科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

貧困ポスドク、生命科学クライシス、一帯一路

2019年4月30日~2019年5月7日

 10連休が明けました。多かれ少なかれ働いていた人は多かったかと思いますが(御多分に洩れず私もですが)、いずれにせよ、通常業務に復帰です。

 官公庁は閉じていて、ニュースは少なめです。

★博士号でも生活困難 非常勤から抜け出せない「貧困ポスドク」の実態
https://www.moneypost.jp/533527

 ポスドクの定義からすると、非常勤講師の方々はポスドクではないのですが、それはともかく、深刻な問題です。

 色々なところで指摘されていますが、非常勤講師の賃金が、他の大学などで職を持っている人たちの謝礼程度しかなく、専業非常勤講師という存在を考えていなかったこと、学部教育の基幹を非常勤講師に頼るという大学の知的衰退、そして新卒一括採用や年功序列といった日本の雇用システムなど様々な要因がこの問題を引き起こしています。

 非常勤講師問題は主に人文社会科学系の問題です。

 人文社会科学系の問題は、「平成」の前半、いやそれどころかオーバードクター問題が深刻化した35年前から指摘されていたことです。

 その頃はまだ、のちにロスジェネ、就職氷河期世代と重なる第二次ベビーブーム世代の教育需要増や好景気がありました。初等中等教育の教員や予備校の講師といった職があり、選ばなければなんとかやっていくということもできました。

 しかし、こうした職は非常勤化していき、先細っていきました。

人文諸学の再興(と、多少はそこで食っていけるはずの人々)のために
http://blog.talktank.net/2019/04/blog-post_21.html

 生命科学には、狭義のポスドク問題があり、他の分野に増して厳しい状況と言われています。そして、それも含めて、生命科学という学問分野自体に大きな問題があります。

★衝撃! ”生命科学クライシス-新薬開発の危ない現場”
https://honz.jp/articles/-/45180

生命科学クライシス リチャード・ハリス
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44129200U9A420C1MY7000/

 激しい競争の中、再現性のない、意味のない研究が行われているという問題です。

 カセイケン代表の榎木も、かつて「嘘と絶望の生命科学」(文春新書 2014年)という本を書いたことがありますが、ポスドク問題や研究不正も含めて、文字通り絶望してしまいそうな状況です。

 ポストや予算を得るための無意味な研究が、国の予算で行われているとしたら、とうてい社会からの信用は得られれないでしょう。

 ポスドク問題も2000年代にはすでに顕在化していました。

 しかし、問題の根本解決には至っていません。問題がどこにあるのかの認識は共有されつつあるように思いますが、道のりは簡単ではないようです。

★日本の科学技術、その復興に向けて 〜「基本問題小委員会」とりまとめ(1)
https://ameblo.jp/japanvisionforum/entry-12457857121.html

 自民党科学技術イノベーション戦略調査会「科学技術基本問題小委員会」(船田元委員長)のとりまとめ文書。

「委員会開催中は、基礎研究の重要性に対し懐疑的な議員から批判的発言や欠席が相次ぐなど、会の存続自体が危ぶまれる時期もありました」

 とのことで、政権与党内でも問題が共有されているわけではなさそうです。

日本の科学技術、その復興に向けて 〜「基本問題小委員会」とりまとめ(2)
https://ameblo.jp/japanvisionforum/entry-12457879490.html

★大学への交付金、膨らむ傾斜配分 財務省「論文費用はドイツの1.8倍」 国立大側は反論
https://www.asahi.com/articles/DA3S14000124.html

国立大研究力低下の背景 教員人件費4割で減少
鎌倉女子大学教授 山本清 外部資金獲得力に差/個別の特性考慮を
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44408020S9A500C1CK8000/

 各方面からの指摘がありますが、人への投資がおろそかになっていることが諸問題の根幹にあります。予算総額で議論することは問題解決に繋がりません。人への投資が疎かになっているという問題の共有はまだまだのようです。

 結局のところ、非常勤問題やポスドク問題も含めた諸問題が解決しないのは、解決することで損をしてしまう人たちがいるからです。

 メンバーシップ型、ジョブ型の議論にも通じますが、一度メンバーになった人たちは、メンバーであることで得られる特権をそう簡単に手放しません。非常勤講師やポスドクに私の常勤職をあげますから使ってください、などという人はほとんどいませんし、雇い止めができる非常勤講師やポスドクを便利に使ってきた人や組織に、問題を改善しようという意欲はわきません。

 それは私とてそうです。たしかに大学の常勤講師の職を捨てましたが、医師(病理医)であることは捨てていないので、特権を享受していると言われたらその通りです。もちろんジョブ型の仕事である医師ですから、15年やってきた病理診断という武器を手に生き抜いていこうとは思っています。しかし、それは医師という資格を得なければできないので、医師というメンバーのなかのジョブ型という感じです。

 メンバーになった人は、メンバーになるまでの競争を勝ち抜いたという意識はあるでしょう。非常勤講師やポスドクオーバードクターを経て常勤になった人はとくにそう思うでしょう。せっかく苦労して手に入れた地位を手放したくないのは当然ではあります。

 若手研究者のことに言及するのは、ノーベル賞を受賞し、絶対的に地位が脅かされない研究者たちばかりであって、「並」の常勤研究者たちから、非常勤講師問題やポスドク問題に関する発言をあまり聞かないのは当然と言えるでしょう。

 しかし、競争に参加する資格を得るためには、生まれた家庭環境を含めたさまざまな偶然が作用します。決して完全にフェアな競争ではありません。

平均年収186万円、日本に930万人いる「アンダークラス」とは
https://www.moneypost.jp/531369

 人への投資や研究費の投資が特定のメンバー(常勤のシニア研究者)への投資になってしまえば、メンバーになれなかった非常勤講師、ポスドクにとっては格差が拡大してしまいます。

