科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

COVID-19瀬戸際、ポスドクの流儀

2020年2月18日~2020年2月25日

カセイケン代表 榎木英介

 WHOはまだパンデミックを宣言はしていませんが、いよいよ新型コロナウイルスSARS-CoV2による感染症COVID-19が市中感染症となり、いかに医療資源を重症者に配分できるかが焦点となってきました。

★「今後1~2週間が瀬戸際」国の専門家会議が見解【全文】
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/view/

新型コロナウイルスに我々はどう対峙すべきなのか(No.4)
想像する力を武器に
https://www.med.tohoku.ac.jp/feature/pages/topics_217.html

 このメルマガを発行する今日、政府は対策を発表します。

 政府は症状がある人は積極的に休めと言っていますが、そう簡単に休めないというのが多くの人々の実感だと思います。

どんどん休めと言われても〜休めないニッポンにつけ込むCOVID-19(新型コロナ)
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20200220-00163814/

 Yahoo!ニュース個人に私が書いた記事です。休むというだけでは不十分で、政府がある程度トップダウンで基準を示すなりなんなりしないと、感染拡大のピークを低くすることはできないと思います。

 私はこのニュースを見た深層NEWS(BS日テレhttps://www.bs4.jp/shinsou/ から出演依頼を受けて、番組に出演させていただきました。

 カセイケン代表というよりは、全国医師連盟理事としての立場で出ましたが、労働者や受験生、学生含め安心して休めるようにするにはどうすれば良いか考えなければなりません。

★苦肉の策で「ギリギリの法解釈」重ねる政府 今後の法整備が課題 新型肺炎
https://mainichi.jp/articles/20200224/k00/00m/010/150000c

 番組の中でも指摘がありましたが、憲法や様々な法律に抵触してしまうので、集会やその他の制限を政府が一律にかけるわけにはいかない現実はあります。

 しかし、明確な帰順を示さず現場に対応を任せて良いのかという感じもしています。

労働者の補償Q&A 新型肺炎、入院治療は公費 自主欠勤、休業手当出ず
https://mainichi.jp/articles/20200225/ddm/041/040/088000c

 これではちょっとぐらいの症状では、休めと言われて簡単に休めるはずがありません。

厚労省新型コロナQ&Aの疑問~37.5度の発熱は出社すべきなのか?~
https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20200225-00164471/

コロナウィルスに伴う労務管理上の留意点まとめ(企業向け)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20200225-00164465/

新型コロナでひろがる出勤停止  知っておきたい「休業時の生活保障」の知識
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20200223-00164282/

症状があるのに出勤を求められたらどうする? 多様なコロナ問題と法的「対処法」
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20200220-00163805/

 会社員等がどうすれば良いのか、上記サイトなどでよく学ばなければなりませんが、政府が推奨しているフリーランスの方々はどうすべきか、非常に難しい問題です。

新型肺炎 感染者入試、大学対応割れ 東大・阪大など受験させず
https://mainichi.jp/articles/20200219/ddm/001/040/112000c

国公立大入試、感染者対応分かれる 東大、阪大など受験認めず センター試験で判定の大学も
https://mainichi.jp/articles/20200218/k00/00m/040/203000c

「無理して受験、感染拡大の恐れ」新型コロナで揺れる国公立大 2次試験対応で判断迫られ
https://mainichi.jp/articles/20200218/k00/00m/040/329000c

 私自身、30年前の大学入試のとき、39度の発熱がありながら無理やり受験をした経験があります。受験生は無理やり症状を下げてでも受験するでしょう。

★‘The disruption is enormous.’ Coronavirus epidemic snarls science worldwide
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/disruption-enormous-coronavirus-epidemic-snarls-science-worldwide

Coronavirus epidemic snarls science worldwide
https://science.sciencemag.org/content/367/6480/836.full

 COVID-19は研究にも影響を与え始め、様々な会議が中止されています。

★「新型コロナ患者を診たら学会参加を自粛せよ」は適切か
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202002/564482.html

 今最も信頼おける感染症の専門医、忽那先生の記事。

★Key planning recommendations for mass gatherings in the context of the current COVID-19 outbreak: interim guidance, 14 February 2020
https://apps.who.int/iris/handle/10665/331004

 忽那先生が引用するように、CDCはどのような集会を中止等すべきかガイドラインを出しています。

 個々の判断に任せざるを得ないとは思いますが、ガイドラインの存在は大きな目安です。

 ああ、日本版CDCがあれば、という声が聞こえてきます。

★検証:「独断」医療政策に反発 現場「プロセス不透明」
https://mainichi.jp/articles/20200225/ddm/012/010/053000c

官邸主導トップダウンできしみ 内閣官房健康・医療戦略室 vs 医療研究現場
https://mainichi.jp/articles/20200220/k00/00m/040/014000c

 しかし、日本版NIHとして作られたAMEDが自律を失っていると言われる中、CDCを形だけ真似ても結局骨抜きにされてしまうように思います。

 テレビでも最後にその旨の発言をしましたが、NIHやAMEDも一般的に知られた言葉でなかったので、もうちょっと説明が必要でした。

★Scientist decries ‘completely chaotic’ conditions on cruise ship Japan quarantined after viral outbreak
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/scientist-decries-completely-chaotic-conditions-cruise-ship-japan-quarantined-after

