科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

研究改革のために

2019年10月22日~2019年10月29日

 台風19号に続き、21号と大雨の被害で多くの方々か亡くなられました。ご冥福をお祈りします。

★Deadly typhoon forces Japan to face its vulnerability to increasingly powerful storms
https://www.sciencemag.org/news/2019/10/deadly-typhoon-forces-japan-face-its-vulnerability-increasingly-powerful-storms

台風19号で被災した川崎市市民ミュージアムへの支援について
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/1422192.html

令和元年台風第19号等により被災した学生・生徒等のみなさまへ(被災学生等特別就職相談窓口の設置)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000122602_00002.html

 文化施設も被害を受け、学生にも被害を受けた人がいます。

 災害の発生が常態化しつつあるなか、文化財や図書を守り、学生の安全を確保することが、大学にも求められています。

★科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術・イノベーション会議有識者議員との会合(令和元年度) > 議事次第 令和元年10月10日
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20191010.html

議題
「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」(仮称)の検討について

資料

資料1研究力に関するエビデンスデータ(PDF形式:1200KB)
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20191010/siryo1.pdf

資料2競争的研究費の現状と課題に関してのヒアリング結果(PDF形式:411KB)
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20191010/siryo2.pdf

資料3研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ(仮称)の検討について(PDF形式:839KB)
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20191010/siryo3.pdf

参考資料1参考資料(PDF形式:1362KB)
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20191010/sanko1.pdf

 人材、資金、環境の三位一体の改革を謳っています。問題は明らかで、どう改革するかです。

★知識集約型の価値創造に向けた科学技術イノベーション政策の展開 ― Society 5.0の実現で世界をリードする国へ ― 中間取りまとめ
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu22/houkoku/1422095.htm

 次の科学技術基本計画に向けて議論が進んでいます。

★第91回「人文・社会科学と科学技術 ―よりよい連携に向けて」
科学技術振興機構 研究開発戦略センター 科学技術イノベーション政策ユニット フェロー 前田知子 氏
https://scienceportal.jst.go.jp/reports/launchout/20191028_01.html

 第6期計画には、人文社会科学系に関する記載も入れられることになりそうですが、これに対しては賛否両論があるようです。本来政策から距離をおくべき領域まで、政策目標化するのはどうか、という意見です。

★(記者解説)後退する基礎研究 0から1生む力、競争政策で弱まる 大阪科学医療部・嘉幡久敬
https://www.asahi.com/articles/DA3S14233563.html

★第622回「迫るノーベル賞枯渇時代、見えぬ抜本政策転換」
http://dandoweb.com/backno/20191028.htm

★「誰が科学を殺すのか」毎日新聞連載が書籍に 28日から発売
https://mainichi.jp/articles/20191025/k00/00m/040/217000c

 ノーベル賞シーズンに、日本の科学技術政策を分析する記事や本が出る傾向がありますが、これらの記事や本では、日本の「研究力」の低下が語られ、選択と集中が大いに批判されています。

 そして、そこに立ちはだかるのが財務省という構図が見えてきます。その象徴が神田さんですね。

 研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ(仮称)や次の科学技術基本計画などで、問題点が少しでも解消されることを願います。

 しかしながら、現在の大学や研究者の現状に両手をあげて賛成することはできません。

 多くの研究者が、自分の研究領域の利益のための発言、行動しかせず、社会との双方向コミュニケーションに背を向けているからです。

 2000年台半ばごろ、科学技術コミュニケーションの重要性が叫ばれ、科学技術基本計画中にも、社会とのコミュニケーションの重要性が明記されました。

 現在の第5期計画にもそれは引き継がれ、以下のように書かれています(46ページ)。
https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/5honbun.pdf

共創に向けた各ステークホルダーの取組

科学技術においてステークホルダー間の共創を進めるためには、社会側のステークホ ルダーである国民の科学技術リテラシーの向上と共に、研究者の社会リテラシーの向上 が重要である。

 しかし、しかるべきポジションを得ているような研究者に話を聞いても、こうした精神が根付いているとは言えないように感じています。

 もちろん人によるわけで、理解している人もいるとは思うのですが、いまだその意識は啓蒙に留まり、共創とまでは言えない場合が多いのかなと思います。

 社会のどの声を聴くのかというのは、なかなか難しい問題ですが、少なくとも研究成果を出すことだけが社会貢献であるという時代ではないはずです。

 そして聴くべき声は外側だけでなく、内側にもあります。内側も社会であるはずです。

 ノーベル賞受賞者の発言ならば聴くということは、裏を返せばノーベル賞を受賞するまでは何を言っても聴かれないということでもあります。

 研究歴があり、今は科学コミュニティの外側に出ている人間だってステークホルダーなはずですが、そうした声は顧みられることはありません。

 優れた研究者の声しか聴かないということでは、とても社会との共創などできるはずがありません。

 政府、とくに財務省に向かって、自由に研究をさせてほしい、選択と集中を緩めてほしい、というのは重要ですが、政府を維持させている国民に、研究がどのように社会に役割を果たしているか(役に立つというだけでなく)をきちんと明示したうえで、だからこそ、その自由を尊重してほしいというべきなのではないでしょうか。

 自分たちの研究のことしか考えず、エリート主義で排他的な「楽園」を維持させるための余裕はこの国にはないはずです。「研究力」の凋落の原因を外側にだけ求めるのは都合が良すぎです。

