科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

新型コロナウイルス、ポスドク総合対策

2020年1月21日~2020年1月28日

カセイケン代表 榎木英介

 まずは調査のご紹介です。私たちが行っているものではありませんが、趣旨に賛同しご紹介いたします。

喜びとストレスのきっかけを探る
研究者のメンタルヘルス・グローバル調査
https://cactusglobal.com/mental-health-survey-jp/

Joy and Stress Triggers
A global survey on mental health among researchers
https://www.cactusglobal.com/mental-health-survey/#foundation

若手研究者のキャリアラダーに関する調査研究(基礎属性)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfL2p7T7P8zIuPSzRmehQaIuaVjdg9c9hAKL9QN2l7MYYozkQ/viewform

 さてなんといっても現在最も話題になっているのは、新型コロナウイルスです。

中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎の発生について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について
https://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html

コロナウイルスに関する解説及び中国湖北省武漢市等で報告されている新型コロナウイルス関連肺炎に関連する情報
https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc/2482-corona/9305-corona.html

国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html

新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する関係閣僚会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/index.html

 あまりに動きが早いため、記事のピックアップをやめました。中国政府の動きや研究の動きも驚異的です。

中国武漢から流行している新型コロナウイルス(2019-nCoV)による新型肺炎について
新型コロナウイルスに関する簡単な解説とまとめ記事
https://www.minesot.com/2020/01/2019-ncov.html

 旧知の病理医、峰 宗太郎さんが作られたページです。動向がまとまっているので、ご参照ください。

安倍総理は第48回総合科学技術・イノベーション会議を開催しました
http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202001/23kagaku.html

総合科学技術・イノベーション会議(第48回)議事次第
https://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui048/haihu-048.html

議事

1.研究力強化・若手研究者支援総合パッケージについて
2.革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)終了時評価及びムーンショット型研究開発制度の目標設定等について
3.科学技術・イノベーション創出に係る制度改革の方針について

報告

1.量子技術イノベーション戦略について
2.「安全・安心」の実現に向けた科学技術・イノベーションの方向性について
3.革新的環境イノベーション戦略について

 1月23日、総合科学技術会議イノベーション会議が安倍総理出席のもと開催されました。

 量子技術イノベーション、ImPACTの評価やムーンショットなど、どれも非常に大きな課題が取り上げられています。

「大胆で挑戦的な研究」政府、後押しする6目標を策定へ
https://www.sankei.com/life/news/200122/lif2001220018-n1.html

 中でも若手研究者対策が私が着目した部分です。

「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」 案
https://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui048/siryo1.pdf

 以下報道です。

ポスドク」総合対策を決定 政府、生活費相当額を支援
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54758810T20C20A1PP8000/

ポスドク」支援へ奨学金拡充・採用増 政府が総合対策
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54653250R20C20A1MM0000/

若手研究者の奨学金拡充
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54653250R20C20A1MM0000/

 パッケージ案を見てみましょう。目標として

将来的に我が国の大学本務教員に占める40歳未満の教員が3割以上となることを目指し、40歳未満の大学本務教員を約1割増(2025年度)
運営費交付金と外部資金との「混合給与」により、1世界基準の給与待遇と、2若手ポスト増設・事務部門の環境改善のための財源確保を同時実現。
多様な財源を活用し、将来的に希望する博士後期課程学生が生活費相当額程度を受給できるよう、当面、修士課程からの進学者数の約5割に相当する学生が受給できることを目指す。(早期達成)
産業界による理工系博士号取得者の採用者数を約1,000名(約65%)増加(2025年度)
学内事務等の割合を半減し、研究時間を確保。(2025年度)
大学・研究機関等における研究設備の共用体制を確立 (2025年度)

 が掲げられています。

 若手研究者対策としては、私たちも含め多くの方々が願っていることがかなり取り入れられている印象ですし、数値目標や達成年度という「言質」も明記されています。

 政府自身も博士号取得者を雇用すると述べており、身銭を切る方向です。

博士号取得者の国家公務員や産業界等における国内外の採用、職務、処遇等の状況について、実態やニーズの調査と好事例の収集・横展開を行い、今後の国家公務員における博士号取得者の専門的知識や研究経験を踏まえた待遇改善について検討。(2019年度~)【内閣官房・CSTI・人事院・文・経・ 全省庁】

 運営費交付金を若手対策の達成度で加増するという「ニンジン」もぶら下げるようです。

 私は基本的にこの方向性に賛同します。後は言葉だけでなく実現されるかという問題です。

 ただ、もう皆さんも私が言うことをお分かりと思いますが、40歳未満優遇明記で、就職氷河期世代の40代が梯子を外されてしまったことが明確になりました。

 この世代、自分たちが若手の時は団塊世代の雇用優先やリーマンショックなどで見捨てられ、団塊の世代が去った今、今度は若手優先策で切り捨てられたわけです。

 この1年、この話題ばかり考え続けていますが、同世代(私は現在48歳)の方々の生きる術を見つけていかなければなりません。

フリーランス進まぬ保護 「ほぼ専属」4割、議論に遅れ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54898250X20C20A1EE8000/

★日本にスタートアップを育てる環境はあるの?
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53469880X11C19A2000000/

