科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

S&II協議会の立ち上げ、ヒアリ、琉球大学の研究不正

2017年6月20日〜2017年6月26日

 新しい会議が立ち上がります。

★サイエンス&イノベーション・インテグレーション (S&II)協議会の立ち上げについて
http://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20170620ssiiforum.html

第5期科学技術基本計画の着実な実施を図る観点から、科学技術を軸としたオープンイノベーションや研究開発型スタートアップの創造・育成を加速するための環境つくりの一環として、各省庁や産業界、地域レベル等で個別に実施されている関連事業に従事する多様な人材同士が、事業横断的・業際的に相互の活動や成果等を共有し、より柔軟なコラボレーションが活発に創造される自律的なコミュニティ形成を本協議会の基本方針とします。

「設立発表会・記念シンポジウム」の開催について
日時:平成29年7月27日(木) 14:00〜19:10
場所:政策研究大学院大学 想海樓ホール(予定)
http://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20170620siiforum-1.pdf

 活動内容としては以下のように書かれています。

(1)人材レベルの自律的な連携と交流の促進
産官学金等の各種分野で研究開発事業やオープンイノベーションベンチャー支援事業等に携わる各種支援人材(コーディネーター、プロジェクト・マネージャー、アクセラレーター等々)を中心に、事業横断的・業際的な人材のコミュニティづくりを提唱します。専門人材の育成や共有、キャリアパスのあり方等についても発信していきます。

(2)各種マッチング事業やベンチャー支援事業等の俯瞰・可視化
個々の支援事業の具体的な特徴、得意な技術領域、提供されるメンタリング内容等を俯瞰・明確化し、活用する企業側にとって「違いがわかりにくい」「自社に合った支援事業を選別しにくい」といった状況の改善を目指します。

(3)政策提言等

 今後の議論や活動の内容に注目していきたいと思います。

神戸港におけるアリの調査状況報告について
http://www.env.go.jp/press/104217.html

 神戸港からヒアリのほか、特定外来生物であるアカカミアリが見つかったとのことです。

 ヒアリについては、Yahoo!ニュース個人に記事を書きました。

ヒアリ」上陸〜正しく怖がるために知っておくべきこと
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20170623-00072455/

 記事は環境省の資料などに基づき書きました。その後国際社会性昆虫学会日本地区会(JIUSSI)のページに、

ヒアリに関するFAQ
https://sites.google.com/site/iussijapan/fireant

 がアップされました。

 重要な事項が書かれていますので、そのまま引用します。

ヒアリに刺されると死ぬの?

ヒアリは毒針でヒトを直接加害する国際自然保護連合の世界の侵略種100にもランクされる危険な外来種ですが、日本のマスコミでは衛生被害に関する情報がやや誇張され流布されています。まずは、以下のことを心がけましょう。

1)ヒアリに身体をはわれたら:少数のアリが身体についたときには、躊躇せず手で振り払うか指で潰すことで十分対応できます。むろん、地面などにいるアリをむやみに触ってはいけません。

2)巣を踏んでしまったら:間違って巣(アリ塚)の上に足を踏み入れてしまうと怒ったヒアリが大量に身体に登ってきます。そんなときはもはや手で振り払うことはできません。手足をぶるぶる振るってふるい落としましょう。

3)もし刺されてしまったら:落ち着いて「死ぬことはまずない」と考えてください。利用可能な医療機関が近くにあるならほぼ大丈夫です。毒性が強いと指摘されているヒアリ個体群が生息する台湾でも確実な死亡例はありません。海外での死亡例はすべてアレルギー(アナフィラキシーショック)によるものです。刺されて、しばらくして(数分〜数十分)頭痛、動機、吐き気などで気分が悪くなったり、じんましんがでたら急いで医師にみせ治療してもらいましょう。皮膚科、内科、小児科などほとんどの診療科で対応できます。ヒアリの場合は初めて刺されたときにアレルギー症状がでることがあるのでここは要注意です。ハチアレルギー持ちかどうかとヒアリアレルギーは関係ないです。アレルギー症状がでなければとりあえず安心し、刺された部分の痛みかゆみには市販の虫刺され薬等をぬりましょう。

 参考資料
Potiwat, R. and Sitcharungsi, R. (2015) Ant allergens and hypersensitivity reactions in response to ant stings. Asian Pac J Allergy Immunol 33:267-75
http://www.extratosalergenicos.com.br/papers/insetivac/Ant%20allergens%20and%20hypersensitivity%20reactions%20in%20response%20to%20ant%20stings..pdf

 環境省のページにはハチアレルギーとの関連が書かれていましたが(私もそれをもとに記事にそのことを書きました)、ちょっと微妙のようです。

Reactions to the Stings of the Imported Fire Ant
Richard D. deShazo, M.D., Brian T. Butcher, Ph.D., and W.A. Banks, M.S.
N Engl J Med 1990; 323:462-466
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM199008163230707

Although preliminary data, obtained with radioallergosorbent inhibition techniques, suggest that there may be such cross-reactivity, crossed-immunoelectrophoretic studies have not demonstrated shared epitopes between fire-ant venom and other hymenoptera venoms.