 双方向コミュニケーションを訴えてきた私たちの力不足を感じます。どうやったら今の現場の研究者たちに理解してもらえるのか…。

 2009年の事業仕分けのときに声明を出したノーベル賞受賞者に対して、多様な「ノンノーベル」の仲間たちが議論しました。

 その時の思いはいまだ忘れていません。

 ちょっと「エモい」文章になりました…。

★未来を脅かす地球温暖化と、活力を失う日本社会
なぜ日本は環境問題への関心が低いのか、なぜ日本の若者たちは動かないのか
https://webronza.asahi.com/science/articles/2019102200001.html

Canadian kids sue government over climate change
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03253-5

 環境問題に関して日本の若者は動かないのはなぜか…。

 もちろん環境の前に雇用、という切羽詰まった状態に置かれているのも理由ですが、動く人間を徹底的に叩くからでしょう。

 意見を言う資格は誰にでもあるはずです。大人になるまで、偉くなるまで何もいうな、と押さえつけるのですから、若者は声など出せるはずがありません。

★環境問題に関する世論調査
https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-kankyou/index.html

弁当小分け容器、飾り、レジ袋、緩衝材…過剰なプラ製品は? 内閣府調査
https://mainichi.jp/articles/20191025/k00/00m/040/267000c

★UCL to Phase Out Single-Use Plastics, Including Pipette Tips
http://bit.ly/32Vqjwx

 大量に消費されるピペットのチップも汚染の原因ですから…。

産学官連携の更なる発展に向けた今後の改善について(とりまとめ)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu16/011/houkoku/1421792.htm

★今後の産学官連携・地域科学技術政策に関する方向性について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu16/houkoku/1422212.htm

★夜盲症の子どもたちに星空を 特殊な眼鏡を盲学校に クラウドファンディング呼び掛け
https://mainichi.jp/articles/20191026/k00/00m/040/034000c

盲学校の生徒に星空を。暗闇で見える暗所視支援眼鏡を届けたい。
https://readyfor.jp/projects/MW10

★Predict science to improve science
https://science.sciencemag.org/content/366/6464/428.full

 経済学や心理学、政治学等に関して、予想研究をシステミックに集約しようという提案。

★Opinion: Boycotting Elsevier Is Not Enough
http://bit.ly/2pbAGhk

 エルゼビア社は科学者のボイコットを乗り切りました。次の手は…。

★米国人大学生の論文をケニアで書く 論文代筆ビジネス、いまやグローバル産業に
https://globe.asahi.com/article/12813245

 ゴーストオーサーです。学生の収入の手段にもなっていて、重い問題です。

安倍総理は令和元年第9回経済財政諮問会議を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201910/28keizaishimon.html

令和元年第9回経済財政諮問会議
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1028/agenda.html

「官民合わせて約13万床削減」を主張、民間議員-今後3年程度を「集中再編期間」に、諮問会議で
https://www.cbnews.jp/news/entry/20191028203415

首相、病院再編に意欲 民間議員「成果で補助金」 経財諮問会議
https://mainichi.jp/articles/20191029/ddm/008/020/032000c

 病院の再編の問題は私の本業にも関わることです。

 基本的には、早い(アクセス)、うまい(クオリティ)、安い(コスト)は両立できないので、病院を集約化し、医師や医療資源を集めることで質を担保すべきです。

 医療の場合は選択と集中が不可避です…。

★無届けの細胞移植が実施された報道に関する日本再生医療学会声明
https://www.jsrm.jp/news/news-4271/

大阪医大元講師、再生医療を無届け投与  府警、容疑で捜索
https://mainichi.jp/articles/20191026/ddm/041/040/082000c

 生命倫理的に言語道断な事態。処分が下されるはずです。

★「トンデモ医療であると、断言します」 血液クレンジング、医学的に徹底検証してみた
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/blood-cleansing

 明確な法律違反が問えないグレーゾーンの怪しい医療も、大きな問題です。

 先週も書きましたが、怪しげな治療の被害を受けてしまう患者さんや、アンチワクチンなど、は訴訟も飛び交うような厳しい状況にあります。相当に高度なコミュニケーションが必要です。

 正しい知識の普及や一方的な批判だけではだめで、かといって双方向コミュニケーションもそう簡単ではないわけです。

★A livestock-poison-turned-drug might save her from endless cancer surgeries. But if she helps test it, could she afford to keep taking it?
https://www.statnews.com/feature/medicine-hunters/part-1/

日本学術会議・学術フォーラム
ゲノム編集技術の ヒト胚等への応用について考える
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf2/280-s-1124.pdf

2019年11月24日(日)13:00-17:00(12:30開場) 会場:日本学術会議講堂

★Hello quantum world! Google publishes landmark quantum supremacy claim
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03213-z

グーグルの量子コンピューター発表は、要するに何がすごいのか
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191024-00218455-diamond-sci

 Natureに発表された量子コンピュータの論文が大きな話題となりました。ライト兄弟が飛行したのに匹敵するという声もあれば、そうではないという反論もあります。

 すぐに実用化できるわけではないという点は一致しています。

 ライト兄弟の飛行からロケットができるまで数十年かかったわけですが、ともかくも飛んだのなら大ごとなので、ウォッチし続けていきます。

★Young universities show leadership
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03166-3

NATURE INDEX | 23 OCTOBER 2019
Young Universities 2019
https://www.nature.com/collections/ccghbdhhii