 メンバーを増やせば解決する部分もあると思いますが、メンバーを無限に増やせるわけではありません。

 結局のところ、さまざまな問題は世代交代を待つしかないのかもしれませんが、それでは遅すぎますし、世代だけでなく同世代のなかにも断裂があるので、なかなか問題が解決しません。

 問題解決が財政破綻という「ハードランディング」でしかできないとしたら、それは悲しいことですが…。

 大学や学術の体制が変わらないのなら、その「外」に出て行くしかありません。

★How China is redrawing the map of world science
https://www.nature.com/immersive/d41586-019-01124-7/index.html

 Nature誌は中国の「一帯一路」政策について特集しています。

 先週記事をピックアップしましたが、中国は日本を含めた世界から人材を集めていますし、さまざまな国の若手研究者を中国で教育し、国に送り返すことで、親中国の意識を持つ研究者を生み出そうとしています。

★幻の科学技術立国:第4部 世界の潮流/4 トップの頭脳、中国へ招致 「千人計画」の実態 任期なく桁違い年俸提示
https://mainichi.jp/articles/20190425/ddm/016/040/025000c

 これは1960年代のアメリカやそれ以前のヨーロッパが行ってきたことで、2000年代にはこうした人材の教育を積極的に行う国がなかったので、基本的に歓迎すべきというのがNatureのスタンスのようです。

 もちろん関係国を債務漬けにするという問題が生じており、手放しで喜べない状況ではありますが、科学の中心がアメリカから中国に移行しようとする流れのなかで、その流れに乗るという戦略はあると思います。

★中国の科学論文シェア急上昇 米国と「2強」に 日本は急落、3位が2領域だけ
https://mainichi.jp/articles/20190505/k00/00m/040/238000c

 「外」は国の外だけではありません。アカデミアの外にも活路はあるはずです。

 無駄で無意味な研究をするアカデミアの生命科学に背を向け、真に関心のあることを在野で行うDIYバイオという方向もあります。バイオだけでなく、さまざまな領域で在野研究、市民科学を行う環境は整いつつあります。そこには競争も年功序列もありません。

 「中」からはなかなか変わらなかった日本。明治維新や敗戦などのハードクラッシュが既得権益を壊しましたが、「外」に出るという「ソフト」な行動でも、変えられる部分はあると思います。

 財政破綻という「ガラガラポン」に備え(期待し?)つつ、「外」に出て新たな道を築いていく…。具体的行動が重要です。

★US science academy leaders approve plan to expel sexual harassers
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01397-y

エボラ出血熱の死者1000人超える、コンゴ民主共和国
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6322412

エボラ出血熱、死者1千人超す 現地は医療施設の襲撃も
https://www.asahi.com/articles/ASM544FGKM54UHBI00X.html

‘The world has never seen anything like this’: WHO chief on battling Ebola in a war zone
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01432-y

 コンゴ民主共和国では、エボラ出血熱などない、と叫ぶ武装勢力が医師などを殺害しているとのこと。感染拡大を防ぐことが困難になりつつあり、危機的な状況です。

★Japan responds: stem-cell therapy justified
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01364-7

 Nature誌が、日本の再生医療の臨床応用が拙速だと批判した件について、厚労省の医薬・生活衛生局 局長、宮本真司氏が反論を書いています。

★Trump’s science adviser on research ethics, immigration and presidential tweets
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01396-z

Analysis: U.S. science adviser has a vision for cutting research red tape, but details are scarce
https://www.sciencemag.org/news/2019/05/analysis-us-science-adviser-has-vision-cutting-research-red-tape-details-are-scarce

 トランプ政権の科学アドバイザー、Kelvin Droegemeier氏。

★Shake-up at NIH: Term limits for important positions would open new opportunities for women, minorities
https://www.sciencemag.org/news/2019/05/shakeup-nih-term-limits-important-positions-would-open-new-opportunities-women

NIH Imposes Term Limits for Lab Chiefs
https://www.the-scientist.com/news-opinion/nih-imposes-term-limits-for-lab-chiefs-65833

 NIHの研究室長の任期が12年に。これにより白人男性に多く割り当てられていたポジションを女性やマイノリティに解放するとのこと。

★Why are Canada’s scientists getting political?
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01244-0

★Thousands of scientists in Argentina strike to protest budget cuts
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/thousands-scientists-argentina-strike-protest-budget-cuts

Austerity cuts threaten future of science in Argentina
https://science.sciencemag.org/content/364/6439/419.full

 アルゼンチンの研究費カットが大きな問題に。

★Breastfeeding mums are finally getting spaces to pump at some US institutions
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01335-y

 アメリカの大学の94%が授乳室を設置しているという調査。しかし、回答率は低く
改善の余地があるとのこと。

30年で変わったこと

2019年4月23日~2019年4月30日

 「平成」最後のメールマガジンを発行しました。

 歴史の流れは区切りなく、平成時代で区切ることはあまり意味がありませんが、30年前、1989年から今をみると、いろいろ思うところがあります。今週のニュースから30年を振り返ってみます。

 30年前にはポスドク問題はなく、オーバードクター問題がありました。オーバードクターに職を、ということでポスドクが増え始めたのがそのころで、その後ポスドク一万人計画などがあり、今に至ります。

 研究不正で言えば、アメリカで研究公正局ができたのが1992年です。

 研究者が就職難に陥り、任期制が定着。科学技術基本法、基本計画、国立大学法人化などなど、大きな変化がありました。

 「平成」時代に顕在化した諸問題は、「令和」に持ち越しとなりました。

★研究開発の俯瞰報告書 2019年
http://www.jst.go.jp/crds/report/report02/index.html

★日本なぜ低迷? 大学ランキングの「三つの誤解」
「国際化が重要」「論文の数を増やせ」「アジアは不利」は、みんな間違い
https://webronza.asahi.com/science/articles/2019042000002.html