 その一つは起業やフリーランス化だと思いますが、手放しで喜べることではありません。

 フリーランス化で弱い立場に追い込まれる人もおり、また、起業も失敗確率の方が高いわけです。

★「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト(JHeC)2020」グランプリが決定しました!
https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200127001/20200127001.html

病児保育支援にグランプリ 経産省コンテスト
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54788970U0A120C2000000/

 こういうスタートアップがどんどん育てばいいなと思いますが、ことは簡単ではありません。

 なかなか難しいですが、一つの策は、成長を目指さない「しょぼい起業」なのかなと思います。

“しょぼい起業家”が説く、20代が生きづらさを払拭する術「キャバクラ化したオンラインサロンには入るな」「可愛がられる子分になれ」
https://type.jp/st/feature/4614

 しょぼい起業とは、1990年生まれという若い起業家、えらいてんちょう氏が書いた本で、少し前に話題になりました。

 20代の若い人のやっていることを、色々なものを抱えてしまった40代の私達ができるのかということは考えてしまいますが、ヒントは色々あります。

 もちろん40代からの起業は簡単なことではないとは思います。

失敗から気づいた、40代フリーランス起業で成功する方法
https://40taishoku.com/40-entre/entre-success-points/

 他にも生きる術はあると思います。そういった事例を紹介したり、情報を提供できればなと思ったりしていますし、私自身がチャレンジしてみたいと思ったりしています。

 進展がありましたら発表いたします。

★博士、ビジネス感覚を
理系大学院の意義 名古屋大学教授の天野浩氏に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54652230R20C20A1TCN000/

理系博士にビジネス感覚を 天野浩名古屋大教授
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54637840R20C20A1TCN000/

 今回の研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ(案)にも、「産業界や大学との対話を通じた社会のニーズに応える大学院教育の構築」や「地方自治体や大学における起業家教育及び起業家候補への事業化支援等の抜本的強化(スタートアップ人材の育成)」といったことが取り入れられています。

 大学は企業の下請けじゃない、という声はその通りだと思います。一方で、社会のニーズを見つめて自らの能力を生かせる領域を探すことも必要です。

 とにかく生きていかなければならないわけで、武士は食わねど高楊枝というわけにはいかない現実の中でどうしていくのか、ということが求められています。

 ただ、博士号取得者には様々な能力があり、たとえ幾つになっても、社会の様々な場で活躍できるポテンシャルがあると信じています。

 そのポテンシャルを開花させるお手伝いをしたいというのが、今の私の心境、ミッションです。

★3 charts that show how attitudes to climate science vary around the world
https://www.weforum.org/agenda/2020/01/climate-science-global-warming-most-sceptics-country/

気候科学「非常に」「かなり」信頼、日本は25% 30カ国平均は57%
https://mainichi.jp/articles/20200123/k00/00m/040/235000c

 世界経済フォーラム。日本の気候科学への信頼度の低さが気になります。科学と社会の関係の問題があるように思います。

世界経済フォーラム
年次総会2020
21—24 1 2020
https://jp.weforum.org/events/world-economic-forum-annual-meeting-2020

CO2削減、成果要求 ダボス会議でグレタさん
https://mainichi.jp/articles/20200122/ddm/007/020/072000c

ダボス会議で見えた2つの分断と希望
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54860290V20C20A1EA2000/

 その世界経済フォーラムですが、ダボス会議を開催していました。気候変動は主要議題に。

南海トラフ沿いで発生する大地震の確率論的津波評価
https://www.jishin.go.jp/evaluation/tsunami_evaluation/#nankai_t

南海トラフ地震、各地の津波確率を公表 地震調査委
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54789170U0A120C2I00000/

南海トラフ地震津波確率 71市区町村で「非常に高い」 国が初公表
https://www.sankei.com/life/news/200124/lif2001240024-n1.html

南海トラフ地震で3m以上の津波、71市区町村で確率26%以上
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200124-OYT1T50233/

津波、最低限の備え促す
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54839250U0A120C2EA1000/

 先々週、阪神淡路大震災25年を迎え、防災に関する記事や放送などもありました。

 3月11日には東日本大震災から9年の日を迎えます。

 市民の防災意識を向上させるにはどうすれば良いか、考えていかなければなりません。

★「商標拳~ビジネスを守る奥義~」動画及び特設サイト
https://www.jpo.go.jp/introduction/soshiki/design_keiei/shohyoken/index.html

 特許庁、攻めてるなあと話題に。

★小中学校にパソコン1人1台 特需を喜べないメーカー
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53779280V21C19A2000000/

本の学校教育、デジタル社会への対応に失敗
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54788730U0A120C2CK8000/

 子供たちにデジタルスキルを身に付けてもらうことはもう必須なわけですが、対応できな日本社会に「イラッと」きますね。

★PLOS ONE、研究計画から研究レポートの出版までをサポートする“Registered Reports”を導入すると発表
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=11760

 研究倫理についても計画段階からサポートされます。

★Software searches out reproducibility issues in scientific papers
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00104-6

