科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

科学技術白書公表される

 本日平成23年度科学技術白書閣議決定され、はやくも公開されました。

 平成23年版 科学技術白書 本文(PDF版)

 第1部 社会とともに創り進める科学技術に東日本大震災について (PDF:760KB)という文章が加えられています。

今後も、本震災の復旧・復興の過程で生じる様々な課題に対応するために、行政、学協会、研究者、そして一般の国民の間で様々な科学技術に関わる活動を行い、議論を深め、科学技術及び科学技術政策に携わる者が果たす役割について見直しを進めていかなければならない。
政府においては、原子力を含むエネルギー政策の見直しはもとより、科学技術政策の見直しについても検討を進めていかなければならない。今回の問題については、理学、工学、農学、医学、人文・社会科学等といった既存の専門分野にとらわれない俯瞰的な視点をもって、研究者・技術者、政策担当者がそれぞれの立場で、真摯しな姿勢で向き合い検証し、その上で、一丸となって、復興・再生、そして新たな成長に向けた取組に貢献していくことが求められている。総合科学技術会議でも、このような認識の下、第4期基本計画の再検討を行っているところである。

事故に関するコミュニケーションでは、透明性、正確性、迅速性が重要であるが、事故発生の当初の段階では、自治体への通報の遅れを含めて適時かつ的確な情報の提供が進まず、事故に関するコミュニケーションに課題を残した。

震災後、科学技術コミュニケーターが放射線に関する講座やサイエンスカフェを開催するなど情報発信に取り組んでいる事例はあったが、今後、科学者・学協会等の科学技術コミュニティから、社会に正しく理解されるような形での情報発信が出来ていたのかについて、本震災を受けた活動の実態を把握・検証し、今後の科学技術コミュニケーション活動に活かしていくことが重要である。

科学技術コミュニケーションや政策のための科学について章がさかれています。

第3章 未来を社会とともに創り進めるために 第3節 対話と相互理解、そして参画が生み出す新しい地平 (PDF:606KB)

第3章で示した、「熟議」などの手法による政策立案者と国民との対話、テクノロジーアセスメント等に基づく、科学技術政策のもたらす社会的影響を踏まえた合意形成を図るための取組など、社会の声を一層踏まえた政策立案に向けた取組が進められている。また、科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」は、社会・国民に対して、政策に関する「客観的根拠(エビデンス)」を提供するという点で、科学技術コミュニケーションのツールにもなり、結果としてこのような科学技術政策形成プロセスへの社会・国民の参加を一層促すものとなると考えられる。その際、そのような社会・国民の政策への関与やそれに向けた意思形成を助けるNPO法人等による各種の取組も、ますます重要になると考えられる。同時に、社会・国民に対して適切な情報を提供し、客観的根拠に基づく適切な政策を実施していくためには、科学者・技術者等が専門分野にとらわれずに対話し相互に理解する、科学者・技術者等が政治、行政の関係者と対話し相互に理解する、こうした関係をより良い形で構築していくことが重要である

これまでの政府は、国民に自らの取組について理解を求めるという一方向のコミュニケーションになりがちであったとの指摘もある。今後は、政府や研究者・技術者等の関係者による適切な情報の公開を前提に、これら科学技術の関係者と国民が真摯に双方向の「対話」を行い、「相互理解」の上に、ともに科学技術イノベーション政策の形成プロセスに「参画」し、よりよい科学技術ガバナンスを実現させることが政策の重点となろう。

 こうした問題意識は私も共有するところがあります。NPO(いまは任意団体ですが)の自発的な取り組みをもとに、こうした動きに関わっていきたいと思っています。