科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

燃えるブラジル、厚労省職員の嘆き、エリート目線の大卒者

2019年8月20日~2019年8月27日

 G7サミットが開催されていました。

★2019 G7ビアリッツ・サミット
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page23_002901.html

G7ビアリッツ・サミット(結果)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page4_005205.html

 A41枚の薄い首脳宣言が出ています。

G7ビアリッツ首脳宣言
2019年8月26日
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000510267.pdf

 科学技術に関連する事項としては、知的財産の保護くらいです。

 その他の成果としては、

ジェンダー平等及び女性のエンパワーメントに関するG7宣言
G7とアフリカのパートナーシップのためのビアリッツ宣言
G7サヘル・パートナーシップ行動計画
気候変動,生物多様性及び海洋に関するビアリッツ議長総括
ビアリッツ宣言:開かれた自由で安全なデジタル化による変革のための戦略

 などです。そしてアマゾンの森林火災についても取り上げられました。

 ブラジルの熱帯雨林で多発している森林火災についても議論されました。安倍総理からは,消火への協力のため,G7としてできる支援を各国が検討して行っていくべきであり,中長期的に,アマゾン開発と森林の持続可能性を両立させるために必要な支援を国際社会として考えていくことが必要であると発言しました。
 議論の結果,地域の国々としっかり連携しつつ,G7として流域全体の支援を行うこと,まずは消火のための協力を行い,植林の協力を行うにあたってもしっかり連携を取っていくことで一致しました。

アマゾン森林火災、国際問題に 仏大統領「G7で議論へ」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48899330T20C19A8000000/

ブラジル:アマゾン火災 仏「議題に」
https://mainichi.jp/articles/20190824/ddm/002/030/130000c

G7:アマゾン火災支援、21億円拠出で合意 生物多様性など討議
https://mainichi.jp/articles/20190827/ddm/002/030/077000c

 そのアマゾン森林火災ですが、世界的な課題となっています。

★Alarming surge in Amazon fires prompts global outcry
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02537-0

アマゾン森林火災、原因は「過剰な伐採」と専門家
1週間で9000件以上の火災報告、大統領の開発政策が影響か
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/082200484/

 地球の肺という言い方もされますが、酸素を出すと同時に真菌などが酸素を吸収しているので、酸素というよりは生物多様性の消失が大きな課題です。

 アマゾンを有するブラジルですが、もう一つの火、研究予算カットが研究者たちを苦しめています。

★Funding crisis at Brazilian science agency could leave 80,000 researchers and students without pay
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/funding-crisis-brazilian-science-agency-could-leave-80000-researchers-and-students

Financial crisis looms at Brazilian science agency
https://science.sciencemag.org/content/365/6455/731

Brazil’s budget cuts threaten more than 80,000 science scholarships
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02484-w

In Brazil, Thousands of Research Fellowships Are at Risk
https://www.the-scientist.com/news-opinion/in-brazil-thousands-of-research-fellowships-are-at-risk-66302

 影響を受けるのは8万人にも及びます。

★第7回アフリカ開発会議(TICAD7)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/ticad7/index.html

 サミットのあとは横浜で開催されます。

★「中国が輸入しない米のトウモロコシ日本が買います」のトウモロコシは、我々が食べているスイートコーンではありません。
https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2019/08/29915.html

 サミット中に日米首脳が合意。かなり物議を醸していますが、その影響は冷静に見極めるべきでしょう。しかし、国と国との関係というのは妥協の連続だとつくづく感じます。

厚生労働省の 業務・組織改革のための 緊急提言
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000540047.pdf

厚生労働省を変えるために、すべての職員で実現させること。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000540040.pdf

「人生の墓場に入ったとずっと思っている」。厚労省の職員や退職者の叫びと改革への動き
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190826-00010002-bfj-soci

 厚労省職員の痛々しい働き方。官僚が忙しすぎて自死者も出るとは以前から聞いていましたが、もうそれを放置することはできません。

★大学無償化政策に透ける、エリート大卒層の「上から目線」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66575

親が非大卒の学生に奨学金
学歴の固定化に一石
https://r.nikkei.com/article/DGKKZO48762380Q9A820C1EAC000

 このメルマガの読者の多くは大卒以上で、大学院卒も多いと思います。

 しかし、世の中の半分の人は大卒ではないという事実を、大卒者はあまり肌感覚で理解していないように思います。おそらく交友関係も大卒者が多いでしょう。

 全ての人が大卒を目指すべきという大卒至上主義に大きな落とし穴があることを自覚すべきだと思います。

★国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会(第11回)
https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/kokusaiopen/11kai/11kai.html

★大学院設置基準の一部改正について(諮問)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1420274.htm

大学院設置基準改正要綱(案)

第一 博士後期課程におけるプレFDに関する改正

大学院は,博士後期課程の学生が修了後自らが有する学識を教授するために必要な能力を培うための機会を設けること又は当該機会に関する情報の提供を行うことに努めるものとすること。

