科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

日大問題とSTAP細胞問題

2018年5月22日〜2018年5月28日

 先週もご紹介したアンケート、しばらくあげておきます。

★Global Survey of Scientists
https://statisticalresearchcenter.aip.org/cgi-bin/global18.pl

★科学者向けグローバルアンケート
https://statisticalresearchcenter.aip.org/cgi-bin/global18.pl?id=&stage=5&sesid=&language=5

 日本大学アメリカンフットボールの問題、このメルマガではあまり触れてきませんでしたが、対応が後手に回り、大学のブランド力低下という問題になっています。

 この問題に関するニュースやウェブの反応には既視感がありました。

 そう、それはSTAP細胞の問題の際の報道です。

 事件が発生したときの理化学研究所の対応は、今回の日大と同じように「炎上」しました。

 この2つの組織の対応は、危機管理という点で問題があったのだと思います。

 しかし、それは理研、日大だけの問題なのでしょうか。同じような問題が発生したときに、同様の対応をしてしまう組織は少なくないのではないかと思います。

 あらゆる情報はオープンになり、隠せなくなっています。今まではこうしてきた、他もやってるじゃないか、という言い訳は通用しなくなっています。

 ルールが変わったことに気が付かない組織は、炎上し批判にさらされます。

 こうした状況に対処するには、隠さず迅速に対応し、誠実な謝罪をするしかないように思います。

 とはいえ、こうしたことは組織の上層部の意向が強く働くので、いち構成員としては組織の対応に苛立つでしょう。

 では、いち構成員として何ができるでしょうか。

 STAP細胞のケースでは、有志が声をあげました。日大のケースでも内部から声があがっているようです。

 当然リスクもあります。職を失う危険もあります。不安定な雇用が足かせになります。

 けれど、当事者が動かなければ物事は変わりません。

 研究者は科学に、真実に誠実である存在であり、組織に忠誠を尽くすだけの存在ではありません。もちろん組織人としての属性は消えませんが、最終的な拠り所は科学でしょう。

 自分をまげて組織に尽くすか、科学に尽くすか…究極の選択を迫られたとき、科学をとる存在でいてほしい。

 ウェブは炎上ももたらしますが、正直者、真実に誠実な者を評価します。日大のケースでも、正直に語った加害学生の態度は評価されています。

 組織に苦しみ、研究不正せざるを得ないまで追い込まれている研究者も、監督に言われて危険なタックルするまで追い込まれた学生も、理不尽な要求にノー言うことができ、言っても不利益にならない社会にしないといけません。

 他人事としてこうしたニュースを捉えるのではなく、自分の周りで起こったときどうするべきか、自分ごととしたいと、自戒を込めて思います。

★科学技術予算の使い道3割が研究外用途に
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30958560V20C18A5TJM000/

研究施設を新設した場合、接続する道路の建設などのインフラ整備の費用も科学技術予算に含まれている

 とのこと。

★首相トップの科学技術関連会議、集約で効率運営を
自民が提言
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30909200U8A520C1PP8000/

 まだ自民党のサイトには出ていませんでしたが、「イノベーション統合会議(議長・首相)」を新設するとのこと。

科研費制度運営の適正化を通じた公正・透明な研究活動の実現に向けて
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/041/houkoku/1405044.htm

文部科学省の組織再編(平成30年5月時点)
総合教育政策局の設置について(案)
http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1405395.htm

インテル国際学生科学技術フェア(Intel ISEF)参加生徒等の成績について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/05/1405080.htm

★将来構想部会(第9期〜)(第19回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/042/siryo/1405510.htm

我が国の高等教育に関する将来構想について

★高度専門職業人養成機能強化促進委託事業(報告書)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/084/gaiyou/1404467.htm

★大学院部会(第84回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/1404674.htm

 関連資料がまとまっています。

★国連生物多様性の10年「グリーンウェイブ2018」の取組の中間報告について
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/sin_riyou/180522.html

