2017年12月26日〜2018年1月1日
お正月も変わらずメルマガ発行いたします。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2018年はどんな年になるのか。予想などあてになりませんが、一つ言えるのは、基礎研究(というより純粋科学研究)をどうするのかを決めないといけない年になるということです。
★ノーベル生理学・医学賞受賞の大隅氏「視野の狭い研究者ほど客観指標に依存する」
どうなる日本の科学(9)東工大栄誉教授・大隅良典氏
https://newswitch.jp/p/11497
★ノーベル賞受賞の白川氏「好奇心と教養が社会を支え、研究者は社会に支えられている」
どうなる日本の科学(10)筑波大学名誉教授・白川英樹氏
https://newswitch.jp/p/11533
★ノーベル賞受賞の山中氏「私の仕事の半分は寄付活動に当てている」
どうなる日本の科学(11)京都大学iPS細胞研究所所長・山中伸弥氏
https://newswitch.jp/p/11542
最近注目記事を多く掲載しているニューススイッチが、ノーベル賞受賞者にインタビューしています。
どれも傾聴に値する意見です。しかし、なかなか状況は変わりません。
★政府、「統合イノベーション戦略」を来夏めどに策定 宇宙、医療、IT分野などまとめる
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2017/12/20171227_01.html
一方で政府は、よりトップダウンを強めようとしています。国の財政を潤わせる可能性のある研究領域が選択されて、戦略に基づき計画的に予算を配分するということです。これは選挙の公約の通りで、国民がこの方向を選択し、支持しているということになります。
★日本経済の現状(2017年12月)
http://www5.cao.go.jp/keizai3/genjyo/genjyo.html
ノーベル賞受賞者を輩出している国の多くは先進国です。経済的な余裕がない国では、自由な発想に基づく研究を潤沢な資金で行うことは難しいということです。基礎研究の停滞は、日本が先進国ではなくなりつつあることを示していると言えるでしょう。
問われているのは、国民がどのような選択をするかです。
基礎研究者に都合のよい政策とは、1000に3つとも言われる研究がうまくいく確率のなかで、失敗がほとんどであることを承知で潤沢に予算を投資し、ロングスパンで研究ができる環境を作り出すことです。
それができればできるに越したことはないですが、国民が、苦しい暮らしのなかで、すぐには役立たたない(し、永遠に実利は生み出さないかもしれない)研究にお金を出すことを許容しないといけません。
「政府わかってねえな」
「山中教授にもっとお金出してやれよ」
と無責任に言うだけでは、問題は何も解決しないのです。
そして、予算が限られているのなら、研究環境がより効率的になることを考えなければいけません。もっと研究者に研究してもらうような環境、若い才能に力を発揮してもらえる環境を追求していかなければなりません。これは、予算増やす減らす、トップダウンかボトムアップかの対立軸とは別に考えることができるはずです。予算増やせ、以外のこともしっかりと議論していかなければなりません。
このメルマガでは、今年も科学・技術関連の情報を収集し、研究者だけでなく、様々な立場の方々が、科学・技術政策に関心を持ってもらうよう、そして、科学・技術の現場の現状をもっと知ってもらえるよう発信を続けていきたいと思っています。
年末年始のピックアップ記事から。
★安全保障技術研究推進制度 研究課題
http://www.mod.go.jp/atla/funding/kadai.html
防衛省
岡山大など助成4大学判明 防衛装備庁、明らかに
https://mainichi.jp/articles/20171223/k00/00m/040/169000c
今年度の「安全保障技術研究推進制度」の採択機関が公表されました。日本学術会議の声明などもあり、研究代表者の所属機関には大学はありませんでしたが、分担機関にはいくつかの大学の名前が。
http://www.mod.go.jp/atla/funding/kadai/h29kadai291222.pdf
★「今年の研究不正」をグローバルに振り返る
論文撤回監視サイトの「日本コーナー」18本の記事を中心に
http://webronza.asahi.com/science/articles/2017122600001.html
★またもや研究不正に揺れた一年
東大分生研で判明した「捏造」「改ざん」
http://webronza.asahi.com/science/articles/2017122200006.html
2017年も様々な研究不正事例が発生しました。
繰り返す事例を前に考えることは、研究不正を起こさせない予防倫理、ではなく、責任ある研究活動を目指す志向倫理を進めていくべきだということです。
昨年11月に開催されたAMED、RIOネットワークキックオフシンポジウム「考え、気づかせる」研究倫理教育の資料が公開されています。
https://www.amed.go.jp/news/event/20171129_riosympo_report.html
関西大学 化学生命工学部生命・生物工学科の片倉啓雄教授の資料
https://www.amed.go.jp/content/000026048.pdf
をぜひご覧いただきたいのですが、予防倫理とは
〜するべからず
個人の行動の是非を教える倫理(お説教)
前例に基づく倫理
萎縮する倫理
失敗事例を学ぶ
であるのに対し、志向倫理とは、オリジナリティ・創造性を重視する科学者・研究者・技術者に必要な倫理であり、以下のようなことを意味します。
すべきこと為したいこと
プロ(社会人)としての行動を考えさせる倫理
創造する倫理
元気が出る倫理
好事例を学ぶ
研究不正など一部の変な人が行うこと、と考えるのではなく、よりよい研究のために何ができるかを前向きに考えていくことが重要だと思っています。今年は志向倫理をより深く考えていきたいと思います。
★安倍内閣総理大臣 平成30年 年頭所感
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2018/0101nentou.html
★「水素基本戦略」が決定されました
http://www.meti.go.jp/press/2017/12/20171226002/20171226002.html
水素を輸入、発電や自動車燃料に 政府初の「基本戦略」
https://www.asahi.com/articles/ASKDV11Y2KDTULFA01X.html
★安倍総理は第2回再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議に出席しました
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201712/26energy.html
再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議(第2回)
議事次第
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisei_energy/kaigi_dai2/gijisidai.html
資料1−1: 「水素基本戦略(案)」概要
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisei_energy/kaigi_dai2/siryou1-1.pdf
資料1−2: 「水素基本戦略(案)」