 再現性問題。

★検証:中立性脅かす製薬マネー 医薬品講演の教授「めちゃくちゃ効いた」 専門家「患者の信頼失墜」
https://mainichi.jp/articles/20200127/ddm/002/040/132000c

副業に励む医学部教授ら 国公立の15人に製薬マネー1000万円超 18年度
https://mainichi.jp/articles/20200126/k00/00m/040/123000c

高額な製薬マネーは「正当な対価」? 中立性に懸念広がる 甘い兼業ルール
https://mainichi.jp/articles/20200126/k00/00m/040/131000c

15教授ら1000万円超受領 製薬会社から講師謝金 国公立大
https://mainichi.jp/articles/20200127/ddm/001/040/128000c

 毎日新聞の調査。利益相反問題は、副業なんか許せば良いではないか、という問題とは違います。

一般財団法人エネルギー総合工学研究所による補助金等の不正受給に対する措置を講じました
https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200124005/20200124005.html

補助金不正で2億6千万円返還へ エネルギー総合工学研究所
https://www.47news.jp/news/4451820.html

不正補助金、2.6億円返還へ エネルギー総合工学研
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020012401279&g=eco

★Doomsday Clock is reset to 100 seconds until midnight, closest ever
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/doomsday-clock-reset-100-seconds-until-midnight-closest-ever

「終末時計」残り100秒 過去最短、地球最後まで
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020012301001520.html

地球最後までの時刻はあと「100秒」 核、温暖化の脅威で過去最短を更新
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/01/20200127_01.html

 地球の危機がどうもまだ人々に実感されていなようにも感じます。

★Science Positions Increasingly Abandoned Under Trump
https://www.the-scientist.com/news-opinion/science-positions-increasingly-abandoned-under-trump-67008

 トランプ政権。ポストに人不在のまま放置。

★Moffitt Cancer Center details links of fired scientists to Chinese talent programs
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/moffitt-cancer-center-details-links-fired-scientists-chinese-talent-programs

★UK chief scientific adviser on swift research visas post-Brexit
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00185-3

 Brexit目前。研究業界も対応に追われています。

★Inclusivity for all: How to make your research group accessible
https://www.sciencemag.org/features/2020/01/inclusivity-all-how-make-your-research-group-accessible

★日本人初、高校卒業後すぐにMITメディアラボの研究者となった片野晃輔(22)に聞く、「自分のやりたいことの見つけ方」
http://neutmagazine.com/emi-kusano-super-teens-7

 異能の若手の活躍が目立つようになってきました。

★大学教授から研究を奪う、皮肉な「支援」
https://forbesjapan.com/articles/detail/31871/1/1/1

 忙しすぎる大学教授。

★「エア御用学者」のささやかな目標
https://webronza.asahi.com/national/articles/2020012000005.html

 原発事故直後の御用学者論争は、様々な論点を炙り出しました。

 私の知人の中にも、意見の対立で完全に仲違いしてしまった人たちがいます。

 科学技術に関する諸問題も意見が分かれる部分がありますが、私自身としては、できるかぎり様々な意見を持った人たちと対話を続けることができたらと思っています。

入試差別からみえてくるもの

2020年1月14日~2020年1月21日

 御心配をおかけいたしましたが、インフルエンザからはようやく快復いたしました。

今週の本棚
村上陽一郎・評 『研究不正と歪んだ科学』=榎木英介・編著
https://mainichi.jp/articles/20200119/ddm/015/070/007000c

 毎日新聞の読書面で、私たちが書いた本が大きく取り上げられました。評者は村上陽一郎さんです。

 ご評価いただき、著者一同喜んでいます。

 もちろん、本で書いた日本の研究環境の問題が解決することが目標であり、本が売れることは二の次ではありますが、多くの皆様が手に取ってくださり、公正な研究環境に一歩でも近づくことができたらと願っています。

「研究不正と歪んだ科学 STAP細胞事件を超えて」
日本評論社 税込 2,530円
https://nippyo.co.jp/shop/book/8178.html
https://amzn.to/2NEWFVR

 さて、今週のニュースです。

★本学医学部入学試験に関する「第三者委員会」の調査報告書について
http://www.marianna-u.ac.jp/univ/news/20200117_01.html

医学部入試「差別あった」 聖マリアンナ医大の第三者
https://www.asahi.com/sp/articles/ASN1K7478N1KUTIL01D.html

聖マリアンナ医大、女性と浪人生への差別「可能性あった」と認める 調査結果の内容とは?
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e23a223c5b674e44b9939a4

2浪の女性 140点も差別されていた
https://1kando.com/155445

180点満点で―80点スタートってありですか?【医学部入試 差別的採点問題】
https://togetter.com/li/1457566

聖マリアンナ医科大入試「性別や現・浪で差別的扱い」第三者委が調査報告書
https://mainichi.jp/articles/20200117/k00/00m/040/249000c

 聖マリアンナ大学の第三者委員会が、入試において差別があったか否かを調査し、報告書にまとめました。
https://drive.google.com/file/d/1s5t-RCZ3e-piWFVDp6F3ok-cmY8MGasc/view?usp=drivesdk

