この記事で述べられているように、進次郎批判で溜飲を下げたところでなにも変わりません。じゃあどうするのか。そこに至らない批判がウェブに渦巻 いているのが本当に残念です。
★「ESGファイナンス・アワード」の創設について
https://www.env.go.jp/press/107266.html
環境省 環境経営の表彰制度新設
https://www.nikkei.com/article/DXMZO50586290U9A001C1I00000/
★「大学入試英語成績提供システム」利用予定状況一覧(令和元年 9月30日時点)
http://www.mext.go.jp/componenta_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/ 2019/10/04/1420469_3_1.pdf
英語民間試験の成績、利用予定の大学は5割 9月末時点
https://www.nikkei.com/articles/DGXMZO50584710U9A001C1CR8000/
英語民間試験、半数活用せず 萩生田氏「大学の声聞く」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191004-00000021-asahi-s oci
英語民間試験活用の大学、4日までに公表 文科相が方針
https://www.asahi.com/articles/ASMB16569MB1UTIL05G.html
英語民間試験「強行の理由ない」「せめて延期を」 国立大学協会前で抗議集会
https://mainichi.jp/articles/20191004/k00/00m/040/296000c
大混乱に陥っている大学入試。この件に関しては、私の子どもが高校生であるという利害を持っていますので、公正にはみることがで きない問題です。
★Highlight negative results to improve science
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02960-3
ネガティブデータの扱いが大きな課題となっています。
★Turmoil mounts at MIT Media Lab as scientist is ousted for sexual harassment
https://www.sciencemag.org/news/2019/10/mit-media-lab-scientist-ousted-sexual-harassment
いまだくすぶっています。
★Three percent of NIH grants involved a direct financial conflict of interest, watchdog report finds
https://www.sciencemag.org/news/2019/09/three-percent-nih-grants-involved-direct-financial-conflict-interest-watchdog-report
これは驚きです。
★We are all complicit in harassment and abuse
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02944-3
私たちもハラスメントの当事者であることを意識しなければなりません。
★Two-thirds of researchers report ‘pressure to cite’ in Nature poll
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02922-9
★豚コレラ関係閣僚会議
(令和元年10月4日)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/toncholera/20191004/gijisidai.html
アフリカ豚コレラの危機も迫っています。
★「ハーバード大がアジア系差別」 米連邦地裁が訴え却下
https://www.asahi.com/articles/ASMB231T3MB2UHBI00N.html
★Scientists concerned over US plans to collect DNA data from immigrants
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02998-3
US Government Considers Collecting Detained Immigrants’ DNA
https://www.the-scientist.com/news-opinion/us-government-considers-collecting-detained-immigrants-dna-66528
★A kinder research culture is possible
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02951-4
ぜひ作りたいものです。
★Four ways scientists band together outside the lab
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02943-4
Teaching at the university level is not a hassle
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02928-3
★Research: When Losing Out on a Big Opportunity Helps Your Career
https://hbr.org/2019/10/research-when-losing-out-on-a-big-opportunity-helps-your-career
★“ムーンショット”は時代遅れ──広範で複雑な課題を解決するための「新たなアプローチ」が必要だ
https://wired.jp/membership/2019/10/04/apollo-11-moonshot-21st-century/
話題のムーンショット。
★筑波会議2019
https://tsukuba-conference.com/
AIなど議論「筑波会議」開幕
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO50508080S9A001C1L60000/
科学技術と社会課題討議「筑波会議」開幕 若手研究者中心に
https://www.sankei.com/life/news/191002/lif1910020040-n1.html
★研究者の頭の中をのぞき込む「京大100人論文」
https://scienceportal.jst.go.jp/reports/other/20191001_01.html