 先週は神戸大の岩田健太郎教授のYouTubeへの投稿が日本、そして世界に衝撃を与えました。

 批判を恐れぬ忖度しない態度は、「岩田ファン」として数々の著書を読んできた私にとっては、とても岩田先生らしいなと思ったわけですが(それゆえ昔からアンチ岩田が多いわけですが)、賛否両論入り乱れ、場外乱闘気味になりました。

 当の岩田先生は全く変わっておらず、この守備一貫性はすごいなと思います。

 ともかく、この一件は、政策に研究者がどのように影響を与えるのか、という観点からも色々考えさせられるものでした。

 中に入って調整を重ねる、地道にロビイングするという方法か、SNS時代の特性をうまく利用して、意見を拡散し、外側から圧力をかけるのか。

 CDCやNIHの日本版、そしていまだ形すら見えない研究公正局の日本版を、という声がある中一向に実現しないところを見ると、両方の手段を使い分けることが重要なのかなと思わせられました。

新型コロナウイルス感染症対応に従事する医療関係者への不当な批判に対する声明 日本災害医学
https://jadm.or.jp/sys/_data/info/pdf/pdf000121_1.pdf

新型肺炎 医師ら「バイ菌」扱い クルーズ船対応、職場で「いじめ」 災害医学会、強く抗議
https://mainichi.jp/articles/20200224/ddm/041/040/091000c

 ハンセン病の例を挙げるまでもなく、感染症は常にスティグマとなり、差別の対象となります。21世紀の今でもゾロゾロと出てきています。

 こうした差別には断固として厳しい態度を示すべきです。

新型コロナウイルスPCR検査を求める人に知っておいてほしいこと
https://togetter.com/li/1472743

 市中感染症となったCOVID-19には、特別な治療法がなく、またPCR検査自体感度が高くないという問題もあるため、確定診断の意味がないのは当然なのですが、医師や研究者の中にも誤解している人がおり、これを一般の人に理解してもらうのは難しいかも知れません。

 しかし、これを理解してもらわないと、全国各地の病院に軽症者が殺到し、待合室感染、医療者への感染が起こり、医療が崩壊しかねません。

アメリカのインフルは新型コロナだった説」は本当か?
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200222-00163925/

★Scientists ‘strongly condemn’ rumors and conspiracy theories about origin of coronavirus outbreak
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/scientists-strongly-condemn-rumors-and-conspiracy-theories-about-origin-coronavirus

 陰謀論も含め、様々な憶測が流れています。ファクトチェックをしていくことが重要です。

新型コロナウイルス感染症(COVID19)情報サイト
https://covid19-jpn.com/

 有志の方々が作ったサイトです。こうした動きが出てくるのはとても素晴らしいですが、逆に言えば政府の情報発信が弱いということを意味しているように思います。

★科学技術がリスペクトされる社会へ
https://blogos.com/article/437531/

 竹本科学技術担当大臣の文章。科学技術担当大臣は比較的政治的には軽いポストとみなされますが、大臣になられた方が(たとえゴーストライターがいたとしても)自分の言葉で科学技術に対し発言されるのは評価したいと思います。

★大学院部会(第96回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/1422801_00001.htm

議題

大学院修了者の賃金プレミアムについて
大学院におけるリカレント教育促進に向けた制度改正案について
世界から優秀な高度人材を惹き付けるための環境整備について

★第16回がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09519.html

地域がん拠点病院、29カ所に“イエローカード”-9月1日で要件未充足なら指定取り消しも検討、厚労省
https://www.cbnews.jp/news/entry/20200219205223

 私も現在がん診療連携拠点病院に勤務する身ですが、様々な問題があります。

宇宙政策委員会 基本政策部会 第7回会合 議事次第
https://www8.cao.go.jp/space/comittee/01-kihon/kihon-dai7/gijisidai.html

資料1 次期宇宙基本計画骨子(案)
https://www8.cao.go.jp/space/comittee/01-kihon/kihon-dai7/siryou1.pdf

★大学統合議案を可決 大阪府・市立、市議会で
https://mainichi.jp/articles/20200222/ddn/041/100/007000c

大阪府大・市大、国の「無償化」に上乗せ 他大学は反発
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55776370Y0A210C2AC8Z00/

 大阪府大、市大の合併が近づいてきましたが、様々な問題も浮上しています。

★You can’t fight feelings with facts: start with a chat
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00452-3

 進化論に関して人々と交流する研究者。非常に重要な指摘が。

Lesson 1: Don’t argue with beliefs.
Lesson 2: Listen.
Lesson 3: Learn what people really think.