第二 ファイナンシャル・プランに関する改正

大学院は,授業料,入学料その他の大学院が徴収する費用及び修学に係る経済的負担の軽減を図るための措置に関する情報を整理し、学生及び入学を志望する者に対して明示するよう努めるものとすること。

 とのことです。これで大学院博士課程の進学率が回復するでしょうか。

★全国イノベーション調査 2018年調査統計報告[NISTEP REPORT No.182]の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/41305

★平成30年 結核登録者情報調査年報集計結果について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000175095_00002.html

 職業柄結核患者さんの標本を見ることはしばしばあります。日本はだいぶ減ったとはいえ、結核が多い国であることは知っておいたほうがよいでしょう。

★第3回厚生労働省統計改革ビジョン2019(仮称)有識者懇談会資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06220.html

統計不正、業務改善へ工程表作成 厚労省の懇談会が提言
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019082001001430.html

★Microplastics in Drinking Water Don’t Threaten Human Health: WHO
https://www.the-scientist.com/news-opinion/microplastics-in-drinking-water-dont-threaten-human-health-who-66338

 マイクロプラスチックに食べ物が汚染されていますが、食べても問題はないということのようです。しかし、だから放っておけという問題ではありません。

★Why I said no to peer review this summer
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02470-2

Peer reviewers need a code of conduct too
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02492-w

 ピアレビュー関連の記事が2つ。上のは休日にはピアレビューなんかしないよ、という宣言。下はピアレビューにも行動規範が必要との主張。

★The Push to Replace Journal Supplements with Repositories
http://bit.ly/324qhl9

★疑惑の投資家に絡むスキャンダルに揺れるMITメディアラボ-研究者2人が抗議の辞任
https://japan.cnet.com/article/35141599/

Top US university investigates donations from Jeffrey Epstein
https://www.nature.com/articles/d41586-019-01805-3

Researchers Quit MIT’s Media Lab over Jeffrey Epstein Money
https://www.the-scientist.com/news-opinion/researchers-quit-mits-media-lab-over-jeffrey-epstein-money-66326

 自死したエプスタイン氏はMITに寄付をしていました。研究者コミュニティにも影響が出るとは…

★教員の処分について
https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2019/08/2102

9200万円不正受給で教授解雇
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20190821/2000019390.html

9千万円不正受給、阪大が教授を懲戒解雇 住居など偽り
https://www.asahi.com/articles/ASM8P5V65M8PPTIL01H.html

大阪大、不正受給の教授を解雇 過去にセクハラも
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019082101002127.html

★博士学位の取消しについて
https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2019/08/2101

 上記2つの事件はともに大阪大学が関わっています。

★論文コピペで博士号…不正告発した教授を「大学が排除」のその後
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66681

 岡山大学の事件は私もフォローしています。

★<研究者目指したけれど…大学非常勤講師らの嘆き> (番外編)新ルール導入、道開く
https://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201908/CK2019082602000166.html

★Bill to fight sexual harassment in universities approved by Chilean Senate
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/bill-fight-sexual-harassment-universities-approved-chilean-senate

★Strategies for combating online hate
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02447-1

★Alarm as devastating banana fungus reaches the Americas
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02489-5

★Suicide-turning the tide
https://science.sciencemag.org/content/365/6455/725

 Science誌の特集。

★UCSD Eye Doctor Resigns After Investigation into Ties with China
https://www.the-scientist.com/news-opinion/ucsd-eye-doctor-resigns-after-investigation-into-ties-with-china-66344

 中国系の研究者が中国政府との関係を問われ辞任。こうした事態が相次いています。

★More than 700 German research institutions strike open-access deal with Springer Nature
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/more-700-german-research-institutions-strike-open-access-deal-springer-nature

Project DEAL in Germany Reaches Agreement with Springer Nature
https://www.the-scientist.com/news-opinion/project-deal-in-germany-reaches-agreement-with-springer-nature-66342

 ドイツの研究機関とSpringer Natureとの間に、オープンアクセスの手続きを簡素化する協定が結ばれました。ただ、Natureと姉妹紙はだめだそうです。

★終わらない氷河期~今を生き抜く:やりたい仕事にのめり込む…氷河期世代は「自己実現ワーカホリック」 阿部真大・甲南大教授
https://mainichi.jp/articles/20190824/k00/00m/040/009000c

 氷河期世代のひとたちに活躍してもらうにはどうすればよいか、非常に大きな問題です。

 阿部教授はこの世代が新しい働き方を模索した世代であると指摘し、これをうまく引き継いでいくべきだと述べます。

 そして、就業支援はマッチング事業を手厚くすべきと言っています。

 博士号取得者についても、やはり丁寧なマッチングを行うべきだと思います。文科省ポスドクキャリア事業で、そうした取り組みが行われたわけですが、十把一絡げに博士号取得者はどういう能力があるかなど言えないわけで、丁寧な取り組みが必要です

 そして、阿部教授が指摘するように、草の根の動きも必要です。繰り返しになりますが、ここが決定的に弱いのが日本の特徴です。私たちもNPOを作って地べたでもがいてきましたが、もっと仲間が欲しいなあと思っています。

