科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

事業仕分け第二弾どうなる?

行政刷新会議事業仕分け第二弾が行われる。

事業仕分け(平成22年4〜5月)
http://www.cao.go.jp/sasshin/shiwake1004/shiryo.html

今回は独立行政法人が仕分け対象になるようだが、研究開発に関する22法人も対象となっている。

仕分け人に黒田玲子東大大学院教授が選出されたことも話題だ。

民間仕分け人31人を内定 仕分け第二弾、外国人は除外
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100410/plc1004100117001-n1.htm

しかしながら、ここ数日、ウェブ上で議論になっているのが、研究開発法人の行方だ。

●研究系の38法人を統合へ、政府が仕分け方針
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100410-OYT1T01072.htm

独立行政法人仕分け:57の研究系統合 天下り先の管理部門、人件費削減へ
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100410dde001010008000c.html

まだ公式な資料がないのではっきりしたことが分からないが、事業仕分けが行われた後に、38ある「研究開発独立行政法人」を「国立研究開発法人(仮称)」に移行させるという。

研究開発独立行政法人に関しては、研究開発力強化法http://law.e-gov.go.jp/announce/H20HO063.html)で規定されている(現在はこれにいくつか加わり38になっている)。

以下の資料が参考になる。

研究開発独立行政法人の在り方について
平成19年10月29日
総合科学技術会議有識者議員
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu70/siryo2-1.pdf

これによると、2年前のデータであるが、この独立行政法人で1.1兆円の予算が使われて
いるという。大学の予算が1.2兆円なので、それに匹敵する。

ここに予算の効率化が求められるのは当然ではある。

ただ、今回の場合は、事業仕分けの後に組織の存続の是非が議論されるので、予算の縮減以上に影響が大きいかもしれない。

ウェブ上には、「日本の科学技術立国は終わる」といった嘆きの声さえ聞かれるようになっている。懸念の声は大きい。

参考
独法仕分け前夜(1):国費を委託される研究機関に透明性を求める以上、仕分け過程にも透明性が求められるべき
http://www.mumumu.org/~viking/blog-wp/?p=3758

独法仕分け前夜(2):それじゃあ研究開発法人なんて一つ残らず廃止になって、NZの轍を踏むだけでは?
http://www.mumumu.org/~viking/blog-wp/?p=3760

情報が不足したままで不安だけが高まる状況。まずは冷静に状況把握をしなければならないが、どうなるにせよ、日本の研究体制のターニングポイントになる可能性がある。

前回の仕分けのときのように感情的な反発を行ったり、市民の声に背を向けてはならない。その教訓を踏まえ、冷静な議論を行う必要がある。

そのためにも、政府には情報の徹底的な公開をお願いしたい。

そして一部団体の圧力で存続が左右されるようなことなく、利害関係者がフラットに扱われることを願う。

文部科学省系の研究開発法人が多く仕分けされるのは、利害が少ないから狙い撃ちされたのだ、という声がある。こうした声が払拭されるよう、情報のオープン化、フラット化が実現されるよう、私たちもしっかりと今回の仕分けを見つめていく。

参考
「科学・技術ミーティングin大阪」(科学・技術政策について地域からご意見を聞く会)
【平成22年3月20日
資料7 榎木 英介 NPO法人サイエンス・コミュニケーション理事、
サイエンス・サポ ート・アソシエーション代表、病理診断医 説明資料(PDF:429KB)
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/syutyo/20100320osaka/enoki.pdf