★The Tadpole Paper Mill
https://scienceintegritydigest.com/2020/02/21/the-tadpole-paper-mill/

No raw data, no science: another possible source of the reproducibility crisis
https://molecularbrain.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13041-020-0552-2

Editor’s investigation reveals missing and suspicious data
https://www.timeshighereducation.com/news/editors-investigation-reveals-missing-and-suspicious-data

 データがないのに論文が発表されているという事実が明らかに。

★Is research integrity training a waste of time?
https://www.natureindex.com/news-blog/is-research-integrity-training-a-waste-of-time

★How do researchers acquire and develop notions of research integrity? A qualitative study among biomedical researchers in Switzerland
https://bmcmedethics.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12910-019-0410-x

 研究公正教育は子供の頃から行うべきとのこと。

★Biologist exits prestigious post years after violating sexual-harassment policy
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00491-w

 ウッズホールのMarine Biological Laboratory (MBL) で起こった事例。

★EM菌の正体(構成微生物を調べました)
https://note.com/katasekumiko/n/nd2eb3d7da6f8

 自費で研究されたとのこと。頭が下がります。

★無許可再生医療横行か 書類送検大阪医大元講師「他の医師もこっそりやってる」 -
https://mainichi.jp/articles/20200224/ddm/041/040/065000c

再生医療「許可は手間」 書類送検大阪医大元講師 「他の医師もやっているのでは」
https://mainichi.jp/articles/20200223/k00/00m/040/077000c

 かつての(今も?)研究費の業者への預け金と同じように他でもやっているということであるならば、きちっとしなければなりません。

★White House formally invites public comment on open-access policies
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/white-house-formally-invites-public-comment-open-access-policies

★英国政府(首相官邸)が新内閣閣僚等の名簿を発表
https://crds.jst.go.jp/dw/20200221/2020022122537/

Has the UK science minister been demoted?
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00425-6

★第1回(2020年)米沢富美子記念賞受賞者決定について
https://www.jps.or.jp/activities/awards/yonezawa/yonezawa1-2020.php

女性物理学者5人に米沢富美子記念賞 副賞は20万円分
https://www.asahi.com/articles/ASN2K66KMN2KULBJ01F.html

ポスドクの流儀
悩みを解きほぐして今日から行動するためのチェックリスト
https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758121040/

 御恵贈いただきました。御礼申し上げます。

★一冊の本をまとめました、、『シン・ニホン』
http://kaz-ataka.hatenablog.com/entry/2020/02/24/132143

 注目の一冊。こうした提言が政策に反映されるのかが問われます。

COVID-19と休める社会、原電改ざん、トランプ科学予算

2020年2月11日~2020年2月18日

カセイケン代表 榎木英介

 新型コロナウイルスCOVID-19の感染は市中に広がり、もはや封じ込めはできなくなりました。

 厚労省も方針を変え、受診の目安を公表しました。

新型コロナウイルスを防ぐには
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000596861.pdf

★『37.5度以上発熱4日以上続いたら相談を』 厚生労働省が受診の目安公表
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/02/20200217_02.html

 COVID-19に私たちがどう向き合っていくのかが問われています。

新型コロナウイルスに我々はどう対峙すべきなのか(No.3)
新たなフェーズに入った日本での対応はどうあるべきなのか
https://www.med.tohoku.ac.jp/feature/pages/topics_216.html

★結果を出すということ(COVID対策)
https://georgebest1969.typepad.jp/blog/2020/02/結果を出すということcovid対策.html

★COVIDと対峙するために日本社会が変わるべきこと
http://bit.ly/2wo8Jpz

 感染者と接触機会の多い医療者がスプレッダーになってはいけないわけで、体調が悪化したら医療者とて休まなければなりません。

 しかし、医療者が減れば、残った医療者の負荷が増えていきます。平時でさえ不足してる医療資源が、患者殺到と医療者の感染でさらに不足してしまうわけで、医療現場は厳しい状況に直面します。

 患者の苦情も殺到するでしょう。「早く診ろ!」という罵声が飛び交うようになります。

 そうなると、無理をおして勤務を続ける医療者が出てきて、それが患者を増やすという悪循環に陥ってしまいます。

 だからこそ、軽症の患者は自宅で療養し、重症者に医療資源を重点的に投入できるようにしなければなりませんし、無理に通勤、通学してウイルスをばらまいてはいけないわけです。

 しかし、働く日が減れば生きていけない人たちなどは、簡単に休めと言われても休めません。

★終わらない氷河期~疲弊する現場で:「自由な働き方だが…」 配達中でも、けがの補償不十分 43歳ウーバーイーツ配達員
https://mainichi.jp/articles/20200207/k00/00m/040/193000c

 医師不足にしろ、ブラック企業、非正規雇用にしろ、平時に解決できなかった問題が、有事に前面に出てくる…。

 COVID-19が露わにした私たちの社会の問題にどう対峙するか。誰もが当事者です。

★第835回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合
http://www2.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tekigousei/power_plants/200000275.html

原電 敦賀2号機の「活断層」データを削除 20年審査会資料、規制委に無断で
https://mainichi.jp/articles/20200212/k00/00m/040/161000c

提出データに一部書き換え 敦賀原発、日本原電が陳謝
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020021400983&g=soc

敦賀原発2号機の審査資料
原電の地質データ書き換え
ほかの記述でも判明
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-02-15/2020021514_01_1.html

敦賀原発データ書き換え問題の行方
https://www.47news.jp/4525004.html

規制委員長「科学の初歩欠落」 原電の生データ書き換え
https://www.asahi.com/articles/ASN2D71NVN2DULBJ00Q.html