★“勤務ではない研究” 大学教員の働き方を考える
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190820/k10012042101000.html

 勤務かそうでないか、研究者は非常にわかりにくいのが現状です。

 私もポスドク過労死裁判で証言したとき、それを痛感しました。

★3度目のノーベル賞狙う3代目、建設費概算要求に
https://www.yomiuri.co.jp/science/20190821-OYT1T50126/

ハイパーカミオカンデ建設へ ノーベル賞級の観測目指す
https://www.asahi.com/articles/ASM8Q41NGM8QULBJ00C.html

ハイパーカミオカンデ:「スーパー」超える「カミオカンデ」建設へ ニュートリノ研究、27年完成予定 岐阜
https://mainichi.jp/articles/20190822/ddm/002/040/062000c

 概算要求のシーズンです。

★2019 Carson Prize: Aya Kimura
https://www.4sonline.org/prizes/carson

Radiation Brain Moms and Citizen Scientists
The Gender Politics of Food Contamination after Fukushima
https://www.dukeupress.edu/radiation-brain-moms-and-citizen-scientists

書評
http://hdl.handle.net/10114/00021407

平成のネカト事件、がんムーンショットとオープンアクセス

2019年8月13日~2019年8月20日

 お盆シーズンでニュースは先週よりさらに少なめです。

 先週のニュースで、白楽ロックビル氏のサイトに掲載された平成の5大ネカト(捏造、改ざん、盗用)事件第1位についてご紹介しました。

★平成の5大ネカト事件:東大分生研・加藤事件(第1位)
https://haklak.com/page_FFP_heisei-1.html

 今週は引き続いて2位から5位まで発表されました。

平成の5大ネカト事件:第2位-第5位
https://haklak.com/page_FFP_heisei-2.html

 どれがランキングしたかは上記リンクを見ていただくとして、どれも著名な事件です。

 こうした事件が繰り返されるのはなぜか。そして研究不正への対応は果たして十分だったのか…。令和に持ち越された大きな課題です。

 平成に発生した事件ですが、これらのトップ5を凌駕すると思われる事件が、弘前大学元教授の故Y氏の事件だと思います。この事件はいまだ論文撤回が続いており、令和に持ち越した事件と言えるでしょう。

https://retractionwatch.com/the-retraction-watch-leaderboard/

 リトラクションウォッチの撤回論文ランキングでは、2019年8月20日現在なんと撤回論文82報で3位です。2位のボルト氏の97報に迫ってきました。

 共同研究者のI氏も62報で第4位です。

 平成の5大事件に比べ報道されないこの事件。令和のランキングでは確実に上位にくるでしょう。

 研究不正への対策はこのままで良いのか、大いなる疑問を感じます。

★学生の論文「コピペ」を探すツールをグーグルが提供。「Google Assignments」が教師をサポート
https://m.huffingtonpost.jp/entry/tol-for-teachers-google_jp_5d5760f6e4b0eb875f23e8f5

 こうした試みも重要だと思いますが、それだけではもちろん不十分です。

 科学コミュニティの動きも重要です。

★がん当事者の参画、今後も追求(向き合う)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48590190V10C19A8TCC000/

公共政策は「お上が提供する問題解決型」であったが、がん対策は「それぞれ専門性を持つ市民からなる市民活動による問題解決型」になりつつある。

 以前から、患者団体などの当事者には注目してきました。研究不正対策も科学政策も、文科省が、政府が、というだけでなく、当事者である研究者が動くことが重要だと思います。

 しかし、自分の分野にお金を引っ張ってくることばかりの日本の研究者に、それができるでしょうか?

★Teenage activists and an IPCC triumph
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02425-7

 環境問題では、16歳の環境活動家Greta Thunbergさんが大きな影響を与えました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AA

 私たちは、自分の問題の当事者としてできることがあるはずです。

★Communicating science to policymakers: six strategies for success
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02372-3

 この記事でもGreta Thunbergさんが取り上げられています。

Strategies for success
1. Know who you want to reach.
2. Have clear and actionable recommendations.
3. Repackage your work.
4. Write well.
5. Pick your moment.
6. Sustain and amplify your engagement.