 ところが、上記リンクを見れば分かりますが、調査報告書は大学の公式サイトには置かれておらず、大学は不正を否定するという異常な事態に陥っています。

 あまりに酷い。

 年齢や性別など、どうすることもできない属性をなんの断りもなく差別し、しかも開き直るとは、人権感覚の欠如も甚だしいと言わざるを得ません。

 何故かくもこの国は、年齢や性別差別を露骨に行い、しかも反省することもなく開き直るのでしょう。

 就職氷河期世代の問題にしても、たまたま生まれた年が悪かっただけで、ずっと負のスパイラルから抜け出せない世代が出てしまうのも、年齢を評価基準とする差別的な採用制度のせいです。

深刻な高学歴ワーキングプア
国策に翻弄される博士たちの憂鬱
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/22716

★「厚生労働省本省就職氷河期世代採用選考」の申込状況を公表します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08899.html

 もちろん、新卒一括採用は人口増による経済成長がある時期には一部で合理的採用だったのでしょう。

 しかし、今の時代に年齢制限による差別を行うと公言するかのような新卒一括採用をやり続けることは、世界に人権感覚がないことを公言しているかのようなものです。

★To fairly evaluate scientists’ CVs, universities should welcome personal disclosures
https://www.sciencemag.org/careers/2020/01/fairly-evaluate-scientists-cvs-universities-should-welcome-personal-disclosures

How to write a clear, compelling CV
https://www.sciencemag.org/careers/2020/01/how-write-clear-compelling-cv

 日本ではよいCVの書き方などあまり重視されません。当然です。人を見ずに属性を見るわけですから。

★大澤昇平特任准教授に対する懲戒処分について
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/news/2020011511159

Regarding Disciplinary Dismissal of Project Associate Professor Shohei Osawa
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/news/2020011511176

懲戒処分の公表について
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z1304_00124.html

「中国人は採用しない」と投稿、東大特任准教授を懲戒解雇
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200115-OYT1T50170/

差別的投稿「許されない」 東大、特任准教授を懲戒解雇
https://www.asahi.com/articles/ASN1H43F5N1HUTIL013.html

 年齢、性別に続いて、人種や国籍による差別を公言する教員もあらわれました。

 しかし…。

★地方配属飛躍の機会に 若手に裁量、深い人の輪
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54371090U0A110C2TCN000/

 これはメンバーシップ型の問題ですね。こういう転勤前提の話はもはや古いと言わざるを得ません。

★日本の若者が気付けない自らの「貧困」。海外に出ない、その裏事情
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e1ea82ac5b63211760b21c0

 この記事がバズってましたが、何を言っているのだろうと思いました。貧困に陥り住む家や食べ物に困っている人は、外国など出なくても、自らの体験としてよくわかっているはずです。

 メディアも結局、大手の視点からしか物を見ていないと言わざるを得ません。

 医師なんかは典型的ですが、医師なんかろくな職業じゃないよ、給料も1500万円くらいで頭打ちで、民間企業のサラリーマンのほうがいいよね、なんていう人がいます。

 周りが同じようなバックグラウンドを持った人ばかりだと問題に気がつけないのです。


 もちろん、完全な平等など、見果てぬ夢みたいなものだと思います。現実社会は甘くなく、苛烈な現実が横たわります。

★Stress, anxiety, harassment: huge survey reveals pressures of scientists’ working lives
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00101-9

Scientists Report Stress, Bullying, and Harassment in New Survey
http://bit.ly/2tF2YTx

 諸外国のほうがもっと差別は大きい。日本なんて甘いものだ。仕方ない。現実を考えるとこうするしかない…。

 そういう人もいるでしょう。

 しかし、今は見果てぬ夢だとしても夢を追い求めることをやめたらおしまいです。

 何ら対策を立てず、変わろうとしないことは許されません。

 たとえ一歩でも、理想を追い求め、発言し、動き続けなければ、世の中は変わりません。諦めるのは罪です。

NSF rolls out huge makeover of science statistics
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/nsf-rolls-out-huge-makeover-science-statistics

China is closing gap with United States on research spending
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00084-7

China Catches Up with the US in Science and Tech
https://www.the-scientist.com/news-opinion/china-catches-up-with-the-us-in-science-and-tech-66977

研究開発費、数年内に中国がトップに?日本の伸び率は最低
https://www.yomiuri.co.jp/science/20200117-OYT1T50093/

 NSFの調査。中国が米国に肉薄。日本は…。

★Chinese academics who work abroad are slower to win major honour
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03772-1

中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎の発生について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎について(第5報)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08998.html

中華人民共和国湖北省武漢市における原因不明肺炎の発生について(第4報)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08873.html

新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08906.html

 刻一刻と変化するので、厚労省のページのみリンク。

★【識者の眼】「新型コロナウイルス(2019-nCoV)案件、今後の注目点〜北京におけるSARSの対応経験から」勝田吉彰
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=13876

 感染拡大が懸念されます。

★科学技術「ムーンショット型研究開発」目標の6項目まとまる
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200116/k10012247651000.html

 ImPACTとどう違うのかなあと思ったりしましたが…。

★革新的研究開発推進プログラム(ImPACT) 終了時評価報告書(案)
令和元年1月9日
ImPACT 終了時評価ドラフト作成ワーキンググループ
https://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/kakushintekikenkyu/36kai/siryo2.pdf