世界大学ランキング、評価法に疑問 活用は半数
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO44301300W9A420C1CK8000

私立大学の国際的なプレゼンス向上のためにー世界大学ランキングの活用と課題
https://www.shidairen.or.jp/files/user/h30sekaiprohokokusoto.pdf

 世界ランキングが意識されたのも「平成」ですが、ちょっと行き過ぎたようです。

★幻の科学技術立国:第4部 世界の潮流/4 トップの頭脳、中国へ招致 「千人計画」の実態 任期なく桁違い年俸提示
https://mainichi.jp/articles/20190425/ddm/016/040/025000c

 人材の流出も深刻化しています。そりゃそうでしょう。人へ投資してこなかったのですから。

★「日本に捨てられ、韓国に救われた」就職氷河期世代の私――ある団塊ジュニアの見た平成
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190429-00011804-bunshun-life

★研究力の回復「かぎは人への投資」 専門家に聞く
https://www.asahi.com/articles/ASM4L7F3XM4LPLBJ006.html

ネイチャー編集長が語る 日本の科学の未来
https://www.nhk.or.jp/d-navi/sci_cul/2019/04/story/special_190409/

若い科学者、日本の生命線
英ネイチャー誌編集長 マグダレーナ・スキッパー
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44135910U9A420C1KE8000/

 厳しい状況に陥った世代の今後はどうなるのでしょう。ようやく人への投資こそ鍵と言われていますが…。

 なんとかしなければという認識は政府にあるようです。

★研究力向上改革2019
http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1416069.htm

若手研究者の任期、原則5年以上に 文科省が改革プラン
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO44071120T20C19A4CR0000

 もちろん政府だけの問題ではありません。

 今起こっている問題は、「平成」だけの問題でもなく、その前の時代から続いているのです。

 へんな回顧で終わるのではなく、今現在、そして未来の問題として、当事者意識をもち、自分ごととして関わっていかなければなりません。

★総合科学技術・イノベーション会議 生命倫理専門調査会『「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」見直し等に係るタスク・フォース報告書(第二次報告)』に対する意見の募集(パブリックコメント)について
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20190425hitohai_kobo.html

★大学の保管するアイヌ遺骨等の出土地域への返還手続について
http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/ainu/1415588.htm

京都大学が盗掘した琉球人骨を返さぬワケ
政府や旧帝大関係者も絶対認めない
https://president.jp/articles/-/28508

★学位・履修履歴、研究データをテーマに、大学・研究機関におけるブロックチェーン技術の適用可能性に関する調査報告を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2019/04/20190423002/20190423002.html

科学ジャーナリスト賞2019
https://jastj.jp/jastj_prize/

★粗悪学術誌の論文 4割が別論文の参考文献に 研究ゆがむ可能性
https://mainichi.jp/articles/20190429/k00/00m/040/119000c

 科学ジャーナリスト賞2019に粗悪科学誌問題を追った毎日新聞の鳥井記者が。

★科学の「再現性の危機」に、DARPA人工知能で対抗する
https://wired.jp/2019/04/27/darpa-wants-to-solve-sciences-replication-crisis-with-robots/

★SciLine expands scientific resources offered to U.S. journalists
https://science.sciencemag.org/content/364/6438/344.full

★Evaluation of Pharmaceutical Company Payments and Conflict of Interest Disclosures Among Oncology Clinical Practice Guideline Authors in Japan
Hiroaki Saito, MD; Akihiko Ozaki, MD; Toyoaki Sawano, MD; Yuki Shimada, MD; Tetsuya Tanimoto, MD
JAMA Netw Open. 2019; 2(4):e192834. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2019.2834
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2731682

 マネーと医師という問題も、今後に残された課題です。30年前はもっと乱れてはいましたが、現状もより巧妙化し続いています。

★Sexual harassment is pervasive in US physics programmes
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01303-6

Three in four female physics undergrads report sexual harassment
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/three-four-female-physics-undergrads-report-sexual-harassment

After ousters, MD Anderson officials try to calm fears of racial profiling
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/after-firings-md-anderson-officials-try-calm-fears-racial-profiling

Three Researchers Ousted from MD Anderson
https://www.the-scientist.com/news-opinion/three-researchers-ousted-from-md-anderson-65772

 ハラスメントの当事者が声を上げてきた30年。日本はまだまだ遅れています。

★Bribes, lies, and Photoshop: What science should learn from the college admissions scandal
https://www.sciencemag.org/careers/2019/04/bribes-lies-and-photoshop-what-science-should-learn-college-admissions-scandal

★米名門大学で学生がはしか感染 学生ら100人を一時隔離
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190426/k10011897351000.html

Two Los Angeles Universities Establish Measles Quarantine
https://www.the-scientist.com/news-opinion/two-los-angeles-universities-establish-measles-quarantine-65806

US Measles Cases Break Record Since Returning to Country
https://www.the-scientist.com/news-opinion/us-measles-cases-break-record-since-returning-to-country-65800

 麻疹の拡大含めて感染症の問題は、この30年でより深刻化しました。

★「医療分野におけるデータ利活用促進に関する意見」(平成31年4月24日) (PDF形式:246KB)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/opinion2/310424iryou.pdf

規制改革推進会議 第12回医療・介護ワーキング・グループ 議事次第
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/iryou/20190424/agenda.html

医療分野におけるデータ利活用促進に関する意見について

★旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の成立を受けての内閣総理大臣の談話
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/discourse/20190424danwa.html

優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の成立を受けての内閣総理大臣の談話及び厚生労働大臣の談話について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04416.html

強制不妊救済法が成立 320万円、6月にも支給
https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019042402000264.html

★TED offers funding path, not just stage, for ‘audacious’ ideas
https://science.sciencemag.org/content/364/6438/317.full

Audacious’ science ideas win huge funding boosts after selection by TED group
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/audacious-science-ideas-win-huge-funding-boosts-after-selection-ted-group