の6つです。詳細は記事を読んでください。

★Vanishing Arctic ice will open the way for more science voyages, analysis suggests
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/vanishing-arctic-ice-will-open-way-more-science-voyages-analysis-suggests

 温暖化による北極の氷の減少は、シロクマなどに壊滅的な被害を与えていますが、北極海が輸送路になったり、研究の対象になったりといった側面もあります。

★科学読み物 時代を超え
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO48628940W9A810C1BE0P00/

時代超える科学読み物 実験が育む驚きの心
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48635000W9A810C1000000/

★Hundreds of extreme self-citing scientists revealed in new database
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02479-7

 自分の論文を過度に引用するセルフ引用が明らかになってきました。

★Rule out conflicts of interest in psychology awards
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02429-3

 学会賞の利益相反問題。

★Key concepts for making informed choices
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02407-9

★For a decade, Francis Collins has shielded NIH-while making waves of his own
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/decade-francis-collins-has-shielded-nih-while-making-waves-his-own

Francis's way
https://science.sciencemag.org/content/365/6454/632

 サイエンス誌の記事。NIHのコリンズ長官が就任10年に。オバマ政権とトランプ政権をまたぎ、NIHの盾となった長官。

★In departure for NIH, Cancer Moonshot requires grantees to make papers immediately free
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/departure-nih-cancer-moonshot-requires-grantees-make-papers-immediately-free

Open access takes root at National Cancer Institute
https://science.sciencemag.org/content/365/6454/629

 バイデン元副大統領のイニシアチブで始まったNational Cancer InstituteのCancer Moonshotが、資金を提供した研究に関する論文をオープンアクセスにせよとの要求を出し、すったもんだの大騒ぎに。

★Climate expert at CDC poised to file whistleblower complaint over treatment
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/climate-expert-cdc-poised-file-whistleblower-complaint-over-treatment

★Telescopes in Hawaii reopen after deal with protesters
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/telescopes-hawaii-reopen-after-deal-protesters

Astronomy must respect rights of Indigenous peoples
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02441-7

 ハワイの望遠鏡の問題。地域の人たちとの関係という大きな課題を投げかけています。

★Trump administration weakens Endangered Species Act
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02439-1

New Trump rules would curb U.S. endangered species protections
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/new-trump-rules-would-curb-us-endangered-species-protections

Trump Administration Weakens Endangered Species Protections
https://www.the-scientist.com/news-opinion/trump-administration-weakens-endangered-species-protections-66267

 トランプ政権。環境も絶滅危惧種も関心ないという事ですが…。

★小中高に専門知持つ多様な人材を
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48587960V10C19A8SHF000/

政府は「ポスドク1万人計画」を定め、大学院の定員を増やしてきた。だが、就職氷河期とも重なり、不安定な有期雇用の研究ポストを転々とする多くの高学歴層を生んだ。

和歌山県では、理学、医学の博士号を持つ30~40代の3人を現場に迎えた。来年度の採用でも広げる方針だ。教員免許を持たない社会人を学校に呼び込む流れがさらに広がることを期待したい。

博士が少ないのはなぜか、平成のネカト事件第1位

2019年8月6日~2019年8月13日

 日本ではお盆休みに入り、ニュースはやや少なめですが、重要ニュースがあります。

★「科学技術指標2019(調査資料-283)」及び「科学研究のベンチマーキング2019(調査資料-284)」の公表について
https://www.nistep.go.jp/archives/41356

 今年の調査ですが、かねがね言われていたように、日本の科学の「凋落」傾向が止まっていないことが示されています。

 「科学技術指標2019」から見た日本の状況を見ると、日本の研究開発費、研究者数は共に主要国(日米独仏英中韓の7か国)中第3位、論文数(分数カウント)は世界第4位、注目度の高い論文数(分数カウント)では世界第9位、パテントファミリー(2か国以上への特許出願)数では世界第1位です。これらは昨年と同じ順位です。
 日本の産業において、研究者に占める博士号保持者の割合(高度研究人材の活用度)は産業分類によって異なり、米国と比較すると高度研究人材の活用度が低い傾向にあります。また、日本の人口100万人当たりの博士号取得者数は、主要国と比べて少なく、日本のみ減少傾向が続いています。

 以下報道です。

アメリカの相手国、トップは中国 共同研究した科学論文
https://www.asahi.com/articles/ASM8864SRM88ULBJ011.html

注目論文シェア、日本9位 「お家芸」の化学・物理低迷
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48446000Z00C19A8EA4000/

国際共著論文:米中が急増 中国の研究力台頭、協力関係が緊密に
https://mainichi.jp/articles/20190811/ddm/002/040/127000c

 私(カセイケン代表榎木)は共同通信配信の記事にコメントしています。

 博士号取得者の割合が減少傾向にある理由は明白だと思います。

ノーベル賞・野依さん、大学院教育に「憲法の精神が守られていない」
https://mainichi.jp/articles/20190809/k00/00m/040/146000c

 野依さんが上記記事で言っているように、博士課程の学生がお金を払わないといけない状況が博士課程進学を躊躇させているというのもあるとは思います。

 しかし、理由はそれだけではありません。

★研究現場は今:第1部 博士/4 「足の裏の米粒」と皮肉 企業が敬遠、就職先少なく /京都
https://mainichi.jp/articles/20190806/ddl/k26/040/434000c

 博士課程に進んでも将来展望が描けないというのが、大きな影響を与えています。

 就職状況は多少改善はしています。

★令和元年度学校基本調査速報の公表について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/08/1420008.htm

修了者に占める就職者の割合は6年連続で上昇し,69.1%(前年度より1.4ポイント上昇)とな り,過去最高。

 とはいえ、博士号取得者の能力が十分活用されているかは疑問が残ります。

安倍総理日本学術会議によるGサイエンス学術会議共同声明を受け取りました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201908/08shukou.html