 そのImPACT。

科学技術基本法 初改正へ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54523730X10C20A1TJM000/

★科技計画 問われる実効性
5期は目標達成困難、6期検討開始 「政府投資不足」の指摘も
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54523710X10C20A1TJM000/

科学技術政策目標 「達成」危うし 予算不足も指摘
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54456740W0A110C2TJM000/

 第6期が近づいてきて記事も多くなってきました。

★Prominent animal-cloning researcher sentenced to 12 years in prison
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00051-2

Cloning Scientist Sentenced to 12 Years in Prison
https://www.the-scientist.com/news-opinion/cloning-scientist-sentenced-to-12-years-in-prison-66966

 中国。研究費の不正に非常に厳しい姿勢。

安倍総理は第201回国会における施政方針演説を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0120shiseihoushin.html

 量子技術、宇宙、Society5.0について触れられています。

産総研がゼロエミッション国際共同研究センターを設立します
https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200117001/20200117001.html

安倍総理は吉野彰(あきら)ゼロエミッション国際共同研究センター長による表敬を受けました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202001/17nobel.html

ノーベル賞 吉野さん、環境技術開発拠点研究センター長に
https://mainichi.jp/articles/20200118/ddm/005/010/044000c

 産総研にゼロエミッション国際共同センター。センター長は吉野彰さん。

★企業研究者の原動力は 吉野彰×田中耕一×池上彰3氏
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54347930U0A110C2I00000/

 その吉野さんは田中さんらと企業研究者について対談。

★令和2年度文部科学省 予算(案)の発表資料一覧(1月)
https://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h31/1412639_00001.htm

★平成30年度 大学等における産学連携等実施状況について
https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/1413730_00005.htm

★政府、民間技術を安保に転用
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54579280Z10C20A1NN1000/

安保関連のハイテク機器、国産品開発の促進制度を創設 政府が新法案提出へ
https://mainichi.jp/articles/20200120/k00/00m/020/291000c

★ひとりでがんばる知財担当者のためのお助けサイトを開設しました
https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200114002/202001014002.html

★「令和2年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」に関するご意見の募集について
https://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p20200115-01.html

★「知的財産推進計画2020」の策定に向けた意見募集について(PDF形式:223KB)(募集期間:令和2年1月17日(金)~2月17日(月))(R2.1.17)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/pdf/suishin2020_iken_boshu.pdf

★提言「専攻医募集シーリングによる研究力低下に関する緊急提言」
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t284-1.pdf

提言のポイント
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-24-t284-1-abstract.html

 日本学術会議。専門医制度が日本の医学研究に悪影響を与えると懸念。

★不幸な本を生まないために。図書館が望む、より良い寄贈本の在り方。
https://corporate.valuebooks.jp/endpaper/report-2/rikutaka1230/

 私たちも震災のときに、本を贈れないかと模索しました。贈ればよいというものではありません。

★財政難に苦しむ野辺山宇宙電波観測所のこれから
所員は120人から13人へ、それでも45m望遠鏡での研究継続に奮闘
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020011400006.html

 高校生のときに見学しました。厳しい状況ですが、よい方向に向かいますように。

★論文海賊版サイトSci-Hubは学術コミュニティの「究極の破壊者」だという主張
https://gigazine.net/news/20200119-sci-hub-ultimate-disruptor/

★Opinion: Exorcising Ghostwriting from Peer Review
http://bit.ly/2Rc6JIT

★Imagine a world without hunger, then make it happen with systems thinking
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00086-5

★Time for the Human Screenome Project
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00032-5

★Global problems need social science
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00064-x

★Kurdistan: instability wrecks research and education
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00057-w

 国を持たない民族、クルド人

★Senate bill would boost spending on Trump administration’s research priorities
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/senate-bill-would-boost-spending-trump-administration-s-research-priorities

★How the fight over a Hawaii mega-telescope could change astronomy
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00076-7

How the Fight over a Hawaii Mega-Telescope Could Change Astronomy
https://www.scientificamerican.com/article/how-the-fight-over-a-hawaii-mega-telescope-could-change-astronomy/

★Protect India’s universities
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00085-6

★採用直結のインターン 理系大学院生に推奨へ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54478900W0A110C2PP8000/

採用つながるインターン、理系大学院生で推奨へ 政府方針
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO54478900W0A110C2PP8000

 インターンシップは決して悪くないと思いますが、学業との両立について懸念がでています。

★理系は今こそ社長を目指せ 論理と数字が業績を伸ばす
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO54196570Z00C20A1000000/

三菱UFJ、社長兼CEOに亀沢氏 メガ銀で初の理系出身
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54417800V10C20A1MM8000/

 理系の経営者よもっと出でよ。

★Being a caregiver while caring about a PhD
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00049-w

★地層「千葉セクション」のIUGS(国際地質科学連合)における審査結果について
https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20200117.html

地質時代名に初の日本由来の「チバニアン」 国際学会が決定
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/01/20200120_01.html