 敦賀原発2号機の資料書き換え問題は、研究不正、ネカトです。改ざんに当たると言わざるを得ません。

★本学が有する学術的知見及び経営資源の社会的還元を目指す新しい取り組みを開始
http://www.nagoya-u.ac.jp/info/post_133.html

名古屋大、電通とコンサル契約 情報発信で「稼ぐ力」向上へ
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020021301001893.html

研究財源の多様化へ 電通とコンサル契約 名古屋大 /愛知
https://mainichi.jp/articles/20200217/ddl/k23/100/097000c

 名古屋大の新しい取り組み。

★Irreproducibility is not a sign of failure, but an inspiration for fresh ideas
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00380-2

★末松誠AMED理事長 緊急講演会(2月20日)のお知らせ どうなる?「日本版NIH」の未来 〜山中伸弥教授のiPS細胞備蓄事業報道の背景を含めて〜
https://jastj.jp/info/0212/

健康医療戦略室の医療研究行政、何が問題なのか(論点の整理)
https://blog.goo.ne.jp/minacraft/e/4f9220c6347c8e21f38da741cdce3c22

“安倍側近の不倫コンビ”和泉補佐官・大坪審議官の新疑惑を政府機関理事長が告発! 感染症研究などの予算80億円を自分の担当事業に投入
https://lite-ra.com/i/2020/02/post-5254-entry.html

 科学技術、医療政策の歪みが炙り出されました。スキャンダルに落とし込むのではなく、構造をしっかりと見ていかなければなりません。

★Popular preprint servers face closure because of money troubles
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00363-3

★トランプ政権は基礎科学研究の予算を大幅削減、宇宙・AI・量子技術の予算は増額
https://jp.techcrunch.com/2020/02/13/2020-02-10-trump-administration-slashes-basic-science-research-while-boosting-space-ai-and-quantum-tech-funding/

Trump Proposes Significant Cuts to NIH for 2021 Budget
https://www.the-scientist.com/news-opinion/trump-proposes-significant-cuts-to-nih-for-2021-budget-67087

Trump’s new budget cuts all but a favored few science programs
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/trump-s-new-budget-cuts-all-favored-few-science-programs

トランプ政権がAI研究の予算増額を要求、数億ドル規模
https://www.technologyreview.jp/nl/the-white-house-wants-to-spend-hundreds-of-millions-more-on-ai-research/

How Congress could reverse cuts in Trump’s budget request for NSF
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/how-congress-could-reverse-cuts-trump-s-budget-request-nsf

トランプ大統領の2021年度予算(案)は、将来の主要産業への投資を倍増することを約束
https://crds.jst.go.jp/dw/20200215/2020021522490/

トランプ大統領が2021年度予算要求を発表
https://crds.jst.go.jp/dw/20200215/2020021522487/

 先週第一報を紹介しましたが、トランプ政権の予算に明暗が。基礎研究は減額。

★Harvard, Yale Investigated for Undisclosed Foreign Funding
http://bit.ly/2uRA4ju

Opinion: Disclosures Scientists Must Make of Foreign Ties
http://bit.ly/2Syf2zB

 アメリカの研究者が、外国との関係を問われ続けています。

★Brazilian Government Limits Academics’ Conference Attendance
https://www.the-scientist.com/news-opinion/brazilian-government-limits-academics-conference-attendance-67091

 政府所属の研究者は1大会当たり同じ部署から一人しか出席してはいけないとのこと。

 ブラジルのトランプことボルソナロ大統領は、本家トランプと同様、科学に厳しい姿勢を見せています。

★Inspiring confidence
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00358-0

 Stemettes
https://stemettes.org

を立ち上げ、STEM領域を目指す若い女性を支援してるAnne-Marie Imafidonさん。

★When Two Scientists Fall in Love
https://www.the-scientist.com/news-opinion/when-two-scientists-fall-in-love-67100

 科学者同士のカップル。

ギグエコノミーと研究者 メルマガ856号記事抜粋

2020年2月4日~2020年2月11日

カセイケン代表 榎木英介

 新型コロナウイルスの感染は収束にはまだ遠い状況です。メルマガでの記事ピックアップも、刻一刻と変わる状況を捉えきれないため最小限にしています。

 公的な情報を中心にフォローすると同時に、過小評価、過大評価をしないようにしていただきたいと思います。

コロナウイルスに関する解説及び中国湖北省武漢市等で報告されている新型コロナウイルス関連肺炎に関連する情報
https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc/2482-corona/9305-corona.html

 今週のピックアップです。

★「70歳まで雇用」を奨励する政府と「40~50代リストラ」を加速させる企業【怒れるガバナンス】
https://www.jiji.com/sp/article?k=2020020500763&g=eco

 しつこくこの問題を取り上げます。

 70歳までの雇用という政府方針が40代から50代の正社員のリストラを加速しているという話です。

終わらない氷河期~疲弊する現場で:「40歳で人生閉じてもいい」と思った 非正規図書館司書の苦悩
https://mainichi.jp/articles/20200205/k00/00m/040/094000c