Gサイエンス学術会議
http://www.scj.go.jp/ja/int/g8/index.html

研究評価が出版、引用、インパクトファクターの数ではなく、質、再現性、独創性、関連性 といった基準によって実施されることを徹底し、研究の価値を貶めて科学的公正性における違反に発展するような過度な競争を回避すること。

 歪んだ過度な競争は研究現場に影を落としており、教員の採用プロセスが公正なものか疑問が投げかけられています。

★大学教員の真の公募制のために
http://university.main.jp/blog/bunsyo/20190806.pdf

日本には 800 近い大学があるが、博士課程までそなえている大学は東京などの都市圏に偏っている。それゆえ博士課程を修了した者は、たやすく地方の大学にポストを得られそうにみえる。しかし事実はそうではない。すべての大学が公募をおこなうわけではないし、たと え公募が行われていても、その公正をチェックできるCNUのような組織がない。
そこでは「採用の自由」がものをいう。公募が中教審文科省によって推奨されるなか、私立大学においても公募による採用は増えたけれども、公募における選考のプロセスは不透明なままである。こうして日本にもフランスと同じように、大学教員の採用における「不公正と怨恨の連鎖」が生じてしまう。

早稲田大学教員公募事件
http://university.main.jp/blog/bunsyo/20190807.pdf

全国の「教員市場」を真の意味で「流動化」させるためには、私立大学を含めたすべての大学に公募を義務づけるとともに、公募の公正と透明性を確保するための全国的な仕組みが必要です。バランスを欠いた文科省の「ガバナンス」によって苦しめられているのは、テニュア(終身)職のないすべてのポスドク、非常勤講師、教員、研究者です。応募のたび に膨大な資料を作成する時間と労力を要求され、論文のコピーや面接の移動に多額の出費を強いられ、ふつうは落選してしまいます。多くの研究者の時間、労力、意欲を無駄にし、疲弊させているのがいまの公募の実態なのです。

 こうした状況が、博士号取得の意欲を奪い、博士号取得者の能力を発揮できる場を奪っています。

★令和元年度「卓越大学院プログラム」の選定結果
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/08/1420053.htm

★令和元(2019)年度「卓越大学院プログラム」審査結果
https://www.jsps.go.jp/j-takuetsu-pro/data/r1_takuetsupro_kekka.pdf

 卓越大学院プログラムでは、さまざまな取り組みがあり、ベンチャー企業も生まれています

QBキャピタル、九大のプロジェクトに資金提供
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48330760X00C19A8LX0000/

 しかし、こうした取り組みの結果優れた人材が生まれたとしても、その能力を発揮できる場がなければ、「宝の持ち腐れ」になってしまいます。

★令和元年度国立大学法人運営費交付金の重点支援の評価結果について
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/1417263.htm

若手比率評価、24大学で増額 運営費交付金の傾斜配分
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019081001001716.html

 若手研究者を評価しようという動きがあるのは望ましいことだと思います。ただ、

★今なお続く「ロスジェネ」の苦境、貧困連鎖と支援不足の実態
https://diamond.jp/articles/-/210874

 もはや若手ではない世代の置かれた現状は非常に厳しいものがあります。

ブラタモリに学ぶ「文理協働」
https://blogos.com/outline/397120/

★文系・理系に高い壁 専攻外だと学べない…大学生の嘆き
https://www.asahi.com/articles/ASM7L3QN5M7LUPQJ006.html

 文理の壁という日本特有の大きな問題も、人材の育成や活用にとってマイナスです。

 課題が多すぎてどれから手をつけてよいものかと思いますが、とにかく出来ることをやっていくしかありません。同じことばかり言っていますが…。

 政治に訴えることも重要ですが…。

 今号にも科学への政治的関与に関する記事をいくつか掲載しました。

★UK Announces Fast-Track Visa to Recruit Top Scientists
https://www.the-scientist.com/news-opinion/uk-announces-fast-track-visa-to-recruit-top-scientists-66252

Boris Johnson pledges to ease U.K. research visas, but plows ahead toward Brexit
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/boris-johnson-pledges-ease-uk-research-visas-plows-ahead-toward-brexit

★Syriza may have lost the election, but Greece’s research reforms deserve to stay
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02323-y

★Mexican science suffers under debilitating budget cuts
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02332-x

★ブラジル:アマゾン熱帯雨林、危機 破壊面積、先月4倍増 温暖化、大統領軽視
https://mainichi.jp/articles/20190811/ddm/007/030/109000c

 日本では、経済成長を促す技術が必要とされており、それゆえ「科学技術」が重視されているようにみえますが、科学と技術を文理してみれば、各国と共通する課題もあるように思います。

★Scientists must rise above politics — and restate their value to society
多くの国々で政治からの圧力が強まる中、科学者や有識者は、専門家の声の重要性を政治とは切り離して訴え掛けていく必要がある。
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02379-w

 Nature巻頭言。バグウォッシュ会議を引き合いに出しています。

 現在では科学者だけでなく市民の関与も不可欠であり、パグウォッシュ会議式アプローチをそのまま現在に復活することはできないものの、

As with Pugwash, crucial to any effort to give scientists a bigger voice will be the ability of international researchers to stand apart from political arguments, and to assert that support for scholarship is not an issue of left versus right, but of the very survival and prosperity of humanity itself.