★Report: NIH bars physicians who criticized sepsis trial from speaking with investigators
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/nih-bars-physicians-who-criticized-sepsis-trial-speaking-investigators-wall-street

★USDA Scientists Must Say Published Research Is “Preliminary”
https://www.the-scientist.com/news-opinion/usda-scientists-must-say-published-research-is-preliminary-65771

★Why are Canada’s scientists getting political?
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01244-0

★More than 8,000 Have Joined “Request a Woman Scientist” Database
https://www.the-scientist.com/news-opinion/more-than-8000-have-joined-request-a-woman-scientist-database-65791

★グーグル、日本の1000万人に「デジタルスキル」を指南—習得プログラムを無償提供へ
https://japan.cnet.com/article/35136143/

 30年前にはGAFAのなかであったのはApple社だけでした。

★日本工学アカデミーが2019年緊急提言を公表
政府から独立した政策提言機関として、立法府への働きかけも試行
https://webronza.asahi.com/science/articles/2019042300004.html

緊急提言-我が国の工学と科学技術力の凋落を食い止めるために-
https://www.eaj.or.jp/app-def/S-102/eaj/wp-content/uploads/2019/04/Teigen-20190408_wagakuninokogaku.pdf

 30年前は工学部出身者が大学院に進学せず商社に入るような時代でした。ハイテクの日本企業も今や昔…。

通年採用で何が変わるか、査読を評価せよ、AIと宇宙戦争

★ジョブ型、通年採用で何が変わるか
2019年4月16日~2019年4月22日

 日本の雇用にとって大きな決定です。

★採用と大学教育の未来に関する産学協議会
中間とりまとめと共同提言
http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/037.html

Society 5.0時代の雇用システムや採用のあり方
-ジョブ型を含む複線的なシステムへの移行-
新卒一括採用(メンバーシップ型採用)に加え、ジョブ型雇用を念頭においた採用も含め、 複線的で多様な採用形態に、秩序をもって移行すべき。
学生の学修経験時間(*)の確保を前提に、学生の主体的な選択や学修意欲の向上に資する就職・採用方法と、質の高い大学教育を企業と大学の共通理解によって実現していく。
企業は、ダイバーシティを意識して、外国人留学生や日本人海外留学経験者を積極的に採 用する方向。また、ジョブ型採用の割合が増大し、グローバルな企業活動が拡大する中で、 大学院生を積極的に採用する方向。
学修成果の評価:より高い専門性を重視する傾向となれば、卒業・学位取得に至る全体の成果を重視すべき。卒業要件の厳格化を徹底すべき。

学修時間のみでなく、留学等、多様な体験活

 以下報道です(日経新聞より)。

就活の脱「横並び」合意 経団連・大学、通年採用拡大
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44016780R20C19A4MM0000/

「勉強する学生が欲しい」経団連、通年採用の本音
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43933180Z10C19A4EE8000/

新卒の通年採用、企業に歓迎の声「多様な人材確保できる」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43935710Z10C19A4EAF000/

通年採用拡大、新卒一括のみに限界 就活ルール改革
https://www.asahi.com/articles/ASM4Q4QJ7M4QULFA01K.html

通年採用「実施・検討」が8割 多様な人材確保に期待
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44062770S9A420C1MM8000/

経団連、通年採用へ移行 柔軟な枠組みで大学と合意
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43901930Y9A410C1MM8000/

 先週も書きましたが、40歳人文社会科学系博士が就職できない、ロスジェネ、就職氷河期世代が生まれたのは、新卒一括採用と年功序列、終身雇用がセットになった
メンバーシップ型採用が原因の一つです。

40代研究者の死に涙した心優しい人たちへ
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20190418-00122843/

 だから、40代は採用するどころか、コストカットのために首切りということになってしまいます。

★早期退職しない限り面接が続き…「45歳以上クビ切り」横行中
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190422-00010000-flash-peo

 もちろん、戦後の高度成長期にメンバーシップ型採用が果たした役割は否定できません。私の亡き父親もあるメーカーに50代まで勤めていて、そのおかけで私たち家族は安定を得られ、それこそ保養所のようなところに行ったりと、レジャーまで面倒みられていたわけです。

 ただ、その代わりに深夜まで仕事をするなど滅私奉公的な働き方が要求され、60代で亡くなりました…。

 ご職業は?と聞かれて○○社に勤めていますと答えたりとか、何ができますか
聞かれて「部長が出来ます」と答えたりという笑い話?は、メンバーシップ型がどういうことかを如実に示しています。

 しかし、景気後退期では、新卒でメンバーになれなかった場合、ずっとメンバーになれず非正規雇用ということが起きましたし、大学院生やポスドクのような存在は規格外とされ、ポスドク問題が諸外国より深刻化することになります。

 研究の世界はまさにジョブ型で、たとえば化学の教員募集に言語学の人は応募できません。

 医師も同じで、眼科医募集のところに皮膚科医が応募しても採用されないわけです。

 ポスドク問題は、ジョブ型のアカデミアとメンバーシップ型の企業との間の雇用の仕組みの違いによって深刻化したと言えます。

 高度成長期ならメンバーの間で仕事を割り振ればやっていけましたが、長く不況が続き、また世の中が目まぐるしく変化するようになりました。

 企業内のメンバーでは対応仕切れない状況が増えてきましたが、外から新しいメンバーをなかなか雇えず、変化に対応仕切れなくなったというのが、今回の経団連の決定に繋がったのでしょう。

 私はこの決定を歓迎します。

 もちろん、細部を見れば問題も多々あるでしょう。45歳の人文社会科学系の非常勤講師の人達がすぐに救われるなどとは思えず、さらなる取り組みが必要でしょう。

 しかし、研究歴のあるような人たちにとっては、自分の専門領域をやや広く見つめ直せば機会が広がります。

 多様な人材が多彩な活躍の場を見つけられるように、この件についてはウォッチを続けていきたいと思います。

★AI兵器、どう規制するか 国際枠組み内で漸進的に
岩本誠吾 京都産業大学副学長
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO43894170Y9A410C1KE8000/