 創設後まもない(といっても50年以内)の大学ランキング。日本からはOISTが29位にランクインしています。ほか、総研大奈良先端大も。

 日本の大学はいまだ旧帝国大学中心の「入れ替え戦のないリーグ戦」の様相を呈していますが、新陳代謝はもっとあってもよいでしょう。

★Trump names seven to revived presidential science advisory panel
https://www.sciencemag.org/news/2019/10/breaking-trump-names-seven-revived-presidential-science-advisory-panel

 実に33ヶ月もたって指名。

★U.S. Travel Ban Disrupts The World’s Largest Brain Science Meeting
https://www.npr.org/sections/health-shots/2019/10/24/773095904/u-s-travel-ban-disrupts-the-worlds-largest-brain-science-meeting

 学会に参加できない研究者続出。これは科学にとってマイナスだといわざるを得ません。

★60の学協会が米国政府機関に安全保障と科学的営為のバランスを取るよう要請
https://crds.jst.go.jp/dw/20191024/2019102421482/

★科学工学指標2020:STEM教育の現状について
https://crds.jst.go.jp/dw/20191028/2019102821471/

★NIH and Gates Foundation lay out ambitious plan to bring gene-based treatments for HIV and sickle cell disease to Africa
https://www.sciencemag.org/news/2019/10/nih-and-gates-foundation-lay-out-ambitious-plan-bring-gene-based-treatments-hiv-and

★U.K. science minister says DARPA-like agency is in the works
https://www.sciencemag.org/news/2019/10/uk-science-minister-says-darpa-agency-works

 日本ではムーンショットが賛否両論ですが、イギリス政府はUK Research and Innovation (UKRI)の外側に独立した機関を立ち上げるとのこと。

 まだ詳細は不明ですが、2050年までに二酸化炭素排出ゼロなどが目標ではないかと言われています。

★「実力ない」悩んだ過去と決別
豪チーフ・ディフェンス・サイエンティスト タニア・モンローさん
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO51397760V21C19A0TY5000/

★Canadian scientists relieved as Trudeau ekes out election win
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03208-w

 カナダの総選挙。科学者たちはトルドー首相らの与党勝利でホッとしているとのこと。

★How our daughter’s diagnosis shifted the course of our careers
https://www.sciencemag.org/careers/2019/10/how-our-daughter-s-diagnosis-shifted-course-our-careers

 お子さんに障害があったことで、キャリアにどのような影響があったのか語られています。

★ハワイ巨大望遠鏡計画 有志が文部科学省に見直し嘆願書を提出
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191028/k10012153421000.html

 望遠鏡建設問題は日本が関わる問題です。

ヒアリ正念場、バズりと災害対策、米研究公正法成立

 台風の被害は甚大で、いまだ多くの人たちが影響を受けています。

★都市と地方の間にある発信能力の絶望的な差と『バズらなきゃ災害対策もやってもらえない』現状
https://togetter.com/li/1416865

 これは私も感じていました。バズりメディアに取り上げられないと支援が受けられない状態。バズる→メディアに取り上げられる→支援。目立たないと支援されないという状況はおかしいと思います。

 公務員が削減されて、災害に対応できなくなりつつあるという現状も重いものがあります。

「役所の職員が来るのが遅い」のはなぜ?~自然災害が明らかにする人員不足
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamuratomohiko/20190917-00142915/

★令和元年台風第19号による図書館への影響
https://current.ndl.go.jp/node/39264

 貴重な書籍が水に浸かる被害が相次いでいます。

★気候変動を踏まえた治水計画へ転換
~「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」の提言とりまとめ~
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000994.html

 国土交通省

東京港青海ふ頭におけるヒアリの確認について(令和元年10月10日の続報)
https://www.env.go.jp/press/107355.html

ヒアリ対策関係閣僚会議について
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201910/21_a.html

ヒアリ対策関係閣僚会議 議事次第
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/fireant/dai2/gijisidai.html

東京港で女王ヒアリ50匹以上確認 飛び立った可能性も 環境省追跡調査
https://mainichi.jp/articles/20191018/k00/00m/040/182000c

ヒアリ「これまでと次元の異なる事態」水際対策を強化 閣僚会議
https://mainichi.jp/articles/20191021/k00/00m/040/103000c

小泉環境相ヒアリ定着で範囲広げ調査 閣僚会合も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51120030Y9A011C1000000/

 ヒアリはこのメルマガでも2年間ずっとフォローし続けてきましたが、世間の関心が薄らいでいるなあと思っていたところにこのニュースです。

 今対策を強化しないと、根絶は困難になります。正念場です。

安倍総理は第20回宇宙開発戦略本部を開催しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201910/18space.html

宇宙開発戦略本部 第20回会合 議事次第
https://www8.cao.go.jp/space/hq/dai20/gijisidai.html

米国提案による国際宇宙探査への日本の参画方針
https://www8.cao.go.jp/space/decision/pdf/r01housin.pdf

米の月面探査計画参加へ、将来的には日本人の着陸も
https://www.yomiuri.co.jp/science/20191017-OYT1T50198/

米の月着陸計画に参加決定 首相「新挑戦、強い絆で」
https://www.sankei.com/life/news/191018/lif1910180030-n1.html

日本、米の月探査計画に参加 同床異夢の思惑
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51091610X11C19A0TJM000/

日本、米国の月着陸に参加 施設建設協力、正式表明へ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191017-00000039-kyodonews-soci

 月面探査を米国とともに行うことになります。付帯事項がついています。

厳しい財政事情の中、国の関与は、これまでの国際宇宙探査の実績の評価等を踏ま
え費用対効果の高いものとし、科学探査も含めて宇宙開発利用政策の総合的推進に
支障を生じさせないようにメリハリ付けを行うこと。

