■3週間前にも書きましたが、労働契約法改正が研究者にどのような影響を与えるかが大きな話題となっています。
去る2012年4月19日、労働契約法改正を議題の一つとして、科学技術政策担当大臣等三役と有識者会合が開催されました。
私にもお声がかかり、出席させていただきました(お話を伺ったのが一週間前で、かなり急ではあったのですが)。
科学技術政策担当大臣等三役と有識者会合の会議資料(平成24年4月19日分)
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20120419.html
▼資料
調−1 労働契約法の一部を改正する法律案の概要(PDF)
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20120419/siryocho-1.pdf
調−2 労働契約法の一部を改正する法律案要綱(PDF)
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20120419/siryocho-2.pdf
調−3 東京大学における教員研究員有期雇用の現状
−若手学術人材確保の危機− 東京大学副学長 五神 真(PDF:337KB)
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20120419/siryocho-3.pdf
調−4 労働契約法改正に関する論点メモ
日本学術会議 若手アカデミー委員会 委員 住井英二郎(PDF)
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20120419/siryocho-4.pdf
調−5 労働契約法改正は何をもたらすか 〜研究者の反応から〜
近畿大学医学部講師 サイエンス・サポート・アソシエーション代表 榎木英介(PDF)
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20120419/siryocho-5.pdf
いずれ議事録が公開されますので、詳細はそれをご覧頂きたいのですが、いくつかメモを。
この話の発端の一つは、山中伸弥京大教授が古川大臣を訪問したときに、山中教授が問題であると言ったことだそうです。
厚生労働省の説明では、5年経ったら全員が無期契約になるのではなく、雇用者の希望によるとのことで、5年以上の有期契約がなくなってしまうわけけではないそうです。無期契約は終身雇用とは違う、労使間の取り決めで雇い止めなどは解決可能とのことでした。
古川大臣退席後に我々3名(東大五神副学長、日本学術会議若手アカデミー住井さん、私)が発表しました。五神副学長や住井さんがデータを使ってお話してくださったので(某大学の影響を受ける教員の割合がかなりある(3割)という数字は、インパクトがありました)、私は、研究者ネットワーク(仮)のFacebookグループなどで議論した内容や個人メールで頂いた意見を元に発表させていただきました。
調−5 労働契約法改正は何をもたらすか 〜研究者の反応から〜近畿大学医学部講師 サイエンス・サポート・アソシエーション代表 榎木英介(PDF)
上記資料にありますように、問題は法改正以前からあり、法改正によって改善しない(それどころか、悪化する可能性がある)という点を、大「脳」洋航海記の記事「本質は法改正の外側にあるのだが:「5年で雇い止めor終身雇用?」の労契法改正にまつわる騒動」等を用い説明いたしました。ブログの紹介をご快諾いただいたviking氏に御礼申し上げます。
すでに法は閣議決定されているので、あとは国会審議の状態です。なんでここまで誰も問題視しなかったのかということで、結局独立したシンクタンクのようなものが弱いということが影響を与えているのかなあと思います。私達のようなネットワークがそういうこともできればいいのですが…
また、一部で指摘があるように、かなり抜け道もあるようで、実際の現場への影響は不透明なのが現状です。
いずれにせよ、これを機に、研究者の雇用に関する問題が活発に議論され、問題解決へ一歩でも前進できたらと思います。
なお毎日の記事「若手研究者:先端研究にクビの不安 有期雇用が一般的」でこの問題が取り上げられていますが、記事中の私の発言とされた「若者はリスクを取らない傾向があり、5年で首を切られる研究職は避けるだろう」は東工大の松岡聡教授のツイートを許可を得て紹介したものであり、私の発言ではありません。
私自身は、かつてこのブログで「若者は内向き」の欺瞞という記事を書いたことがあるように、「若者は…」とは考えていません。その点ご注意ください。
追加参考資料
労働契約法改正にまつわるProfMatsuokaの会話 - Togetter
http://togetter.com/li/290300
労働契約法改正と学術研究
http://blogs.dion.ne.jp/hiroichiblg/archives/10718992.html
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