あの事件を超えられない?シンポ報告

2020年1月7日~2020年1月14日

 2日遅れの巻頭言です。

 発行が遅れて申し訳ありませんでした。インフルエンザに罹患して寝こんでいました。

 1月12日に開催しました「研究不正と歪んだ科学 STAP細胞事件を超えて」
日本評論社 税込 2,530円
https://nippyo.co.jp/shop/book/8178.html

研究不正と歪んだ科学 STAP細胞事件を超えて

研究不正と歪んだ科学 STAP細胞事件を超えて

 の出版記念シンポジウムですが、多数の方々にご参加いただき、盛況のうちに幕を閉じることが出来ました。

 詳しいご報告はまた追って行いたいと思いますが、参加者のみなさまとの交流から、色々な気づきを得ることができました。

 まず、いまだSTAP細胞事件の「謎解き」が多くの人たちを惹きつけているという事実です。

 誰が得をしたとか、黒幕は誰だとか、確かにあれだけ報道が出ると、どうしても素人としても色々類推してしまうのは当然です。

 私たちの書いた本はそれではダメだという問題提起だったわけですが、この本を書いた程度では、社会を揺るがしたあの「事件」を超えることができていないことがよくわかりました。

 もう一つは、研究者コミュニティ内からみた、私たちのような研究公正活動に対する反発です。

 私たちのような活動が、アカデミアから評価されないのは日々感じていました。そういう意味でアカデミア内部から発信している、今回コメンテータをしてくださった京都薬科大学の田中先生のような存在は極めて重要であると思うのですが、そうした活動に対しても批判があることがよくわかりました。

 私たちは決してアカデミアを破壊しようと考えているわけではなく、アカデミアをよくしたいと思っているわけですが、アカデミアに当事者意識を持ってもらうことがいかに困難かを痛感しました。

 しかし、私自身、次第に身の置き場がアカデミアから離れていくなかで、評価もされない活動をやる意義は何か迷ったこともありますが、科学は科学者、アカデミアだけのものではないはずであり、健全な科学は社会にとって必要だと思っているので活動を続けています。

 田中先生含め、ちょっとずつでもアカデミア内部で理念を共有する方との関係を強め、そうした内部の活動を応援することも含めて、地道に活動に取り組んでいきたいと思った次第です。

 私たちの活動に対する批判的なご意見を含めて、とても有意義な意見交換ができた会でした。改めて御礼申し上げます。

 なお、本ですが近々Kindle版が出版されます。詳細決まりましたらお伝えします。

★AIやゲノム念頭、哲学・法学に力 科技振興で法改正へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54339700T10C20A1PE8000/

政府、科学研究で法学や哲学重視
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54339700T10C20A1PE8000/

 第6期計画を控え、いわゆるELSIも含めた人文社会科学が重視される方向性が見えてきています。

 人文社会科学系の諸分野は、いわば「加入戦術」を取るのか、独立独歩でいくのか‥

★「Society5.0の国際発信」の開催場所の公募について
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200107society5_0.html

★J-STAGE運用開始20周年、登載誌数が3,000誌に到達~より多くの日本発の研究成果論文を世界へ~
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1415/index.html

 自分の業績をまとめるのに役立っています。

霞が関初の官僚系YouTuber誕生!〜SNS発信プロジェクト「BUZZ MAFF(ばずまふ)」が2020年1月7日(火曜日)発信開始〜
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/koho/200107.html

 官僚系!

沖縄県におけるCSFの患畜の確認(国内52例目)について
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/200108.html

沖縄県におけるCSFの疑似患畜の確認(国内53例目)について
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/200108_8.html

沖縄県におけるCSFの疑似患畜の確認(国内53例目の関連農場)について
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/200111_2.html

沖縄県におけるCSFの疑似患畜の確認(国内54例目)について
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/200110_2.html

 アグー豚でも知られる沖縄の豚にもCSFが。

★国立大の産学共同研究、学外の会社でOK 規制見直し
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54163770Y0A100C2EE8000/

 利益相反問題には敏感でいて欲しいものです。

東工大が「未来の人類研究センター」新設 科学技術と人の共存探る
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54116420X00C20A1TCN000/

理系と文系 橋渡し役に
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54116460X00C20A1TCN000/

 最近注目の取り組みが多い東工大
https://educ.titech.ac.jp/ila/news/2020_01/058424.html

★Predatory-journal papers have little scientific impact
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00031-6

Articles in ‘predatory' journals receive few or no citations
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/articles-predatory-journals-receive-few-or-no-citations

 捕食ジャーナル。そうは言ってもそれで地位を確保したり学位を取得する人がいるわけですから無視はできません。

 研究不正でも、いずれ不正論文は淘汰されるからいいではないかという意見がありますが、論文はそうでもポジションに人は残ってしまい、本来能力を発揮すべき人が出したかもしれない業績が無駄になってしまうわけです。放っておけば良いという問題ではありません。

★UK Group Tackles Reproducibility in Research
https://www.the-scientist.com/news-opinion/uk-group-tackles-reproducibility-in-research-66926

 再現性問題も大きな課題です。

★高等教育無償化「多浪生らを排除」 医学部生が批判
https://www.asahi.com/articles/ASN176TC9N17UTIL059.html