民間企業の積極的な参画を得るため、官民での対話を深め、役割分担を検討しつつ、
事業予見性を高めるための具体的な方策を検討すること。

日本人宇宙飛行士の活躍の機会を確保する等、本計画への参画を通じ、宇宙先進国
としてのプレゼンスの確保を図ること。

適切な法的枠組みを整備すること。

★第1回輝く女性研究者賞(ジュン アシダ賞)受賞者の決定と表彰式開催について
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1397/index.html

第1回「輝く女性研究者賞」に欧州分子生物学研の戎家氏
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/10/20191018_01.html

JSTです。

★Boosting inclusivity in the Nobels
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03115-0

Statistically speaking, 2019 Nobel Prize lineup of 11 men and one woman was bound to happen
https://www.sciencemag.org/news/2019/10/statistically-speaking-2019-nobel-prize-lineup-11-men-and-one-woman-was-bound-happen

 今年のノーベル賞受賞者に女性が一人しかいなかったことは、日本では話題になりませんでしたが、サイエンスとネイチャーはきっちりと触れてきました。

★女子生徒の進学を阻む要因は?
~保護者の男女平等度や性役割態度、理系分野に対するイメージ分析から見えるもの~
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20191017-2/index.html

 東京大学横山広美教授の研究。

★人文学・社会科学を軸とした学術知共創プロジェクト(中間まとめ)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/048/houkoku/1421958.htm

★高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン 第2版
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000204952_00001.html

★Hundreds of Scientists Declare Support for Extinction Rebellion
https://www.the-scientist.com/news-opinion/hundreds-of-scientists-declare-support-for-extinction-rebellion-66572

★「自然環境保全基本方針(変更案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について
https://www.env.go.jp/press/107270.html

★国連気候変動枠組条約第25回締約国会議閣僚級準備会合(プレCOP)の結果について
https://www.env.go.jp/press/107331.html

★「大学入試英語成績提供システム」利用予定状況一覧
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/10/21/1420469_4_2_1.pdf

英語民間試験4割使わず
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO51257780R21C19A0CC1000/

英語民間試験 東大、京大や早大など大学の7割が活用 文科省発表
https://mainichi.jp/articles/20191021/k00/00m/040/268000c

高校側「混乱激しく」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO51263540R21C19A0CC1000/

大学新共通テスト阻止の緊急シンポ開催
約300人の参加者が「2020年度の実施をとめよう!」で一致
https://webronza.asahi.com/science/articles/2019101500002.html

大学入学共通テスト 不安な高2、83% - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20191021/ddm/013/100/041000c

 今の高校2年生の世代が非常に不安を感じています。私の娘がまさにこの世代なので…。

★「賢いやつ」ウイルスとの闘い エボラ出血熱死者1万人
https://www.asahi.com/articles/ASMBH3WLRMBHUBQU001.html

The Ebola outbreak is finally slowing down
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03197-w

★インターネット上の海賊版に対する 総合的な対策メニュー及び工程表について
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/chitekizaisan2019/pdf/kaizoku_taisaku.pdf

★科学界と一般社会の溝をどう埋めるか
https://www.editage.jp/insights/there-gap-between-scientific-and-non-scientific-community

★レイサマリーとは何か?
https://www.editage.jp/insights/what-lay-summary

★Putting the ‘I’ in science
Chris Lintott’s chronicle of the booming citizen-science project Zooniverse is inspirational, finds Michael West.
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03051-z

★Prestigious journal pulls paper about chemical attack in Syria after backlash
https://www.sciencemag.org/news/2019/10/prestigious-journal-pulls-paper-about-chemical-attack-syria-after-backlash

★Citation doping not for Italy’s elites
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03119-w

★「賢いやつ」ウイルスとの闘い エボラ出血熱死者1万人
https://www.asahi.com/articles/ASMBH3WLRMBHUBQU001.html

The Ebola outbreak is finally slowing down
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03197-w

 ようやく患者数が減り始めたというエボラ出血熱。闘いは続きます。

★院内がん登録 小児・AYA世代がん集計 について
小児がん中央機関による初めてのデータのまとめ~がん診療連携拠点病院等院内がん登録2016-2017年小児AYA集計報告
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2019/1018/

 子宮頸癌に関しては、ワクチンの問題との関連があると思われます。反ワクチンの問題は、政治にも食い込み、単純に「正しい知識を伝えればよい」という欠如モデルだけでは解けません。

 近年発信する医師が増えてきていますが、科学技術社会論や科学コミュニケーション、リスクコミュニケーションの流れからやや独立しているように見えます。

 現場の発信する医師たちと、科学コミュニケーションに関わる人たちがコミュニケーションできないものかと考えています。

★Data on child deaths are a call for justice
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03058-6

Protect the census
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03116-z

★Russian ‘CRISPR-baby’ scientist has started editing genes in human eggs with goal of altering deaf gene
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03018-0

Deafness Gene GJB2 Edited in Human Eggs
https://www.the-scientist.com/news-opinion/deafness-gene-gjb2-edited-in-human-eggs-66600

 ロシアの研究者のゲノム編集実験。着々と進んでいます…。

★Scientific integrity bill advances in U.S. House with bipartisan support
https://www.sciencemag.org/news/2019/10/scientific-integrity-bill-advances-us-house-bipartisan-support