 ヒアリの生物学
―行動生態と分子基盤―
東正剛・緒方一夫・S.D.ポーター 共著
A5判・上製・228頁
定価(本体2,800円+税)
2008年3月20日
ISBN978-4-905930-68-6 C3045
https://kaiyusha.wordpress.com/2008/12/20/ヒアリの生物学/

には、

また、ホスホリパーゼやヒアルロニダーゼのようにヒアリ毒とハチ毒に共通のたんぱく質もあり、初めてヒアリに刺された人でも、ハチに刺されたことがあるとすぐに抗原抗体反応を起こす可能性もある。

 との記載があり、用心に越したことはなさそうです。ヒアリ関連の情報については、今後も追っていきたいと思います。

琉球大学医学研究科教授の研究活動上の不正行為(ねつ造・改ざん)の認定について
http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/fusei/1386785.htm

 撤回論文数ランキング
http://haklak.com/page_ranking_Leaderboard.html

 12位の森直樹教授です。上のページでは実名なしですが…

 ずいぶん時間がかかった印象ですが…教授はやめていませんが

このため、資金配分機関である文部科学省及び日本学術振興会において、経費の返還を求めるとともに、文部科学省日本学術振興会及び科学技術振興機構において、研究活動の不正行為が認定された3名に対して最長7年間の資格制限の措置を講じた。

 とのことです。

★東大教授、科学論文で不正…顕微鏡画像を加工か
http://www.yomiuri.co.jp/science/20170620-OYT1T50009.html

東大論文「不正の疑い」 調査委が報告書案
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H83_Q7A620C1000000/

不正疑惑の東大教授、論文撤回検討「結論に影響は与えない」
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170621/soc1706210004-n1.html

University of Tokyo scientist hit by anonymous allegations fights back
http://www.sciencemag.org/news/2017/06/university-tokyo-scientist-hit-anonymous-allegations-fights-back

 こちらも大きな問題。そろそろ報告書が公表されると思っていましたが…

 しっかりとした公平な調査が行われることを願いいます。

★宛先:日本学術会議会長およびJST理事長
10年近くもの間 未解決の「東北大学前総長の論文不正疑惑」について、第三者による真に公正な調査を速やかに行い、日本科学界の信頼を早急に回復することを強く要望します。
https://www.change.org/u/734801189

 ネット署名です。私も署名しました。

★平成29年度事業の障害者支援の観点からの総点検について ―平成30年度に向けた事業の見直しへ―
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/06/1387000.htm

文科省の17年度事業 3割で障害者への配慮不足
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H1L_Q7A620C1CR0000/

平成27年度大学等におけるインターンシップ実施状況について
http://www.mext.go.jp/b_menu/internship/1387145.htm

中央教育審議会(第112回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/1387211.htm

議題

新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について
教育再生実行会議第十次提言について

教員の「働き方改革」諮問 文科相中教審
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H1B_S7A620C1CR0000/

★第9期学術情報委員会(第2回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/040/shiryo/1386600.htm

★企業のイノベーション・アウトプットの多面的測定[DISCUSSION PAPER No.149]の公表について
http://www.nistep.go.jp/archives/32943

★researchmapがWeb of Scienceと
連携した業績入力機能を提供開始
〜研究者の業績情報の入力負担を軽減〜
http://www.jst.go.jp/pr/info/info1262/index.html

受動喫煙防止対策の徹底に関する厚生労働大臣談話
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000168103.html

 塩崎大臣はがんばったように思うのですが、政治的に厳しかったようです…

 医師としては、受動喫煙対策の徹底化を強く望んでいます。

人工衛星を通じて集めたデータなど無償公開へ
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=9804

★大学に「社外取締役」 人づくり革命、政府が方針概要
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H36_T20C17A6EA3000/

安倍晋三首相記者会見】
人づくり改革相を設置へ 7月に「みんなにチャンス! 構想会議」を立ち上げ
http://www.sankei.com/politics/news/170619/plt1706190025-n1.html

日本学術会議 報告「畜産学の特性に配慮した教育・研究課題−飼育動物の安定的利活用を目指して−」
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-h170621.pdf

★第3期教育振興基本計画に向けた意見
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/049.html

産業界が求める人材、経団連が第3期教育振興基本計画に意見
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12185-38796/

★日本地質学会表彰
受賞者:「ブラタモリ」制作チーム(日本放送協会
表彰業績:地質学の社会への普及
http://www.geosociety.jp/outline/content0180.html

タモリ氏の地理・地質好きというキャラクターに負う面も大きいが,それ以上に,訪問地や番組構成,解説する専門家などを決定する番組スタッフの地理・地質の重要性の理解がこの番組を成功に導いていると考えられる.そしてこの番組が地質学の普及に貢献しているのは明らかである.

