科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

科学議員を探せ

 昨21日、国会が召集されたわけだが、前にも書いたとおり、科学に詳しい議員を探したいと考えている。

 まずは手はじめに今回当選した新人議員をちらほらみているのだが…とりあえず自民党民主党を見た段階で、う〜ん、と考え込んでしまった。

 医師の議員は科学系なのか微妙なので、とりあえずおいておくとして、理工系卒の議員は、学部まで下げてもたった一人しか見つけることができなかった。

 それは自民党千葉県第4区 藤田 みきお氏
慶応義塾大学理工学部機械工学科卒業
http://www.jimin.jp/jimin/jimin/sen_syu44/kouho/fujita-mi.html

 ほか探してみたが、今のところこのお一方のみ。

 医学博士までひろげると

北海道一区 三品 たかゆき氏
http://www.t-mishina.jp/mishina/profile2.html

北大医学部卒

新潟五区 米山 隆一氏
http://www.yoneyamaryuichi.com/profile.html

東大医学部卒

岡山三区(比例) あべ俊子
http://www.abetoshiko.com/

東京医科歯科大学助教

長崎一区 冨岡 勉氏
http://www.dream-nagasaki.jp/tomioka.htm

長崎大学

 研究歴のある非医師の議員がほとんどいないという現実。

 もちろん参院も含めれば、東大総長だった有馬氏などもいるし、医師でなくても科学技術に理解のある議員はいる。

 ただ、医師や弁護士が政界への人材供給源になっているのに比べると非常に寂しい。

 ドイツでは、野党キリスト教民主同盟メルケル党首がPhDを持った物理化学者だという。日本で博士号を持った首相が誕生するのはいつの日か。

EUROPEAN POLITICS:
Germany Poised to Elect First Scientist-Chancellor
Science, Vol 309, Issue 5740, 1471 , 2 September 2005
http://www.sciencemag.org/cgi/content/summary/309/5740/1471a?etoc

▼German opinion polls predict that the country will elect its first chancellor trained in the natural sciences later this month. A victory for the Christian Democratic Union (CDU) on 18 September over the ruling Social Democrats would mean a government led by Angela Merkel, who holds a Ph.D. in
physical chemistry--a result that could produce significant changes for German scientists.

 もう4年間も引用し続けている記事がある。

小泉内閣の科学技術政策の基本方針は、基礎研究を失速させると科学者が懸念
Nature 412, 364 (2001)
http://www.natureasia.com/japan/webspecial/koizumi/

>>堀田氏によれば、公開状を提出したのは(日本人の基準からすれば、かなり思い切った行動と言える)科学者の意見を政府に伝える適当な手段がないからだという。多くの科学者が、総合科学技術会議には自分たちの意見が反映されないと不満を訴えている。会議の主なメンバーは閣僚や産業界の代表者で、学界代表が3人では影響力は限られていると科学者たちは言う。<<

 この4年間で日本学術会議の改革がすすみ、総合科学技術会議を補完する意味で、ボトムアップの学術会議に期待が集まっている。ただ、まだ改革道半ばという感じではある。

 別に科学者出身の議員の有無が問題ではない。与野党を問わず、研究者が政策アドバイザーのような役割を果たすことが必要かも知れない。


 平成16年度の科学技術白書
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/16/06/04060202.htm

から一部引用したい。

第1部 これからの科学技術と社会
第3章 社会とのコミュニケーションのあり方
第3節 科学技術と社会の新たな関係
2. 国民との対話に関する新たな展開
http://wwwwp.mext.go.jp/hakusyo/book/hpaa200401/hpaa200401_2_038.html



 科学技術はこれまで政府を中心にその方向性に関する議論がなされ,科学者等の科学技術に対して高度な専門知識を有する主体の中において発展し,その成果が結果として社会に受け入れられてきた。これは,政府や専門家が科学技術に関する情報を十分に,そして容易に収集できたとともに,それに基づく分析や判断が社会的にも妥当とみなされてきたからであると考えられる。いわば,社会が科学技術の成果を受け取ることに終始するといった受動的な態度であったと考えられる。

 しかし,現在,生命倫理問題等に見られるように,社会的課題を有する科学技術について,それを積極的に活用しようとする意見と容認できないとする意見が社会に並存するなど,社会を構成する個別の主体間の認識や価値観が異なったり,また,それに伴って主体間で利害関係の差が生じたりしており,社会の内部に様々な軋轢を招く可能性が生じている。このように,近年の科学技術と社会の関係の複雑化は,一部の主体の判断による社会全体における合理性や妥当性の確保を困難にしている。

 したがって,政府による一元的な判断だけでは調整が困難であり,広く社会的な合意形成が必要な政策については,国民等の各主体からの意思を的確にくみ取ることも必要になると考えられる。多くの主体が科学技術の政策形成に関与することは,その過程の透明性が増すこと,政策の社会的妥当性や社会的合意が確保しやすくなること,また,政府と各主体間における信頼感の醸成,各主体による科学技術に対する認識の深まりや専門家では見えなかった新たな社会的課題の発見等,様々な側面で利する点があると考えられる。



科学技術の振興を目的とするNPO法人(特定非営利活動法人)については,他のNPO法人と比較してもその数は依然として少ない状況にあるが,NPO法人は,地域社会と密接にした活動や,個々の国民の要望に対応してきめの細かい対応も可能であるなど,新たな科学技術活動の担い手として期待されている。我が国の科学技術の方向性や社会的活動を評価し,又は,国民参加型の議論を活性化する等の役割を果たしていくことが考えられる。


 あせらず嘆かず、科学技術政策をみつめていきたい。