AI兵器、人間の英知試す なし崩し配備の懸念
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43815170W9A410C1EA1000/

宇宙戦争の危険 アジアで現実味 ブラーマ・チェラニー氏
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO43963430Z10C19A4TCR000/

 AI兵器が現実味を帯びてきて、宇宙での衛星破壊実験などから、宇宙戦争もSFではなくなりつつあります。科学技術の軍事応用がなし崩し的に進んでいくのか、こうした状況に科学コミュニティがどう対処するのか、考え続けていく必要があります。

安倍総理は第43回総合科学技術・イノベーション会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201904/18kagaku.html

総合科学技術・イノベーション会議(第43回)議事次第
https://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui043/haihu-043.html

議事

1.AI戦略(人材育成関連)について
2.次期科学技術基本計画について

 久々に開催された総合科学技術・イノベーション会議。やはりAIが議題になっています。

2025年までに全学生(50万人/年規模)が「数理・データサイエンス・AI」の 基礎を習得可能となる大学教育へ改革
AI×専門分野のダブルメジャーの促進等によるAIを応用する基礎力の習得

 以下報道。

AI人材育成、25年までに整備 大学入試や教育を改革
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019041701002283.html

AI重視の大学に交付金
政府が方針
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43901960Y9A410C1PP8000/

 先週もピックアップしましたが、実現可能性を危惧する声も出ています。

 また、法曹人材やポスドクなどの行き場のない人材を増やすことのないようにしないといけません。

安倍総理は第39回国家戦略特別区域諮問会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201904/17senryaku_tokku.html

第39回 国家戦略特別区域諮問会議 配布資料
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai39/shiryou.html

 スーパーシティが議論されていますが…。

首相要請で規制を緩和 スーパーシティ法案を了承
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43851350X10C19A4PP8000/

スーパーシティ骨抜き 規制特例を閣僚が判断
https://mainichi.jp/articles/20190417/k00/00m/010/250000c

中央教育審議会(第123回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/1415607.htm

議題

学校における働き方改革の取組状況について
新しい時代の初等中等教育の在り方について(諮問)
新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(中間まとめ)について

教育制度、多面的見直し 文科相中教審諮問
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43839930X10C19A4CR8000/

 ここでもSociety5.0がキーワードに。

 初等教育では「教科担任制の導入や先端技術の活用など多様な指導形態・方法を踏まえた, 年間授業時数や標準的な授業時間等の在り方を含む教育課程の在り方」、高校では「STEAM 教育の推進」が諮問されました。

 また、

学校以外で勤務してきた経歴や専門的な知識・技能を有する者など,多様な背景を持つ人材によって教職員組織を構成できるようにするための免許制度 や教員の養成・採用・研修・勤務環境の在り方

 も諮問されており、博士号を取得したような人材にも道が広がる可能性があります。

★Society 5.0の実現に向けた「戦略」と「創発」への転換
~政府研究開発投資に関する提言~
http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/034.html

 経団連。「課題や短期目標を設定せず、多様性と融合によって 破壊的イノベーションの創出を目指す創発的研究」について触れています。

★花山宇宙文化財団設立についての記者発表のご案内
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/topics/190417/190417_annai.pdf

一般財団法人花山宇宙文化財
http://kwasan.kyoto

「アマ天文家の聖地」存続へ…現役最古の望遠鏡
https://www.yomiuri.co.jp/science/20190418-OYT1T50105/

存続危機の京都・花山天文台、継続決まる 民間1億円の支援
https://www.sankei.com/life/news/190417/lif1904170035-n1.html

京大花山天文台、運営継続 支援の財団設立
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43853600X10C19A4AC8000/

 存続は良かったと思います。こうした施設の運営のあり方は厳しさを増しており、ノウハウを蓄積し、他の施設にも参考になるデータをご提供いただけたらと思います。

★UNESCO、オープンアクセス学術ジャーナルプラットフォームの世界的アライアンス「Gloall」を発足
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=11233

★就活中のセクハラ被害相次ぐ 企業・大学、対策急ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43993100Q9A420C1CC0000/

 学生たちが被害にあっているなか、大学も動き出しています。

★Universities Crack Down on Love in the Lab
https://www.the-scientist.com/news-opinion/universities-crack-down-on-love-in-the-lab-65766

 プリンストン大学。教員と学生の恋愛は、権力の差があり、自由恋愛にはなりません。

★#MeToo controversy erupts at archaeology meeting
https://science.sciencemag.org/content/364/6437/219

Archaeological society tries to stem continuing controversy over #MeToo scandal
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/archaeological-society-tries-stem-continuing-controversy-over-metoo-scandal

Archaeologists Ask Society for Harassment Policy Change
https://www.the-scientist.com/news-opinion/archaeologists-ask-society-for-harassment-policy-change-65745

 セクハラで所属大学に来ることを禁止された研究者が学会の年次大会に参加した
大きな問題になっています。

★我が国の医薬品製造業の研究活動

  • 科学技術週間(4月15日~4月21日)にちなんで- (科学技術研究調査の結果から)

http://www.stat.go.jp/data/kagaku/kekka/topics/topics118.html

 科学技術週間にちなんで毎年発表される統計。

★長崎大、喫煙者不採用へ 「学生らの健康守る」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43964980Z10C19A4ACYZ00/

完全禁煙に踏み切れぬ大学の苦悩 近隣の目と法の抜け道
https://www.asahi.com/articles/ASM4N5KG3M43ULBJ00C.html

 長崎大の決定は大きな話題になっています。

★Exclusive: Major U.S. cancer center ousts ‘Asian’ researchers after NIH flags their foreign ties
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/exclusive-major-us-cancer-center-ousts-asian-researchers-after-nih-flags-their-foreign

