科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

やりたいこと、やらないといけないこと

 北大出張の余韻は続いている。

 いろんな発表を聞いて、いろんな人に会って、だんだんと自分が科学コミュニケーション業界?の中でやらなければならないこと、やりたいことが見えてきたような気がする。

 今までも書いてきたけれど、私はサイコムジャパンを日本のAAASにしたいと思っている(夢)。

 AAASとはThe American Association for the Advancement of Scienceという団体で、私もメンバーになっている。以下ホームページから引用。

The American Association for the Advancement of Science, ”Triple A-S” (AAAS), is an international non-profit organization dedicated to advancing science around the world by serving as an educator, leader, spokesperson and professional association. In addition to organizing membership activities, AAAS publishes the journal Science, as well as many scientific newsletters, books and reports, and spearheads programs that raise the bar of understanding for science worldwide.

AAASのミッションを引用しよう。

AAAS Mission
AAAS seeks to "advance science and innovation throughout the world for the benefit of all people." To fulfill this mission, the AAAS Board has set these broad goals:

Foster communication among scientists, engineers and the public;
Enhance international cooperation in science and its applications;
Promote the responsible conduct and use of science and technology;
Foster education in science and technology for everyone;
Enhance the science and technology workforce and infrastructure;
Increase public understanding and appreciation of science and technology; and
Strengthen support for the science and technology enterprise.

 「科学研究の知を駆動力とする社会を作る」というミッションを掲げるサイコムジャパンと共通する部分も多い。

 もちろん、AAASのような団体になるのは、今の段階ではあくまで夢であり、実現までには相当のステップを踏まなければならない。

 夢は夢として、今何をやらなければならないか。

 単純に言ってしまえば、科学コミュニケーションをサポートする、応援団になることだ。情報や場を提供するというか。

 各地でいろいろな人たちが、いろいろな取り組みをしている。個人でやっている人、団体でやっている人、会社を作った人、学校の先生…さまざまな人たちがいる。

 そういった実践をする人たちに、社会の声も含め有用な情報を提供し、逆に社会にそういった活動を紹介し、政策提言するような組織が求められていることが、非常によく分かった。

 とくに、多くの団体が他団体の取り組みをあまり理解していない。

 たとえば、出張授業系の活動は、JSTなどの助成金も出ているし、サイエンスEネットのような活動もある。残念ながらCoSTEPの人たちは、こうした活動をあまりご存知ないようにみえた(もし違っていたらすみません)。

 実践団体のみなさんの間の横のつながりを作るきっかけをつくることが求められているように思う。私たちがそういった役割を担えたらと思うし、NPOという形態はそういった活動をやりやすいと思う。

 横の連携は、既に考えている人がいるし、今回の会でJSTが取り組みを開始していると聞いた。

 それはすらばしいことだし、私たちも参加したい。

 一方で、一歩はなれたところから、科学コミュニケーションを俯瞰することも必要だ。JSTの取り組みは評価するが、JSTも含めて外からみてよいことはほめると同時に、問題点などを指摘することも重要だ。AAASがNPOであることを考えれば、どこからも独立した組織が役割を担うことも必要だ。私たちがこうした役割を担うことができればと思う。

 もちろん、実践を選択肢からはずしたくはない。AAASもScienceを発行している。私たち自らで行っているサイエンスライティング講座は、これからもより充実させて続けていくつもりだ。明日、私たちはある企画の案内を発表するが、それも実践活動のひとつだ。

 科学政策ウォッチ、研究者の進路情報の提供、科学コミュニケーション支援…どれも「科学研究の知が有効に生かされる社会」を実現するために不可欠な要素だ。

 一足飛びにAAASになることは不可能だが、一歩一歩地道に活動をすすめていきたい。


 なお、以上の記述は、私の個人的な意見で、まだサイコムジャパン全体の合意を得ているわけではないことはご理解いただきたい。