 こちらは非正規雇用を続けている人の話です。

 構造が違えど40代の直面する問題は大きいです。

 韓国では45歳でリストラされた人が、大した技術や資本がいらないチキン店を開業しているといいます。

★The company bringing scientists into the gig economy
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00374-0

 最近何度か取り上げましたが、フリーランス研究者と企業のマッチングサイトKolabtreeの話です。創始者がインタビューに答えています。

 フリーランス化というトレンドと、博士号取得者が多すぎるという問題を解決する手段として、このKolabtreeを作ったとのことです。

 日本でも、博士号取得者の能力をこうした形態で活かす術はあるように思います。

 一般向けにはランサーズ
https://www.lancers.jp

 やクラウドワークス
https://crowdworks.jp

 といったサイトがあります。

クラウドソーシングおすすめ6選!初心者が副業で稼ぐ具体的な方法を紹介!
https://itpropartners.com/blog/12166/

 とは言え、上記インタビューでも質問されていましたが、安い下請けになってしまう、労働法が適用されないといった問題点も指摘されています。

安倍総理は第35回未来投資会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202002/07miraitoushi.html

新たな成長戦略実行計画策定に向けた今後の進め方のたたき台
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai35/index.html

 上記のたたき台でも、問題点が指摘されています。

4.フリーランスなど雇用によらない働き方の環境整備
フリーランスについては、ギグエコノミーの拡大により高齢者の雇用拡大に貢献しており、健康寿命を延ばすとともに、社会保障の支え手を増やす観点からもその適正な拡大が不可欠。
希望する個人がフリーランスを選択できる環境を整えるため、内閣官房において、公正取引委員会厚生労働省中小企業庁など関係省庁の協力の下、政府として一体的に、以下の政策のあり方を検討。
1 独占禁止法(優越的地位の濫用)及び下請代金支払遅延等防止法などに基づくルール整備のあり方
2 発注者の指揮命令を受けて仕事に従事する場合(現行法上も「雇用」に該当するもの)の労働法の具体的適用のあり方

 色々な問題はありつつも、40代以降の博士号取得者の生き方として、フリーランスも真剣に考えていかなければならないと思っています。

 今年の4月から、私もフリーランス的働き方を実践し、それを通じで、こうした生き方の利点欠点などを洗い出していきたいと思います。

★「海外出張、公費でコネクテド・ルーム」問題、より深刻なのは日本の医療研究行政が歪められていることです
https://blog.goo.ne.jp/minacraft/e/2b4801960968c2255e04bb93008727e4

日本の医学研究の本丸・AMED、末松理事長が審議会で衝撃発言、「我々の自律性は完全に消失している」
https://blog.goo.ne.jp/minacraft/e/d9be36a227865c8962cfd151c0516298

★「大坪氏問題」でAMED末松理事長が怒りの暴露(その1)
「大坪氏が次長になられてから、我々のオートノミーは完全に喪失しております」
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/082400008/020300187/

 にわかに大問題となっています。ワイドショーとしては不倫を取り上げたくなりますが、問題は政策決定過程が密室であるところです。

★科学技術関係予算令和2年度当初予算案令和元年度補正予算について
https://www8.cao.go.jp/cstp/budget/index2.html

科学技術関係予算4兆3787億円 20年度3.3%増
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55233060U0A200C2I00000/

 一見増加しているように見えますが、本来科学技術と関係ないものが科学技術関係予算とされている例もあります。

 見せかけだけの増加は、こんなに予算を使っているのに成果が上がらないという、予算削減の口実にされてしまいます。

ムーンショット目標決定のお知らせ
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200123moonshot.html

 1月23日の総合科学技術・イノベーション会議で決定したものが公表されていますが…。

目標1:2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現
目標2:2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現
目標3:2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現
目標4:2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現
目標5:2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出
目標6:2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現

 とにかく決まった以上、しっかりやれ、というしかありませんが、しっかりやっているかはウォッチします。そのためにも透明性は担保して欲しいものです。

★革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)終了時評価報告書の決定について
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200123impact.html

 大型予算をドーンと投下、を繰り返すだけでなく、振り返りも重要なのは当然です。ImPactの反省はムーンショットに生かされているそうですが…。

★People will not trust unkind science
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00269-0

 科学が人々に信頼される文化とは。

A kinder research culture will build stronger, deeper support for research, as well as higher-quality science.

★「教学マネジメント指針」(令和2年1月22日 大学分科会)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1411360_00001.html

★「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律施行規則」改正案及び「特定胚の取扱いに関する指針」改正案に関するパブリックコメント意見公募手続)の実施について
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00103.html

JST、researchmapを大型アップグレード
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=11810

★多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会の報告書を公表します
https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200210002/20200210002.html

処理水放出で報告書公表 小委、海や大気「現実的」
https://www.sankei.com/life/news/200210/lif2002100030-n1.html

★東大院教授、学生に交際迫り停職 2年以上にわたり、本人は否定
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020020601002159.html

東大教授が院生にセクハラ…交際拒否されると研究予定を急に変更、無理やり体も触る
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200206-OYT1T50219/

★Colombian university fires prominent biologist accused of sexual harassment
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/colombian-university-fires-prominent-biologist-accused-sexual-harassment