Scientific Integrity Act Passes Out of Committee with Unprecedented Bipartisan Support
https://blog.ucsusa.org/michael-halpern/scientific-integrity-act-passes-out-of-committee-with-unprecedented-bipartisan-supportfb

 トランプ政権下で非常に重要な法案が通りました。政府機関に所属する研究者が研究成果を公表する権利を保証し、科学研究を政治的干渉から防ぐ法律です。

★Indian government tightens rules on academic collaboration with China
https://www.sciencemag.org/news/2019/10/indian-government-tightens-rules-academic-collaboration-china

★「ソニック」が木星探査機ロゴに 研究者がセガに打診
https://www.asahi.com/articles/ASMBL6HQ4MBLULBJ01D.html

★(議論の整理) 大学・研究機関が発信する研究成果の国際情報発信・国際プレスリリース(英文)における研究者等の氏名の記述について
https://www.ruconsortium.jp/site/tf/365.html

★40代後半「就職氷河期」支援なぜダメなの? 非正規、若年層より多いのに
https://mainichi.jp/articles/20191021/k00/00m/040/213000c

 私(1971年生まれ)は対象外になっています。特定の年齢を支援することはやはり難しく、仕組みを変えることを目指さないといけないと思います。

★国立大授業料減免 支援外し
50~60%の学生に影響
山添議員が調査
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-10-19/2019101901_04_1.html

 学生に経済的打撃を与える事態です。

★OD・非常勤講師問題
https://note.mu/tmaita77/n/n0a3ccbe14d4a

 舞田敏彦さんがデータを使ってまとめています。

★Escaping ‘The Waiting Place’
https://science.sciencemag.org/content/366/6463/390

Post-Ph.D. job searches are tough. Here’s how I escaped Dr. Seuss’s ‘Waiting Place’
https://www.sciencemag.org/careers/2019/10/post-phd-job-searches-are-tough-here-s-how-i-escaped-dr-seuss-s-waiting-place

★21世紀のシンクタンク・パワー
https://toyokeizai.net/category/ThinktankPower-21stcent

 日本に官僚機構があるため、政策に影響を与えるようなシンクタンクが成り立ちにくい状況にはありますが、博士号取得者の力を借りて官学の外側に作りたいですね…。

★夏季職員トップセミナー
「“シン・ニホン” AI×データ時代における日本の再生と人材育成」(PDF:575KB)
・・・安宅 和人 慶応義塾大学環境情報学部教授/ヤフー株式会社CSO
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/denshi/201910/html5.html#page=68

 行政の中心たる財務省に安宅氏乗り込む。政策に影響を与えることができるでしょうか。

★Society 5.0の実現に向けた個人データ保護と活用のあり方
http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/083.html

★主要政党の政策評価 2019
http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/085.html

 経団連。政策提言や政策評価は盛んに行っています。政策への影響力はかなり大きなものがあります。

台風19号、博士の価値

2019年10月8日~2019年10月15日

 台風19号の被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

 多くの方が亡くなられ、洪水などの被害も甚大なものがあります。

東京都市大学、世田谷キャンパスが水没。図書館地下が大打撃。
https://togetter.com/li/1416376

 大学や研究機関のなかにも被害を受けたところがあります。

 徳川家康の江戸の開発、武田信玄の信玄堤、八ッ場ダムなどが被害を軽減したといった言説もネット上で飛び交いました。60年前の狩野川台風の被害を考えると、この数十年の治水対策で、被害はかなり軽減はされていると思います。

 しかし、地方の河川の氾濫をみると、治水対策が都市部を中心に行われ、地方が取り残されたのではないかとも思えます。

 あと少し台風の勢力が強ければどうなっていたのか…。奇跡とか胸熱など情緒的な言葉に踊らされることなく、しっかりと振り返らなければなりません。

★「もう堤防には頼れない」 国頼みの防災から転換を
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50958710T11C19A0MM8000/

 この日経の記事には批判も多く聞かれました。命を守る行動をしろと言われても、何をどうすればよいのか、明確に示されていないわけで、そうはいっても堤防は重要です。

 とはいえ、防災を自分ごととして考えていなかければならないのは当然であり、国か個人か、ではなく国も個人も、であるはずです。

ノーベル化学賞吉野彰さんのキャリアにみる論文博士の価値
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20191010-00146107/

 ノーベル化学賞を、旭化成名誉フェローで名城大学教授の吉野彰さんが受賞することが決まりました。

 私もYahoo!ニュース個人に記事を書きました。題材は論文博士です。

 ただ、よく考えないといけないのは、吉野さんの研究が1980年代に行われたということです。まだ大学院重点化の前です。バブル景気があり、オーバードクター問題があったころです。

 それを今の時代の政策の是非に使っては、判断を誤ります。

博士課程を経ないノーベル賞受賞者が増加。文科省の大学院重点化政策の意義は?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191011-00010002-wordleaf-sctch

企業の研究、日本技術を下支え ノーベル化学賞は「余裕があった時代の産物」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/191011/cpc1910110500001-n1.htm

 上の記事は共同通信配信の記事で、私のコメントが出ていますが、2000年代以降、企業は研究所を閉鎖するところも多く、基礎研究を自前で行う余裕がなくなっています。

 自前で社員を専門家にすることより、外から専門家を呼んできたほうが効率がよい時代になっているわけで、博士号取得者の問題は、こうした時代の変化を見据えて考えなければいけないわけです。