環境省レッドリスト2018の公表について
http://www.env.go.jp/press/105504.html

★宇宙政策委員
防衛省統合幕僚長の折木良一氏を任命
https://mainichi.jp/articles/20180528/k00/00m/010/099000c

★東京の大学、定員増禁止
一極集中是正で新法
https://this.kiji.is/372581211631813729

 規制によって定員を決めるのがよいことか、批判も多く聞かれました。

★私大「志願者数」競争待った 実数との開き、5倍以上も
https://www.asahi.com/articles/ASL5C647DL5CUTIL04M.html

★国立大交付金、成果で増減先端分野を底上げ
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO30879400T20C18A5EE8000

 競争的資金化する運営費交付金

★論文掲載効率トップに学習院
「小規模大」健闘の秘密
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO30576270W8A510C1EAC000

★北海道の3国立大が運営法人の統合検討
https://this.kiji.is/372227092928250977

北海道の国立3大学、法人統合検討 経営改革で
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30900370U8A520C1000000/

帯広畜産大など3国立大、運営法人の統合検討
http://www.yomiuri.co.jp/national/20180524-OYT1T50106.html

★静岡)静岡大と浜松医科大、法人統合検討 3年後めど
http://www.asahi.com/articles/ASL5T31HCL5TUTPB002.html

★名古屋大・岐阜大の統合 教職員任免は新機構が担う方針
https://www.asahi.com/articles/ASL5P6595L5POIPE022.html

 国立大学の経営統合の動きが加速しています。

京都大学出身弁護士有志のアピール
https://sites.google.com/view/tatekan-yoshidaryo/lawyers-appeal

 京都大学のタテカン問題。

★オウム死刑囚が執筆した論文をレビューする
http://www.wynned.com/entry/aum-nakagawa-paper

 あらためて、オウム真理教事件に研究者が多く関わったことを思い起こさせます…

★‘It’s a toxic place.’ How the online world of white nationalists distorts population genetics
http://www.sciencemag.org/news/2018/05/it-s-toxic-place-how-online-world-white-nationalists-distorts-population-genetics

★Another Retraction for Discredited Researcher
https://mobile.the-scientist.com/article/54674/another-retraction-for-discredited-researcher

★輸血:感染、対策後手 献血にウイルス混入 ジビエブーム、リスクに
https://mainichi.jp/articles/20180527/ddm/016/040/033000c

そのジビエ違法かも 処理怠った狩猟肉、肝炎の恐れも
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31033600Y8A520C1CC0000/

 ジビエ感染症は注意喚起が必要です。

★トランプ氏任命のNASA新長官、気候変動認める
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180524-00000043-jij_afp-sctch

★Arizona Moves to Alter Wording About Evolution in Education
https://mobile.the-scientist.com/article/54659/arizona-moves-to-alter-wording-about-evolution-in-education

 気になる事態…

★2016年の米国での博士号授与数が史上最高レベルに
http://crds.jst.go.jp/dw/20180522/2018052216016/

★Last-author spot tough to nail for scientists who are not white or male
http://blogs.nature.com/naturejobs/2018/05/23/last-author-spot-tough-to-nail-for-scientists-who-are-not-white-or-male/

★グーグルが狙う次の覇権は「医療」、AIで画像診断に革命
http://diamond.jp/articles/-/170503

★幻の科学技術立国:第1部 「改革」の果てに/番外編 識者インタビュー 山極・京都大学長/上山・元政策研究大学院大副学長
https://mainichi.jp/articles/20180524/ddm/016/040/011000c

異見交論46 「国立大学よ、時代感覚を磨け」小林喜光(経済同友会代表幹事)
http://kyoiku.yomiuri.co.jp/torikumi/jitsuryoku/iken/contents/46.php

 小林氏の意見

国立大学は「時代に対する感性」があまりになさすぎる。たとえば生態学とか生物学、文化人類学とかゴリラとか。否定はしないけれど、比率の問題だ。2割ぐらいはベーシックもいいけれど、国家価値を生み出すための学問の府であるということを考えるべきだ。

 が炎上気味です。京大の山極総長をディスっている…