 東大は停職のみ。コロンビアの大学は解雇。

★Avalanche’ of spider-paper retractions shakes behavioural-ecology community
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00287-y

 この問題は先週号でご紹介した

不正なデータは世界を駆ける
https://kensuke-nakata.hatenablog.com/entry/20200203/1580655600

 にも詳しく書かれています。

★がん患者、今後20年で6割増も 中低所得国で顕著とWHO
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020020401001673.html

Cancer burden could balloon in poorest countries
https://www.scidev.net/global/health/news/cancer-burden-could-balloon-in-poorest-countries.html

★世界規模の国際ネットワークによる最大のがん種横断的全ゲノム解読
日本人症例での解析を進めることで日本人に最適な臨床開発への発展を期待
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2020/0206/index.html

★「大学病院で診療に従事する教員等以外の医師・歯科医師に対する処遇に関する調査」の公表について
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1418468.htm

 無給医問題。滅私奉公はもう過去のものにしたいと思います。

★ヒト胚ゲノム編集について広範な研究者・市民の参加による討議の場を要望する
http://bit.ly/2SbBr5u

 ゲノム編集について、島薗進氏らが要望を出しています。

 トランプ大統領の一般教書演説が2月4日にありましたが、ペロシ下院議長が原稿を破り捨てるなど波乱もありました。

テーマは「偉大なアメリカの再起」トランプ大統領一般教書演説
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200205/k10012273321000.html

State of the Union
https://www.whitehouse.gov/sotu/

 次は予算です。

★President’s Budget
https://www.whitehouse.gov/omb/budget/

Trump’s 2021 budget drowns science agencies in red ink, again
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/trump-s-2021-budget-drowns-science-agencies-red-ink-again

National Institutes of Health would see 7% cut in 2021 under White House plan
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/national-institutes-health-would-see-7-cut-2021-under-white-house-plan

NASA soars and others plummet in Trump’s budget proposal
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00348-2

 科学機関にとっては厳しい状況のようです。

★U.S. attorneys warn of upcoming ‘spike’ in prosecutions related to China ties
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/us-attorneys-warn-upcoming-spike-prosecutions-related-china-ties

Harvard chemistry chief’s arrest over China links shocks researchers
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00291-2

U.S. prosecutor leading China probe explains effort that led to charges against Harvard chemist
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/us-prosecutor-leading-china-probe-explains-effort-led-charges-against-harvard-chemist

Ex-Emory scientist with ties to China charged with fraud
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/ex-emory-scientist-ties-china-charged-fraud

Florida state legislator fears overreaction in probe of foreign research ties
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/florida-state-legislator-fears-overreaction-probe-foreign-research-ties

 ハーバード大学の研究者の逮捕は大きく取り上げられましたが、全米で外国との関連が取り沙汰されている研究者に厳しい状況が続いています

★Colombia’s first ever science minister faces calls to resign over fungi-based cancer treatment
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/colombia-s-first-ever-science-minister-faces-calls-resign-over-fungi-based-cancer

Colombian science minister’s cancer claims spark controversy
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00235-w

 コロンビアの最初の科学大臣が、カビの抽出液ががんを治すという主張をしていることに大きな批判が。

★Tech tools to make research more open and inclusive
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00216-z

★ジャーナリストか研究者か?――二足の草鞋を履く日々
https://www.editage.jp/insights/journalist-or-academic-im-leading-a-double-life

 ジャーナリスト研究者もいるようです。

梯子を外された博士、マスタープラン、疲弊するPI

2020年1月28日~2020年2月4日

カセイケン代表 榎木英介

 melma!がメルマガ発行をやめてしまいましたので、購読者が四百人ほど一気に減りました。まぐまぐに一本化しました。

 今後note等別の手段も考えたいと思います。

 新型コロナウイルスに関しては、刻一刻と変わる状況なので、メルマガでの記事のピックアップは最小限に留めています。

 公的な最新情報を入手し、冷静に対応してください。

★中国に留学中の日本人学生の皆さんへ
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1405561_00001.htm

新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/index.html

 フェイクニュースも広がっています。

新型コロナウイルス特設サイト
https://fij.info/coronavirus-feature

 上記サイトではファクトチェックが行われていますが、大手メディアでも問題ある報道がなされています。

新型コロナウイルスと季節性インフルエンザ〜比べて良いのか
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20200131-00161228/

 これは私がYahoo!ニュース個人に書いた記事です。感染症の専門医でない私の出番はないと思いますが、リスクが未確定な新型コロナウイルスと季節性インフルエンザを比較してあれこれいう記事が増えてきた印象なので、リスク・コミュニケーションの観点からそれは問題であると指摘しました。

 クライシス状態にある現在、原発事故も含めた過去のクライシス経験が生きるか、試されていると言えます。

 以下はCDCのクライシス・コミュニケーションマニュアル。

Emergency Preparedness and Response
Section Navigation
CERC Manual
https://emergency.cdc.gov/cerc/manual/index.asp

 一部の国会議員が、感染症法の指定により日本に中国人の患者がやってきて無償で治療を受けるのではないかとツイートしていました。

 これは中国と日本の医療、科学技術の差を誤認した考えだと思います。

 もはや日本は科学技術や医療含め、中国に水を開けられ始めているのは周知の事実です。日本が医療や科学の先進国であるというイメージを持つ人はまだまだ多いですが、日本の現状を等身大で認識する必要があるように思います。