聞かれなくなった「末は博士か」に立ちはだかる3つの傷心
https://ironna.jp/article/13566

「日本はもうノーベル賞を取れない」歴代受賞者が危惧も“お金とシステム”の問題を抱える日本科学界の“ヤバさ”
https://times.abema.tv/posts/7023560

河北新報
ノーベル賞受賞/基礎研究こそ日本の強みだ
https://sp.kahoku.co.jp/editorial/20191011_01.html

 予想通りですが、メディアもそのことは分かっており、今の科学研究システムの問題点には触れています。

 ノーベル賞を既存の構造の延命に使うのではなく、現在、未来を考えるための題材にしなければなりません。

名城大「ノーベル賞3人目」から読み解く地方私大の生き残り戦略
https://mainichi.jp/articles/20191012/k00/00m/040/011000c

 名城大の戦略は一つの方法だと思います。願わくば、優れた成果を持った人を勧誘するだけでなく、次世代を育てる戦略をとる研究機関もあってしかるべきだと思います。長期的スパンですが…。国立大学はそうした戦略が取れるはずで、京大や名大はその傾向がありますが、法人化以降は厳しいかもしれません…。

A third of US Nobel Prize winners in chemistry, medicine and physics are immigrants
https://edition.cnn.com/2019/10/14/us/nobel-prizes-immigrants/index.html

 こうした見方もあるわけで、トランプ政権への牽制ということでしょう。

★理系分野の博士人材の多様化の計測 ―平成元年度~30年度学校基本調査データによる女性博士課程入学者数等の検討―[DISCUSSION PAPER No.173]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/42742

 重要資料です。

学校基本調査のデータを男女別、分野別、国公私立別という代表的な指標に基づいて区分した集団ごとにいろいろな方法で集計すると、平成の 30 年間にそれぞれ異なる規模や変動のパタ ーンを示す。このことから、例えば、人材政策の EBPM を考える際には、博士人材というひとくくり の集団に対して講じる施策と、例えば理学分野の国立大学の博士課程への女性入学者数の増 加のために講じる施策とでは、粒度や内容が異なることになると考えられる。

★PhDs under publication pressure
https://www.nature.com/collections/ijfdfjhjef

 Nature human behaviorの特集。

★Publish but perish regardless in Japan
https://www.nature.com/articles/s41562-019-0729-9
https://www.nature.com/articles/s41562-019-0729-9.epdf

 九州大学の山田 祐樹准教授が日本の現状を書かれています。

★科学技術社会連携委員会(第11回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/092/shiryo/1421726.htm

議題
第6期科学技術基本計画策定に向けた検討
その他

資料1 第6期科学技術基本計画策定に向けた科学技術社会連携委員会における検討結果(修正案)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/092/attach/1421820.htm

★「厚生労働省統計改革ビジョン2019 工程表」を策定しました
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06835.html

東京港青海ふ頭におけるヒアリの確認について
https://www.env.go.jp/press/107330.html

 ヒアリ見つかっています!

★2019年10月26日(土)名古屋大で市民サークル主催シンポ!
KagaQ シンポジウム「サイエンスとアートへ影響を与えるメディア」
https://www.facebook.com/events/371002623569071/

★Geneticists retract study suggesting first CRISPR babies might die early
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03032-2

★「情報発信も命を助ける医療だと気がついたから」
https://www.asahi.com/articles/ASMB962RVMB9UFEV003.html

 最近医療情報を発信する医師の活動が活発化しています。正しい情報だからといって伝わらない時代のなか、こうした医師たちに注目しています。

★世界の人々は科学をどう見ているか――グローバル調査の結果から
https://www.editage.jp/insights/global-survey-reveals-what-people-around-the-world-think-about-science

★Massive California power outage triggers chaos in science labs
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03086-2

Berkeley Labs Face Power Outage Amid Wildfire Threat
https://www.the-scientist.com/news-opinion/berkeley-labs-face-power-outage-amid-wildfire-threat-66552

 カリフォルニア州で10月9日、10日に計画停電があり、研究者たちが影響を受けたという話。

★UPR Hasn’t Paid Some TAs for Nearly Two Months
http://bit.ly/2B8otfH

★No-deal Brexit would leave science dead for years, say Nobel prizewinners
https://www.theguardian.com/education/2019/oct/08/top-scientists-accuse-boris-johnson-of-behaving-like-a-clown-over-research-funding

 ハードブレクジットが迫っています。イギリスの科学界の懸念が高まっています。

★Banish hunger on university campuses
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03011-7

 10月16日は世界食料デーです。
https://www.jawfp.org/worldfoodday2019/

★日本の中学生の大学院志望率は、たったの3%
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/3-148.php

 私が中学生だったとき、大学院の存在を知らなかったかもしれません。思い出せませんが…。

★『表現の不自由展』騒動がみせた日本の不自由と無頓着
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/post-13170.php

★みんな未来予想に夢中だった 100年前に描かれた「百年後の日本」
https://globe.asahi.com/article/12786581

★大川小、防災過失責任確定 津波犠牲の児童遺族勝訴
https://www.kahoku.co.jp/naigainews/201910/2019101101001622.html

大川小津波訴訟、最高裁が上告棄却 市と県の賠償確定
https://www.asahi.com/articles/ASMBC43ZTMBCUTIL01H.html

大川小訴訟、学校現場に重い責任
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO50922590R11C19A0CR8000/