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisei_energy/kaigi_dai2/siryou1-2.pdf
★「未来の学びコンソーシアム」推進体制の強化
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/12/1399792.htm
「未来の学びコンソーシアム」推進体制を強化します
http://www.meti.go.jp/press/2017/12/20171226006/20171226006.html
○ 今後、平成32年度(2020年度)から必修となる小学校のプログラミング教育の円滑な実施等にコンソーシアムが一層重点的に取り組み、文部科学省を中心として関係業界を巻き込んで取組を加速化することができるよう、文部科学省に『「未来の学びコンソーシアム」プロジェクト推進本部』及び『「未来の学びコンソーシアム」プロジェクト推進チーム』を設置し、総務省及び経済産業省との連携の下、事務局を担うこととします。
○ 事務局には、民間企業経験者の「プログラミング教育戦略マネージャー」及び複数の「プログラミング教育プロジェクトオフィサー」も参画しながら、「未来の学びコンソーシアム」の取組を推進します。
★私立大学等の平成28年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1399613.htm
★平成30年度 文部科学省税制改正の概要
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/1400015.htm
要望が認められたもの
(1)独立行政法人日本学生支援機構に係る指定寄附金の給付型奨学金への対象
拡充【法人税等】
(2)国立大学法人等に対する評価性資産寄附へのみなし譲渡所得税の非課税承
認を受けるための要件の緩和等(内閣府・厚生労働省との共同要望)【所得税等】
★「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1345878.htm
★法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムの審査結果について
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houka/1399539.htm
★男女共同参画推進のための学び・キャリア形成に関する有識者会議(第2回)議事要旨
http://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/kyoudou/detail/1400042.htm
★男女共同参画推進のための学び・キャリア形成に関する有識者会議(第2回)配付資料
http://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/kyoudou/detail/1400044.htm
※【配付資料】参考資料「女性の再就職・再雇用 出産・育児等を機に離職しても女性が活躍できる社会に向けて」
出典:「出産・育児等を機に離職した女性の再就職等に係る調査研究事業」(平成26年度厚生労働省委託調査)
★将来構想部会(第9期〜)(第11回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/042/siryo/1399988.htm
議題
我が国の高等教育に関する将来構想について
★第10回政策研究レビューセミナー(発表資料の掲載)
http://www.nistep.go.jp/archives/35426
発表5
「博士人材のキャリアパス把握と分析」
松澤 孝明 第1調査研究グループ 総括上席研究官
http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/review2017_presentation_5.pdf
参考(世論調査)
http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/review2017_presentation_5-ref.pdf
ほか
★日本学術振興会賞に29年度も若手研究者25人
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2017/12/20171228_01.html
第14回日本学術振興会賞の受賞者決定について
http://www.jsps.go.jp/jsps-prize/kettei.html
第14回(平成29年度) 日本学術振興会賞受賞者一覧
http://www.jsps.go.jp/jsps-prize/ichiran_14th.html
★委託研究開発におけるデータマネジメントに関する運用ガイドラインを策定しました
http://www.meti.go.jp/press/2017/12/20171227001/20171227001.html
(2)本ガイドラインのポイント
研究開発におけるデータマネジメントの基本的な考え方(研究開発データの取扱いに関する合意書及びデータマネジメントプランの策定等)を明示。
委託者が、プロジェクト毎にデータマネジメントに係る基本方針を策定し、公募要領にて示すことを義務付け。
プロジェクト開始前から終了に至る研究開発データのマネジメント手順を提示。
第三者へ提供可能な研究開発データについては委託者がデータカタログを作成。
経済産業省、委託研究開発におけるデータマネジメントに関する運用ガイドラインを策定
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=10266
★平成28年国民健康・栄養調査報告
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h28-houkoku.html
★花火彩るスペースワールド閉園 「思い出をありがとう」
https://digital.asahi.com/articles/ASKD03VKWKD0TIPE004.html
5等星に「SPACE WORLD」物語完結へ
http://www.yomiuri.co.jp/science/20171228-OYT1T50038.html
スペワ「月の石」展示継続へ調整
https://news.biglobe.ne.jp/topics/domestic/0101/32707.html
「遊園地で泣くとは…」 スペースワールドで別れの声
https://digital.asahi.com/articles/ASL114DGTL11TQIP00P.html
スペースワールド閉園、現地「思い出」ルポ
https://response.jp/article/2018/01/01/304325.html
北九州市のスペースワールドが閉園しました。
http://www.spaceworld.co.jp/thanks/
人々に愛された遊園地でした。
★理研が非常勤職員を「大量雇い止め」で上がる現場の悲鳴
波紋はどこまで広がるか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53933
<東北大雇い止め>職組と団体交渉 職員の無期転換「財政的に困難」と大学側
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201712/20171226_13012.html
雇い止め問題は2018年も大きな問題として考えなければなりません。
★非医学系委員、研究「理解不能」も 大学の臨床研究倫理委
http://kyoto-np.co.jp/top/article/20171230000031