★終わらない氷河期~疲弊する現場で:空いたポストは若手に…「はしごをはずされた」 50歳大学非常勤講師の絶望
https://mainichi.jp/articles/20200201/k00/00m/040/145000c

 毎日新聞の記事。取材を受けてくれる人を探しているという情報は私のところにも回っていました。

 これで日本が人文社会科学系も含めた学術の先進国であると言えるのでしょうか。「はしごをはずされた」というのはまさに実感するところです。

★「民間企業の研究活動に関する調査2019」(速報)の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/43747

 恒例の調査ですが、「博士課程修了者及びポスドクを採用した企業割合は横ばいに推移」とのこと。

 ポスドクを採用した企業は調査対象の1.7%です。

★「博士課程修了者の採用増やせ」 ノーベル賞大隅良典氏
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020012901002028.html

★若手研究者支援 博士の力を産学で生かしたい
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200129-OYT1T50299/

★低学歴化進むニッポン、博士軽視が競争力を崩壊させる
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00061/

 若手に関しては様々な指摘があり、今後好転していく見込みがあります。

 その影で40歳以上はもうアカデミアでの活躍の道はかなり厳しいと言わざるを得ません。

 一方、大手企業はすでに早期退職を40代に勧告するような状況です。

 こうした中で人生はまだ50年前後続くわけです。

 どうするべきか。

 その一つとして私は仲間と一般社団法人カセイケンを立ち上げました。この問題に取り組むと同時に、ロールモデルになれないかと思ったからです。

 とはいえ、我々の団体は副業の粋を出ることができていません。

 そこで、近々スモールカンパニーを立ち上げようと考えています。

 社会の中で生きる、フリーランスの時代だと訴えても、医師の副業の範囲では説得力がありません。

 そこで、医師としての仕事はバックボーンにせざるを得ない面はありますが、一人社長の営利企業を作って、この問題にカセイケンとは別角度から取組むと同時に、スモールカンパニーが博士号取得者の生きる道になるかを試してみたいと思います。

 そういえばドラえもんが来る前ののび太くんは、会社を立ち上げていました。よく考えればそれはすごいことだなあと思います。

 結局会社が火事になって借金が残って、100年後も返せないのでドラえもんが送り込まれたわけですが…。

 いずれにせよ、非営利であるカセイケンを中心に、新しく立ち上げる会社も合わせ、40歳以降の博士号取得者の活躍の場を見つけていく活動を続けていきます。

★助けを求める叫び声
https://go.nature.com/2uZUIhi

 英語の記事が掲載された時に既にご紹介していますが、大学院生のメンタルヘルス問題です。

約36%が自らの博士課程研究に関連した不安や抑うつについて助けを求めたことがあると明らかになった

研究風土の全面刷新がなければ、次世代の研究者はいなくなってしまうだろう。

 博士課程進学者の減少の理由は、先行きの不透明さや経済問題だけではないということです。研究風土の改善も重要課題です。

★疲弊する指導者と遠慮する若手研究者
https://www.natureasia.com/ja-jp/partnership/author_service_survey2019

 日本の調査。競争的資金獲得に忙殺される指導者に遠慮する若手という構図がアンケートで明らかに。

今回のアンケートでは、若手に対する論文執筆指導時間をメンターに尋ねているが、その回答の平均は、1年間に13.59人指導するが、1人当たり10.59時間にすぎない。若手からみれば、メンターに頼るばかりでなく、自分自身の手で論文の完成度を上げていく必要があるわけだ。

 かつて私は、若手指導の方法を放牧とブロイラーという2パターンに分けましたが、放牧されている若手が多いような結果です。

★日本神経科学学会 科学コミュニケーション・ガイドライン
http://bit.ly/31xVuyl

 非常に重要なガイドライン

★多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第17回)‐配布資料
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/017_haifu.html

原発汚染処理水の処分、最終案で2案…「政府が責任もって決定を」
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200131-OYT1T50117/

海洋放出が「より確実に実施可能」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55049120Q0A130C2MM0000/

福島第1処理水、海洋放出「優位」 反発強く動けぬ政府
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55084250R30C20A1I00000/

 処理水海洋放出問題。政府の方針と地元の思い、どのように意思決定がなされていくのでしょうか。

★2月4日「風しんの日」に、「風しん対策啓発イベント」を開催します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09162.html

 本日です。

★提言「第24期学術の大型研究計画に関するマスタープラン(マスタープラン2020)」
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-24-t286-1.html

次世代加速器「重点」逃す 学術会議の研究計画
https://mainichi.jp/articles/20200131/ddm/012/040/069000c

次世代加速器 学術会議が重点計画選定見送り 誘致遠のく
https://www.sankei.com/life/news/200130/lif2001300057-n1.html

次世代大型加速器巡り意見聴く 学術会議、誘致目指す研究者から
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020013001002004.html

 日本学術会議のマスタープランが出ました。焦点は次世代加速器

★次世代加速器 未来見据えて政治決断を
https://www.sankei.com/column/news/200204/clm2002040002-n1.html