 と述べ、左右の対立を超えた意見を出していくべきだとしています。

 日本はここが弱いですね。研究者は自分の分野こそ重要と主張する人ばかりのようで、政治家もうんざりしているようです。日本の科学アカデミーである日本学術会議の役割は大きいですが、トップサイエンティストしか入れない団体なので、限界があります。

 そこで、日本にも全米科学振興協会やEuroScienceのような団体が必要だ、という声が高まってきています。

 こうした団体は私たちも20年来必要であると考えていますが、力不足で作ることができませんでした。今度こそうまくいくでしょうか。

★「21世紀の『公共』の設計図」(報告書)をとりまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190806002/20190806002.html

 最近攻めてる経産省

 民主党政権時代の「新しい公共」を思い起こさせますが、分野横断的な科学に関する団体も、公共を担う団体になるはずであり、日本が弱い部分です。

 私たちもNPO法人サイコムジャパンや現在のカセイケンなど、この部分を担えないかトライし続けています。力不足を痛感しつつも諦めず…。

★科学技術社会連携委員会(第9回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/092/shiryo/1419887.htm

議題

主査代理指名及び議事運営について(非公開)
第6期科学技術基本計画に向けた検討について

★令和2(2020)年度科学研究費助成事業(科研費)の公募に係る制度改善等について
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/06_jsps_info/g_190809/index.html

★Communicating science at a music festival — with 135,000 attendees
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02423-9

 科学フェスティバルを開くのも重要ですが、別のフェスティバルに出向くのも重要だなあと思います。

★Unethical work must be filtered out or flagged
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02378-x

★UC Faculty Protest Elsevier by Suspending Work for Cell Press
https://www.the-scientist.com/news-opinion/uc-faculty-protest-elsevier-by-suspending-work-for-cell-press-66251

UC faculty members quit Cell Press editorial boards over impasse with publisher
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/uc-faculty-members-quit-cell-press-editorial-boards-over-impasse-publisher

 エルゼビアVSカリフォルニア大。Cell Pressのエディター辞任という手に出ました。

★Tribute to Suzanne Eaton, from her lab members
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02371-4

Plant Biologist Killed on Solo Camping Trip in British Columbia
https://www.the-scientist.com/news-opinion/plant-biologist-killed-on-solo-camping-trip-in-british-columbia-66250

 事件に巻き込まれた研究者。あまりに突然なので、残された研究室メンバーへの影響を考えると辛いです。

★平成の5大ネカト事件:東大分生研・加藤事件(第1位)
https://haklak.com/page_FFP_heisei-1.html

 世界変動展望の著者の方による力作。必読です。

がん診療連携拠点病院等院内がん登録2012年3年生存率、2009年から10年5年生存率公表
喉頭・胆嚢・腎・腎盂尿管癌3年初集計
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2019/0808_1/index.html

がん5年生存率、前立腺は約99%だが膵臓は10%未満 部位により大きな差
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/08/20190809_01.html

がん5年相対生存率は66.1%、膵臓は依然10%未満-国がん発表
https://www.cbnews.jp/news/entry/20190808135528

がん3年生存率72% 初公表の胆のうがんは33% 国立がん研
https://mainichi.jp/articles/20190807/k00/00m/040/263000c

がん:3年生存率72% 2012年診断、ほぼ前年並み 初公表、胆のうがん33%
https://mainichi.jp/articles/20190808/ddm/012/040/050000c

がん診療連携拠点病院等院内がん登録
2017年全国集計報告書公表
WHO血液がん分類初集計、院内がん登録全国集計結果閲覧システムで施設別の治療方法別登録数が検索可能に
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2019/0808_2/index.html

がん:競泳・池江選手公表の血液がん 4分類→13分類に
https://mainichi.jp/articles/20190808/ddm/012/040/060000c

血液がん最多は「成熟B細胞腫瘍」17年、国立がん研
https://mainichi.jp/articles/20190807/k00/00m/040/276000c

 私榎木はがん診療連携拠点病院に勤務していますので、密接に関わりがあります。

 がんとの闘いは、アメリカでムーンショット(アースショット)が行われていますが、未だ道半ばです。それでも改善傾向がみられ、ちょっとずつ前進はしています。

★DNAの大量・高速増幅法開発、マリス氏死去
https://www.yomiuri.co.jp/science/20190811-OYT1T50126/

Kary Mullis, Inventor of the PCR Technique, Dies
http://bit.ly/2Z1pdwx

 著書がヒットしたマリス氏。ご冥福をお祈りします。

★US trust in scientists is now on par with the military
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02389-8

