科学・政策と社会ニュースクリップ

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 一昨日になりますが、労働契約法の特例を設けた研究開発力強化法改正案が成立しました。

審議経過
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DB6AEA.htm
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/185/meisai/m18505185022.htm

法案
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g18501022.htm

国会での審議の様子

衆議院
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=43292&media_type=fp

参議院
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
の12月5日の文教科学委員会を選択

要旨
(文教科学委員会)
研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律案(衆第二二号)(衆議院提出)要旨
本法律案の主な内容は次のとおりである。
一、大学等及び研究開発法人の教員等、研究者、技術者、リサーチアドミニストレーターについて、無期労働契約に転換する期間を五年から十年に延長する。
二、出資等を行うことができる法人として、科学技術振興機構産業技術総合研究所新エネルギー・産業技術総合開発機構の三法人を別表に規定する。
三、独立行政法人制度全体の制度・組織の見直しを踏まえつつ、研究開発の特性を踏まえた世界最高水準の法人運営を可能とする新たな研究開発法人制度を創設するため、必要な措置を速やかに講じる。
四、我が国及び国民の安全に係る研究開発やハイリスク研究の重要性に鑑み、必要な資源配分を行う。
五、国際的な水準、新規性の程度、革新性の程度等を踏まえ、研究開発等の適切な評価を行う。
六、研究開発の特性を踏まえた迅速かつ効果的な調達を研究開発法人等が行えるよう、必要な措置を講じる。
七、イノベーションの創出に必要な能力を有する人材育成を支援するため、必要な施策を講じる。
八、リサーチアドミニストレーター制度の確立のため、必要な措置を講じる。
九、研究開発等の評価に関する高度な能力を有する人材確保のため、必要な施策を講じる。
十、本法律案は、一部を除き、公布の日から施行する。

 労働契約法の特例の部分は以下のようになっています。

(労働契約法の特例)
第十五条の二 次の各号に掲げる者の当該各号の労働契約に係る労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項の規定の適用については、同項中「五年」とあるのは、「十年」とする。

一 科学技術に関する研究者又は技術者(科学技術に関する試験若しくは研究又は科学技術に関する開発の補助を行う人材を含む。第三号において同じ。)であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で期間の定めのある労働契約(以下この条において「有期労働契約」という。)を締結したもの

二 科学技術に関する試験若しくは研究若しくは科学技術に関する開発又はそれらの成果の普及若しくは実用化に係る企画立案、資金の確保並びに知的財産権の取得及び活用その他の科学技術に関する試験若しくは研究若しくは科学技術に関する開発又はそれらの成果の普及若しくは実用化に係る運営及び管理に係る業務(専門的な知識及び能力を必要とするものに限る。)に従事する者であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約を締結したもの

三 試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者が試験研究機関等、研究開発法人又は大学等との協定その他の契約によりこれらと共同して行う科学技術に関する試験若しくは研究若しくは科学技術に関する開発又はそれらの成果の普及若しくは実用化(次号において「共同研究開発等」という。)の業務に専ら従事する科学技術に関する研究者又は技術者であって当該試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者との間で有期労働契約を締結したもの

四 共同研究開発等に係る企画立案、資金の確保並びに知的財産権の取得及び活用その他の共同研究開発等に係る運営及び管理に係る業務(専門的な知識及び能力を必要とするものに限る。)に専ら従事する者であって当該共同研究開発等を行う試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者との間で有期労働契約を締結したもの

2 前項第一号及び第二号に掲げる者(大学の学生である者を除く。)のうち大学に在学している間に研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約(当該有期労働契約の期間のうちに大学に在学している期間を含むものに限る。)を締結していた者の同項第一号及び第二号の労働契約に係る労働契約法第十八条第一項の規定の適用については、当該大学に在学している期間は、同項に規定する通算契約期間に算入しない。

 近々総合科学技術会議で議論があるという話を聞いていますが、非常に短期間の議論で決定しました。

 若手研究者の「武者修行」の期間を10年間にするというのは、分からないではないですが、「科学技術に関する試験若しくは研究又は科学技術に関する開発の補助を行う人材」の範囲が曖昧であったり、要項のなかに「※本改正項目においては、人文科学のみに係る科学技術を含む取扱いとする。」という項目が入っていたりと、ちょっと不明瞭な部分があったりと、問題もあり、今後この点が明らかになることを望みます。

 以下は11月27日の会での資料。修正を加えてあります。