 MDアンダーソン。五人中三人は中国人とのこと。

Brexit: EU conservation suffers too
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01204-8

★英国の合意なきEU離脱に備えて、教育・研究で準備しておくこと
https://crds.jst.go.jp/dw/20190418/2019041818900/

 ひとまず延期されているBrexitEUサイドにももちろん影響があります。

平成31年東京大学学部入学式 祝辞
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html

上野千鶴子先生の東大入学式祝辞にアジテートされて
https://nosumi.exblog.jp/27552330/

上野千鶴子先生の東大入学式祝辞にアジテートされて:その2
https://nosumi.exblog.jp/27561559/

上野千鶴子氏の「報われない社会」スピーチで東大は変われるか?
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2019/04/post-1078.php

 上野千鶴子名誉教授の東大でのスピーチは賛否両論を呼びました。

 批判の多くは「内容には賛同するが、祝辞で言うべきではない」というものでしたが、これは批判を黙らせる「トーンポリシング(話し方を取り締まる)」ではないかという指摘があります。

 トーンポリシングについては以下。

「冷静に」なんてなりません!
https://note.mu/erinadinfinitum/n/nbe3646e6835b

★育児は科学界でのキャリアにどのような影響を及ぼすか
https://www.editage.jp/insights/a-new-study-highlights-the-impact-of-parenthood-on-a-career-in-science

 いまだ子供を持つのはやめろなどということをいう研究者もいますが、子供がいても研究できる環境を作りましょう!

★NatureおよびNature関連誌で約3年前から行っている、査読者名公表の試みを通して、多くの科学者が査読者の貢献をもっと認めるべきだと考えていることが分かった。
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01162-1

 査読の貢献をもっと認めるべきという声があがっています。日本でも。

査読歴も研究者評価の対象に
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03308_02

生きろ博士!

2019年4月9日~2019年4月15日

 先週の朝日新聞の記事は、研究者の方々を中心に多くの方々に衝撃を与えました。

★文系の博士課程「進むと破滅」 ある女性研究者の自死
https://www.asahi.com/articles/ASM461CLKM45ULBJ01M.html
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190410-00000009-asahi-soci

「家族と安定がほしい」心を病み、女性研究者は力尽きた
https://www.asahi.com/articles/ASM461C8QM3YULBJ016.html

 これを受けた記事も書かれています。

高学歴ワーキングプア女性を自死から救えなかった社会保障制度の限界
https://diamond.jp/articles/-/199722

「役に立たない学問」を学んでしまった人文系“ワープア博士”を救うには……?
https://bunshun.jp/articles/-/11484
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190415-00011484-bunshun-soci

 実はカセイケン代表榎木は、この件で事前に取材を受けて、朝日新聞デジタルに寄稿しました。

「博士漂流」問題、職に対して人募集の仕組みを 識者
https://www.asahi.com/articles/ASM454CDBM45PLBJ002.html

 有料記事のため購読者以外読めませんが、要点はかつてYahoo!ニュース個人に書いた記事に近いです。

九大「オーバードクター」の死にみる「夢のソフトランディング」の重要性
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20180917-00097118/

 以下思ったことを書きます。

 亡くなった西村さんの心のうちはもちろん分からないわけで、望んだ職を得られず苦しまれたことが死にどれだけ影響を受けているのかは分かりません。

 しかし、優れた成果をあげた優秀な研究者が苦境に陥ってしまったのは事実であり、そこは正面から受け止めないといけないと思います。

 上記Yahoo!ニュース個人の記事に加えるなら、以下を強調したいと思います。

 研究職をすでに得ている人たちが、「職は選ばなければ、こだわらなければある」などということはどれだけ残酷か、ということです。研究職という、ある種こだわり尽くさなければ得られない職業になれない悔しさ、周囲の期待に応えられない、自分の希望通りにいかない苦しさは、当事者にとっては生死を決めてしまうくらい苦しいものです。

「それに、自立相談支援制度での相談支援事業は、低学歴で就労経験が少なく就労意欲も低い方々を基本的な対象としている感じがあります。西村さんが窓口を訪れたとすると、『高学歴なのだから、選ばなければ仕事はあるでしょう?』『ハローワークに繋ぎます』という対応を受けたかもしれません」(仲野さん)

 それは、「研究者として生きるな」という宣告だ。到底、受け入れられないものだっただろう。

みわよしこさん記事)
https://diamond.jp/articles/-/199722?page=5

 また、自らは関係ない「高み」にいて、同情や無責任な言葉を投げかけるもの残酷です。

 「起業すればいいんだよ」という人もいます。

起業家に経験伝え資金も出す 創業請負人、丸氏の人脈
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43478610Y9A400C1X11000/

 リバネスの丸さんが言うなら説得力ありますが、起業しろという人の多くは起業経験はありません。

 また、研究職にせよ、他の分野に進んだにせよ、成功事例だけ取り上げるのも、無責任といわざるを得ません。

安倍総理は平成31年第5回経済財政諮問会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201904/10keizaishimon.html

平成31年第5回経済財政諮問会議
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019/0410/agenda.html

議事

(1) 経済・財政一体改革(社会保障1)
(2) ジョブ型雇用時代の人的資本投資に向けて
(3) 英国のEU離脱の動向について

資料2-1 就職氷河期世代の人生再設計に向けて(有識者議員提出資料)(PDF形式:232KB)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019/0410/shiryo_02-1.pdf

資料2-2 就職氷河期世代の人生再設計に向けて(参考資料)(有識者議員提出資料)(PDF形式:282KB)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019/0410/shiryo_02-2.pdf

 報道
ひきこもり多い氷河期世代…「生活保護入り」阻止へ早期対応
https://www.sankei.com/economy/news/190411/ecn1904110004-n1.html