 重要な決定です。

研究公正の研究の盗用、ノーベル賞を利用する

2019年10月1日~2019年10月8日

 そのニュースを聞いたとき、思わず絶句してしまいました。

白楽ブログの被盗用事件
https://haklak.com/page_Kawai_Plagiarism.html

 もう20年来のお付き合いがある白楽ロックビル氏(お茶の水女子大名誉教授)。近年は研究不正の事例の収集をされており、「富国公正」を訴えられています。

 白楽氏のサイト「研究者倫理」は私にとってなくてはならないサイトになっています。

 この白楽氏のサイトの研究不正事例が盗用されたという驚くべきニュースが入ってきたのです。

 詳細はYahoo!ニュース個人に記事にしました。

★「研究不正の研究」で研究不正の衝撃
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20191004-00145276/

 この盗用が意図的に行われたか否かは分かりません。不注意だったのかもしれません。けれど、盗用の定義にあてはまります。

 他人に倫理を説く人間が倫理的でなかったとしたら…。聴衆は話をまともに聞いてくれないでしょう。今回のケースはあくまで「 研究不正の発生原因」の研究なので、必ずしも研究倫理教育に対するものではありませんが、研究グループのなかには研究倫理教育に携わる人もいます。

 この件を記事にすることは、正直言ってとても迷いました。

 研究グループのなかにお会いしたことがある人もいます。日本において公正な研究を推進していこうという、ある種の仲間です。 記事を書くことで、仲間を売ることにならないか…。せっかく芽生 え始めた研究公正への動きを妨害することにならないか…。

 しかし、今まで様々な研究不正の事例の記事を書いてきた私が、この件を故意に無視してしまえば、仲間をかばっているのか、ということになりかねません。こうした忖度するような行為は倫理的とは 言えず、逆に研究公正の動きにブレーキをかけてしまうのではないか…。

 悩んだ挙句記事を書いた次第です。

 研究倫理を説く人間が倫理的に問題がないのか…。これは私自身にも問われることです。

 人はしがらみがあるから、どうしても利益相反が出てきてしまいます。完全に利害から離れた人はいません。

 私自身が聖人君子だとは思いません。キャリアに迷いじたばたもがいてきた人間です。言動にぶれもあるでしょう。

 しかし、完璧な人間にはなれないけれど、できる限り筋を通し、忖度しないように心がけたいと思っています。だから大学を自ら辞め て、大学から距離を置きました。

 結局信頼は行動を通じてしか得ることができません。

★Press release: The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2019
https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2019/press-release/

 ノーベルウィークが始まっています。生理学医学賞は、もと朝日新聞記者の浅井文和さんが見事に的中させました。

大胆予想:医学生理学賞は「低酸素応答」の3人
https://webronza.asahi.com/science/articles/2019092700009.html

 毎年書いていますが、この賞に右往左往することがよいことなのか 、迷いはあります。知人のなかには、 はっきりとノーベル賞なぞなくしてしまえ、という人もいます。

 負の側面は、問題解決を先送りするカンフル剤ということでしょう 。

 私としては、したたかにこの機会を利用して、研究者の環境などの 問題に関心を高めたいとは思っています。

★日本の若い研究者たちの“ブラックすぎる”職場環境 ~あるノーベル賞学者の憤り~
https://www3.nhk.or.jp/news/special/nobelprize2019/article/article_06.html

★就職や収入で将来不安 「エリート」の博士課程も今は…
https://www.asahi.com/articles/ASM9K5QSCM9KULBJ00L.html

★研究現場は今:第1部 博士/6 研究と収入、両立で葛藤 文系、常勤ポストでも見通せぬ未来 /京都
https://mainichi.jp/articles/20191001/ddl/k26/040/409000c

 このように、近年はこの時期に研究者のキャリア問題に焦点を置い た記事が出るようになりました。 野依さんについては厳しい批判もあります。


"「お前の将来は俺の電話一本」という名ゼリフで有名なブラックラ ボの主で、その人望のなさからノーベル賞受賞後にもかかわらず名 大学長選に敗れ、その雪辱を理研の理事長として果たそうとしてナ ントカ細胞という詐欺に引っかかった挙句死人まで出す騒ぎに発展 させた御仁が何を言ってるのやら"
https://twitter.com/TJO_datasci/status/1180411468300222464

 言動の一貫性というのは、このようについて回るわけです。

 それはともかく、こうした注目を具体的動きにつなげていかなければいけません。

青学大、院生40人を「助手」雇用の狙い
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191004-00010001-newswitch-bus_all

青山学院大、院生40人を助手に雇用 文系の研究者育成
https://www.nikkan.co.jp/spaces/view/0049698

 注目の取り組みです。もちろん、助手になったのちに社会に活躍の場がなければ、「ポストポスドク問題」 と同じ問題が発生してしまいます。

大隅良典記念奨学金に「ファーストジェネレーション枠」を創設
https://www.titech.ac.jp/news/2019/045346.html

 ノーベル賞受賞者のなかには、具体的な行動をする人もいますし、 こうした動きに期待せざるを得ません。なんでもかんでもノーベル 賞受賞者頼みではいけませんが…。

★What do we know about Ph.D. scientists’ career paths?
https://www.sciencemag.org/careers/2019/09/what-do-we-know-about-phd-scientists-career-paths

 これはアメリカの調査。日本ではNISTEPが博士号取得者のコホート調査をやっていますが、こうした調査は重要です。

安倍総理はSTSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)第16回年次総会に出席しスピーチを行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/1006sts.html

★安倍首相の「STSフォーラム」あいさつ全文
https://www.sankei.com/smp/life/news/191006/lif1910060024-s1.html