The Public’s Trust in Scientists Rises, Pew Poll Shows
http://bit.ly/2Z1ZF2r

 軍と同じくらい科学者への信頼が高まったとのことですが、政府との関係は厳しいものがあります。

★「党派的な脳:耳障りな科学のメッセージはどのようにリベラルと保守を科学不信にするか」Nisbet et al. 2015
https://blogos.com/outline/397222/

★図鑑「はたらくくるま」問題の本質 〜 誰が言論の自由の脅威者か
http://agora-web.jp/archives/2040906.html

 あいちトリエンナーレの問題の逆と言いますか、右派からの言論の自由の問題提起。言論の事由は左右を超えた問題として考えていかねばなりません…。

就職氷河期世代支援、熱帯のトランプ

★熱帯の「トランプ」、就職氷河期世代支援
2019年7月30日~2019年8月6日

 本日は広島の原爆投下から74年目の日です。犠牲者にご冥福をお祈りしたいと思います。

 まずは就職氷河期世代への支援から。内閣官房に支援室ができました。

★「就職氷河期世代」の就労を支援 政府、支援室を設置
https://www.asahi.com/articles/ASM7035Z8M70ULFA006.html

氷河期世代 支援へ新組織
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO48019330R30C19A7PP8000/

就職氷河期世代支援プログラム
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_hyogaki_shien/index.html

 私たちカセイケンでは、先の選挙でこの世代の研究者支援について質問していますが、政権を担っている与党は、こうした対策以外の対策を考えていると答えました。
https://www.kaseiken.org/election2019-3/

自由民主党
現在、具体策を検討しています。残念ながら、現段階で具体策を記入できないのですが、可能な限り根本的な解決に結びつくように尽力します。

公明党
 引き続き、若手研究者のポスト拡充やポスドクへの経済支援の充実、ライフイベントの両立を図るための支援などを推進していきます。

 政府の対策に期待しますが、それだけでは不十分です。私たちのような民間組織も情報提供のほか、できることを模索していきたいと思います。

科学技術に関する調査プロジェクト2019シンポジウム―「「科学技術立国」を支えるこれからの研究者育成」―
https://www.ndl.go.jp/jp/event/events/2019kagiprosymposium.html

 国立国会図書館のシンポジウムにカセイケン代表の榎木が登壇します。この場で具体先を議論できればと思っています。

★総合政策特別委員会(第28回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/07/1418836.htm

 中間とりまとめについて議論中。

★-The Beyond Disciplines Collection- 異分野融合を促し、研究力向上を支える土壌を育む/CRDS-FY2019-RR-02
https://www.jst.go.jp/crds/report/report04/CRDS-FY2019-RR-02.html

エボラ出血熱の感染があり得る患者の発生について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06025.html

エボラ出血熱への感染があり得るとされた患者の検査結果(陰性)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000077708_00001.html

安倍総理エボラ出血熱の感染があり得る患者の発生についての指示を行いました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/discourse/20190803_siji.html

エボラ出血熱対策に関する関係閣僚会議について
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201908/5_a.html

 日本国内でのエボラ出血熱発症には至らなかったわけですが、いつ日本にも来るかわかりません。

コンゴでエボラ感染拡大 発生1年で死者1800人超
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48194260U9A800C1FF8000/

 警戒を怠ってはいけません。

★治験における健常被験者死亡の報告について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05971.html

 健康な若い人が亡くなりました。治験との関係があるのかしっかりと調べていただきたいと思います。

★Time's up, CO2
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/411.full

 気候変動のリスクを理解している人でさえ、関心はヘルスケアや職や経済の次だという状況をどうするか…。気候変動がヘルスケアや職や経済とリンクしていることを理解してもらえばよいと主張しています。

IPCC opens meeting to consider Special Report on Climate Change and Land
https://www.ipcc.ch/2019/08/02/ipcc-opens-meeting-to-consider-special-report-on-climate-change-and-land/

食料生産、温暖化の影響議論 IPCC総会開幕
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48139340S9A800C1CR8000/

 IPCC総会が開かれましたが、トランプ政権は相変わらずです。

★US government websites cull references to climate change
https://physicsworld.com/a/us-government-websites-cull-references-to-climate-change/

 法で対抗する動きも出ています。

★Boulder Climate Scientist Sues Trump Administration Over Matter of ‘Scientific Integrity’
https://www.cpr.org/2019/07/29/boulder-climate-scientist-sues-trump-administration-over-matter-of-scientific-integrity/

★匿名化データが増大しているが、こうしたデータからの個人の特定は容易になってきており、研究への参加同意を含め、研究倫理に関する指針を時代に合わせて見直す必要がある。
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02322-z

★Unethical work must be filtered out or flagged
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02378-x

★就活生の「辞退予測」情報、説明なく提供 リクナビ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48076190R00C19A8MM8000/

リクナビが就活生の「内定辞退予測」を企業に提供、ネットで物議 運営元は「合否判定には未使用」と説明
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1908/02/news086.html