 制度の間で不利益を被る人がいるのを無視はできないはずです。

★Russian journals retract more than 800 papers after ‘bombshell’ investigation
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/russian-journals-retract-more-800-papers-after-bombshell-investigation

 絶句‥。

中華人民共和国湖北省武漢市における原因不明肺炎の発生(厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08787.html

 この巻頭言を書いている最中に日本でも関係者が出たとの情報が。人人感染は限定的とのことで、過剰反応は禁物ですが。

★「本当の父は誰?」DNA検査で発見、新たな家族の歴史
https://www.asahi.com/articles/ASN1110R5MD0UHBI02N.html

 ゲノム時代が生んだ新たな領域です。自らのルーツに意外なつながりを見出す可能性が。

SpaceX tests black satellite to reduce ‘megaconstellation’ threat to astronomy
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00041-4

 懸念されていた問題に対するスペースX社の対応。

FDA and NIH let clinical trial sponsors keep results secret and break the law
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/fda-and-nih-let-clinical-trial-sponsors-keep-results-secret-and-break-law

 FDAもNIHもやる気ないとScienceが批判。

★New Trump rule would allow government to ignore climate impacts of major projects
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/new-trump-rule-would-allow-government-ignore-climate-impacts-major-projects

 トランプ政権下ではもはや驚かない事態。

★遺品の古書が捨てられていく 歴史解き明かす宝を秘めて
https://www.asahi.com/articles/ASMDT73LZMDTUCVL039.html

 個人所有の書籍などは未来の世代にとって貴重な資料のはずですが…。

★科学技術の失速と復活の処方箋を議論 政策研究大学院大がシンポで
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/review/2020/01/20200110_01.html

★吉野彰さん寄付の研究助成、九大准教授に決定
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/01/20200110_01.html

倫理に関心が薄い博士、アシモフ生誕100年

2019年12月31日~2020年1月7日

カセイケン代表 榎木英介

 2020年が幕を開けました。今年もどうぞよろしくお願いします。

 思えば10年前、科学界は事業仕分けに揺れていました。事業仕分けには誤解があって、必ずしも科学軽視というわけではありませんでしたが、それでも、日本学術振興会の特別研究員制度が「ポスドク生活保護」などと言われ、納得いかない部分もありました。

 科学界の反応はノーベル賞フィールズ賞受賞者が並んで反対の記者会見をするなど、政策の動かし方がわかっていないあという反応だったけですが、10年経ってもあまり変わっていないように思います。

 その後ノーベル賞受賞者が何人も出て、科学技術政策に意見を言っていますが、意見は言うだけでは不十分です。財務省の神田さんブロック?を突破できた研究者は一人もいないのではないかと思います。

 2020年代、果たして研究者はより効果的に自らの主張を政策に反映させることができるでしょうか。

 さて今週のニュースです。

★博士課程在籍者のキャリアパス意識調査:移転可能スキルへの関心と博士留学生の意識[DISCUSSION PAPER No.176]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/43565

 日本の博士課程に関するとても重要な調査です。

 オンザジョブトレーニングに偏り、転移可能スキルを学ぶ機会に乏しい現状が明らかになっています。

 特に倫理に関して関心も学ぶ機会も乏しいという点は、大きな問題点として挙げられると思います。以下ちょっと長いですが引用します。

3) 「その他の」能力 「倫理」について、「自分に足りない能力」及び「博士課程等で身に着けたい能力」のいずれにおいても、回答者がほとんどいない。少なくとも回答者の意識の上 では、他の能力に比べて、優先順位が非常に低いことを示していると考えられる。
EU では、「グラント/プロポーザルの書き方」(18.6%)とほぼ同程度の水準で倫理(18.1%)を学んでいるという結果が得られており、我が国の場合、「研究計画書・ プロポーザル作成に関する能力」が高い値を示していることを考えると、少なくと も我が国の博士課程在籍者等の「倫理」に対する意識は、EU における博士課程で の倫理の扱いとは大きく異なっている。

 これが日本の研究不正の発生などに影響を与えている可能性もあるように思います。

 いまの大学には倫理を軽視する雰囲気が漂っているようにも思います。

 私はかつて研究倫理教育に携わっていましたが、私の話には大学院生が数人しか来ないのに、医療統計学の講義には何倍もの院生が出席しているという光景を目の当たりにしました。

 しかし、こうした状況を変えなければなりません。

★総合科学技術・イノベーション会議(第47回)議事次第
https://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui047/haihu-047.html

議事

1.特定国立研究開発法人(産業技術総合研究所)の見込評価等に対する総合科学技術・イノベーション会議の意見について

 産総研が取り上げられています。

 その産総研の中鉢理事長の年頭所感

https://www.aist.go.jp/aist_j/news/au20200101.html

★論文の「ひどいチェック」が科学の発展を妨げているという指摘
https://gigazine.net/news/20200104-rude-reviews-pervasive-harmful/

 査読の無茶な要求に萎えるというケースはよく見聞きしますが…。

JST、次期researchmapのリリース日と、それに伴うresearchmapログイン休止期間を発表
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=11715

 ご注意ください。2020年1月21日(火)10:00~2月4日(火)16:00(予定)はログインできないとのこと。

★Grad Student Arrested Trying to Smuggle Specimens to China
https://www.the-scientist.com/news-opinion/grad-student-arrested-trying-to-smuggle-specimens-to-china-66889