 氷河期世代は名称変更となるようですが、この世代が40代を迎えつつある今、今さらという声が出ています。

就職氷河期世代が「人生再設計第一世代」に名称変更、SNSでは「言葉遊びか!?」の声も
https://abematimes.com/posts/6068042

「もう、諦めるしかない」 中高年化する就職氷河期世代を追い込む“負の連鎖”
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1904/12/news026.html

遅きに失した「就職氷河期世代への『早期対応』」
https://news.yahoo.co.jp/byline/takashikiso/20190412-00122096/

 九大の方も、今回の朝日の記事の西村さんも、この世代の方々です。

 負の連鎖に巻き込まれ、スキルを得られなかった方々と、博士号を持っている人たちでは違った部分もありますが、共通の問題点があります。

 きらびやかな成功事例だけでなく、はたから見たら社会的に成功とは思えなくても、周囲の評価が低くても、泥をすすってでも生きてますよ、生き抜いていますよ!という人たちを評価し取り上げなければなりません。

 そしてもう一つ指摘しなければなりません。

 今までも会社員として、公務員として、さまざまな立場で研究する「市民科学者」(現在よく使われている市民科学とはちょっと違った意味ですが)、「独立研究者」の方々がいました。オープンアクセスが進めば、こうした形の研究者が増えるでしょう。

 でも、今までの「市民科学者」たちは、自分を受け入れてくれなかった大学やアカデミアに恨みを抱き、「見返してやる」というルサンチマン的思いを抱いて研究する人が多かったように思います。もちろん私の印象にしかすぎませんが。

 そういうネガティブな気持ちではなく、自然な、好奇心駆動で、楽しくてたまらないから研究するといった気持ちで研究する、アカデミアと社会の壁をやすやすと、軽々と超える人たちを増やしたいなと思います。

 私はそれを行動で示したいと思います。

 4月から僻地にある病院に病理医として勤めています。もちろん食うに困るという状況ではありませんので、それを行動と呼ぶのか、と言われるのも覚悟しています。

 しかし、大学から離れ、中央から離れて、地域で困難に直面しながらもなんとかやっている姿をお見せすることが、この状況を変えるための小さな小さな行動なのだと思っています。

★「師弟の絆」「自由闊達」 名大から5人のノーベル賞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43583540Q9A410C1CN8000/

★大沢文夫さん 大阪大・名古屋大名誉教授
放牧の研究室 弟子育成に定評
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43663580S9A410C1EAC000/

 名古屋大学が注目を集めています。その秘密は何か…。学べることも多いと思います。

★科学技術・学術政策研究所「科学技術の状況に係る総合的意識調査(Nistep定点調査2018)」報告書の公表について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/04/1415353.htm

★科学技術の状況に係る総合的意識調査(NISTEP定点調査2018)[NISTEP REPORT No.179, 180]の公表について
http://www.nistep.go.jp/archives/40453

研究力低下、教育に影響 国立大8割が懸念
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43709860T10C19A4CR0000/

日本の科学「基礎研究」の状況悪化 文科省調査
https://mainichi.jp/articles/20190412/k00/00m/040/140000c

 定点調査。そりゃそうだよなあという感じです。

ムーンショット型研究開発制度
募集期間を平成31年5月7日13:00まで延長
https://form.cao.go.jp/cstp/opinion-0384.html

 そのムーンショットがNature記事に。

Japan prepares ‘moonshot’ project to solve global problems
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01094-w

★「諸外国の教育統計」平成31(2019)年版
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/syogaikoku/1415074.htm

科学技術週間
http://stw.mext.go.jp/

第60回「科学技術週間」 全国各地で多彩なイベント
https://sci-news.co.jp/topics/2086/

★「一家に1枚 日本列島7億年」ポスターの刊行について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/04/1414445.htm

 4月15日から科学技術週間。いろいろなイベントが開かれます。まだまだ認知度が低いのが残念ですが…

★「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律の公布について」の一部改正について(通知)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1415017.htm

 働き方改革を受けて、通称研究開発力強化法も一部改正。これを機に、労働契約法の特例も周知。

★食品ロス量(平成28年度推計値)の公表について
http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/190412_40.html

★我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値(平成28年度)の公表について
https://www.env.go.jp/press/106665.html

★平成30年度未来のあるべき社会・ライフスタイルを創造する技術イノベーション事業の結果について
https://www.env.go.jp/press/106690.html

★「環境報告のための解説書~環境報告ガイドライン2018年版対応~」の公表について
https://www.env.go.jp/press/106687.html

★How to convince the media to report about your research
https://www.scidev.net/global/communication/script-practical-guide/how-to-convince-the-media-to-report-about-your-research.html

★Beliefs in aliens, Atlantis are on the rise
By Lizzie Wade
Science12 Apr 2019 : 110-111
Researchers take to Twitter, blogs to counter pseudoarchaeology's outlandish ideas.
https://science.sciencemag.org/content/364/6436/110

★Impact factors are still widely used in academic evaluations
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01151-4

 h-indexなども普及してきましたが、いまだインパクトファクターが広く使われているとのこと。

★Train students to navigate ethical swamps
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01046-4

オプジーボ「不公平感」が映す教訓
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43583700Q9A410C1EA2000/

本庶氏、小野薬との特許契約不服 がん治療薬で26億円受領せず
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019041001001791.html

ノーベル賞学者、特許対価で明暗 双方納得の交渉を
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43640170R10C19A4I00000/

 もめていますが、解決策があるでしょうか。

★Boston University fires geologist found to have harassed women in Antarctica
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/boston-university-fires-geologist-who-sexually-harassed-women-antarctica

 南極でのハラスメント。

★Top journals retract DNA-repair studies after misconduct probe
https://www.nature.com/articles/d41586-019-00406-4

Nature and Science Retractions Connected to Research Misconduct
https://www.the-scientist.com/news-opinion/nature-science-retractions-connected-to-research-misconduct-65735