リクナビ、「内定辞退率」サービス廃止=同意得ずにデータ分析・販売
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019080501039&g=eco

原因をリクルートキャリアに直撃:
リクナビの「同意なしに学生の個人情報提供」はなぜ起きた? 裏には企業との業務提携関係

就活、問われるデータ管理 「辞退予測」に学生困惑
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48112770S9A800C1000000/

 これは研究とは違う問題ですが、集めたデータをどう利用するかと言う倫理的に大きな問題です。

★scienceの特集
CRISPR in China

China's CRISPR revolution
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/420

Fields of dreams
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/422

The CRISPR animal kingdom
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/426

Inside the circle of trust
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/430

The long shadow of a CRISPR scandal
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/436

★‘No one is immune’: Alaska’s scientists despair over plan to shrink state universities
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02344-7

連邦政府機関における懸賞コンペティションおよび市民科学活動の実施状況:2017~2018年度報告
https://crds.jst.go.jp/dw/20190801/2019080120579/

 アメリカでは2017年にできたクラウドソーシング・市民科学法があり、その下で市民科学が行われているとのこと。

★China’s scientists alarmed, bewildered by growing anti-Chinese sentiment in the United States
https://www.sciencemag.org/news/2019/07/china-s-scientists-alarmed-bewildered-growing-anti-chinese-sentiment-united-states

U.S. suspicions rankle Chinese scientists
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/415

 アメリカにいる中国系研究者の苦境。

★若い博士号取得者向けのイノベーションコンペティション 「i-PhD」を開始
https://crds.jst.go.jp/dw/20190731/2019073120689/

 フランス。

★‘Tropical Trump’ sparks unprecedented crisis for Brazilian science
https://www.nature.com/articles/d41586-019-02353-6

Brazilian institute head fired after clashing with nation’s president over deforestation data
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/brazilian-institute-head-fired-after-clashing-nation-s-president-over-deforestation

Brazilian president attacks deforestation data
https://science.sciencemag.org/content/365/6452/419

 「熱帯のトランプ」と呼ばれるブラジルのボルソナーロ大統領が科学に対して強権的で、「トランプ的」に熱帯雨林の減少率のデータを攻撃しています。こうしたトランプ型の政治家が増えてきているように思います…。

★あいちトリエンナーレ 「表現の不自由展・その後」中止について
https://news.yahoo.co.jp/byline/itokazuko/20190804-00137002/

あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」をめぐって起きたこと――事実関係と論点の整理
https://news.yahoo.co.jp/byline/akedotakahiro/20190805-00137053/

あいちトリエンナーレとコスプレサミットが示すコントラスト|「表現の不自由展」最終日を見る
https://news.yahoo.co.jp/byline/kazuhirotaira/20190805-00137065/

 この問題や京都アニメーションの事件は、知的生産物である表現を暴力で破壊しようとする試みであり、同じく知的生産である研究に関わる者は容認できないはずです。

 意見を言い批判することはいくらでもいいんです。怒り、おかしいと言ってもいい。ネットに書こうがSNSに書こうがYahoo!ニュースのコメント欄に書こうが構いません。

 しかし、ガソリンをまくといったことは絶対に許されないし、脅すことも許されません。攻撃されるのは攻撃される方にも問題があるということを言って暴力を肯定することは、考え方の違いがあれど許容できないでしょう。

 そこらあたりが分かっていない人が多くいるのが怖いです。目的が良ければテロや暴力は許されるのか…。そうだ、というなら、日本は近代国家の看板を下ろすべきです。これは右左という問題ではありません。

 ヘイトスピーチは論外ですが、右寄りの表現が暴力や脅迫にさらされることも許されることではありません。

 もう一つ、河村名古屋市長の発言にも大きな問題を感じました。

www.bengo4.com

 近年「反日的」な研究に科研費を出すのはおかしいという声が出てきたりしていますが、河村発言が問題ないというのなら、いずれ権力にそぐわない研究や、国家に不都合な結果が出る研究は国の予算が出なくなり、問題ありとされた大学などが取り潰されるようになるかもしれません。

 百歩譲って、公金の支出が国家の意向に沿うものでなければならないとしても、脅し暴力はいけないというメッセージを強く出すべきでしょう。

 今回、暴力や脅しが実に効果的に自らの考えと異なる創作物を潰すことができることが世間に示されました。今後研究者や大学は、今以上に「電凸」や脅迫を受け、研究を断念せざるを得ないといったケースが出てくるのではないか…。これが杞憂でないことを願いますが…。

★2020年卒 大学院生(修士・博士)・ポストドクターの就職活動の状況について 調査結果を発表致しました
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000013.000017667&g=prt

2020年卒 大学院生・ポストドクターの就職活動の状況について
https://acaric.co.jp/files/report1908.pdf

博士・ポスドクインターンシップ参加率は5割にとどまる―アカリク
https://itjinzai-lab.jp/article/detail/1810

 アカリクの調査。