★Pneumonia of unknown cause - China
5 January 2020
https://www.who.int/csr/don/05-january-2020-pneumonia-of-unkown-cause-china/en/

中国・武漢で原因不明の肺炎 海鮮市場の店主ら多数発症
https://www.asahi.com/articles/ASMD06HZZMD0UHBI01Y.html

SARSの可能性否定 肺炎患者59人に 中国・武漢
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200105-00000048-jij-cn

Novel human virus? Pneumonia cases linked to seafood market in China stir concern
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/novel-human-virus-pneumonia-cases-linked-seafood-market-china-stir-concern

China pneumonia: Sars ruled out as dozens fall ill in Wuhan
https://bbc.in/2sCQxqV

 中国武漢で発生した原因不明の肺炎。

★Year of the Nurse and the Midwife 2020
https://www.who.int/campaigns/year-of-the-nurse-and-the-midwife-2020

 WHO。看護師、助産師の重要性。

★What CRISPR-baby prison sentences mean for research
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00001-y

Chinese researcher who made CRISPR babies is sentenced to three years in prison
https://www.bmj.com/content/368/bmj.m11

Did Chinese scientist who edited human embryos to prevent HIV really deserve to go to jail?
https://www.rt.com/op-ed/477451-gene-editing-hiv-china-he/

CRISPR babies scientist He Jiankui should not be villainized - or headed to prison
https://www.statnews.com/2020/01/02/crispr-babies-scientist-he-jiankui-should-not-be-villainized/

He Jiankui is going to jail. Would the U.S. criminally prosecute a rogue gene-editing researcher?
https://www.statnews.com/2019/12/31/he-jiankui-jail-prosecute-rogue-gene-editing-researcher/

CHINA CONFIRMS THREE GENE EDITED BABIES WERE BORN THROUGH HE JIANKUI'S EXPERIMENTS
https://www.newsweek.com/china-third-gene-edited-baby-1480020

Scientific community debates gene editing as Jiankui lands in jail
https://www.theweek.in/news/health/2020/01/01/scientific-community-debates-gene-editing-as-jiankui-lands-in-ja.html

Third gene-edited baby born, scientists involved sentenced, China confirms
https://www.foxnews.com/science/three-gene-edited-babies-born-china-scientists

 中国でゲノム編集ベビーを作った研究者への処罰に衝撃と賛否が広がっています。

★数理人材かAI人材か 「数理資本主義」の時代
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53703840T21C19A2000000/

 バイオ系人材がすぐに転身できるものではありませんが、社会のニーズがどこにあるかの感度は高めておかないといけないと思います。

★Clarity in 2020
https://science.sciencemag.org/content/367/6473/5.full

 scienceの編集方針。

★Those We Lost in 2019
https://www.the-scientist.com/news-opinion/those-we-lost-in-2019-66853

 日本にもゆかりが深いシドニー・ブレンナー博士などが取り上げられています。

★From service to science: NIH shifts focus of mentoring network aimed at boosting grantee diversity
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/service-science-nih-shifts-focus-mentoring-network-aimed-boosting-grantee-diversity

 メンタリングに関しては、日本の取り組みはまだまだだと感じたりしています。

EPA science advisers slammed the agency for ignoring science. Here is what they said
https://www.sciencemag.org/news/2020/01/epa-science-advisers-slammed-agency-ignoring-science-here-what-they-said

EPA Science Board Criticizes Proposed Regulatory Rollbacks
https://www.the-scientist.com/news-opinion/epa-science-board-criticizes-proposed-regulatory-rollbacks-66907

 EPAに対する批判は止まりません。

★「韓国を輝かせた人物」に選ばれた若き科学者、薄給の研究所辞め自営業に転職
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2020010380039

 日本より厳しい状況です。

★Australia fires: How do we know how many animals have died?
https://www.bbc.co.uk/news/50986293

豪森林火災、コアラ保全のカギ握る個体群が半減 野生動物5億匹が焼死か
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200106-00000024-jij_afp-int

 オーストラリアの山火事。深刻化しています。

★I wish I’d taken my mental health more seriously in grad school
https://www.sciencemag.org/careers/2020/01/i-wish-i-d-taken-my-mental-health-more-seriously-grad-school

Strange dreams
https://science.sciencemag.org/content/367/6473/114.full

 院生とメンタルの問題。近年懸念する声が高まっています。

★科学技術立国 人を育てる政策を掲げよ 成果偏重が「失速」を招いた
https://www.sankei.com/column/news/200106/clm2001060002-n1.html

★若い博士が広く活躍できる社会に
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54013110S0A100C2SHF000/

★産業構造の変化捉えた高等教育に
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54013070S0A100C2SHF000/

★次世代に持続可能な国を引き継ごう
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54002710R31C19A2SHF000/

 産経と日経は正月に科学技術に関する社説を載せています。特に日経は博士問題を大きく取り上げています。

★Asimov at 100
https://science.sciencemag.org/content/367/6473/20.full

 アイザックアシモフ氏生誕100年。

Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%A2%E3%83%95