Authors have papers in Nature and Science retracted on the same day
https://retractionwatch.com/2019/04/11/authors-have-papers-in-nature-and-science-retracted-on-the-same-day/

 NatureとScienceが同じ日に論部撤回。

★NY市、はしか予防接種を義務化 流行地区で緊急措置
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43555500Q9A410C1000000/

はしか撲滅のはずが…米国で大流行 NY、非常事態宣言
https://www.asahi.com/articles/ASM4C4HZ6M4CUBQU00B.html

世界のはしか感染者数が4倍に 1~3月、11万人超とWHO
https://mainichi.jp/articles/20190416/k00/00m/040/038000c

US Measles Cases Continue to Climb Toward Record High
https://www.the-scientist.com/news-opinion/us-measles-cases-continue-to-climb-toward-record-high-65717

麻疹「輸入」続出、10連休の海外感染をどう防ぐ-自治体が注意喚起、罹患歴確認や予防接種推奨も
https://www.cbnews.jp/news/entry/20190411164154

麻疹患者増、都内の医療機関などで集団発生が続出-患者対応の大学病院職員が発症したケースも
https://www.cbnews.jp/news/entry/20190410144755

 麻疹(はしか)の流行が拡大しています。ニューヨークでは矯正ワクチン接種。

★グラフデータベースKapWebも更新
全がん協加盟がん専門診療施設の診断治療症例について
5年生存率、10年生存率データ更新
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2019/0409/index.html

がん10年生存率56%に上昇 国立がん研究センター
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43507430Z00C19A4CR0000/

がん10年生存率、進行がんで改善大きく 抗がん剤効果か
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43533490Z00C19A4CR8000/

がん10年生存率は56.3%、国がん発表-前回よりも0.8ポイント上昇
https://www.cbnews.jp/news/entry/20190409191539

★人の受精卵、ゲノム編集の法規制を大筋了承
政府の作業部会
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43767990V10C19A4CR8000/

受精卵ゲノム編集に法規制 政府検討
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43660050S9A410C1CR0000/

ヒト受精卵改変、法規制へ ゲノム編集
https://www.sankei.com/life/news/190412/lif1904120019-n1.html

「ゲノム編集」の法規制提案へ 政府の生命倫理調査会
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019041501001497.html

★衝撃のAI人材25万人育成計画、裏に2つの「失策」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43377270V00C19A4000000/

 数学を重視してこなかったことが大きく響きそうです。

★US researchers alarmed as government cuts ties with elite science advisory group
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01185-8

Update: Legislator asks Pentagon to restore contract for storied Jason science advisory group
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/legislator-asks-pentagon-restore-contract-storied-jason-science-advisory-group

 長きにわたって技術的アドバイスをしてきたJASONパネル(国防およびその他の微妙な問題を含む技術的な課題について米国政府に助言する約40人の独立した専門家のグループ)が国防総省との関係を修了。

★Scientists decry USDA’s decision to end cat parasite research
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/scientists-decry-usdas-decision-end-cat-parasite-research

Termination of USDA’s Toxoplasmosis Lab Concerns Parasitologists
https://www.the-scientist.com/news-opinion/termination-of-usdas-toxoplasmosis-lab-concerns-parasitologists-65723

Closure of U.S. Toxoplasma lab draws ire
By Meredith Wadman
Science12 Apr 2019 : 109
Scientists say political pressure threatens research on cause of blindness and birth defects.
https://science.sciencemag.org/content/364/6436/109

 トキソプラズマ症を研究していた研究所が閉鎖。関係者が懸念。

★本年の受賞者  第39回(2019年)猿橋賞 
第39回 猿橋賞受賞者 梅津理恵 氏の研究業績要旨
「ハーフメタルをはじめとするホイスラー型機能性磁気材料の物性研究」
”Study on the physical properties of the Heusler-type
functional magnetic materials including the half-metal-type magnets”
http://www.saruhashi.net/newhp/thisyear.html

猿橋賞に梅津・東北大准教授…ハーフメタル研究
https://www.yomiuri.co.jp/science/20190415-OYT1T50097/

 おめでとうございます。

★Working mothers face a ‘wall’ of bias-but there are ways to push back
https://www.sciencemag.org/careers/2019/04/working-mothers-face-wall-bias-there-are-ways-push-back

★You’ve accomplished more than you think
https://www.sciencemag.org/careers/2019/04/you-ve-accomplished-more-you-think

原発事故、細る研究費…… 平成の科学、残された宿題は
https://www.asahi.com/articles/ASM3W7DZXM3WPLBJ00G.html

★5500万光年離れたブラックホールの影の撮影に成功 史上初の成果と日本の国立天文台など国際チーム
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/04/20190411_01.html

The first image of a black hole: A three minute guide
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01186-7

How scientists reacted to the first-ever image of a black hole
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01191-w

Black hole pictured for first time - in spectacular detail
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01155-0

 歴史的に大きな出来事なので、記事多数。ピックアップしませんでした。

 各紙の社説は「国際連携」を強調。

ブラックホール 国際連携で宇宙の謎に迫った
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20190415-OYT1T50156/

ブラックホール 国際協力がなし得た業
https://www.asahi.com/articles/DA3S13976433.html

ブラックホール初撮影 結実した科学の国際協力
https://mainichi.jp/articles/20190412/ddm/005/070/027000c

ブラックホール 国際貢献の継承と発展を
https://www.sankei.com/column/news/190414/clm1904140002-n1.html

天文学の宿題解いた国際連携
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43629100R10C19A4SHF000/

★訃報:海部宣男国立天文台
https://www.nao.ac.jp/notice/20190415-kaifu.html

天文学者海部宣男さん死去 すばる望遠鏡計画の責任者
https://www.asahi.com/articles/ASM4H44KKM4HULBJ008.htmlq

 ご冥福をお祈りいたします。