 推進したほうが良いという意見も多く、政府がどう決断するかが注目されます。

科学技術基本法改正に関する日本学術会議幹事会声明
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-kanji-4.pdf

 科学技術基本法に人文社会科学も含まれるようになることへの日本学術会議幹事会の意見。

★助成先の決定に抽選を取り入れ始めた助成機関
https://go.nature.com/2Sk8C5E

 これは英語の記事のときに既にご紹介しています。

★史上空前の論文捏造事件のどんでん返し
捏造は許されないが、論文は物理学の発展を先取りしていた?
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020012400007.html

 「どんでん返し」という表現が良くないと多方面から指摘があります。

 かつての「スペクター事件」におけるキナーゼカスケード説もそうですが、仮説を立てることと実証することは別で、仮説がのちに正しいと解ったとしても、研究不正が消えるわけではありません。

 もちろん、実証されない説を唱えることは重要ですが、当てずっぽうでも当たったら栄誉があるというのでは、言ったもんがちになってしまいます。

旭川医大、相次ぐ不正報酬受給を謝罪
https://mainichi.jp/articles/20200129/ddm/012/100/117000c

旭川医大学長、不正報酬で陳謝 自らの給与一部返納も
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020012801001878.html

外部病院に不当報酬要求のメール 懲戒解雇の旭川医大元教授
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020012801002397.html

 問題多発の旭川医大

★Nature ダイジェスト 2020年2月号
投稿前スクリーニングで不正を防ぐ
https://go.nature.com/2UmLYMB

★Genentech was not the first biotech company
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00187-1

 歴史を知ることは重要です。

★Faulty Antibodies Undermine Widespread Research
https://www.the-scientist.com/news-opinion/faulty-antibodies-undermine-widespread-research-67039

 抗体が認識しているものが想定されていたものではなかった…。これは近年指摘されていることで、生命科学において無駄で再現性の取れない実験が多くなされていることに批判が集まっています。

★United States charges prominent Harvard chemist with failing to disclose China ties
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/us-charges-prominent-harvard-chemist-failing-disclose-china-ties

Prominent Harvard Chemist Arrested For Concealing Ties to China
https://www.the-scientist.com/news-opinion/prominent-harvard-chemist-arrested-for-concealing-ties-to-china-67037

ハーバード大の著名化学者逮捕 中国との関係虚偽申告か
https://www.asahi.com/articles/ASN1Y1QYMN1YUHBI002.html

中国「千人計画」参加隠した米ハーバード大教授を起訴…世界トップ研究者を好待遇招聘
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200129-OYT1T50130/

 外国に関係する研究者を排除しているアメリカで、著名教授が中国の「千人計画」に参加していたことを隠していたことで逮捕。

★「中国の千人計画は脅威」 米国議会の報告書が警告
https://go.nature.com/2OnjTky

 千人計画はアメリカに相当警戒されているようです。

★Iranian Students Denied Entry to US
https://www.the-scientist.com/news-opinion/iranian-students-denied-entry-to-us-67023

 緊張高まる米イラン関係。

Brexit is happening: what does it mean for science?
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00215-0

UK and EU: Cherish what you have achieved and stay close
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00226-x

After Brexit, U.K. scientists face a long road to mend ties with Europe
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/after-brexit-uk-scientists-face-long-road-mend-ties-europe

UK to Recruit Top Scientists in New Visa Program
https://www.the-scientist.com/news-opinion/uk-to-recruit-top-scientists-in-new-visa-program-67018

英国に世界のトップの科学者を呼び寄せるための人数制限のない早期発行ビザ制度の開始
https://crds.jst.go.jp/dw/20200131/2020013122367/

 ついにBrexitしました。欧州議会での皮肉たっぷりのファラージ氏の振る舞いを見ていると、ユーモアというものの意味を考えさせられますが、研究にとっては大打撃。

これぞ英国流の煽り? EU離脱演説に「モンティ・パイソンを超えた」
http://bit.ly/392CBG4

「ここまで高純度なブリカス仕草が見れるとは」EU離脱が承認された議会でのイギリスがすごくイギリス
https://togetter.com/li/1462457

★Catalexit: funds for science could suffer
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00188-0

 スペインではカタルーニャ地方の分離独立問題。Catalexitと呼ばれています。

★NIH’s new cluster hiring program aims to help schools attract diverse faculty
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/nih-s-new-cluster-hiring-program-aims-help-schools-attract-diverse-faculty

 多様な人材を獲得するために新しいプログラム「 Faculty Institutional Recruitment for Sustainable Transformation (FIRST)」を採用。

★Three bad reasons to do a postdoc
https://www.sciencemag.org/careers/2020/02/three-bad-reasons-do-postdoc

★Before applying for your dream science job, Google thyself
https://www.sciencemag.org/careers/2020/01/applying-your-dream-science-job-google-thyself

 日本では「ググれ」ですね。

研究者を目指す若者だけでなく、一般の読者にも読んで欲しい一冊―榎木 英介『研究不正と歪んだ科学 STAP細胞事件を超えて』村上 陽一郎による書評
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200204-00004152-allreview-life

 私達の本の書評が全部読めます。