 タモリ氏の地理、地質好きは本当に見ていて楽しいもので、知を楽しむ姿勢が素晴らしいと思います。

 タモリ氏はこのほか、アマチュア無線の免許を持つなど、理系への造詣が深く、私も小学生のときにアマチュア無線の免許を取る際、タモリも持っているんだ、とあこがれを感じたことを思い出します。

 さかなクンもそうですが、こういった人はもっともっと評価されてよいように思います。

★生物学プレプリントのライセンスをどう扱うべきか(記事紹介)
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=9811

Google Scholar、10年前に出版され、最も引用された10論文コレクション"Classic Papers"を公表
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=9802

京都大学学術研究支援室、URAの活動紹介映像を公開
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=9805

★クラリベイト・アナリティクス、JCR2017を公開
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=9801

★Chinese courts call for death penalty for researchers who commit fraud
China has announced two new crackdowns on research misconduct ― one of which could lead to executions for scientists who doctor their data.
https://www.statnews.com/2017/06/23/china-death-penalty-research-fraud/

★China cracks down on fake peer reviews
Funding agencies announce harsh penalties and stronger policing efforts.
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/546464a

★捕食出版社、生涯教育にも進出
https://www.enago.jp/academy/predatory-publisher-business_201706/

★タバコ関連企業・団体資金により作成された投稿論文の不受理について
http://www.jrs.or.jp/modules/information/index.php?content_id=1096

たばこ関連企業・団体資金で論文投稿は「不受理」-日本呼吸器学会、禁煙推進順守で
https://www.cbnews.jp/news/entry/20170621143702

 重要です。

★New concerns raised over value of genome-wide disease studies
Large analyses dredge up 'peripheral' genetic associations that offer little biological insight, researchers say.
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/nature.2017.22152

★US court grants Elsevier millions in damages from Sci-Hub
Some doubt that the publishing giant will see any money from the pirate site.
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/nature.2017.22196

★すべての人にインターネット環境を──トランプ政権の逆風下で、デジタル格差の解消に取り組むNPOの挑戦
http://wired.jp/2017/06/26/one-nonprofit-closing-digital-divide/

 やはりNPOの国アメリカです。もちろん国の成り立ちが違うので、日本はどうの、とは言いませんが、自発的な行動が日本でももっとあってよいように思います。

EPA axes 38 more science advisers, cancels panel meetings
http://www.sciencemag.org/news/2017/06/epa-sheds-38-more-science-advisors

★2017.06.20 【ニュース・イギリス】EU離脱における科学研究の優先順位
http://www-overseas-news.jsps.go.jp/%e3%80%90%e3%83%8b%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%83%bb%e3%82%a4%e3%82%ae%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%80%91eu%e9%9b%a2%e8%84%b1%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%a7%91%e5%ad%a6%e7%a0%94%e7%a9%b6%e3%81%ae/

★Q&A: Why a top mathematician has joined Emmanuel Macron’s revolution
http://www.sciencemag.org/news/2017/06/qa-why-top-mathematician-has-joined-emmanuel-macron-s-revolution

A top mathematician joins the Macron revolution
http://science.sciencemag.org/content/356/6344/1223

フィールズ賞受賞の新議員セドリック・ヴィラニマクロン旋風の新しい風になるか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishikawashinichi/20170625-00072517/

 これはすごいです。日本だと、かつての有馬元東大総長を思い出しますが(文部大臣を勤めた)、43歳という若さに目が行きます。

★Civil groups’ apathy on STI hurts Africa’s SDG progress
How to get science working for the SDGs? Get political parties and NGOs involved, says John Mugabe.
http://www.scidev.net/global/cooperation/opinion/civil-groups-sti-africa-sdg.html

★女性博士のキャリア構築と家族形成[DISCUSSION PAPER No.147]の公表について
http://www.nistep.go.jp/archives/32906

★名大、博士学生をフルタイム雇用-年俸300万円
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00432807

★AIネットワーク社会推進会議 報告書2017(案)に関する意見募集
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000062.html

AI開発ガイドライン総務省が公表・意見募集
http://www.asahi.com/articles/ASK6M524YK6MUTIL01R.html

★日本の科学とイノベーション、再生への道筋
研究者の頭脳と時間を、違うことに使いすぎている
ニュートリノ振動でノーベル物理学賞梶田隆章氏に聞く(最終回)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/032700107/060900010/