- 作者: 潮木守一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/10/11
- メディア: 単行本
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著名な教育学者、潮木氏がいうのだから、説得力がある。こういうことをいう人は多かったが、大学関係者から出たところが大きい。
とにかく引用する。
日本の大学教員は我が身を守ることには懸命になるが、その後継者世代をどうやって確保するのかに対しては極めて冷淡で、その結果、博士課程は目下、いまだかつて経験したこともない危機的な状況に陥ってしまった。青春は二度と取り戻せない。ただちに博士課程の募集を一時停止してでも、全国の博士課程を持つ大学を中心に、さらには全大学を含めて、今後の大学教員育成の制度設計を見直す必要がある。
三〇歳まで「生業」につかなかった人間を受け入れる場などまったくない
現在の大学院は定員補充率を高める圧力に晒され、院生集めに懸命になり、大学院が終われば、任期付き雇用という不安定なポストを工面して、当てのないチャンスを待たせているのが現状である。(中略)ますますプレカリアートを増やすだけ
学部卒あるいは修士修了の時点で、将来大学教員・研究者としてやっていけろだけの能力とガッツを持った者だけ選び出し、彼ら彼女らに集中的に資金を投入して、次世代の大学教員・研究者を養成する方が、博士号を持ったフリーターを量産するだけの現行大学制度よりもはるかに合理的である。
博士のキャリア問題の責任の所在を大学に求めた点で、画期的な内容と言える。関係者必読。
はたして、この提言を大学関係者はどう受け止めるのか。