科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

東大の論文不正事件〜科学コミュニティの自律の危機?

■データ捏造などの研究不正に関しては、関心をもってウォッチし続けてきました。

メルマガに「研究事件簿」という欄をあえて設けているのはそのためです。

毎号のように載せざるを得ないニュースの数々…残念に思います。

今週明らかになった東大教授(辞職)のニュースは、数あるニュースの一つなのかも知れません。

●東大教授が引責辞任 論文に不適切データか
http://www.asahi.com/national/update/0405/TKY201204040919.html

●東大、論文不正疑惑を調査
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20120405-OYT8T00930.htm

どのような不正疑惑なのかは

東京大学 分子細胞生物学研究所 の論文捏造・改ざん・不正疑惑
東京大学 分生研 加藤茂明教授の研究室による類似画像掲載論文について (うっかりミスか?偶然か?研究不正か?)
http://blog.goo.ne.jp/bnsikato

に詳しいので、そちらをご覧下さい。

上記サイトでも触れられていますが、今回問題なのは、加藤元教授が日本分子生物学会で研究不正防止について語ってきた方だということです。

正しい知識が捏造を防ぐ データを正確に解釈するための6つのポイント
微妙なデータをどう表現するか
骨研究分野での実験データ解釈を例として
http://www.mbsj.jp/admins/ethics_and_edu/PNE/4_article.pdf

このなかで加藤元教授は以下のように述べています。

筆者の所属する大学で起こった不幸な論文捏造事件の報告書を読むと,研究グループ内での議論に乏しく,実験データに対する批判や評価が当事者どうし以外にはなされなかったようであり,これは筆者にとって驚きであった.ふだんから会話を心がけるだけで,実験データ解釈の鍛練になるのである.よい生命科学者は,一般に,人とのコミュニケーション能力が高い.

加藤元教授の研究室では、果たしてどのような会話がなされてきたのでしょうか。

こうした不正が科学コミュニティへの社会の信頼を低下させていくことに、科学コミュニティはどれほど自覚的でしょうか。

文科省や政府の指導を待つのではなく、科学コミュニティ自ら、かなりの覚悟をもってこの問題に取り組まないと、科学コミュニティの自主性が危うくなります。

今回は、不正問題に取り組んでいた研究者やその研究室出身者が不正疑惑の渦中にあるわけで、危機的な事態であると言わざるを得ません。

6年前、私達はサイエンスアゴラ2006にて「ワークショップ『本音で語る研究倫理問題』 」を開催しました。この6年間、いったい何が変わったのか、そして変わらなかったのか、考える必要があるように感じています。

参考

科学研究者の事件と倫理 (KS科学一般書)

科学研究者の事件と倫理 (KS科学一般書)

白楽ロックビル
http://www.haklak.com/
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1531417&x=B

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