 毎年恒例尾身さんのSTS
https://www.stsforum.org/

安倍総理は第200回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/1004shoshinhyomei.html

★Society5.0時代に対応した教員養成を先導するフラッグシップ大学の在り方について(中間まとめ)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/082/sonota/1421812.htm

★総合政策特別委員会(第30回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/09/1421005.htm

資料1 中間取りまとめ(案)  (PDF:554KB)
http://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/09/__icsFiles/afieldfile/2019/09/27/1421005_01.pdf

資料2 中間取りまとめ(案)概要  (PDF:384KB)
http://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/09/__icsFiles/afieldfile/2019/09/27/1421005_02.pdf

原子力規制委員長「憤り」、金品受領問題で関電批判
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50492250S9A001C1000000/

 この問題は深い闇がありそうです…。

★日本企業における価値創造マネジメントに関する行動指針を策定しました
https://www.meti.go.jp/press/2019/10/20191004003/20191004003.html

★世界各国との間で知財分野の国際協力を強化しました
https://www.meti.go.jp/press/2019/10/20191007002/20191007002.html

★過労死等防止対策白書
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138529.html

ノーベル平和賞も? グレタさんは故郷スウェーデンでどう思われているか
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67625

 グレタさん(とファーストネームで呼んでいいのかという問題もありますが)が引き起こした賛否はすさまじいものがあり、誰か大人に操られている説をまことしやかに唱える人がいます。

 明らかにトーンポリシングしている人も多かったです。
https://www.sbbit.jp/article/cont1/35398

 しかし、だれがバックにいようといまいと、主張は一貫性があり、 説得力があります。

★世界で一番恥ずかしかった進次郎氏、でも日本の風潮は…
https://www.asahi.com/articles/ASMB25JHTMB2UPQJ01M.html

 一方の進次郎大臣。批判にさらされました。ただ、この記事で述べられているように、進次郎批判で溜飲を下げたところでなにも変わりません。じゃあどうするのか。そこに至らない批判がウェブに渦巻 いているのが本当に残念です。

★「ESGファイナンス・アワード」の創設について
https://www.env.go.jp/press/107266.html

環境省 環境経営の表彰制度新設
https://www.nikkei.com/article/DXMZO50586290U9A001C1I00000/

★「大学入試英語成績提供システム」利用予定状況一覧(令和元年 9月30日時点)
http://www.mext.go.jp/componenta_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/ 2019/10/04/1420469_3_1.pdf

英語民間試験の成績、利用予定の大学は5割 9月末時点
https://www.nikkei.com/articles/DGXMZO50584710U9A001C1CR8000/

英語民間試験、半数活用せず 萩生田氏「大学の声聞く」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191004-00000021-asahi-s oci

英語民間試験活用の大学、4日までに公表 文科相が方針
https://www.asahi.com/articles/ASMB16569MB1UTIL05G.html

英語民間試験「強行の理由ない」「せめて延期を」 国立大学協会前で抗議集会
https://mainichi.jp/articles/20191004/k00/00m/040/296000c

 大混乱に陥っている大学入試。この件に関しては、私の子どもが高校生であるという利害を持っていますので、公正にはみることがで きない問題です。

★Highlight negative results to improve science
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02960-3

 ネガティブデータの扱いが大きな課題となっています。

★Turmoil mounts at MIT Media Lab as scientist is ousted for sexual harassment
https://www.sciencemag.org/news/2019/10/mit-media-lab-scientist-ousted-sexual-harassment

 いまだくすぶっています。

★Three percent of NIH grants involved a direct financial conflict of interest, watchdog report finds
https://www.sciencemag.org/news/2019/09/three-percent-nih-grants-involved-direct-financial-conflict-interest-watchdog-report

 これは驚きです。

★We are all complicit in harassment and abuse
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02944-3

 私たちもハラスメントの当事者であることを意識しなければなりません。

★Two-thirds of researchers report ‘pressure to cite’ in Nature poll
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02922-9

★豚コレラ関係閣僚会議
(令和元年10月4日)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/toncholera/20191004/gijisidai.html

 アフリカ豚コレラの危機も迫っています。

★「ハーバード大がアジア系差別」 米連邦地裁が訴え却下
https://www.asahi.com/articles/ASMB231T3MB2UHBI00N.html

★Scientists concerned over US plans to collect DNA data from immigrants
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02998-3

US Government Considers Collecting Detained Immigrants’ DNA
https://www.the-scientist.com/news-opinion/us-government-considers-collecting-detained-immigrants-dna-66528

★A kinder research culture is possible
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02951-4

 ぜひ作りたいものです。

★Four ways scientists band together outside the lab
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02943-4

Teaching at the university level is not a hassle
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02928-3

★Research: When Losing Out on a Big Opportunity Helps Your Career
https://hbr.org/2019/10/research-when-losing-out-on-a-big-opportunity-helps-your-career

★“ムーンショット”は時代遅れ──広範で複雑な課題を解決するための「新たなアプローチ」が必要だ
https://wired.jp/membership/2019/10/04/apollo-11-moonshot-21st-century/

 話題のムーンショット

★筑波会議2019
https://tsukuba-conference.com/

AIなど議論「筑波会議」開幕
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO50508080S9A001C1L60000/

科学技術と社会課題討議「筑波会議」開幕 若手研究者中心に
https://www.sankei.com/life/news/191002/lif1910020040-n1.html

★研究者の頭の中をのぞき込む「京大100人論文」
https://scienceportal.jst.go.jp/reports/other/20191001_01.html